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花束
しおりを挟む「ミリアとフィノのことも私は気になるけれどね」
話を変えるために咄嗟に出た話題にしてはナイスなんじゃないだろうか。二人からお互いのことを聞きたかったのは本当だし!
「僕はミリアともっと仲良くなりたいと思ってるよ」
フィノは照れたように頬を染めてミリアを見つめると、ミリアも照れているのか視線を少し逸らしたまま口を開いた。
「私も⋯フィノ様ともっと仲良くなりたいです」
「本当に眼福だわ⋯⋯」
ほわほわした二人の空気に当てられながら、私はこの茶会が無事に終わりそうなことに安堵した。
***
帰り際、フィノが思い出したかのようにメイドを呼び寄せた。
「あ!二人にプレゼントがあるんだ」
そう言ってフィノがメイドから持ってこさせたのは、美しい花束が二つ。各々のメイドから一束ずつ受け取ると、馨しい香りが鼻をくすぐった。
「わあ!すごく綺麗⋯⋯!」
「こんな綺麗なもの⋯⋯本当にいただいてしまっていいの?」
ミリアは白を基調とした花束で、私は黄色を基調とした花束。どちらも主役の色を立たせつつも、上品にバランス良く彩られている。
(すごく綺麗なプレゼントをいただいてしまった⋯⋯)
「二人のイメージに合わせて花束を作らせたんだ」
「本当にありがとう⋯⋯」
花束に顔を寄せてお礼を言うと、フィノも満足そうに微笑んでくれた。改めて彼の優しさに感謝をしつつ、私たちはフィノの屋敷を後にした。
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