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第一幕
奇ノ六『衝突』
しおりを挟む腹から奇妙な音が鳴り続けていた。久しぶりにお腹いっぱい食べているせいか、もっとくれと要求が大きくなっている気がする。少し前までは、一日抜くくらい、当たり前だったのに。
壁に掛かっていた時計は午後の十時を回っている。隣のリビングはやけに静かだった。二人とも、もう寝ただろうか。おにぎりくらい作って、さっと戻れば分からないだろう。
ドアに張り付き、物音が聞こえないことを確認してから、そっと開けた。顔を覗かせた俺は、ぬっと出てきた人影に思わずドアを閉めようとしたけれど。一瞬早く、相手の方がドアに手を差し込み大きく開けた。
「そろそろ、限界かと思うてな」
にこりと、笑っているのは清次郎だった。部屋の奥へ逃げようとした俺の腕を掴んでくる。そのまま引っ張り出されてしまった。
「腹が減っただろう? 温め直した故、食ってくれ」
「べ、別に……!」
ぐぎょ~~。
否定した俺の腹から、凄い音が鳴った。清次郎がご飯をくれる人だと分かっているのだろう。俺は犬か、と自分のお腹に突っ込んだ。
「あはは! やせ我慢は体に悪いぞ!」
笑った清次郎に引っ張られた俺は、なんとか足を踏ん張ろうとした。
リビングのソファーには、紫藤が座っている。テレビを点けることもせず、じっと庭に続く大きな窓を見つめている。
「さ、座って待っていてくれ」
「……いらねぇ」
「達也。親御様からお前を預かっているのだ。そういう訳にはいかぬ」
肩を掴まれ、すっかり俺の定位置になったソファーに座らされた。紫藤がチラリと俺を見ると、ふんっ、と鼻を鳴らしている。俺もそっぽを向いて対抗した。
清次郎は一人キッチンに立っている。俺と紫藤の二人だけでは、あまりにも空気が重たかった。
重い空気に、大きな溜息が出てしまう。さっさと食って、部屋に戻ろう。
「……清次郎は」
紫藤から思い切り顔を背けていた俺に、小さな紫藤の声が掛けられる。清次郎は気付いていないのか、レンジのスイッチを入れていた。水音や機械音が重なれば、結構聞こえない。
それを知っているのだろうか、紫藤は俺を見つめ、まるで泣きそうな顔をしながら続けた。
「清次郎だけは……やれぬ。清次郎がおらねば、私は私ではいられなくなる。あ奴が居るからこそ、私は私を保っていられるのだ」
「……意味……わかんねぇし……」
別に、清次郎を取るつもりなどない。だいたい、俺は男だ。この人は何を心配しているのだろう。
キッチンからは水音が続いていた。レンジは終わったのか、清次郎が皿を取り出している。もうすぐここへ戻って来るだろう。紫藤も分かっているのか、くしゃりと顔を歪めた。
「清次郎だけは駄目だ……!」
どういう意味なのか、聞き返そうにも清次郎がこっちへ戻ってきた。温められたハンバーグが俺の前に置かれている。野菜サラダも付いていた。
「ご飯も温めるでな」
すぐにキッチンへ戻っている。ホカホカと湯気をたてるハンバーグを見つめながら、あんなにお腹が空いていたのに、音はいっさい、鳴らなくなった。
『清次郎だけは駄目だ』
紫藤の言葉が繰り返し頭の中で響いた。奥歯を噛み締めた俺の前に、温かいご飯も置かれている。
「さ、食ってくれ」
自分達にもお茶を淹れた清次郎。迷わず紫藤の隣に座っている。俺と、紫藤の、間に挟まった。
「…………いらねぇ」
手が震えた。
「達也? ……ハンバーグは嫌いだったか?」
身を乗り出そうとした清次郎から逃げるように立ち上がっていた。
「いらねぇよ!!」
叫びながらテーブルを叩きつけていた。激しい揺れに湯飲みが倒れている。熱いお茶が零れ、絨毯に染みを作った。
「達也……」
「うっせぇ!!」
追い掛けられる前に部屋へ飛び込んだ。内側から鍵を掛けてしまう。すぐにドアを叩く音がしたけれど、耳を手で塞いで目を閉じた。
「達也! どうしたんだ!」
清次郎の声が手をすり抜け聞こえてくる。もっと強く耳を塞いだ。
『清次郎だけは駄目だ』
だったら最初から俺をここへ連れてくるな!
ドアから一番離れた壁に身を寄せた俺は、音が聞こえなくなるまで耳を塞ぎ続けた。何度も、何度も、紫藤の言葉が頭の中を駆け巡っていた。
***
清次郎はずっと、ドアの前で俺を呼んでいた。
絶対に、外へは出なかった。
じっと蹲り続けた俺は、壁の時計を見上げた。午前一時になっていた。
清次郎の声も、外からの物音も、聞こえなくなっている。清次郎がドアから離れる時、リビングに夕飯を置いておくから、と言っていた。それが最後だった。
彼は紫藤のもとへ戻った。階段を上る音がしていたから、リビングには居ないはずだ。
ゆっくりと体を起こし、携帯と財布をつなぎのポケットに入れた。せっかく運び入れていた少ない家具は置いて行くしかない。しばらくは野宿が続くだろう。
音を立てずにドアを開け、リビングに出てみた。明かりは消されている。暗がりの中、ひたひたと歩いていた俺は、微かに聞こえた声にビクッと足を止めた。
「……ぁ……! せい……ろう!」
部屋が静かなせいか、小さな音でも響いてしまう。
口を引き結びながら階段に向かった。なるべく音を立てずに上がっていく。廊下を滑るように歩いた俺は、一番奥の、二人の寝室の前に立った。
「どう……なされたのです? その様に……寂しいお顔をされて……」
「……何でも……ない! もっと……もっと強く抱け……!」
「紫藤様……」
「ぅん……! 名を……名を呼んで……ぁあ!」
「蘭丸様……」
愛しそうに、紫藤の名前を呼んでいる。俺が寝ていると思っているからか、それとも俺の存在など忘れているのか。
廊下まで声が響いていた。なんとなく、二人はそうなのだろう、とは思っていた。恋人なら、当たり前なのだろう。
乾いた、音も出ない笑いが出てしまう。
勝手に、盛り上がっていれば良い。
ドアを強く蹴ってやった。中の音が一瞬、止んでいる。
反転すると勢い良く走った。階段を駆け下りていく。リビングを抜けて廊下に出た時、二階から清次郎の声が響いた。
「達也! 待ちなさい! 外に出るのは危険だ!!」
追い掛けてはこられないだろう。どうせ紫藤が止める。
俺がどうなろうと、もうあの人は気にしないはずだ。清次郎を取られるくらいなら、俺なんかどうなったって構わないだろう。
清次郎だって、紫藤が止めれば追ってはこない。
唇を噛み締めたまま、くたびれたスニーカーを履いた俺は、外の世界へ飛び出した。暗くて、少し肌寒い世界を走っていく。
知らない土地は、俺を冷たく突き放していた。
***
どこをどう走っていたのか、分からなかった。汗だくになった頃、足を緩めて歩き続ける。どこか一眠りできる場所を探そう。
明日から、日雇い労働を探して食い繋ごう。今更家に戻ることなんてできない。戻ったところで、冷たい目を向けられるのは分かっている。
今歩いている道が何所に繋がっているのか、さっぱり分からなかった。東京にしては、それほど込み入ってはいない場所。もっとビルばかりが立ち並んでいると思っていたのに、紫藤達が住んでいる場所は、都会から離れているようだ。
公園が無いだろうか。風を凌げる場所を探したい。
つなぎのチャックを下ろし、汗だくの体に風を通していた時だった。後ろから突然、眩しい光が当てられる。
「……そこで何をしている?」
光が顔に当てられ、眉をしかめてしまった。手で光を遮る俺に、近付いてくる。
「……やばっ!」
誰なのか、分かって反射的に走り出していた。相手もすぐに追ってくる。自転車に乗ったその人は、横へ並ぶと俺の腕を掴んでブレーキを掛けた。止まった自転車に、俺も強制的に止められた。
「逃げるってことは、疚しい事があるってことだぞ?」
「……ちょっと散歩してただけだよ!」
「だったら何で逃げる?」
「サツが話し掛けてくりゃ、逃げるさ……」
「普通にしていれば、逃げる必要はないはずだぞ?」
でかい警察官だった。清次郎と張る身長がある。俺の腕を掴んだまま自転車を降りた警察官は、むんずと頭に手を乗せてきた。
「家出か?」
「ちげーよ」
「……ま、とにかく署に来てもらおう」
「嫌だよ! うぜぇ!」
「じゃ、家まで送る。家はどこだい?」
「……ない」
「やっぱり家出か」
そう言った警察官は、手錠を出してきた。まさか、と思った瞬間、カシャン、と音を立てて俺の手に掛けてくる。
もう一方を自分の腕に掛けてしまった。
「ふ、ふざけんなよ! 外歩いてただけだろうが!」
「君が大人しく来てくれそうにないからさ。じゃ、行くよ」
警察帽の下から涼しい顔を覗かせて、自転車を押して歩き始めている。繋がった手が引っ張られた。
「いてーし!」
「そんなはずはないぞ。君みたいに言うこと聞いてくれない子を連れて行くためにさ、改良したんだ、これ。普通、内側にクッション付いてないんだぞ」
そう言えば、言うほど痛くはなかった。内側は分厚いクッションで保護されている。痛いと思ったのはイメージだった。
とはいえ、恥ずかしい。警察官と並んで歩いているのも、手錠で繋がれているのも恥ずかしい。
「恥ずかしいなら、早く歩いて署に行こうな!」
俺の心を読んだかのように、ニッと笑った警察官。そっぽを向いても、慣れているのか涼しい顔は崩れなかった。
繋がれたまま十分ほど歩いた俺は、静かな世界にぼんやりと光を浮かび上がらせているこじんまりとした交番に連れて行かれた。
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自転車を停め、中に入った警察官は帽子を脱いでいる。外から少し見えてしまうテーブルに引っ張って行かれた。
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「…………外せよ。うぜぇ」
「そ。念のために言っておくけど、逃げたら背負い投げるからな。強烈だぞ?」
「……うっせー」
少し乱れた黒髪を手で整えた警察官は、俺の言葉に笑っている。ようやく手錠を外してくれた。椅子に座れと言われ、仕方なく座った。逃げてもこの男、必ず捕まえるだろう。そんな気がした。
「さて。何であんな所に一人で居たんだ? 子供が出て良い時間じゃないな」
「……関係ねぇだろう?」
「親御さんに連絡するから。連作先、教えて。あ、先に名前な」
何か帳簿のような物を引っ張り出してきて、目の前に座っている。ボールペンを手に取った彼は、帽子でぺちゃんこになっていた黒髪を掻き揚げた。短いと思っていた髪は、少し長さを残している。
なかなか綺麗な顔立ちをしていた。まだ若そうだ。どことなく清次郎に似ている気がする。
「ほら、名前」
促され、渋々答えた。
「月影……達也」
「何歳だ?」
「十七……」
「で、何所に住んでる? 親御さんは一緒か?」
帳簿に走り書きを始めた彼は、少し伏し目がちだった。高い身長を窮屈そうに狭い椅子に収めている。長い足が邪魔そうだ。
「こら、だんまりすんなよ? 親御さんが居ないとしても、誰かとは一緒に住んでないのか? 本当に一人なのか?」
顔を上げた警察官に、俺は俯くしかなかった。
親は居る。でも遠く離れたし、今更連絡したって迎えに来るなんてことはない。
一緒に住むはずだった人は居た。紫藤と、清次郎。二人もきっと、勝手に飛び出した俺のことなんて、もうどうでも良いだろう。
俺には何所にも、帰る場所は無い。
何所にも。
「…………泣くなよ。聞き方が悪かったな。ごめんな?」
大きな手が、俺の頭に乗った。身を乗り出した警察官に頭を撫でられている。
溢れた涙が止まらなかった。
清次郎に頭を撫でてもらっているようで。
初めてだった。
あんな風に接してもらえたのは。弟のようだと、言ってくれた人は。
近い距離に、どうして良いか戸惑うくらい、慣れていなかった。照れてしまっただけだ。
人間は皆、俺の事を嫌っているから。避けていたから。
あんな風に、額を合わせたことは一度も無い。
親だって、俺を突き放したから。
ただ、恥ずかしかっただけなのに。
『清次郎だけは駄目だ』
紫藤の言葉は痛かった。清次郎と話してはいけないのだろうか?
だったら俺を家に入れないで欲しかった。中途半端に手を差し伸べて、邪魔になったら捨てるなんて。
俺は、邪魔なんだ。
「なあ、おい。どうしたんだ?」
警察官が回りこんできた。隣にしゃがんでいる。つなぎのズボンを握り締めている手にも、大きな手が乗った。
「どうした? 俺に話してみてくれないか? 何なら、親御さんと話してやるし。な?」
頭と、手を、ゆっくり撫でられた。ボタボタ流れる涙が彼の手に落ちていく。
「辛い事は溜め込むもんじゃないぞ?」
大きな手が、俺の頬に当てられた。溢れる涙を指が拭ってくれている。
こいつだって、上辺だけなんだ。
泣きながら睨みつけた。
職務だから、仕方がなく相手をしているだけ。俺が家に戻らなければ、迎えが来なければ帰れないから相手をしているだけだ。
騙されるな。
大人は皆、上辺だけで生きている。優しくするのは、気が向いた時だけだ。
「……親は……死んだ。俺は一人だ……!」
「……本当か?」
「誰もいねぇよ……!!」
握られていた手を払い除けた。つなぎの袖で涙を拭った俺の側で立ち上がっている。
「なら仕方がないな。今夜は俺の家に来い。もうすぐ交代だしさ」
何を言い出すのだろう? 少し残っていた涙も無理矢理拭いた俺の頭に手を乗せてくる。
「何にしても、こんな夜中に子供を一人帰す訳にはいかないからさ。兄貴が一緒だけど、警察官だから。心配すんな」
俺の頭をポンッと叩き、ニッと笑っている。跳ね飛んだ黒髪が愛嬌を誘っているけれど。人の良さそうな顔をしているけれど。
何を企んでいるのだろう?
警戒する俺の前で腕時計を確認している。
「後三十分もすりゃ、先輩が来るから。一緒に帰るか」
そう言って、外を見た警察官の顔が急に強張っている。一歩、後ずさった。さっきまで笑っていたのに、外を見る目が見開いていく。
「何だよ、どうしたんだよ?」
「嘘……だろう!? 何だよ、これ……!!」
「おい……おっさん……!」
「逃げろ!!」
警察官が俺の手を掴んで引き寄せた。ガタンッと椅子が倒れている。
その椅子が吹き飛んだ。置かれていたロッカーに当たって派手な音を立てている。次の瞬間にはテーブルも吹き飛んだ。大きな音に身が竦む。
「こんなの……見たことが無い!」
呟いた警察官は、俺の手を引いて交番の奥へと走っていく。そのまま裏口から外へ出た。俺の手を掴んだまま長い足で走っていく。
「ちょ……あんた……どうしたんだよ!」
「とにかく走れ! あれはやばい!!」
後ろから派手な爆音が聞こえた。走りながら振り返った俺は息を止めてしまった。
交番が吹き飛んでいた。コンクリートが砕け、砂煙が舞い上がっている。
舞い上がった砂煙が、何かに押されるように広がった。空洞のようにぽっかり空いた場所は、闇のように暗い。暗くて、人の形をしていないそれ等は、俺達を追い掛けてくる。
悪霊だ。
紫藤達に出会った日に見た、悪霊が集まってきている。
後ろを見た警察官が、一際俺の手を強く引いている。
「追い掛けて来てる! 急げ!」
「あんた……まさか見えんのか!?」
「あれは普通の霊じゃない!! 黒くて……寒気がする!!」
俺達は幾つも角を曲がった。追い掛けて来る悪霊を撒くように。この辺の地理に全く疎い俺は、警察官に引っ張られるままに走るしかなかった。
彼は時折振り返っては、確認している。額から汗を噴き出し、走り続けた。
目の前の角を曲がった俺達は、そこで一度、足を止めた。警察官が角から顔を覗かせ、確認している。
俺はもう、足がガクガク震えて走れそうになかった。
「ぁ……はぁ……くそっ! またかよ……!」
「あれは絶対にまずい! 体が震えてしまう……!」
「悪霊……だよ!」
「悪霊? 何だ、それは! ……お前も、見えるのか?」
「あれはたぶん……」
警察官の手が俺を引っ張った。力いっぱい抱き締められている。広い胸の中で、目を見開いてしまう。
無数の悪霊が集まっていた。
「く、来るな!! お前達は何だ!!」
ギュッと力を込められた。悪霊が俺達を見下ろし、ざわめいている。
ざわざわ、ざわざわ、耳鳴りのような、混雑した人の話し声にも似た、不思議な音が聞こえた気がした時だった。
頭の中を、何かのイメージが、駆け抜けた。
警察官の腕の中で、彼を見上げた。彼もまた、俺を見下ろしている。
「……今……何か……?」
「おっさんも……?」
黒い目を見上げた。彼もまた、俺を見つめている。
逸らしてはいけないような気がした。
俺はこの人を、知っている……?
確かめるように、警察官の頬へ手を伸ばそうとした俺は、横から凄い衝撃を受けてしまう。吹き飛んだ俺達は、数メートル先を滑っていく。庇ってくれた警察官の制服が擦り切れた。
「……おっさん! 大丈夫か!?」
どろりとした、赤い血が彼の左腕から流れていた。俺を庇って吹き飛んだから、彼に全て衝撃がいっている。
呻く彼をどうにかしなければと体を揺さぶった時だった。
ひやりと、冷たい空気を感じて。
顔を上げた俺は、空を漂う悪霊の群に、息を飲むしかなかった。
虚ろな目のようなものが、俺を真っ直ぐに見ている。
すぐに分かった。奴らは俺が目的なのだ、と。
へたり込んだ腰は、どうあっても起き上がれない。震えた体は、何の役にも立たなかった。
「……にげ……ろ!」
一斉に飛び掛かってきた悪霊に身を竦めた俺は、咄嗟に警察官の体に覆い被さった。
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