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抱き締めても良いですか?
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しおりを挟む「……愛歩君の、大きいね」
「そう?」
「うん。僕の……小さいから」
恥ずかしそうに俯いている。柔らかい髪にキスをすると宥めた。
「可愛いですよ」
「あんまり嬉しくないなー」
「俺としては、小さい方がありがたいです。ヒート止めるために、真澄さんのこれに頑張ってもらわないといけないんで」
Ωとはいえ、後ろに受け入れるのは辛いと思う。あんまり大きいと抵抗してしまうかもしれない。
「……そう、だね。あんなに苦しそうだったもん……早く終わらせてあげたい」
「まだ、待ちますからね」
「一度だけ我慢してね。君のヒートを止めるために」
「ん? 一度だけ?」
真澄の小振りなモノを撫でていた俺は首を傾げてしまった。真澄も不思議そうに見上げている。
「だって……愛歩君は男の子だから。本当は抱かれるの嫌でしょう?」
「真澄さん以外の男は蹴り飛ばしますよ」
「……それって?」
「子供、欲しくないですか? 産めるのは俺だから」
真澄の頬にキスをしながら尋ねた。驚いたように俺を見つめている。
「え!?」
「あれ? 欲しくない?」
「ほ、欲しいけど……でも、良いの?」
「俺も真澄さん、めっちゃ抱きますよ? でも、真澄さんとの子供なら、欲しいなって思ってます」
Ωとして生まれてきて、男として育って。
ヒートを止めるためとはいえ、いつかαを後ろに受け入れなければならないと思うと苦痛だった。
女のαだとしても、男のαだとしても、俺は男でいたかったから。
後ろに受け入れるなんて、耐えられないと思っていた。
「真澄さんなら、良いです」
「愛歩君……」
「寺島先生や、琴南さんだって、番のαが好きだから受け入れてる。俺もそうしたい」
可愛い真澄のモノが立派に立ち上がっている。フルフル震えている真澄から、αのフェロモンが溢れてくる。
「そんなこと言われたら……僕……!!」
「すっげーフェロモン出てますよ……! やばい……クル……!」
良い匂いのフェロモンから、Ωを誘うフェロモンに変わっている。
俺の後ろが濡れてきた。前も連動して立ち上がっている。真澄のモノと触れ合うと熱くてたまらない。
「……ん! 愛歩君のフェロモン……すご……い!」
「真澄さんのが……やばいって!」
お互いに誘うフェロモンが出てしまう。前も後ろも苦しくなってくる。震える指で後ろを刺激した。前は真澄に任せようと思ったけれど。
真澄が、息を止めている。酸欠を起こしたようにヒュッヒュッと喉を鳴らしている。
『真澄はまだ、君の強いフェロモンに耐えられないと思うから。危ない時は距離を取ってほしい』
瑛太の言葉を思い出し、真澄に触れていた手を離した。体が震えていたけれどベッドからどうにか降りていく。距離を取り、後ろを弄りながら前も解放した。俺が早くイけばΩのフェロモンは収まるはずだから。
どうにか熱を発散させた。興奮していた体が落ち着いてくる。フェロモンが出ないよう息を整えた。
「真澄さん! 大丈夫ですか!?」
もう、側に行っても良いだろうか。脱ぎ捨てていた服を体に巻き付けながらベッドに近づいた。
顔を覗き込むと真澄は泣いていた。
「ごめ……僕! どうして……こんなに弱いんだろう!」
小さな手で何度も目を擦っている。真澄のモノは萎むように縮んでいた。αのフェロモンを感じないことを確認して、ベッドに座ると小さな手を取った。
「少しずついきましょう」
「せっかく……二人で過ごしてるのに……!」
「もう、そんなに泣くと、変態兄さんが変な誤解するじゃないですか」
「……変な誤解?」
涙が溜まっている目元を拭ってやった。フェロモンが出てしまわないよう、気をつけながら抱き締めた。
「俺がめっちゃ真澄さん抱いて泣かせたみたい」
「……そう、なりたい」
細い腕に抱きつかれる。薄い背中を撫でてやる。
「覚悟して下さいよ? 真澄さんが丈夫になったら、泣いても止めないですから」
「うん」
おでこをグリグリ押しつけてくる。可愛い仕草に笑いながら抱き上げた。
「シャワーしましょう」
「うん。ねえ、愛歩君」
「はい?」
抱き上げた真澄が首に腕を回してくる。可愛い唇が頬に当たった。
「大好き。絶対、愛歩君のフェロモンに慣れるから。いっぱい抱いてね」
「もちろん。そのためにも、シャワーして、飯食いましょう」
「……お腹空いたの?」
「それもあるけど、真澄さんを元気にしないと」
浴室に降ろしてシャワーをかけてやる。αのフェロモンを出したせいか、真澄が少し衰弱しているように見えた。俺に掴まらせたまま体を洗ってあげた。
綺麗にしてあげて、バスローブを着せるとベッドへ寝かせておいた。その間にルームサービスを頼んでしまう。料理が運ばれてくるまでの間、真澄の手を握った。抱き締めるとまたその気になるかもしれないから。
眠ってしまわないよう話した。今日の卒業式のこと、楽しかったデートのこと。慎二のおでこが治っているだろうかと話して笑った。
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