妖艶幽玄奇譚

樹々

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第一幕

奇ノ三十九『子供心』

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 焼きそばも、サービスで貰ったたこ焼きも、食べ終えた頃に清次郎がやってきた。先に荷物を車に運んだのだろう、身軽に歩いてくる。

 俺達、正確には紫藤を見つめていた女達が、一斉に清次郎を振り返った。まるで設定された映画のワンシーンのように、その動きは一致している。

 女達の視線を集めた清次郎の黒髪が、風に靡く。夏の暑さを忘れそうなほど爽やかだ。青い瞳を緩め、笑うと溜め息が幾つも聞こえてくる。

 テーブルに頬杖をつき、歩いてくる清次郎を見ながら呟いた。

「清兄って、男前だよな」

「当たり前ではないか。あれほど良い男はおらぬぞ」

 自慢げに胸を反らせる紫藤を横目に見ながら、もう、そこまできた清次郎をまじまじと見てしまう。

「まあ、そうだよな。顔良し、体格良し、性格良しってさ」

「うむ!」

「すげーな~」

 素直に感心していたら、清次郎が側に立っている。清次郎を褒めたからか、嬉しそうに笑っている紫藤と、頬杖をついて見上げている俺と、にこにこしている七海を順番に見た彼は、女達が喜びそうなとびきりの笑顔を見せている。

「なんぞ楽しい話でもしていたのですか?」

「お主が男前だと話しておったのだ!」

「俺がですか?」

「達也の見る目も上がったの」

 ポンッと叩かれ、頬杖をついていた腕を外した。

 俺の見る目は変わっていない。

 ただ、誰が見ても清次郎は良い男だろう、と思っただけだ。

「それはそうとさ。清兄の買い物は終わったのか?」

「ああ、頼む物は頼んできた。お待たせしました、紫藤様。他にお寄りになる所はありませぬか?」

 紫藤を振り返り、空いていた椅子に腰掛けている。集中的に浴びせられる女達の視線をものともせず、紫藤の指示を仰いでいる。

「うむ。焼きそばも食うたしの。後はお主だけぞ」

「俺は帰ってからでも……」

「清兄! 焼きそば食ってみてくれよ。美味いぜ?」

「お主ほどではないがの。なかなか美味であったぞ」

 清次郎以外を褒めると必ず割り込んでくる。苦笑した清次郎は、俺が指差す出店を振り返り、立ち上がっている。

「では、俺も食うとしましょう。ソフトクリームもあるようですが……」

「食うぞ!」

「俺も!」

「僕も!」

 三人一斉叫んでいた。吹き出した清次郎が、七海を手招きしている。

「手伝ってくれるか?」

「うん!」

 清次郎と、清次郎似の七海は、連れ立って焼きそばとアイスクリームを買いに行く。二人の後姿を見ながら、また頬杖をついた。

「なあ、蘭兄。兄弟みたいじゃね?」

「うむ。七海の将来が楽しみだの」

「ってことはさ。七海が二十歳くらいになってさ、ちょっと鍛えたら清兄みたいになるってことだろう? あんた、大丈夫なのか?」

「何がだ?」

 首を傾げた紫藤に、清次郎を見ている女達を指差した。

「すっげーもてるってことだろう? 焼餅やくのが二倍ってことじゃん」

「七海がもてるのは構わぬぞ。良いおなごが嫁いでくれたらそれで良い」

 何を言うんだ、と紫藤が鼻を鳴らしている。

 そんな彼に、俺はニヤリと笑ってやった。

「想像してみなって。七海が彼女連れてくるじゃん? 清兄に似た七海に、可愛い彼女がキスしたり、抱きついたりするんだぜ? 清兄そっくりの七海がやさし~く抱き締めたりするんだぜ?」

「清次郎に似た七海が……」

「そう。そんでさ、エッチもやっぱするじゃん? 清兄の手が彼女に……」

 最後はこっそり囁いた。

 フルフル、フルフル、紫藤の手が震え始める。そっと手を伸ばし、ガタンと立ち上がった紫藤の服を掴んだ。

 走り出そうとした体を引き止めてやる。

「せ、清次郎! ならぬ! ならぬぞ!」

「落ち着けって! 清兄似の七海の話じゃん?」

「それでも許せぬ!」

 鼻息荒く言い放った紫藤を何とか捕まえておいてやる。俺達の騒ぎに気付いた清次郎が振り返り、何事かと見つめている。

 焼きそばとソフトクリームを受け取った清次郎は、七海と共に足早に戻ってきた。

「どうなれたのです? 向こうまで声が……」

「清次郎……!」

 俺の手を振り切り、焼きそばとソフトクリームを持っていた清次郎に抱き付いている。両手が塞がっていた清次郎は、訳が分からず説明を求めるように俺を見るけれど。

「サンキュー」

 俺は七海からソフトクリームを受け取り、口に頬張った。夏の屋上は気温が高い。ぐずぐずしていたらすぐに溶けてしまう。

 とろりと溶けていくソフトクリームを舐めるのに忙しい。

「……何を話されておったのかは、後で聞くとしましょう。さ、どうぞ。溶けてしまいますよ?」

「……お主が男前なのが悪いのだ!」

 ギュッと抱き付きながらも、差し出されたソフトクリームが気になるのだろう。清次郎の手に垂れてきたのを舐めている。

「行儀がわるうございますぞ。さ、座って下され」

 キリッと眉を上げ、注意すると紫藤を椅子に座らせた。大人しく座り、清次郎からソフトクリームを受け取ると、溶けてしまったところを一所懸命に舐めている。

 それを確認した清次郎は、焼きそばと、なぜかたこ焼きも取り出した。青い目が俺を見てくる。

「あの娘さんは、お前の知り合いなのか?」

「知らねぇ。なんか一時間くらいのんびりしてってくれって、俺達もたこ焼き貰ったぜ?」

「遠慮したのだがな。どうしても言われてな」

 少し焼きそば屋を振り返った清次郎は、貰ったのだからと二つとも開けている。両手を合わせ、軽く頭を下げている。

「頂きます」

 割り箸を割り、焼きそばに突き刺すと、大きな一口を頬張った。七海が感心する中、すぐに焼きそばは無くなった。

「お前達も食べるか?」

「俺達は良いって。……つか、熱くねぇの?」

 できたての熱いたこ焼きを難なく口に放り込んだ清次郎は、頬を膨らませたまま首を傾げている。

 そうして、一つ、また一つとたこ焼きまで綺麗に完食した。その豪快な食べっぷりは、周りの女達の吐息を誘った。

 全て食べ終えた清次郎は、隣でソフトクリームを食べ終えた紫藤の口元をサッと拭っている。次に七海の口元も拭いた清次郎は、ティッシュで口を拭いた俺ににこりと笑っている。



 拭かれてたまるか。



 俺はそこまで子供じゃない。



 思った俺を見透かしたのだろう、片目を瞑って見せている。その仕草も、男前だった。

「さ、行きましょう」

 清次郎が来ると、場が引き締まる気がする。紫藤は大人は大人だけれど、中身が子供だからだろう。俺達三人の世話役・清次郎の号令で立ち上がる。

 玩具が入っていた袋を手にした清次郎は、紫藤が歩くのを待っている。

「では帰るとするか」

 紫藤が少し背伸びをし、下ろした手で俺と七海の手を握っている。少し引っ張られながら歩いた。

「今日だけですんげー焼けた気がするぜ」

「ずっと家の中だったもんね」

「帰ったらヒリヒリすっかな」

「清次郎がクリームを持っておるぞ。のう、清次郎?」

 後ろから来ているはずの清次郎を振り返った紫藤は、ふと、足を止めている。

「どうした? 何故、止まっておる?」

 紫藤が止まったから、俺と七海も足を止めた。振り返れば、清次郎の青い目が驚いたように開いていて。

 その視線の先を点々と辿った時、彼が驚いた理由を瞬時に理解した。顔が一気に熱くなる。

「……どわっ!!」

 握られていた紫藤の手を振り解く。後ろに手を庇いながら、意味もなく首を横へ振った。

「これ、達也。どうしたのだ?」

「いや……! な、なんだ……つか……これは……!」

「ほれ、行くぞ! 清次郎もしかと付いて来るのだぞ?」

 後ろに隠した俺の手をむんずと掴み、七海と一緒に連れて行こうとする。散歩を嫌がる犬のように、両足を踏ん張って抵抗してみたけれど。所詮、女みたいな顔をしていても体は大人の男である紫藤には負けてしまう。

 ずるずる引きずられ、恥ずかしさに顔を真っ赤にした俺の頭に、大きな手が乗った。

「……帰ろう。な?」

「……うっ」

 清次郎の声に恐る恐る顔を上げてみた。きっと笑っているだろう。

 七海が手を繋いでいるのは分かるけれど。俺みたいに金髪に染めている男が、手を引かれているなんて。

 泣けてくる。

 チラリと見上げた視線の先で、清次郎はやっぱり笑っていた。



 とても嬉しそうに。



 俺の頭をくしゃくしゃ撫でた清次郎は、先に立って歩き出した。

 手を繋がれている俺を見ないようにして、背中を見せてくれる。

「良い天気でほんにようございましたな」

「うむ。少々、暑いがの」

「季節が移り変わっている証拠です」

 清次郎は前を向いたまま話し、紫藤も俺と七海を連れて歩きながら笑っている。

 恥ずかしいけれど、どうしても手を外せなかった俺は、視線を定めることができなくてあちこち見て回る。

 焼きそば屋の女性に見られていないだろうかと心配になってチラリと見てみたけれど。交代したのか、違う女の人が熱心に清次郎と紫藤を見つめていた。

 良かった、たった数分の顔見知りでも、見られなくて。

 ホッとしながら歩く。

 太陽光線と、恥ずかしさに焼かれた俺の体は、じっとりと汗をかいていた。



***



 久しぶりに太陽の光を浴びた体は、想像どおり少しヒリヒリしている。風呂に入った時に染みたので、あまり擦らずに洗った。

 それでも嬉しい。体が焼けたのは、外に出られたからだ。敷いていた布団の上で、清次郎にもらった日焼けした肌に塗るクリームを丁寧に塗っていく。腕も足も、首筋も、ヒリヒリだ。

「これ、顔も塗って良いのかな」

「どうなんだろうね。僕、そういうのって塗ったことがなくて」

「俺も。当たり前に日焼けしてたからさ。ひっさしぶりだとこうなんだな」

 赤味を帯びた腕をしげしげと眺めた。デパートの屋上ではパラソルのおかげでそれほど焼けなかったけれど。家に帰ってからずっと庭に居たせいか、結構な焼け具合になっている。

 ほどほどにしておけと、紫藤に言われつつも、またいつ出られなくなるか分からないからとギリギリまで外に居た。呆れた紫藤は早々に家に入り、七海だけが付き合ってくれた。

 清次郎が用意してくれた丸いテーブルと、折りたたみ椅子に座って、真夏のじめじめした暑さを堪能した。

 長い夕日が沈み、満足して家に入ってすぐに気が付いた。肌が痛いことに。

 清次郎に冷やすよう言われ、しばらく氷で冷やしたおかげでずいぶん楽にはなったけれど、風呂に入ったせいでヒリヒリが復活していた。

「これからどんどん外に行きてぇのにな~」

「日焼け止めクリームを塗った方が良いんじゃない?」

「そうだな~。そうすっか。つか七海は平気だったのか?」

「うん。時々、清兄さんに付いて買い物に行ってたからかな。結構、大丈夫」

「今度から俺も付いて行くかんな!」

 鼻息荒く言えば笑っている。そうして紫藤に買ってもらった小さな玩具を手にした。毎週、七海が早起きして見ているヒーロー物の玩具だ。

 掌に乗せて、指先で撫でている。

「……嬉しかったんだ」

「……何が?」

 思わず、枕もとに置いていた、ミニバイクの玩具を見てしまう。紫藤が俺にと、買ってくれた玩具だ。

「言霊のせいで、ずっと家族から離れていたから。こうやって誰かに玩具を買ってもらうことって無かったから嬉しい」

「……ふ~ん」

 掌に乗せて遊ぶ七海を見ながら、視界に見えているミニバイクの玩具が気になった。

 俺はもう、子供じゃない。紫藤の家から自由に、一人で出られるようになったらすぐに働くつもりだし。

 玩具で遊ぶような歳ではない。

 別に欲しかった訳じゃない。

 紫藤が勝手に買っただけで。

 それだけで。

「……大事にしろよ?」

「うん。達也君もね」

「……おう」

 クリームが付いていない、手の甲でミニバイクの玩具を軽く小突いた。ミニバイクの玩具は少し揺れると倒れてしまう。

 慌てて手を拭くと元に戻した。倒れないよう置きなおす。

 小さな玩具は、枕元にちゃんと立ってくれた。



 初めてだった。



 誰かに玩具を買ってもらったのは。



 子供の頃、まだ家族と一緒に住んでいた時でさえ、買ってもらったことはない。一緒にデパートに行っても、俺はいつも後ろから付いていくだけだった。

 妹達が玩具をねだる姿を見ていた。母親が一つだけ、と言いながら籠に入れていた。

 今日こそは、俺にも聞いてくれるかもしれない。



 どれが良い?



 と。

 聞いてくれるのを待っていたけれど、一度も言ってはもらえなかった。

 まさか、あの紫藤に、言われるとは。


『達也はどれが良いのだ?』


 笑顔で聞いてくれた。

 諦めていた言葉を、紫藤が言ってくれた。

 七海ひいきの紫藤が、七海と同じように、俺にも聞いてくれたのが……。

「……ちっげーよ! 別に俺は……!」

「急にどうしたの?」

「な、何でもねぇ!」

 クリームをひねり出し、顔に塗りたくる。赤くなってしまったのは、焼けたからだ。

 決して恥ずかしい訳ではないし、嬉しかった訳でもない。

 血が上るのを誤魔化すように、両手で顔を隠しながら塗った。指の隙間から見える七海が、きょとんと目を丸めて首を傾げていた。

 顔を念入りに塗り、集まってしまった血が戻る頃、カチャリとドアが開く。ノック無しに入ってくるのは、この家の主、紫藤だけだ。清次郎なら一度、ノックが入る。

 フラリと紫藤が入ってくる。浴衣姿になり、長い白髪も丁寧に乾かされていた彼は、フラフラと歩いて行くと、清次郎と一緒に入る布団に力無く座っている。

 ぼうっと虚空を見つめ、白い肌を赤くしている。

「んだよ。どうしたんだよ、蘭兄。長風呂して逆上せたのか?」

 いつもより遅かったようだし、少しだけ心配して言えば、ほうっと溜め息をついている。

「何ぞ分からぬが……清次郎がこの上なく優しいのだ」

「清兄はいっつも優しいじゃん」

「うむ……そうなのだが……」

 ほうっと、また溜め息をついている。フラリとよろめくと、布団に倒れてしまった。潤んだ瞳が虚空を見つめ、布団をギュッと握っている。何度も何度も吐息をついている。

「……どうしたのかな、蘭兄さん」

「エッチのしすぎじゃね?」

「もう、達也君……!」

 顔を赤くした七海に背中を叩かれた時、ノックがした。清次郎が入ってくる。

「さ、寝ましょう」

「なあ、清兄。エッチいっぱいしたのか?」

「た、達也君……!」

「だってよ、蘭兄がおかしいじゃねぇか」

 吐息ばかりついて、もじもじしている。清次郎が入って来ると、いつもは早く隣に来いと言うのに、恥ずかしそうにタオルケットに潜っている。

 おかしい。非常におかしい。

 気になったけれど、清次郎はにこりと笑ってかわした。

「風呂に入っただけだ。さ、腹を冷やさぬようにな」

「うぃ~す」

「はい」

 除湿にされた室内は、外の熱気とは違い少し肌寒いくらいに設定されている。タオルケットを腹にかけ、寝転んだ俺と七海を確認した清次郎は、電気を豆電球にしている。

「お休みなさいませ、紫藤様」

「う……うむ!」

「お休み、達也、七海」

「「お休みなさい」」

 俺と七海が声を揃えると、満足そうに頷いている。自分もタオルケットを腹に乗せ、丸まって顔を隠していた紫藤を抱き寄せた。

 長い白髪をゆっくり撫でている。七海越しにこっそり見ていると、絶対に俺達の前では見せないキスを紫藤の唇にした。

「今日、ずっと機嫌良いよな?」

「うん」

「何かすっげー良い事があったのかな」

「たぶん、そうだと思うよ」

 七海とコソコソ話していても、今夜は早く寝なさい、と怒られることはなかった。

 珍しく恥ずかしがる紫藤と。

 見た事がないほど積極的な清次郎と。

 二人を観察していたけれど。久しぶりに歩き回ったせいか、早々に眠気がやってくる。

 くっついた瞼をそのままに、夢の世界に引っ張られる。七海と額を付き合わせたまま眠った。

 程よく疲れた体は、深い深い、心地よい眠りをくれた。

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