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第四章 高校生編

※※※(虎太郎視点)

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母上の言葉をきちんと聞いておけばよかった…。
なんて今更思っても後の祭りでござる…。
母上の丸薬により、拙者の丸薬の効果は打ち消された。しかし拙者達は海に落ち、しかも流れが急な所に落ちた所為で水の抵抗に抗えずに小洞窟に流れ着いてしまった。
ザバリッと岩場に体を乗り上げて…、
「ほら、つかまりなさいよ」
乗り上げたかったのに、拙者の体力は限界で。桃お嬢様のご友人である新田殿が先に上がって拙者を引き上げてくれた。
すると、横からザバッと勢いよく顔を出された。
「…くそっ!だいぶ流されたなっ…おい、美鈴っ!」
白鳥先生の腕の中には白鳥殿がぐったりと凭れかかっている。
「……ちっ、まず陸に上がって体を温めるぞっ。新田、近江、手伝えっ」
「分かったっ。って言うか、あんた早く立ちなさいよっ」
「う、うむっ」
人一人抱えていると言うのに、あっさりと岩の上に乗り上がった白鳥先生に驚きつつ、拙者と新田殿はせめて火を起こせる場所にと移動する。
「海に落ちた所為で携帯もアウトだな。美鈴の携帯は…持ってないか。携帯を携帯しないでどうするんだ、全く。お前らはどうだ?防水だったりしないか?」
「私のはアウトです。うんともすんとも言わない」
「拙者は携帯を使ってないでござる」
「そうか…。ならやっぱり火を起こす必要があるな。助けは真珠が呼びに行けばすぐに捜索態勢に入るだろうが…。新田。悪いが美鈴の服を絞ってやってくれるか?流石に俺達は出来ないから。勿論、お前もちゃんと服から水気を絞っておけよ」
「はい」
「近江。あっちで俺達も服を絞るぞ」
流石と言うべきか。的確な指示を出し白鳥先生は移動して、手早くジャージの上着を脱いで絞って着込む。
「この時期だ。風邪引く事はないと思うが、それでも念には念を入れておく必要がある。洞窟の中ってのも涼しいものだからな」
拙者が白鳥先生の行動を見ていたのを、不審に思ったと勘違いされているようで。
別に先生の行動に疑問を覚えた訳じゃないでござる。
と言う事も出来たが、行動を起こした方が説得力があるだろうと拙者は来ていた体操服の上着を脱いで、きっちりと絞る。念の為にボトムの方も脱いで絞ってしまう。
その後もう一度その服を着込んで、さっさと戻ろうとしたが、それを先生に止められた。
「?、何でござるか?」
「まだあっちは絞ってる最中だろ。まだ戻るな」
「あっち…?」
どっちでござる?
首を傾げると親指で今歩いてきた道を記された。
あっ!?な、成程でござる。確かに女子はまだでござるな。
それから数分、拙者と先生は無言でその場に立って時間を潰してから元の場所へと戻った。
大事そうに新田殿が白鳥殿を抱きしめている。
「さて。何か火を起こせるものを持ってたりするか?」
「硝酸カリウムと硫黄なら」
「………火薬でも作る気か?そもそも何でそんなものを持ち歩いている?新田、お前後で説教な」
「うぐっ…」
「近江はどうだ?」
「忍法火遁の術を」
「却下だ。さっき散々忍びの技を使って失敗しているだろうが」
「ぐはっ!」
「……仕方ねぇな」
?、何するでござる?
「お前ら、適当に乾いていそうな可燃物持ってこい」
乾いていそうな可燃物?
「木炭で良いでござるか?」
体操服の下に着ていた忍び服の中からきっちり防水されている木炭を三つ取り出す。
「…本当に火薬作れそうだな、おい…。これを持ってる位ならマッチの一つや二つ持っておけよ。…まぁ、良い」
言いながら先生はポケットから小さい懐中電灯を取り出し、その中から電池を取り出した。
ますます何をするか理解出来ないでござる。
次にガムを取り出して、中身を新田殿の口に押し込んで、その包み紙で電池のマイナス面にくっつけて、マジでござるかっ!?
発火したっ!?
それをすかさず新田殿が拙者の書いた果たし状に火を移し、木炭へとつけた。
「上手く行ったようだな」
白鳥殿を新田殿の手から受け取り、白鳥先生は洞窟の壁に背を預け座った。片膝を立ててその足に白鳥殿が背を預けられるような態勢で落ち着く。
拙者と新田殿もなるべく側に行き、ついた火から熱を貰う。
「さて、と。あいつらが迎えに来るまでの間に、話して貰おうか。近江。……美鈴に投げたあれはなんだ?美鈴に果たし状を出した理由も含めて全て説明しろ」
ひいいぃぃっ!!
眼力が半端ないでござるーっ!!
殺されそうでござるーっ!!
これは話さないと殺されるでござるっ!!
「さ、さっきも申した通り、謝罪して桃お嬢様との仲を取り持って貰うつもりでござった」
「仲を取り持つって言ったって、あんた…。桃を最高に怒らせちゃってるじゃない。そもそもどんな悪い事したのよ」
「せ、拙者はただ、お嬢の為を想って」
拙者は本気でお嬢の事を想って行動したつもりでござった。
父上も母上も主に仕え、主に尽くせとずっと拙者に言い聞かせてきた。拙者もそれを疑問に思った事はござらん。
だから、拙者の主である桃お嬢様が、監禁され体を悪くしていく姿を見て、居ても立ってもいられず、ご頭首様に申し立てた。
その結果、拙者と桃お嬢様との間に子が出来れば桃お嬢様は解放されると聞いて素直にそれに従った。
樹家での事もそうだ。桃お嬢様の尊敬する白鳥殿を御守りしようと紅茶に眠り薬を入れた。…間違って媚薬を入れてしまったでござるが…。
巳華院家での事も。桃お嬢様が綺麗殿に心ときめかせているのは知っていた。だから、その恋が成就するようにと、銃の一つをフラワーシャワーになるように改造したつもりだった。だが、その出来上がったフラワーシャワーが出る改造銃ではなく、本物の銃と入れ替えてしまった…。
そして、さっきでござる。本当は逃げる為の煙幕を使ったつもりでござった。それがどうやら竜巻を発生させる術を使ってしまったらしく…。
「あぁ、もう良い。大体理解した」
「びっくりする位ドジって訳ね」
「それで?美鈴にはどんな失敗をしたんだ?」
むむっ!?何故失敗を前提にしてるでござるっ!?
今回は失敗してないでござるっ!!
その証拠に水の中に落ちたのに、呼吸もちゃんと出来て、気持ち良さそうに寝てっ………寝て?
「………何で起きてないでござるか?」
「それは俺が聞きたい。美鈴は落ちる前から目を閉じて体から力が抜け落ちていた。さて、どう言う事だろうなぁ?近江」
ひいいいいいぃぃぃぃっ!!
目が、目が怖いでござるぅぅぅぅぅぅっ!!
膝がガクガクするでござるっ!!
「きっかりしっかり解る様に説明しろ」
む、無理無理無理無理ーっ!!
―――プツンッ。
あまりの恐怖に拙者は闇に堕ちた。

目を覚ましたのは、数分後でござった。
「えっと…これが?あ、これがさっき投げた奴かな?緑の煙が出るって書いてるし」
胸元がくすぐったくて目を覚ましたら、新田殿が拙者の胸元を探っていたでござる。
「お、女子が男の服を探るのは、はは破廉恥でござるーっ!」
「?、別に脱がしてる訳でも、どっか弄ってる訳でもないんだから良くない?」
何をケロッと言ってるでござるかっ!?
「それより、聞きたいんだけど。アンタが王子に投げたのってこれ?」
「あぁっ!?拙者の丸薬の瓶がっ!?」
何故新田殿の手にっ!?
「良いから答えなさい」
「そ、そうでござるが…」
「そう。…ねぇ、これってどうして同じ薬なのに大きさが違うの?」
何故大きさが違うか?そんなの、
「拙者は知らんでござる」
の一言しかない。
「じゃあ、どうして、緑の煙が出るの?」
「それは忍びとしてのマナーでござる」
煙の出ない忍術などっ!そんなのは忍術ではござらんっ!
「…じゃあじゃあ、この中に入っている薬は全部同じ効果の薬なの?」
「否」
「…って事は違う成分の薬を一つの瓶に沢山入れてるって事?」
そうでござるっ!
大きく頷く。
「因みにこの薬を作ったのは誰?」
「拙者でござるっ!」
ふっふっふっ。拙者は他の忍術が苦手でも丸薬作りだけは得意なのだっ!
「馬鹿じゃないの?」
「へ?」
今馬鹿と言われたでござるか?
ここは、そんな薬が作れるんだ、すごーいの場面では?
「これじゃあ、何の薬が入ってるかも、同じ瓶に入れて何と何が混ぜ合わさって違う効果になってるかも全然解らないじゃない」
「ほへ?」
「聞くけど、アンタ王子を治せる丸薬も当然作ってるんでしょうね?」
「治す?」
「当り前じゃない。どんな毒だって薬を同時に作るものよ?技だって編み出す時、それを破る術も同時に編み出しておくものでしょ?」
「へ~」
「へ~じゃないわよっ!そんなの忍びとしては常識中の常識だわっ」
常識中の常識っ!?
何故新田殿が忍びの常識を…ハッ!?さては新田殿も忍びなのではっ!?
「何か嫌な予感がするから言っておくけど。私は忍びじゃないから」
「なんとっ!?では何故忍びの常識が理解出来るのでござるっ!?」
「そ、それはっ、その…」
目が泳ぎ、顔を逸らされたでござる?
「そ、そんな事どうでもいいのっ!それよりアンタ王子の事治せるのっ?」
「勿論でござるっ!ここに取りだしたるは」
すちゃっと胸元から瓶を取り出す。
その瓶にはちゃんと赤い煙が出る薬と記載済み。
「眠気も体も全てが吹っ飛ぶ薬でござるっ!」
「全てふっ飛ばしてどうすんのよっ!」
バチコンッ!!
い、痛いでござる…。
新田殿の手には細い木の枝が握られていた。
「もう、それじゃあどうするのっ?王子が眠ったままで病院沙汰になったら…」
……病院沙汰になったら?
「桃が激怒するわよ?白鳥先生に存在消されても文句も言えないわね。勿論王子の双子のお兄さん達も出てくるでしょうし…アンタ死ぬんじゃない?」
ひいいいいいぃぃぃぃぃっ!!
それだけは嫌でござるううううぅぅぅぅっ!!
あぁ、涙で前が見えないでござるっ!!
「ちょっとちょっと、泣かないでよっ。1%は冗談なんだから」
「99%は本気なんでござるなああああぁっ!?」
しくしくしく。
顔を手で覆い隠し………うむ?
手に肌の感触が…?
も、もしかして…?
慌てて額、頬、鼻に口、首に手をやって確認する。
ま、間違いないでござるっ!ふ、覆面はっ!?
「あ、ごめん。覆面勝手にとっちゃった。邪魔だったから」
「ななななななんとぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
バチコンッ!!
「ぐふっ!?」
今度は木の棒で頬を張るとは…痛いでござる…。
「うるさいわね。さっきから。仕方ないでしょ。アンタが急に気を失ったから無事かどうか確かめる必要があったのよ」
殴られた頬を手で擦って、せめて少しでも痛みが逃げますように…。
「ねぇ、アンタ」
「何でござるか。嫁」
「この薬は………嫁?嫁って何よ」
「忍びが素顔を知られていいのは、人生の伴侶のみだと父上は言っていた」
「……………………もしかして、アンタの素顔を始めてみせた他人って」
「新田殿でござる」
「……………桃は?」
「お嬢様は主であり家族でござるから…」
「そう。…………………ま、いっか。アンタなら暇してる余裕も、感情を読み取る事に苦労もしなさそうだし。嫁でも何でも良いよ。それよりも、アンタ。この薬はどうやって作ってるの?アンタが作ってるなら、その原材料ってのがあるでしょ?」
あっさりと嫁を認めてしまったでござる…。
女子がそれでいいものなのか?
むむ?
バチコンッ!!
「へぶっ!?」
今度は逆の頬を叩かれたでござる…痛い。
「余所見しないのっ!とにかくアンタは自分の命がかかってるんだから本気でやんなさいよっ」
「う、うむっ」
えっと、何だったでござるか?
原材料であったなっ!
水の中で息が出来る様に出来る丸薬のレシピは…。
ごそごそと懐から虎の巻をを取り出し広げる。
「うわ…巻物とか。超忍者っぽい。何書いてるの?それ」
隣に座り覗き込んでくる。
ふわっと海の匂いに混じり彼女の香りが鼻をかすめる。
お嬢とはまた違う香りでござるな…。
「…えぇっと…。空を歩く丸薬の作り方。…土の中を泳ぐ丸薬の作り方…?へぇ…。これって本物?」
「あっ!?返すでござるっ!」
嫁の顔を観察してる間に虎の巻を奪い取られてしまった。
凄いスピードで巻物の最後まで読み切って、ピタリと嫁の動きが止まった。
「……ちょっと、アンタ」
「何でござる?」
「これ、最後の方にこう書いてるわよ…。『以上の事は全て儂が適当に考えて書いた丸薬であるから、決して作ったり、ましてそれを人にぶつけたりはしないように。ご先祖様からのお願いだぞっ☆』って」
「ふへ?」
眼前に突きつけられて、更に嫁にその場所を指で記されて。そこを読むと確かにそう書いてあった。
「何でちゃんと最後にこう書いてあるのに作ってしかも投げつけたのっ!?」
「作っていくのが楽しくてつい…順番に読んで行きたいと…」
「ああぁぁぁ…解るぅ…その気持ちぃ…」
嫁が頭を抱えたでござる?
「ネタバレしたくないって事だよね。すっごい解ってしまう…。順番に順番に読みたいよね。漫画でも一冊跳びとか出来ないよね」
何故か思い切り同意してくれているでござる。
ここで何か言ったら危険そうなのでじっくり頷くだけにするでござる。
「…仕方ない。私が協力する。その…婿の一大事は嫁の一大事だし」
「なんとっ!?本当でござるかっ!?」
「これでも、私は座学中心の理系専攻よ。絶対に役立つわ」
「かたじけないっ」
礼は正しく。全力土下座。
「いや、そんなの良いから、とりあえずこれ全部返す」
「何故でござる?」
素直に瓶と虎の巻、それから覆面を受け取る。
「ここで調査して大事な丸薬落としたりしたら大変だから。それにそろそろ…」
「あぁ、起きたか。近江」
白鳥先生が戻って来…ひぃぃぃっ!素顔のままだったでござるーっ!!
慌てて覆面を付ける。
「…ちっ。美形と美形の結婚騒動みたかった…」
?、今嫁が何か呟いた気が…?気の所為でござるか?
そう言えば白鳥先生の姿がなかった。
何処行ってたのだ?
「軽く、周辺を探ってきたが、どの方向もどうやら海に出るようだ。どう言う流れでここに辿り着いたかは解らないが、陸地から結構距離があるだろうな」
「どの方向も海に?でも、洞窟の奥は結構続いてそうですよ?」
「いや。あっちも一応行ってみたが、水があって奥には行けなさそうだ。それに下手に奥に行って道に迷っても不味いだろう。せめて美鈴が起きてくれれば、マッピングしながら全部の方向を試すって言う荒業が出来なくもないが」
「マッピング位なら私にも」
「新田は体力がないからな。何回も海に潜ってと繰り返す事が出来るか?」
「それは…。じゃあこいつなら」
「近江がマッピングを頭の中でしながらなんて器用な事が出来ると思うか?それに体力は下手すると新田並だぞ?」
「……無理だわ」
「そう言う事だ。ちっ…俺一人でやれるだけやってみるか?だが、道がどうにも複雑過ぎる」
はて?白鳥先生は何故そこまで焦ってるのでござろう?
まだ、あれから数分しか経っていないはず。となれば、まだ朝でござろう?
首を傾げると、隣に座っていた嫁が目を吊り上げた。
「言っておくけど。アンタが気を失ってたの、結構な時間だからね?何ならもう正午過ぎてるからね?」
「な、なんとっ!?」
てっきり拙者は数分くらいだと…。
「結構ぐーすか寝てたからね?」
「なんとぉっ!?」
衝撃っ!
日が落ちる方へ向かっていると言うのであれば先生が焦るのも当然でござる。
まだ日中は暑い日が続くとは言え夜になれば冷える。しかも洞窟の中。尚更でござる。
「アイツらは確実に動いてくれてるだろうが、俺達もせめて日が出てる内に陸に近い場所へ移動した方が良い。それは解っているんだが…」
「先生。一度服絞ったら?探索してる時に海に潜ったんでしょ?」
「…そうだな」
白鳥先生がバッと上着を脱いで、ぎゅっと絞った時、ビチャッと何かが落ちた。
魚かタコでござろうか?
落ちたものに先生も気付き、手に取るとそれはビニールに包まれた紙でござった。
訝し気な表情をして、先生はビニールを破って紙を取り出し広げた瞬間その表情は驚きに変わる。
「どうしたの?先生」
「………佳織母さんの文字…。成程な。佳織母さんはこれも想定内って事か。っとに、あの人はホント何考えてるんだか…。まぁ、いい。今は脱出する方が先だ」
先生は何やらブツブツと呟く。そして紙の内容に全て目を通したのだろう。ポケットにそれを仕舞い込んで白鳥殿を抱き上げて歩きだす。
「ついて来い。ここから脱出するぞ」
「え?」
拙者達に反論は許して貰えないようでござる。
拙者と嫁を顔を合わせ、だがついて行くしかないと判断し慌てて先生を追い掛けた。
どこをどう曲がってどう歩いてきたのか、拙者はさっぱりでござった。
もう、先程いた場所には戻れまい。
「そう言えばさ、婿」
「何でござるか、嫁」
「アンタのその話し方。わざとだって解ってるんだけど、中途半端過ぎて嫌なんだけど。ちょっと普通に話してみてくれない?」
「何ゆえに?」
「ござるって口調、私としてはすっごく萌えるんだけど、でも、真面目な話をしてる時は神経逆撫でされるんだよね」
「ふむ。PTAを考えろという事でござるか?」
「TPOな」
先生から何やら突っ込みが入った気がするが気の所為でござるな。
「普通に話せるんでしょ?話してみてよ」
普通?普通…とは難しいし、突然話せと言われても話せるものでもないでござる…。
「…あぁ、そうだ。近江、聞きたい事がある」
これは…良いタイミングなのでござろうか?
う、うぅんっ!普通に、普通にでござるな。
ござる口調になる前…練習を始める前…中学入学当初の話し方…。
「何でございましょう?」
普通に話したはずなのにどうして二人はぎょっとしているのでしょう?
「…お前が美鈴に投げた薬。あれは、水中でも呼吸を出来る様にするもの、その効果は間違いないんだな?」
「えぇ。左様でございます。わたくしめがその場で薬同士を組み合わせその効果になるよう発動させました。予想外の副作用で眠り効果はついてしまいましたが、水の中でも眠れていた事を考えるに呼吸は出来ていると思われます」
「そうか。なら…今はその効果に感謝しよう。が、後でお前も説教だな」
「致し方ありません。わたくしめの不手際。どのような罰でもお受けいたします」
「…………どうしよう、先生。すっごく違和感。すっごく気持ち悪い」
「そうか?会話する点では楽で良いぞ?」
「確かに美形同士の会話としては捨てがたいけど…。でも婿っぽくない」
嫁…。以前の拙者より今の拙者の方が良いって事でござるか…?
感動でござるっ!!
なんて拙者が感動してる間に先生の足が止まった。
拙者らの前には人が三人はまれば窮屈であろう程の大きさの水溜りがあった。その奥はもう行き止まり。まさか迷ったでござるか?
「先生、…もしかして?」
「あぁ。ここは行き止まりに見えて、この水溜りが壁の反対側に繋がってる。だから中を泳いで行く必要がある。ここはそんなに長い間じゃないから大丈夫だ。行くぞ」
先生は上着を脱いで白鳥殿と自分をきつくしばり水溜りの中に飛び込んだ。
直ぐに浮き上がって来ない所をみると、きっと先生が言った通り反対側に出るのであろう。
では早速拙者も…。
くいっ。
うん?袖を引かれた?
「……む、婿。何か、持ってない?紐でも何でもいいから私と婿とを繋げるもの」
「紐?拙者の髪を縛ってる紐で良ければあるでござるよ?」
「そ、それでいいっ。それで良いから、その…貸して?」
うむ?それは別に構わないでござるが何に利用するでござる?
拙者は髪もいざと言う時武器になると思い伸ばしている。腰まである長い髪を三つ編みにして縛っている為、一本じゃ足りず三本使っている。根本と真ん中と先と三つ。
先の方の一本を解き手渡すと、嫁はホッと安堵して自分の手に巻き付け、反対を拙者の手に巻き付けた。何故でござる?
「さ、行こうっ。先生が待ってるっ」
言って飛び込む嫁。何だと首を傾げていると、
「うひょーっ!?」
思い切り引っ張られた。そうでござった。手が繋がってたんでござったぁっ!?
そうして引き摺られながら反対側に到着。死ぬかと思ったでござる…。
そんな水溜りを何度か乗り越えて、道を曲がり、進んでを繰り返し、拙者達はかなり大きな水溜りの前に到着した。
「…問題はここだな。ここの壁を乗り越えたら外だ。だが水路は結構長く続いている。息が持つかどうか…俺と美鈴は問題ないとしても…」
先生が拙者たちを見た。
そう言えば、すっかり忘れていたが。
「拙者水遁の術が使えるでござるよ?」
「どうやるんだ?」
ふっふっふ。拙者の実力を見せる時が来たようでござるなっ!
懐から竹の筒を取り出し、二人へ魅せつけた。どうだでござるっ!
「……だと思った…。婿。それでどうやって呼吸するの?水の中に思いっきり潜るって事分かってる?」
「おあっ!?」
そ、そうでござったっ!?
「近江。お前なら酸素ボンベの一つや二つくらい持ってそうだけどな。持ってないのか?」
「ヘリウムなら持ってるでござる」
「…そうか。ここから脱出したら好きなだけ声を変えて遊べ」
言った後先生は上を見上げた。
何かあるでござるか?
一緒になって上を見上げると…うぬ?さっきまで気にならなかったでござるが、この洞窟。天井が所々開いているでござる。
そうか。そう言えば先生はちょくちょく上を見てたのは空を見ていたのか。
「だいぶ…日が傾いてきたな。急がなければ」
「じゃあ、早く行きましょう、先生」
「あぁ、そうだな。だが二人共良く聞け。今までの水路は天井からの光が微かにでもあってそれを頼りに前に進むことが出来た。だがこの中はどうやら光が入ってなさそうだ」
…そうなんでござるか?
なんでそんな事先生は知ってるでござる?
と聞こうと思ったけど、聞ける空気ではないでござる。
口を開こうとしたら、滅茶苦茶睨まれたでござるからな。
あの目でまた睨まれたら拙者また気を失ってしまうでござる。
「距離があって…真っ暗…」
「……行けそうか?新田」
「………だ、大丈夫です」
ぎゅっと袖が握られた。も、もしかして、もしかすると…拙者、頼りにされてるでござるか?
「俺が一旦先に行ってまた戻ってくるから、お前達は美鈴を見ててくれ」
そう言いながら白鳥殿を地面に寝かして先生はあっさりと潜って行ってしまった。…何の躊躇いもなく行くとは…。
「…どのくらい潜るんだろう…」
「さて…」
先生が戻ってくるのをじっと待つ。
それからそんなに待つ事なく、先生は戻って来た。濡れた前髪を掻き上げて、こちらを見る。
「やはり結構長いな。いいか、お前ら。中は水の流れがあまりない。それはさっきと同じだがやはり中は複雑だ。いいか?出口への水路は右左右左左だ。分かったか?」
「左右左右右でござるなっ!」
「何聞いてたのよっ!逆よ逆っ!」
うむ。これで嫌でも頭に入ったでござるな。拙者にも嫁にも。
こう言う覚えなきゃいけない時は逆の事を言うと、意識的に正しい方を理解する事が出来るでござる。
「よし。なら行くぞ。お前達が行った後に俺が追う」
「…分かりました」
「御意」
…嫁を先にやる訳には行かないでござるな。
なら拙者が先に行くでござる。
ザブンッ。
体を水の中に沈める。そうだ、嫁とは紐で繋がってるから。
「嫁…」
手を差し出す。戸惑う嫁が目の前にいる。
それはそうでござる。今から暗闇の、しかも水の中を歩くでござる。怖くない訳がないでござるな。
こんな状況になると解っていれば、光の代わりになるような何かを仕込んできたものを…。
どうにかして嫁を落ち着かせられないものか…。
「嫁。大丈夫だから。…一緒に行こう?」
「~~~ッ!!」
にぎゅっ!
お、握ってくれたでござる。必死に握ってるでござるな…。それだけ、怖いんでござるな…。
どんどん力が…。それだけ、こわ…。
「いでででででっ!」
「………は、恥ずかしい事しないでよっ。い、行くよっ、婿っ」
滅茶苦茶握られて手が痛いでござる。
ザブンッと隣に入ると、大きく息を吸って嫁が水の中へ潜る。
遅れないように拙者も息を吸い込み、潜る。
水路の中を進んで行く。少しずつ少しずつ暗闇の中へ泳ぎ進む。
真っ暗になって、道も狭まって…確かにこれは…。
前を進む嫁が段々と速度を落としていく。…ってそれは駄目でござる。息が続かなくなるでござるっ!
急がなければ。
拙者は嫁より前に出て、嫁の手を引くように泳ぐ。
完全に暗闇となった水の中。最初の別れ道。まずは右。暫く泳いで次は左。次の別れ道は思いの外早く辿り着き右。また直ぐに別れ道が来て左。
先生が言った水路の曲がり角の順は後次の左だけ。だとしたら、出口はもう少しでござる。
息がそろそろきつくなってきている。
こう言う時一瞬でもこの道が正しのかと疑問に思えば駄目だと親が言っていたのを思い出す。
だから、真っ直ぐに泳ぎ続ける。
そこでやっと最後の別れ道。
左に進む。

―――グンッ。

嫁を掴んでいた手に行き成り重みが加わる。
まさか、呼吸が限界でござるかっ!?
もう少し頑張れっ!
その意味を込めてぐいっと手を引っ張り、自分の体の横に並ぶようにする。
顔が全然見えないけど、力が入ってるから、まだ大丈夫のはず。
ばたつかせる足を止めずに、様子を窺う。
嫁のもう一方の手はどうやら口に当てられてるらしい。
余程苦しいのか。
駄目だ。これは本当に急がないと。
拙者達が足を止めたら、後続の先生や白鳥殿が。
やむを得ない。
拙者は嫁の腰に腕を回して、支える様にして泳ぐ勢いを強めた。
出口は、まだでござるかっ。
進んでも進んでも明かりが見えない。
拙者も流石にきつくなってきた。

そう思った、その時。

頭上から微かな明かりが。
そして、手を前に突き出すと壁にぶち当たる。
後は上昇して顔を出すだけでござる。

―――ググッ!

え?
嫁が苦しそうにもがき拙者の胸のあたりをきつく握る。
微かな光が嫁を照らし頭を振ってる姿を映す。
駄目でござる。後もう少しでござるっ!
嫁の体から力が抜け始める。

「―――ッ!?」

どんどん嫁の体から力が抜けて行く。
そんな…ここまで来て…。
もう明かりが見えてるでござるよっ?
もう少しでこの水路からも出れるし、洞窟からも出れるでござるよ?
帰れるでござるよっ?
頑張れ、と。負けるな、と。

嫁の体をぐいっと引き寄せたが反応が薄い。

嘘だろうと。
最悪の事態が脳内をぐるぐると周り、段々頭が真っ白になる。

だめ…。

駄目ですっ!!

後、後もう少しなんですっ!!
耐えて下さいっ!!

でも彼女の体からは力がもう…。
そんなのは駄目ですっ!!

お願いですっ!!
頑張って下さいっ!!
愛奈様っ!!
息が足りないのなら、私の空気を差し上げますっ!!だから―――っ!!

覆面を外して水の中に放り捨て、彼女の口を覆ってる手を外して、その口に自分の口をくっつけた。
自分の口の中に残っている空気を彼女の口に吹き込む様に口移しで全てあけ渡す。
驚いている彼女を確認して、手でもう一度口を塞ぐようにその手を動かして上げてから、彼女の腰を改めて抱えて上へと向かって足を動かす。
少しずつ明かりが強くなっていく。
…くっ、本当にきつくなってきました。
ですが、ここで負ける訳にはいかないのです。
何か…何か空気を……そうだっ!これだっ!
懐から缶を取り出し、そのキャップを外して吸い込み口から一気に吸い上げる。
口の中を空気が満たす。ガスと言えど空気は空気だ。
そしてラストスパートをかけて一気に水面へと躍り出た。

ザバッと水音を立てて、拙者達は水面から顔を出して空気を吸い込む。
「はぁっ…はぁっ……」
隣で同じく荒い呼吸をして必死に空気を吸う嫁の姿を確認してホッとする。
嫁を何とか陸の上に押し上げて、自分も上へと上がり、後続で来るであろう先生の為にその場から少し距離を置く。
「……はぁっ……はぁ……なん、とか、なった、わね…」
「デゴザルナ…」
ピタッと嫁が拙者の声を聞いて動きを止めた。
どうしたでござる?
「………婿?」
「ナンデゴザルカ?ヨメ?」
嫁が目を見開いて、まじまじと拙者を見たかと思うと、勢いよく顔を伏せた。
その肩は震えている。
も、もしかして、どこか痛めたりしたでござるかっ!?
「ヨメッ!ドウシタデゴザルカッ!?ドコカ怪我デモッ!?」
「………くっ……も、無理っ……」
「ヨメッ!?」
「あはははははっ!!婿、何その声ーっ!!」
…笑われたでござる。
何ででござる?
「も、もしかしてっ、さっき婿が吸ってたのっ、ヘリウムガスでしょーっ!あははははっ!!!」
………そうでござる…。
ハッ!?もしかして声が変わってるでござるかっ!?
「デモマー、助カッタカラ、良イデゴザルナ」
「ちょっ、ちょっと、その声で、話さないでっ、折角水から上がったのに、呼吸困難で殺す気っ!?」
くわっと怒られる。
ちょっと理不尽でござる…。
座りこんで膝を抱えて落ち込むしかないでござる…。
「………虎太郎」
背中に何か重さを感じる。
それに今、虎太郎って…。
「ありがとう。私を引っ張ってくれて…。空気を分けてくれて。…ありがとう」
嫁……。
背中から嫁の腕が前に回されて…まるで優しく包みこまれてるようで…。
「…笑い過ぎてもう体力ないわ。帰りおぶって」
あ、そっちでござるか…。
拙者も耐え切れない可能性もあるでござるが、頑張るでござるっ!
コクコクと頷く。
優しい空気が周りを包んでいる。
そして、それを破る様に水音がした。
「あー…お前達も何とか辿り着いたようで何よりだ…」
白鳥殿を支えながらあの距離を泳いで、何故そんなにケロッとしてるでござるか?
あっさりと水から上がり、白鳥殿を壁に凭れさせて、呼吸があるか確かめている。
確かに呼吸があるようでホッとして、こちらを向いて白鳥先生は首を傾げた。
何故でござるか?
「お前達、そんなに仲が良かったのか?」
「えっ!?」
「エッ!?」
拙者と嫁は慌てて距離をつくる。
「………おい、近江。お前まさか、ヘリウムガス吸ったのか?」
「ソノトオリデゴザルッ!」
「………止めろ。話すな。笑わせるな」
頑張ったのに、話すのも駄目でござるか…?
落ち込むでござるよ…。
―――ザザザッ!
しょんぼりしていた拙者の耳に足音が聞こえてきた。

「―――いるのかっ…おーいっ」

これは、天川先生の声?
「やっと来やがったな。ったく…」
白鳥先生の声で、助けが来た事を知る。
…………ホッとした。したでござるが…それ以上に、迫りくるお嬢の気配に拙者は意識を遠退けたくなったでござった…。

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