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第一幕
奇ノ五十九『特別機関の日常』
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何故だろう。
許すとか、許さないとか、考えられない。
襲われた時は怖かったし、腹が立ったし、七海に「お座り」と命じてもらっているうちに股間を踏み潰してやろうとも考えたけれど。
あの人は。
あの時は。
心の底から泣いている気がして。
俺にすがり寄っている気がして。
その姿はまるで小さな子供のようで。
震えていた背中を、抱きしめてやりたいとさえ、思っていた。
のだが……。
「達也君、相変わらず良いお尻をしていますね。七海君に抱き付いて眠るなんて、はしたない」
「……はしたないのはあんただろうが! この覗き魔やろう!」
毎朝、毎朝、俺がどんな寝相だったか、七海と手を繋いで眠っていたとか、カメラで見ていたことを話してくる剣に腹がたっていた。
俺が寝ている間に悪鬼が出てきてはいけないから、というもっともらしい理由を付けて寝ている姿を見ているなんて。一希が何度も済まない、と言ってくるのでカメラを壊すことだけは我慢しているけれど。
「心路! あんたが止めてくれねぇとうぜぇぞ!」
剣と一緒に起きているはずなのに、どうして止めないのか。コンピューターに囲まれている心路を指させば、ふんっとそっぽを向かれてしまう。
剣が俺にちょっかいを出していても良いのだろうか?
心路に詰め寄ろうとした俺の腕を剣が握る。引っ張られた体が彼の胸に収まった。
「夜勤明けで少々体が火照っていましてね。どうです? 今から……」
「ふ、ふざけんじゃねぇ!! 朝っぱらから盛ってんじゃねぇぞ!」
「うふふ……怒っている唇も、可愛いですね~」
顔が近づいてくる。押し戻そうとした俺よりも先に、耳鳴りが響いた。
≪ハナレテ≫
七海の言霊に、剣の手が弾かれる。けれど両手を上げた剣は、しなやかな動作で自分の顎を摘まんだ。
「そんなお子様な力で私が止まるとでも? 甘くみられたものですね~」
怪しげな笑みを浮かべながら、弾かれたばかりの手を俺の股間に伸ばしてくる。咄嗟にその手を掴んだら、もう片方の手で背中を捕まえられていた。
さわりと、お尻を撫でられてしまう。
「大人の色香に屈しなさい。ね?」
「…………!」
「こ、この! 変な触り方すんじゃ……!」
≪……ハナレテ!≫
今度は強い耳鳴りがした。俺のお尻を触っていた剣の手が弾かれ、その勢いで体ごと離れていく。よろめいた彼を遅れて執務室に入ってきた一希が受け止めた。
俺の前に、両手を広げて七海が立ち塞がる。
「達也君に触らないで下さい!」
「おや、怖い怖い」
肩をすくめ、何かに叩かれたかのように真っ赤になった手を見つめている。少し腫れていた。
その様子を見ていた心路がコンピューターの間からやっと出てきた。俺と七海を一睨みすると剣の手を握っている。引き離すようにぐいぐい引っ張っていくと無言で剣の胸に抱き付いた。
「心路、朝の引継ぎは終わりましたか?」
「……まだ」
「では、早く済ませて下さい」
赤い手のまま心路の頭を撫でた剣は、宥めるようにおでこにキスをしている。それでも心路は抱き付いた手を解かなかった。
「七海、もう大丈夫だって」
「……うん」
「ごめんな。エロじじいのせいでまた言霊使わせちまってさ」
両手を下した七海が、緊張で張っていた肩を緩ませた。俺を振り返ると首を横へ振っている。
「ううん。達也君の方が大事だもの」
「つか、エロじじい! 蘭兄と清兄が居ないからってめっちゃ手、出してきやがって!」
「うふ。チャンスは逃すものではありませんからね。油断したら……ね?」
怪しげな笑みを浮かべながら、自分の唇に人差し指と中指を当てた剣は、投げキッスを送ってくる。見えない唇が飛んできたような気がして、ペッと右手で叩き落してみせた。
「すまないな、達也君、七海君」
いつの間に来ていたのか、政宗が煙草を銜えたまま立っていた。火が付けられていない煙草をそのままに笑っている。
隣に立っていた一希の肩をポンッと叩くと、無言で視線を交わしあった。
「遅いですよ、政宗さん」
「隠居していた身なんだ、ゆっくりさせてくれ」
「引き継ぎしなければ、心路と休めませんからね~。あなたが望むなら、今から三人、ベッドでゆっくりと……ね?」
「遠慮しておくよ。……無理はするなよ?」
剣に声をかけた政宗は、執務室の奥にある台所まで歩いていく。一応、室内は禁煙になっているためか、換気扇ののスイッチを入れてから煙草に火をつけた。白い煙が換気扇に緩やかに吸い込まれていく。
「いっそ禁煙したらどうですか?」
車椅子を転がしながら葵が笑っている。微笑み返した政宗は、大きく煙を吸い込んだ。
「そうしたいのはやまやまだがな、考える時は一本、吸いたくなる」
ふーっと吐き出した白い煙を見つめた政宗は、おもむろに七海の方を振り返っている。
「言霊は遠慮なく使って良い。俺たちは誰も気にしないからな」
「……でも」
「剣の手は俺でも防ぎ辛いからな。君の言霊で達也君を守ってあげてくれ」
「……はい!」
頷いた七海が思わずだろう、俺の手をギュッと握った。俺を見上げている黒い瞳に、清次郎の意志の強さに似たものを感じた。
「ごめんなさい! ちょっと寝坊しちゃった!」
執務室に駆け込んできたのは初音だった。後ろ髪に少し寝癖を残している。普段、薄化粧をしているのに、今日はそれもする時間が無かったのか、すっぴんだった。一希を見上げると自分の頬を触りながら照れている。
「お肌、荒れてます?」
「いや、いつもと変わらないと思う」
「よかった。夜更かししちゃって」
ヘアゴムを取り出すと、はねている後ろ髪を軽く縛っている。台所まで小走りになった初音に剣がクスクス笑っている。
「初音さん、また見ていたんですか?」
「はい! もう、最後が気になっちゃって!」
「好きですね、アニメ。今のあなたの流行は何ですか?」
「戦闘物です! 隊長も見ますか? イケメンも出てきますよ」
エプロンを取り出し、腰に巻いている初音に笑った剣は、心路の背を押し葵の方へ行かせるとソファーに座っている。
「2Dに興味はありませんから」
「あ、コーヒーが良いですか? お茶にしますか?」
「コーヒーで。心路には甘いのを」
「はい! 隊長にも、甘いのを淹れますね」
「私は……」
「甘いのがオススメです」
にこりと笑う初音に、剣は苦笑しながら目を閉じた。その前に、煙草を吸い終えた政宗が座っている。
そのまま大人二人は引き継ぎに入る。心路も葵とデータの引継ぎに入った。
時刻は午前七時三十分。俺と七海も初音の手伝いをするため台所に立つ。
「先にコーヒー淹れちゃうから、お味噌汁お願いして良い?」
「おう、任せとけ」
「アニメって、そんなに面白いんですか?」
「うん! すっごいリアル戦闘機がいっぱい出てくるの! 乗ってみたいな~」
沸かしたお湯でコーヒーを淹れながら、思い出しているのだろう、すっぴんの頬が赤くなっていく。初音の肌はツヤツヤしている。
七海の肌は、どちらかというとなめらかな感じだ。男特有のゴツゴツさがまだない。
紫藤の肌は艶やか、と思う。成人している男の肌とは思えないほどだ。清次郎の健康的に焼けた少し硬い肌が、俺が憧れる男の肌だ。
結局、外に出れるようになったと思ったら、また一ヵ月の間、室内に閉じこもりきりの生活になっている。もう一人の悪鬼を無事に封印できたら、今度こそ、小麦色の肌を目指して外へ行こう。
「達也君、ネギ、これくらいで良いかな?」
「いいんじゃね? 今日は豆腐と油揚げな」
豆腐をサッと切り、油揚げも切ってしまうと鍋に入れた。出汁は市販の物を使う。家では清次郎が鰹節から取っていたけれど、俺はそこまではできないから。
簡単便利な出汁の素を使わせてもらう。
夜勤組にコーヒーを出していた初音のもとへ、一番最後に現れたのは克二だった。
「初音ちゃん、僕も良い? まだちょっと眠たくて」
欠伸をしている克二は、寝癖が付いたままだった。克二もアニメを見ていたのだろうか?
思った俺の声が聞こえたのか、聞こえなかったのか、一希に頭を小突かれながら目を擦っている。
「昨日、紫藤さん達の所まで飛んでたから、体がだるくてさ。濃いめでお願いね」
「オッケー。でも、先に顔を洗ってね」
「あ、ばれちゃった? さすがだな~」
そう言いながらのろのろと台所へ来ている。ここで洗うようだ。
「蘭兄たち、どんな感じだった?」
「順調みたいだよ。君達のこと気にしてた」
あふっと欠伸をした克二は、縁無眼鏡を外し、台所で顔を洗っている。七海が新しいタオルを棚から出したのを受け取っている。
「君ほど霊力は高くないけど、筋が良いって。これなら一ヵ月で帰れるって言ってたよ」
「そっか」
なら、あと二週間くらいで剣のエロ攻撃から解放されそうだ。毎日毎日、飽きもせずにからかいにくるのでうんざりだ。
顔を洗い終えた克二も交えて、引継ぎが行われている間に、俺と七海は皆の分のご飯をよそい、できたばかりの味噌汁を椀に入れていく。
初音が卵焼きを作るため、卵を割るのを一緒に手伝った。
「良いお嫁さんになれるわね、二人とも」
「師匠が良いからな」
「清兄さんの和食、本当に美味しいんです!」
「今度教えてもらおうかな~。あ、先に食べていて良いわよ」
軽快な手さばきで卵を掻き混ぜた初音は、鼻歌を歌いながら卵焼きを焼き始める。俺と七海はお言葉に甘えて席に着くと、皆と一緒に温かいご飯をほおばった。
チラリと一希を見る。大きな一口でご飯をほおばる姿に、清次郎とどっちがより多くご飯を詰め込んでいるのか気になる俺だった。
***
剣と一希、心路が眠っている間、俺と七海は特別機関の執務室で勉強していた。参考書と問題集はたっぷり持ち込んでいる。
全教科、一日に進めるノルマが決まっているので、最低でもそこまで。余裕があれば前に間違った問題の復習をしておきなさい、という清次郎の言いつけを守っている。
とはいえ、教えてくれる人が居ないと、俺も七海も進むことができないわけで。
「ごめん、克二さん、今、大丈夫?」
「ん? あ、ちょっと待ってくれる? ここまで処理しちゃうから」
「あ、空いたらで良いぜ。別のやっとく」
分からなかった数学の問題をいったん、置いておいて。国語の問題集を広げた。漢字の問題なら、とにかく暗記と根性で進めることができる。
テーブルを挟んで向かいに座っている七海の様子を窺えば、英単語を暗記しているのか、ブツブツ、ブツブツ、発音を繰り返している。
小さな赤い唇が、ん、と一文字に結ばれたかと思うと、あ、と小さな声を出して単語を発している。合っていたのだろう、微笑むように笑っている。
くそっ……! 可愛い……!
向かい合わせでの勉強だと、どうしても七海の顔を見てしまう。問題に集中しなければと、苦手な数学を解いてみるけれど、分からなくて躓くと、無意識に七海を見ていた。
今日のノルマはまだ済んでいない。フルフル、首を振って邪念を飛ばしていた俺に、ふと、七海が顔を上げている。
目が合った。
照れたように笑った七海に、俺も自然と笑った。
直後、視線を感じて横を向けば、執務室にある大きなモニターを見ていたはずの政宗がニヤニヤ笑っていて。
唇の動きだけで、「せいしゅん」と言っている。
俺も声には出さず、「うるせー」と唇の動きだけで返す。
「達也君?」
「ああ、気にすんな」
政宗といい、剣といい、特別機関の隊長は俺をからかうのが好きらしい。いちいち焦っていたら身がもたない。
七海に勉強の続きを促しつつ、俺も漢字の熟語をひたすら書いて覚えていく。日本人として生まれた以上、人並みに漢字を読めなければ。
この先、紫藤達のもとを離れてどこかで働くにしても、日本語は必須だろう。
「ごめんごめん。どの問題?」
一段落した克二が俺の隣に座っている。避けていた問題集を手に取った克二は、ああ、と笑った。
「この公式はもうやってる?」
「……やったような、やらなかったような」
「うろ覚えなら、もう一度最初から覚えようね。公式を使えば効率よく解けるはずだから」
克二は参考書を手に取ると、俺が悩んでいた問題に使う公式のページを広げている。
「公式だけを覚えていても、どこで使って良いか分からないでしょう?」
「おう、さっぱりだ」
「どういった時に、どの公式を使えば早いのか、そこまで一緒に覚えないと」
克二は参考書の重要な所に黄色いマーカーを引くと、備考欄として参考書の端っこに書かれている文章にもマーカーを引いた。
「意外にここ、重要だよ。ついでに覚えてね」
「ここもだな。オッケー」
「あ、それ、僕も引っかかっています」
「そう? じゃ、七海君はこっちに座って。まとめて教えるから」
そう言って克二は立ち上がると、七海が座っていた向かいのソファーに移動し、七海を俺の隣に座らせた。
俺と七海は揃って顔を突き出すと、克二の説明に耳を傾ける。公式の使い方と、似たような問題で、違う公式を使う場合の、見極め方まで教えてくれる。
克二は数学が得意だった。数字を紐解いていくのが楽しい、とまで言う人だ。
仕事中に教えてもらうのは、と遠慮していた俺と七海に、むしろ教えたくて仕方がない、という感じで割って入ってきた人だ。
もちろん、警報が鳴っていなくて、仕事に支障がない時だけ、という条件付きだけれど。
「どう? 解けてくると楽しいでしょう?」
「楽しいかどうかはわかんねぇけど、解けるとスッキリはするな」
「でしょ? どんどん聞いてね」
聞きたかった問題は解決したので、克二は元の持ち場に戻っていく。
隣に移動していた七海はそのままで。
戻る気配もなく、そのまま次の数学の問題を解き始めている。
やばい……顔が赤くなる…!
妙に意識してしまった。腕が少し当たっただけでドキドキしてしまう。
家で勉強する時は清次郎が間に挟まっているし、勉強机なので少しは距離があったけれど。今は書くたびに腕が当たってしまう。
ペンシルを握る手に力がこもる。また、掠めるように当たった七海の腕に、絡まる視線を感じて顔を上げたら。
政宗が自分の顔を手で仰いでみせた。
熱い、熱い。
そう、言ったような気がして。
「う、うっせー!」
「達也君?」
思わず声を出して返した俺に、七海も顔を上げている。
「どうしたの?」
「……な、何でもねぇよ」
政宗の視線を振り切るように問題集に立ち向かった。俺の頬をじっと見ていた七海は、小首を傾げながらも同じように問題集に視線を戻している。
その間も、政宗の視線は絡んできたけれど。無視して問題に集中した。
無心だ、無心!!
難しい問題をやろう。参考書に手を伸ばした時、ちょうど七海も手を伸ばしていて。
俺より小さな七海の手を、握り締めてしまった。
「……わりっ!!」
「達也君も使う? あ、同じ問題だね」
にこりと笑った七海は、俺との間に参考書を開き、お尻をちょっとずらして寄ってくる。
腕は完全に当たってしまって。
サラサラ、七海の黒髪が揺れていて。
ここだよと、問題を解くための公式を指さしながら、俺の膝をポンッと打ってくる。
思わず立ち上がってしまった時には遅かった。
「……ぶはっ!!」
とうとう我慢できずに吹き出した政宗は、自分のデスクに突っ伏した。
その広い背中はヒクヒク揺れていた。
許すとか、許さないとか、考えられない。
襲われた時は怖かったし、腹が立ったし、七海に「お座り」と命じてもらっているうちに股間を踏み潰してやろうとも考えたけれど。
あの人は。
あの時は。
心の底から泣いている気がして。
俺にすがり寄っている気がして。
その姿はまるで小さな子供のようで。
震えていた背中を、抱きしめてやりたいとさえ、思っていた。
のだが……。
「達也君、相変わらず良いお尻をしていますね。七海君に抱き付いて眠るなんて、はしたない」
「……はしたないのはあんただろうが! この覗き魔やろう!」
毎朝、毎朝、俺がどんな寝相だったか、七海と手を繋いで眠っていたとか、カメラで見ていたことを話してくる剣に腹がたっていた。
俺が寝ている間に悪鬼が出てきてはいけないから、というもっともらしい理由を付けて寝ている姿を見ているなんて。一希が何度も済まない、と言ってくるのでカメラを壊すことだけは我慢しているけれど。
「心路! あんたが止めてくれねぇとうぜぇぞ!」
剣と一緒に起きているはずなのに、どうして止めないのか。コンピューターに囲まれている心路を指させば、ふんっとそっぽを向かれてしまう。
剣が俺にちょっかいを出していても良いのだろうか?
心路に詰め寄ろうとした俺の腕を剣が握る。引っ張られた体が彼の胸に収まった。
「夜勤明けで少々体が火照っていましてね。どうです? 今から……」
「ふ、ふざけんじゃねぇ!! 朝っぱらから盛ってんじゃねぇぞ!」
「うふふ……怒っている唇も、可愛いですね~」
顔が近づいてくる。押し戻そうとした俺よりも先に、耳鳴りが響いた。
≪ハナレテ≫
七海の言霊に、剣の手が弾かれる。けれど両手を上げた剣は、しなやかな動作で自分の顎を摘まんだ。
「そんなお子様な力で私が止まるとでも? 甘くみられたものですね~」
怪しげな笑みを浮かべながら、弾かれたばかりの手を俺の股間に伸ばしてくる。咄嗟にその手を掴んだら、もう片方の手で背中を捕まえられていた。
さわりと、お尻を撫でられてしまう。
「大人の色香に屈しなさい。ね?」
「…………!」
「こ、この! 変な触り方すんじゃ……!」
≪……ハナレテ!≫
今度は強い耳鳴りがした。俺のお尻を触っていた剣の手が弾かれ、その勢いで体ごと離れていく。よろめいた彼を遅れて執務室に入ってきた一希が受け止めた。
俺の前に、両手を広げて七海が立ち塞がる。
「達也君に触らないで下さい!」
「おや、怖い怖い」
肩をすくめ、何かに叩かれたかのように真っ赤になった手を見つめている。少し腫れていた。
その様子を見ていた心路がコンピューターの間からやっと出てきた。俺と七海を一睨みすると剣の手を握っている。引き離すようにぐいぐい引っ張っていくと無言で剣の胸に抱き付いた。
「心路、朝の引継ぎは終わりましたか?」
「……まだ」
「では、早く済ませて下さい」
赤い手のまま心路の頭を撫でた剣は、宥めるようにおでこにキスをしている。それでも心路は抱き付いた手を解かなかった。
「七海、もう大丈夫だって」
「……うん」
「ごめんな。エロじじいのせいでまた言霊使わせちまってさ」
両手を下した七海が、緊張で張っていた肩を緩ませた。俺を振り返ると首を横へ振っている。
「ううん。達也君の方が大事だもの」
「つか、エロじじい! 蘭兄と清兄が居ないからってめっちゃ手、出してきやがって!」
「うふ。チャンスは逃すものではありませんからね。油断したら……ね?」
怪しげな笑みを浮かべながら、自分の唇に人差し指と中指を当てた剣は、投げキッスを送ってくる。見えない唇が飛んできたような気がして、ペッと右手で叩き落してみせた。
「すまないな、達也君、七海君」
いつの間に来ていたのか、政宗が煙草を銜えたまま立っていた。火が付けられていない煙草をそのままに笑っている。
隣に立っていた一希の肩をポンッと叩くと、無言で視線を交わしあった。
「遅いですよ、政宗さん」
「隠居していた身なんだ、ゆっくりさせてくれ」
「引き継ぎしなければ、心路と休めませんからね~。あなたが望むなら、今から三人、ベッドでゆっくりと……ね?」
「遠慮しておくよ。……無理はするなよ?」
剣に声をかけた政宗は、執務室の奥にある台所まで歩いていく。一応、室内は禁煙になっているためか、換気扇ののスイッチを入れてから煙草に火をつけた。白い煙が換気扇に緩やかに吸い込まれていく。
「いっそ禁煙したらどうですか?」
車椅子を転がしながら葵が笑っている。微笑み返した政宗は、大きく煙を吸い込んだ。
「そうしたいのはやまやまだがな、考える時は一本、吸いたくなる」
ふーっと吐き出した白い煙を見つめた政宗は、おもむろに七海の方を振り返っている。
「言霊は遠慮なく使って良い。俺たちは誰も気にしないからな」
「……でも」
「剣の手は俺でも防ぎ辛いからな。君の言霊で達也君を守ってあげてくれ」
「……はい!」
頷いた七海が思わずだろう、俺の手をギュッと握った。俺を見上げている黒い瞳に、清次郎の意志の強さに似たものを感じた。
「ごめんなさい! ちょっと寝坊しちゃった!」
執務室に駆け込んできたのは初音だった。後ろ髪に少し寝癖を残している。普段、薄化粧をしているのに、今日はそれもする時間が無かったのか、すっぴんだった。一希を見上げると自分の頬を触りながら照れている。
「お肌、荒れてます?」
「いや、いつもと変わらないと思う」
「よかった。夜更かししちゃって」
ヘアゴムを取り出すと、はねている後ろ髪を軽く縛っている。台所まで小走りになった初音に剣がクスクス笑っている。
「初音さん、また見ていたんですか?」
「はい! もう、最後が気になっちゃって!」
「好きですね、アニメ。今のあなたの流行は何ですか?」
「戦闘物です! 隊長も見ますか? イケメンも出てきますよ」
エプロンを取り出し、腰に巻いている初音に笑った剣は、心路の背を押し葵の方へ行かせるとソファーに座っている。
「2Dに興味はありませんから」
「あ、コーヒーが良いですか? お茶にしますか?」
「コーヒーで。心路には甘いのを」
「はい! 隊長にも、甘いのを淹れますね」
「私は……」
「甘いのがオススメです」
にこりと笑う初音に、剣は苦笑しながら目を閉じた。その前に、煙草を吸い終えた政宗が座っている。
そのまま大人二人は引き継ぎに入る。心路も葵とデータの引継ぎに入った。
時刻は午前七時三十分。俺と七海も初音の手伝いをするため台所に立つ。
「先にコーヒー淹れちゃうから、お味噌汁お願いして良い?」
「おう、任せとけ」
「アニメって、そんなに面白いんですか?」
「うん! すっごいリアル戦闘機がいっぱい出てくるの! 乗ってみたいな~」
沸かしたお湯でコーヒーを淹れながら、思い出しているのだろう、すっぴんの頬が赤くなっていく。初音の肌はツヤツヤしている。
七海の肌は、どちらかというとなめらかな感じだ。男特有のゴツゴツさがまだない。
紫藤の肌は艶やか、と思う。成人している男の肌とは思えないほどだ。清次郎の健康的に焼けた少し硬い肌が、俺が憧れる男の肌だ。
結局、外に出れるようになったと思ったら、また一ヵ月の間、室内に閉じこもりきりの生活になっている。もう一人の悪鬼を無事に封印できたら、今度こそ、小麦色の肌を目指して外へ行こう。
「達也君、ネギ、これくらいで良いかな?」
「いいんじゃね? 今日は豆腐と油揚げな」
豆腐をサッと切り、油揚げも切ってしまうと鍋に入れた。出汁は市販の物を使う。家では清次郎が鰹節から取っていたけれど、俺はそこまではできないから。
簡単便利な出汁の素を使わせてもらう。
夜勤組にコーヒーを出していた初音のもとへ、一番最後に現れたのは克二だった。
「初音ちゃん、僕も良い? まだちょっと眠たくて」
欠伸をしている克二は、寝癖が付いたままだった。克二もアニメを見ていたのだろうか?
思った俺の声が聞こえたのか、聞こえなかったのか、一希に頭を小突かれながら目を擦っている。
「昨日、紫藤さん達の所まで飛んでたから、体がだるくてさ。濃いめでお願いね」
「オッケー。でも、先に顔を洗ってね」
「あ、ばれちゃった? さすがだな~」
そう言いながらのろのろと台所へ来ている。ここで洗うようだ。
「蘭兄たち、どんな感じだった?」
「順調みたいだよ。君達のこと気にしてた」
あふっと欠伸をした克二は、縁無眼鏡を外し、台所で顔を洗っている。七海が新しいタオルを棚から出したのを受け取っている。
「君ほど霊力は高くないけど、筋が良いって。これなら一ヵ月で帰れるって言ってたよ」
「そっか」
なら、あと二週間くらいで剣のエロ攻撃から解放されそうだ。毎日毎日、飽きもせずにからかいにくるのでうんざりだ。
顔を洗い終えた克二も交えて、引継ぎが行われている間に、俺と七海は皆の分のご飯をよそい、できたばかりの味噌汁を椀に入れていく。
初音が卵焼きを作るため、卵を割るのを一緒に手伝った。
「良いお嫁さんになれるわね、二人とも」
「師匠が良いからな」
「清兄さんの和食、本当に美味しいんです!」
「今度教えてもらおうかな~。あ、先に食べていて良いわよ」
軽快な手さばきで卵を掻き混ぜた初音は、鼻歌を歌いながら卵焼きを焼き始める。俺と七海はお言葉に甘えて席に着くと、皆と一緒に温かいご飯をほおばった。
チラリと一希を見る。大きな一口でご飯をほおばる姿に、清次郎とどっちがより多くご飯を詰め込んでいるのか気になる俺だった。
***
剣と一希、心路が眠っている間、俺と七海は特別機関の執務室で勉強していた。参考書と問題集はたっぷり持ち込んでいる。
全教科、一日に進めるノルマが決まっているので、最低でもそこまで。余裕があれば前に間違った問題の復習をしておきなさい、という清次郎の言いつけを守っている。
とはいえ、教えてくれる人が居ないと、俺も七海も進むことができないわけで。
「ごめん、克二さん、今、大丈夫?」
「ん? あ、ちょっと待ってくれる? ここまで処理しちゃうから」
「あ、空いたらで良いぜ。別のやっとく」
分からなかった数学の問題をいったん、置いておいて。国語の問題集を広げた。漢字の問題なら、とにかく暗記と根性で進めることができる。
テーブルを挟んで向かいに座っている七海の様子を窺えば、英単語を暗記しているのか、ブツブツ、ブツブツ、発音を繰り返している。
小さな赤い唇が、ん、と一文字に結ばれたかと思うと、あ、と小さな声を出して単語を発している。合っていたのだろう、微笑むように笑っている。
くそっ……! 可愛い……!
向かい合わせでの勉強だと、どうしても七海の顔を見てしまう。問題に集中しなければと、苦手な数学を解いてみるけれど、分からなくて躓くと、無意識に七海を見ていた。
今日のノルマはまだ済んでいない。フルフル、首を振って邪念を飛ばしていた俺に、ふと、七海が顔を上げている。
目が合った。
照れたように笑った七海に、俺も自然と笑った。
直後、視線を感じて横を向けば、執務室にある大きなモニターを見ていたはずの政宗がニヤニヤ笑っていて。
唇の動きだけで、「せいしゅん」と言っている。
俺も声には出さず、「うるせー」と唇の動きだけで返す。
「達也君?」
「ああ、気にすんな」
政宗といい、剣といい、特別機関の隊長は俺をからかうのが好きらしい。いちいち焦っていたら身がもたない。
七海に勉強の続きを促しつつ、俺も漢字の熟語をひたすら書いて覚えていく。日本人として生まれた以上、人並みに漢字を読めなければ。
この先、紫藤達のもとを離れてどこかで働くにしても、日本語は必須だろう。
「ごめんごめん。どの問題?」
一段落した克二が俺の隣に座っている。避けていた問題集を手に取った克二は、ああ、と笑った。
「この公式はもうやってる?」
「……やったような、やらなかったような」
「うろ覚えなら、もう一度最初から覚えようね。公式を使えば効率よく解けるはずだから」
克二は参考書を手に取ると、俺が悩んでいた問題に使う公式のページを広げている。
「公式だけを覚えていても、どこで使って良いか分からないでしょう?」
「おう、さっぱりだ」
「どういった時に、どの公式を使えば早いのか、そこまで一緒に覚えないと」
克二は参考書の重要な所に黄色いマーカーを引くと、備考欄として参考書の端っこに書かれている文章にもマーカーを引いた。
「意外にここ、重要だよ。ついでに覚えてね」
「ここもだな。オッケー」
「あ、それ、僕も引っかかっています」
「そう? じゃ、七海君はこっちに座って。まとめて教えるから」
そう言って克二は立ち上がると、七海が座っていた向かいのソファーに移動し、七海を俺の隣に座らせた。
俺と七海は揃って顔を突き出すと、克二の説明に耳を傾ける。公式の使い方と、似たような問題で、違う公式を使う場合の、見極め方まで教えてくれる。
克二は数学が得意だった。数字を紐解いていくのが楽しい、とまで言う人だ。
仕事中に教えてもらうのは、と遠慮していた俺と七海に、むしろ教えたくて仕方がない、という感じで割って入ってきた人だ。
もちろん、警報が鳴っていなくて、仕事に支障がない時だけ、という条件付きだけれど。
「どう? 解けてくると楽しいでしょう?」
「楽しいかどうかはわかんねぇけど、解けるとスッキリはするな」
「でしょ? どんどん聞いてね」
聞きたかった問題は解決したので、克二は元の持ち場に戻っていく。
隣に移動していた七海はそのままで。
戻る気配もなく、そのまま次の数学の問題を解き始めている。
やばい……顔が赤くなる…!
妙に意識してしまった。腕が少し当たっただけでドキドキしてしまう。
家で勉強する時は清次郎が間に挟まっているし、勉強机なので少しは距離があったけれど。今は書くたびに腕が当たってしまう。
ペンシルを握る手に力がこもる。また、掠めるように当たった七海の腕に、絡まる視線を感じて顔を上げたら。
政宗が自分の顔を手で仰いでみせた。
熱い、熱い。
そう、言ったような気がして。
「う、うっせー!」
「達也君?」
思わず声を出して返した俺に、七海も顔を上げている。
「どうしたの?」
「……な、何でもねぇよ」
政宗の視線を振り切るように問題集に立ち向かった。俺の頬をじっと見ていた七海は、小首を傾げながらも同じように問題集に視線を戻している。
その間も、政宗の視線は絡んできたけれど。無視して問題に集中した。
無心だ、無心!!
難しい問題をやろう。参考書に手を伸ばした時、ちょうど七海も手を伸ばしていて。
俺より小さな七海の手を、握り締めてしまった。
「……わりっ!!」
「達也君も使う? あ、同じ問題だね」
にこりと笑った七海は、俺との間に参考書を開き、お尻をちょっとずらして寄ってくる。
腕は完全に当たってしまって。
サラサラ、七海の黒髪が揺れていて。
ここだよと、問題を解くための公式を指さしながら、俺の膝をポンッと打ってくる。
思わず立ち上がってしまった時には遅かった。
「……ぶはっ!!」
とうとう我慢できずに吹き出した政宗は、自分のデスクに突っ伏した。
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