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会いに行く
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城へ帰ってから数日経って、私はユーリの事ばかり考えていた。まさかユーリにそんな過去があったなんて知らなかった。
⋯⋯別に憐れんでいる訳じゃない。ただ、一人で生きるのはきっとすごく寂しいと思うんだ。だって、今の私はすごく寂しいから。ザインさんや屋敷の人たちは私にすごく良くしてくれる。
でもそれは私のためじゃなくて、リオが好きだから。
それに、本当のお父さんとお母さんにも会えなくなってしまった。いつ会えるんだろう。もしかしたら二度と会えないかもしれない。そんな悪い考えばかりが頭の中を巡る。
ここに来てから夜、よく眠れない事がある。会えないってわかってるからこそ寂しさが消えなくて、無性に誰かに会いたくなるんだ。
それを小さな頃からずっと経験しているユーリはどれだけ孤独なのだろう。想像する事は出来ても、彼の痛みを理解する事は出来ない。そう思うと、最初の頃に彼に感じた苛立ちが少しは薄れる気がした。
***
「あの⋯⋯ザインさん、お願いがあるのですが⋯⋯」
「珍しいですね、なんでしょうか?」
「ユーリの住むお屋敷に行きたいのです」
そっと伝えると、ザインさんは目を丸くして驚いた。けれどすぐに「いいですよ」と笑って許してくれた。
「しかし、ユーリ様は本邸ではなく離れに住んでおられますね」
「⋯⋯離れ?別宅ということですか?」
「そうなりますね。成人の儀を済ませてからは本邸から離れたお屋敷に住んでいると聞きました」
⋯⋯やっぱり、本邸は居心地が悪いのだろうか。私がユーリの立場であっても、出ていったかもしれない。
「馬車の手配をいたしましょうか?」
「え!いいんですか?でも申し訳ないです⋯⋯。ただでさえ迷惑をかけてしまっているのに、馬車まで手配させる訳には⋯⋯」
「いいのですよ。私はそれが仕事です。そして御者もまたそれが仕事なのです。それに、仕事でなくともリオ様が仰る事であれば、私は何でも喜んで致しますよ」
「本当にありがとうございます⋯⋯」
***
「さあ、馬車の手配が出来ましたよ」
「ありがとうございます!」
ユーリに会って何かを言いたい訳でも、ましてや慰めたい訳でもない。話を聞いただけの私がそんな話をしたってユーリは受け入れないだろう。寧ろ、罵倒されて追い返されるのが目に見えている。
(⋯⋯ただ、もう一度会いたい)
贅沢を言うならば、ユーリ本人の口からユーリの話を聞く事が出来たのなら嬉しいけれど。
それはまだ無理だろうなあ⋯⋯。そう思いながらザインさんが用意してくれた馬車に乗り込むと、馬車はゆっくりとユーリの家に向かって走り出した。
最近あまり眠れていなかったからか、馬車の揺れに睡眠を誘われてしまう。着くまで少し眠りたいと思ったけれど、一緒に着いてきてくれるザインさんへの申し訳なさで眠る事が出来そうになかった。
「リオお嬢様、最近あまりお眠りになられてないでしょう。お屋敷に着くまでの間お眠りになってください」
横に座るザインさんはそう言って優しく微笑んだ。ザインさんは本当に優しい人だ。そう思うと同時に胸がつきりと痛くなる。それだけリオを慕っているのだ、彼は。彼が心配しているのは私であって私ではない。それがすごく申し訳ないけれど、今はその優しさに少しだけ甘えさせてもらおう。
「⋯⋯ありがとうございます⋯⋯⋯⋯」
ザインさんはまた優しく微笑んで「おやすみなさい」と言った。微睡んだ頭はすぐに眠りに落ちていった。
***
「リオお嬢様、着きましたよ」
優しく肩を揺すられて意識が覚醒した。どうやらユーリの住む別邸に到着したらしい。上流階級の貴族の家にしては質素な佇まいの家は、少しだけ意外だった。
(なんだか急に緊張してきたな⋯⋯)
今更だけど、すぐに追い返されてしまうのではないだろうか。いや、追い返されてたとしても絶対に帰らない。今日は怯まないぞ、と一人決意を固める。
そうして扉の前に来たはいいけれど、チャイムがない。そうか、この世界にはチャイムがないのか。右往左往していると、横に立つザインさんがくすりと笑うのを感じて、私は縋るようにザインさんの目を見た。
「ノッカーを叩くんですよ」
扉には金属製の輪っかのようなものが取り付けられている。これがノッカーっていうのか⋯⋯。ノッカーを持ってとんとんと何度か扉に叩きつける。
すると暫くして、ギッと少し鈍い音を響かせながら見覚えのある青髪が顔を覗かせた。そしてその家の主である青髪ーーユーリは私を見るや否や露骨に嫌な顔をする。
「⋯⋯なんだ、お前か。何の用だ?」
「⋯⋯別に特に用事はないんだけど⋯⋯⋯⋯」
「は?俺は忙しいんだ。用事がないなら帰ってくれ」
「⋯⋯!ま、まって!⋯⋯私はこれでも貴方の婚約者なんですよ?婚約者にお茶も出さずに帰れって言うの?」
キッと軽く睨みつけると、ユーリは一瞬怯んだ様子を見せたがすぐに諦めたかのようにため息をついた。⋯⋯ため息はユーリの癖なのかな。そんな事を考えていると彼は扉を緩慢な動作で開いた。
「⋯⋯入れ」
「⋯⋯!⋯⋯お邪魔します!」
どうやら家に入る事を許してくれたようだ。案外あっさりだったな。問答無用で追い返されるかと思ったけれど、ユーリは私が思うよりも素直に許可を出してくれた。
なんだか拍子抜けしてしまった私は、未だ緊張感が残ったままユーリの家に足を踏み入れたのだった。
⋯⋯別に憐れんでいる訳じゃない。ただ、一人で生きるのはきっとすごく寂しいと思うんだ。だって、今の私はすごく寂しいから。ザインさんや屋敷の人たちは私にすごく良くしてくれる。
でもそれは私のためじゃなくて、リオが好きだから。
それに、本当のお父さんとお母さんにも会えなくなってしまった。いつ会えるんだろう。もしかしたら二度と会えないかもしれない。そんな悪い考えばかりが頭の中を巡る。
ここに来てから夜、よく眠れない事がある。会えないってわかってるからこそ寂しさが消えなくて、無性に誰かに会いたくなるんだ。
それを小さな頃からずっと経験しているユーリはどれだけ孤独なのだろう。想像する事は出来ても、彼の痛みを理解する事は出来ない。そう思うと、最初の頃に彼に感じた苛立ちが少しは薄れる気がした。
***
「あの⋯⋯ザインさん、お願いがあるのですが⋯⋯」
「珍しいですね、なんでしょうか?」
「ユーリの住むお屋敷に行きたいのです」
そっと伝えると、ザインさんは目を丸くして驚いた。けれどすぐに「いいですよ」と笑って許してくれた。
「しかし、ユーリ様は本邸ではなく離れに住んでおられますね」
「⋯⋯離れ?別宅ということですか?」
「そうなりますね。成人の儀を済ませてからは本邸から離れたお屋敷に住んでいると聞きました」
⋯⋯やっぱり、本邸は居心地が悪いのだろうか。私がユーリの立場であっても、出ていったかもしれない。
「馬車の手配をいたしましょうか?」
「え!いいんですか?でも申し訳ないです⋯⋯。ただでさえ迷惑をかけてしまっているのに、馬車まで手配させる訳には⋯⋯」
「いいのですよ。私はそれが仕事です。そして御者もまたそれが仕事なのです。それに、仕事でなくともリオ様が仰る事であれば、私は何でも喜んで致しますよ」
「本当にありがとうございます⋯⋯」
***
「さあ、馬車の手配が出来ましたよ」
「ありがとうございます!」
ユーリに会って何かを言いたい訳でも、ましてや慰めたい訳でもない。話を聞いただけの私がそんな話をしたってユーリは受け入れないだろう。寧ろ、罵倒されて追い返されるのが目に見えている。
(⋯⋯ただ、もう一度会いたい)
贅沢を言うならば、ユーリ本人の口からユーリの話を聞く事が出来たのなら嬉しいけれど。
それはまだ無理だろうなあ⋯⋯。そう思いながらザインさんが用意してくれた馬車に乗り込むと、馬車はゆっくりとユーリの家に向かって走り出した。
最近あまり眠れていなかったからか、馬車の揺れに睡眠を誘われてしまう。着くまで少し眠りたいと思ったけれど、一緒に着いてきてくれるザインさんへの申し訳なさで眠る事が出来そうになかった。
「リオお嬢様、最近あまりお眠りになられてないでしょう。お屋敷に着くまでの間お眠りになってください」
横に座るザインさんはそう言って優しく微笑んだ。ザインさんは本当に優しい人だ。そう思うと同時に胸がつきりと痛くなる。それだけリオを慕っているのだ、彼は。彼が心配しているのは私であって私ではない。それがすごく申し訳ないけれど、今はその優しさに少しだけ甘えさせてもらおう。
「⋯⋯ありがとうございます⋯⋯⋯⋯」
ザインさんはまた優しく微笑んで「おやすみなさい」と言った。微睡んだ頭はすぐに眠りに落ちていった。
***
「リオお嬢様、着きましたよ」
優しく肩を揺すられて意識が覚醒した。どうやらユーリの住む別邸に到着したらしい。上流階級の貴族の家にしては質素な佇まいの家は、少しだけ意外だった。
(なんだか急に緊張してきたな⋯⋯)
今更だけど、すぐに追い返されてしまうのではないだろうか。いや、追い返されてたとしても絶対に帰らない。今日は怯まないぞ、と一人決意を固める。
そうして扉の前に来たはいいけれど、チャイムがない。そうか、この世界にはチャイムがないのか。右往左往していると、横に立つザインさんがくすりと笑うのを感じて、私は縋るようにザインさんの目を見た。
「ノッカーを叩くんですよ」
扉には金属製の輪っかのようなものが取り付けられている。これがノッカーっていうのか⋯⋯。ノッカーを持ってとんとんと何度か扉に叩きつける。
すると暫くして、ギッと少し鈍い音を響かせながら見覚えのある青髪が顔を覗かせた。そしてその家の主である青髪ーーユーリは私を見るや否や露骨に嫌な顔をする。
「⋯⋯なんだ、お前か。何の用だ?」
「⋯⋯別に特に用事はないんだけど⋯⋯⋯⋯」
「は?俺は忙しいんだ。用事がないなら帰ってくれ」
「⋯⋯!ま、まって!⋯⋯私はこれでも貴方の婚約者なんですよ?婚約者にお茶も出さずに帰れって言うの?」
キッと軽く睨みつけると、ユーリは一瞬怯んだ様子を見せたがすぐに諦めたかのようにため息をついた。⋯⋯ため息はユーリの癖なのかな。そんな事を考えていると彼は扉を緩慢な動作で開いた。
「⋯⋯入れ」
「⋯⋯!⋯⋯お邪魔します!」
どうやら家に入る事を許してくれたようだ。案外あっさりだったな。問答無用で追い返されるかと思ったけれど、ユーリは私が思うよりも素直に許可を出してくれた。
なんだか拍子抜けしてしまった私は、未だ緊張感が残ったままユーリの家に足を踏み入れたのだった。
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