妖艶幽玄奇譚

樹々

文字の大きさ
上 下
62 / 84
第一幕

奇ノ五十九『特別機関の日常』

しおりを挟む
 何故だろう。
 許すとか、許さないとか、考えられない。
 襲われた時は怖かったし、腹が立ったし、七海に「お座り」と命じてもらっているうちに股間を踏み潰してやろうとも考えたけれど。

 あの人は。

 あの時は。

 心の底から泣いている気がして。

 俺にすがり寄っている気がして。

 その姿はまるで小さな子供のようで。

 震えていた背中を、抱きしめてやりたいとさえ、思っていた。


 のだが……。




「達也君、相変わらず良いお尻をしていますね。七海君に抱き付いて眠るなんて、はしたない」
「……はしたないのはあんただろうが! この覗き魔やろう!」
 毎朝、毎朝、俺がどんな寝相だったか、七海と手を繋いで眠っていたとか、カメラで見ていたことを話してくる剣に腹がたっていた。
 俺が寝ている間に悪鬼が出てきてはいけないから、というもっともらしい理由を付けて寝ている姿を見ているなんて。一希が何度も済まない、と言ってくるのでカメラを壊すことだけは我慢しているけれど。
「心路! あんたが止めてくれねぇとうぜぇぞ!」
 剣と一緒に起きているはずなのに、どうして止めないのか。コンピューターに囲まれている心路を指させば、ふんっとそっぽを向かれてしまう。
 剣が俺にちょっかいを出していても良いのだろうか?
 心路に詰め寄ろうとした俺の腕を剣が握る。引っ張られた体が彼の胸に収まった。
「夜勤明けで少々体が火照っていましてね。どうです? 今から……」
「ふ、ふざけんじゃねぇ!! 朝っぱらから盛ってんじゃねぇぞ!」
「うふふ……怒っている唇も、可愛いですね~」
 顔が近づいてくる。押し戻そうとした俺よりも先に、耳鳴りが響いた。

≪ハナレテ≫

 七海の言霊に、剣の手が弾かれる。けれど両手を上げた剣は、しなやかな動作で自分の顎を摘まんだ。
「そんなお子様な力で私が止まるとでも? 甘くみられたものですね~」
 怪しげな笑みを浮かべながら、弾かれたばかりの手を俺の股間に伸ばしてくる。咄嗟にその手を掴んだら、もう片方の手で背中を捕まえられていた。
 さわりと、お尻を撫でられてしまう。
「大人の色香に屈しなさい。ね?」
「…………!」
「こ、この! 変な触り方すんじゃ……!」

≪……ハナレテ!≫

 今度は強い耳鳴りがした。俺のお尻を触っていた剣の手が弾かれ、その勢いで体ごと離れていく。よろめいた彼を遅れて執務室に入ってきた一希が受け止めた。
 俺の前に、両手を広げて七海が立ち塞がる。
「達也君に触らないで下さい!」
「おや、怖い怖い」
 肩をすくめ、何かに叩かれたかのように真っ赤になった手を見つめている。少し腫れていた。
 その様子を見ていた心路がコンピューターの間からやっと出てきた。俺と七海を一睨みすると剣の手を握っている。引き離すようにぐいぐい引っ張っていくと無言で剣の胸に抱き付いた。
「心路、朝の引継ぎは終わりましたか?」
「……まだ」
「では、早く済ませて下さい」
 赤い手のまま心路の頭を撫でた剣は、宥めるようにおでこにキスをしている。それでも心路は抱き付いた手を解かなかった。
「七海、もう大丈夫だって」
「……うん」
「ごめんな。エロじじいのせいでまた言霊使わせちまってさ」
 両手を下した七海が、緊張で張っていた肩を緩ませた。俺を振り返ると首を横へ振っている。
「ううん。達也君の方が大事だもの」
「つか、エロじじい! 蘭兄と清兄が居ないからってめっちゃ手、出してきやがって!」
「うふ。チャンスは逃すものではありませんからね。油断したら……ね?」
 怪しげな笑みを浮かべながら、自分の唇に人差し指と中指を当てた剣は、投げキッスを送ってくる。見えない唇が飛んできたような気がして、ペッと右手で叩き落してみせた。
「すまないな、達也君、七海君」
 いつの間に来ていたのか、政宗が煙草を銜えたまま立っていた。火が付けられていない煙草をそのままに笑っている。
 隣に立っていた一希の肩をポンッと叩くと、無言で視線を交わしあった。
「遅いですよ、政宗さん」
「隠居していた身なんだ、ゆっくりさせてくれ」
「引き継ぎしなければ、心路と休めませんからね~。あなたが望むなら、今から三人、ベッドでゆっくりと……ね?」
「遠慮しておくよ。……無理はするなよ?」
 剣に声をかけた政宗は、執務室の奥にある台所まで歩いていく。一応、室内は禁煙になっているためか、換気扇ののスイッチを入れてから煙草に火をつけた。白い煙が換気扇に緩やかに吸い込まれていく。
「いっそ禁煙したらどうですか?」
 車椅子を転がしながら葵が笑っている。微笑み返した政宗は、大きく煙を吸い込んだ。
「そうしたいのはやまやまだがな、考える時は一本、吸いたくなる」
 ふーっと吐き出した白い煙を見つめた政宗は、おもむろに七海の方を振り返っている。
「言霊は遠慮なく使って良い。俺たちは誰も気にしないからな」
「……でも」
「剣の手は俺でも防ぎ辛いからな。君の言霊で達也君を守ってあげてくれ」
「……はい!」
 頷いた七海が思わずだろう、俺の手をギュッと握った。俺を見上げている黒い瞳に、清次郎の意志の強さに似たものを感じた。
「ごめんなさい! ちょっと寝坊しちゃった!」
 執務室に駆け込んできたのは初音だった。後ろ髪に少し寝癖を残している。普段、薄化粧をしているのに、今日はそれもする時間が無かったのか、すっぴんだった。一希を見上げると自分の頬を触りながら照れている。
「お肌、荒れてます?」
「いや、いつもと変わらないと思う」
「よかった。夜更かししちゃって」
 ヘアゴムを取り出すと、はねている後ろ髪を軽く縛っている。台所まで小走りになった初音に剣がクスクス笑っている。
「初音さん、また見ていたんですか?」
「はい! もう、最後が気になっちゃって!」
「好きですね、アニメ。今のあなたの流行は何ですか?」
「戦闘物です! 隊長も見ますか? イケメンも出てきますよ」
 エプロンを取り出し、腰に巻いている初音に笑った剣は、心路の背を押し葵の方へ行かせるとソファーに座っている。
「2Dに興味はありませんから」
「あ、コーヒーが良いですか? お茶にしますか?」
「コーヒーで。心路には甘いのを」
「はい! 隊長にも、甘いのを淹れますね」
「私は……」
「甘いのがオススメです」
 にこりと笑う初音に、剣は苦笑しながら目を閉じた。その前に、煙草を吸い終えた政宗が座っている。
 そのまま大人二人は引き継ぎに入る。心路も葵とデータの引継ぎに入った。
 時刻は午前七時三十分。俺と七海も初音の手伝いをするため台所に立つ。
「先にコーヒー淹れちゃうから、お味噌汁お願いして良い?」
「おう、任せとけ」
「アニメって、そんなに面白いんですか?」
「うん! すっごいリアル戦闘機がいっぱい出てくるの! 乗ってみたいな~」
 沸かしたお湯でコーヒーを淹れながら、思い出しているのだろう、すっぴんの頬が赤くなっていく。初音の肌はツヤツヤしている。
 七海の肌は、どちらかというとなめらかな感じだ。男特有のゴツゴツさがまだない。
 紫藤の肌は艶やか、と思う。成人している男の肌とは思えないほどだ。清次郎の健康的に焼けた少し硬い肌が、俺が憧れる男の肌だ。
 結局、外に出れるようになったと思ったら、また一ヵ月の間、室内に閉じこもりきりの生活になっている。もう一人の悪鬼を無事に封印できたら、今度こそ、小麦色の肌を目指して外へ行こう。
「達也君、ネギ、これくらいで良いかな?」
「いいんじゃね? 今日は豆腐と油揚げな」
 豆腐をサッと切り、油揚げも切ってしまうと鍋に入れた。出汁は市販の物を使う。家では清次郎が鰹節から取っていたけれど、俺はそこまではできないから。
 簡単便利な出汁の素を使わせてもらう。
 夜勤組にコーヒーを出していた初音のもとへ、一番最後に現れたのは克二だった。
「初音ちゃん、僕も良い? まだちょっと眠たくて」
 欠伸をしている克二は、寝癖が付いたままだった。克二もアニメを見ていたのだろうか?
 思った俺の声が聞こえたのか、聞こえなかったのか、一希に頭を小突かれながら目を擦っている。
「昨日、紫藤さん達の所まで飛んでたから、体がだるくてさ。濃いめでお願いね」
「オッケー。でも、先に顔を洗ってね」
「あ、ばれちゃった? さすがだな~」
 そう言いながらのろのろと台所へ来ている。ここで洗うようだ。
「蘭兄たち、どんな感じだった?」
「順調みたいだよ。君達のこと気にしてた」
 あふっと欠伸をした克二は、縁無眼鏡を外し、台所で顔を洗っている。七海が新しいタオルを棚から出したのを受け取っている。
「君ほど霊力は高くないけど、筋が良いって。これなら一ヵ月で帰れるって言ってたよ」
「そっか」
 なら、あと二週間くらいで剣のエロ攻撃から解放されそうだ。毎日毎日、飽きもせずにからかいにくるのでうんざりだ。
 顔を洗い終えた克二も交えて、引継ぎが行われている間に、俺と七海は皆の分のご飯をよそい、できたばかりの味噌汁を椀に入れていく。
 初音が卵焼きを作るため、卵を割るのを一緒に手伝った。
「良いお嫁さんになれるわね、二人とも」
「師匠が良いからな」
「清兄さんの和食、本当に美味しいんです!」
「今度教えてもらおうかな~。あ、先に食べていて良いわよ」
 軽快な手さばきで卵を掻き混ぜた初音は、鼻歌を歌いながら卵焼きを焼き始める。俺と七海はお言葉に甘えて席に着くと、皆と一緒に温かいご飯をほおばった。
 チラリと一希を見る。大きな一口でご飯をほおばる姿に、清次郎とどっちがより多くご飯を詰め込んでいるのか気になる俺だった。


***


 剣と一希、心路が眠っている間、俺と七海は特別機関の執務室で勉強していた。参考書と問題集はたっぷり持ち込んでいる。
 全教科、一日に進めるノルマが決まっているので、最低でもそこまで。余裕があれば前に間違った問題の復習をしておきなさい、という清次郎の言いつけを守っている。
 とはいえ、教えてくれる人が居ないと、俺も七海も進むことができないわけで。
「ごめん、克二さん、今、大丈夫?」
「ん? あ、ちょっと待ってくれる? ここまで処理しちゃうから」
「あ、空いたらで良いぜ。別のやっとく」
 分からなかった数学の問題をいったん、置いておいて。国語の問題集を広げた。漢字の問題なら、とにかく暗記と根性で進めることができる。
 テーブルを挟んで向かいに座っている七海の様子を窺えば、英単語を暗記しているのか、ブツブツ、ブツブツ、発音を繰り返している。
 小さな赤い唇が、ん、と一文字に結ばれたかと思うと、あ、と小さな声を出して単語を発している。合っていたのだろう、微笑むように笑っている。

 くそっ……! 可愛い……!

 向かい合わせでの勉強だと、どうしても七海の顔を見てしまう。問題に集中しなければと、苦手な数学を解いてみるけれど、分からなくて躓くと、無意識に七海を見ていた。
 今日のノルマはまだ済んでいない。フルフル、首を振って邪念を飛ばしていた俺に、ふと、七海が顔を上げている。
 目が合った。
 照れたように笑った七海に、俺も自然と笑った。
 直後、視線を感じて横を向けば、執務室にある大きなモニターを見ていたはずの政宗がニヤニヤ笑っていて。
 唇の動きだけで、「せいしゅん」と言っている。
 俺も声には出さず、「うるせー」と唇の動きだけで返す。
「達也君?」
「ああ、気にすんな」
 政宗といい、剣といい、特別機関の隊長は俺をからかうのが好きらしい。いちいち焦っていたら身がもたない。
 七海に勉強の続きを促しつつ、俺も漢字の熟語をひたすら書いて覚えていく。日本人として生まれた以上、人並みに漢字を読めなければ。
 この先、紫藤達のもとを離れてどこかで働くにしても、日本語は必須だろう。
「ごめんごめん。どの問題?」
 一段落した克二が俺の隣に座っている。避けていた問題集を手に取った克二は、ああ、と笑った。
「この公式はもうやってる?」
「……やったような、やらなかったような」
「うろ覚えなら、もう一度最初から覚えようね。公式を使えば効率よく解けるはずだから」
 克二は参考書を手に取ると、俺が悩んでいた問題に使う公式のページを広げている。
「公式だけを覚えていても、どこで使って良いか分からないでしょう?」
「おう、さっぱりだ」
「どういった時に、どの公式を使えば早いのか、そこまで一緒に覚えないと」
 克二は参考書の重要な所に黄色いマーカーを引くと、備考欄として参考書の端っこに書かれている文章にもマーカーを引いた。
「意外にここ、重要だよ。ついでに覚えてね」
「ここもだな。オッケー」
「あ、それ、僕も引っかかっています」
「そう? じゃ、七海君はこっちに座って。まとめて教えるから」
 そう言って克二は立ち上がると、七海が座っていた向かいのソファーに移動し、七海を俺の隣に座らせた。
 俺と七海は揃って顔を突き出すと、克二の説明に耳を傾ける。公式の使い方と、似たような問題で、違う公式を使う場合の、見極め方まで教えてくれる。
 克二は数学が得意だった。数字を紐解いていくのが楽しい、とまで言う人だ。
 仕事中に教えてもらうのは、と遠慮していた俺と七海に、むしろ教えたくて仕方がない、という感じで割って入ってきた人だ。
 もちろん、警報が鳴っていなくて、仕事に支障がない時だけ、という条件付きだけれど。
「どう? 解けてくると楽しいでしょう?」
「楽しいかどうかはわかんねぇけど、解けるとスッキリはするな」
「でしょ? どんどん聞いてね」
 聞きたかった問題は解決したので、克二は元の持ち場に戻っていく。
 隣に移動していた七海はそのままで。
 戻る気配もなく、そのまま次の数学の問題を解き始めている。

 やばい……顔が赤くなる…!

 妙に意識してしまった。腕が少し当たっただけでドキドキしてしまう。
 家で勉強する時は清次郎が間に挟まっているし、勉強机なので少しは距離があったけれど。今は書くたびに腕が当たってしまう。
 ペンシルを握る手に力がこもる。また、掠めるように当たった七海の腕に、絡まる視線を感じて顔を上げたら。
 政宗が自分の顔を手で仰いでみせた。

 熱い、熱い。

 そう、言ったような気がして。
「う、うっせー!」
「達也君?」
 思わず声を出して返した俺に、七海も顔を上げている。
「どうしたの?」
「……な、何でもねぇよ」
 政宗の視線を振り切るように問題集に立ち向かった。俺の頬をじっと見ていた七海は、小首を傾げながらも同じように問題集に視線を戻している。
 その間も、政宗の視線は絡んできたけれど。無視して問題に集中した。

 無心だ、無心!!

 難しい問題をやろう。参考書に手を伸ばした時、ちょうど七海も手を伸ばしていて。
 俺より小さな七海の手を、握り締めてしまった。
「……わりっ!!」
「達也君も使う? あ、同じ問題だね」
 にこりと笑った七海は、俺との間に参考書を開き、お尻をちょっとずらして寄ってくる。
 腕は完全に当たってしまって。
 サラサラ、七海の黒髪が揺れていて。
 ここだよと、問題を解くための公式を指さしながら、俺の膝をポンッと打ってくる。
 思わず立ち上がってしまった時には遅かった。
「……ぶはっ!!」
 とうとう我慢できずに吹き出した政宗は、自分のデスクに突っ伏した。
 その広い背中はヒクヒク揺れていた。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...