抱き締めても良いですか?

樹々

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抱き締めても良いですか?

31.Ωとして求め 男として求め

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*真澄に……抱かれたい……!

 うる……さい!

*抱いて欲しい……!

 黙れ……!


 頭の中に鳴り響く声。
 体が熱くてたまらない。
 苦しい。
 息ができない……!

*真澄……めちゃくちゃにして……!!

 俺は……違う!
 俺が……真澄さんを……!



 息が止まりそうだった。
 後ろが焼けたみたいに熱くてたまらない。
 手を伸ばしたいのに、自分の体がどこにあるのかも分からなくなっていた。眠っているのか、起きているのか、生きているのか、分からない。
 苦しくて、誰かに助けてほしくて。
 頭の中に響く声を止めて欲しくて。
 何かにしがみついていた。
「……うぅっ!」
 ビクッと体が揺れた。こもっていた熱が、少し薄れた気がして。頭の中で響く声が遠ざかっていく。
「愛歩君!? 愛歩君!!」
 大好きな声が聞こえる。瞼を開けても滲んでいて、姿はよく見えないけれど、手にした温もりが誰なのか、分からずにはいられなくて。
「ますみ……さっ!」
「良かった……!」
 小柄な真澄をめいっぱい抱き締めた。俺は脱がされていたけれど、真澄は服を着ていた。彼の小さな手が、俺の腫れていたモノを握っている。
「ごめんね、勝手に触って」
「おれ……」
「何度かイッてたけど、なかなか目が覚めなくて……! 僕が下手だから、ちゃんとできてないんじゃないかって思って……!」
 真澄の首筋から、αのフェロモンの匂いがしている。大きく吸い込むと、震えていた体が落ち着いてきた。Ωを誘うフェロモンとは違う。前に感じた、良い匂いだ。安心する。
 涙を拭うと、真澄の顔が良く見えた。頬が上気し、服の上からでも分かるほど下が腫れている。
 そこに触れた。苦しそうなそれを解放してあげたくてチャックを下ろしてしまう。
「真澄さん……! 真澄さん!」
 直接体温が欲しい。彼が着ていたシャツに手を掛けると脱がせていく。上も下も脱がせる俺を見つめていた真澄は、まだ腫れている俺のモノを撫でるように梳き始めた。
 真澄に触れてもらっていると、腰が砕けそうになる。抱き締めると、彼のモノと俺のモノが触れ合った。真澄が両手で俺達を愛撫している。漂うαのフェロモンに酔いしれていく。


 もっと、もっと抱き締めたい。

*……抱いて欲しい! 真澄に……!

 俺が、抱きたいんだ……!

*抱いて欲しい……!!


 頭の中がぐしゃぐしゃだ。肉付きが良くなった真澄の尻を握り締めてしまう。この奥にある場所へ、腫れたモノを入れて抱きたいのに、抱いて欲しいと後ろが濡れている。
「ぅ……頭……割れそう……!」
「いいよ……」
 俺の手を後ろへ導いてくる。濡れていないその場所は、αである彼が、受け入れる場所ではない。
「本当は卒業式が終わってから、ちゃんと言うつもりだったんだけど」
 俺の体に抱きついている。見上げてくる潤んだ瞳と、真っ赤になった顔が近づいてくる。そっと、頬に唇が当たった。
「愛歩君が好きです……!」
「真澄さん……」
「も、もっと肉付きが良くなってたらよかったんだけど……! 愛歩君みたいに筋肉無いけど……! こんな体で良かったら……!」
 仰向けになっている。胸の上で両手を組んだ真澄。
「だ、だ、抱いて下さい!!」
 叫んだ真澄は、バッと両腕を広げた。十字架のように横たわっている彼に、ヒートで混乱していた頭が真っ白になる。
 触れた胸は、出会った頃より肉付きが良い。あばらも浮いていない。
 下を見れば、ずいぶん腫れている。俺のフェロモンで初めて勃起したと言っていた彼のそれは、男として、αとして、立派に立ち上がっている。
「……αでしょう?」
「か、関係ないよ! それに僕は落ちこぼれαだから」
 両膝を立てている。プルプル震えながら膝を広げていく。
「愛歩君に、抱き締めてもらう方が好きなんだ! 初めてだからわからないけど宜しくお願いします……!!」
 とうとう、顔を覆って隠してしまう。それでも膝は広げたままだった。
 引き寄せられてしまう。相変わらず俺の子宮から何か出てきて抱いてくれと訴えてくる。後ろは濡れすぎて溢れていた。
 でも。
 細いけれど育った体に覆い被さった。彼の両手を顔から離させると、肩に顔を埋めてしまう。強烈な真澄の匂いにクラクラしてくる。
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