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小学生編小話

★ お詫びなんですっ!

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サーッ……。
雨が降り続く。
梅雨時期だから尚更、雨の日が続く。
こんな日の朝は決まって…。
「葵お兄ちゃーんっ!助けてーっ!髪がーっ!」
美鈴が階段から転がる様に降りてきて、リビングにいる葵に突進する。
そんな姿を見ていると、微笑ましいが…。
確かに美鈴の髪はいつも以上にほわほわでまとまりがない。
「鈴ちゃん。いつも以上に爆発してるね…」
「直らないどころじゃないよーっ。今日の湿気酷過ぎてブラシが入らないーっ」
「え…?そんなに?」
こくこくと必死に美鈴が頷く。
「鈴ちゃん。とりあえず洗面所に行こうよ。そっちの方が道具もあるし」
「うん…」
葵に手を引かれリビングから出て行った。
残された俺と棗は苦笑して二人の背を見送った。
「俺達はストレートだからな。あの苦しみは良く解らないな」
「うん。あれはあれで可愛いけどね」
「まぁ、そうだな」
けどそれを言うと美鈴は確実に拗ねる。俺と棗は顔を見合わせ苦笑した。
暫く美鈴が帰ってくるのを待っていると、ガチャリとリビングのドアが開いた。

「―――ッ!?」

ドアの先にいた人物を見て、思わず目を見開き、飛び上がった。
ちょ…佳織母さん?なんで、そんなに髪が逆立って…?
佳織母さんの髪はストレートだろ。しかも湿気に負ける感じもないサラサラの…。
それがなんで逆立ってるんだ?どっかの格闘漫画の何とか人みたいな逆立ちようだ。ドア潜れるのか?あれっ…。
「……佳織母さん?」
「なにかしら?…鴇」
「えっと。…その、聞いてもいいか?」
「……いいわよ」
聞ける雰囲気じゃない。
が、聞かないとその理由が解らない。
「その髪……どうした?」
「……ワックス塗ったの忘れたまま寝ちゃったのよ」
………。
…………くっ。
やばい…。笑える。笑っちゃいけないと分かってるが、笑えるっ。
駄目だ。我慢だ、我慢っ!
洩れてしまいそうな笑いを堪える為顔を逸らして口を手で覆う。
隣を見ると、棗も必死そうだ。
「……どうせ笑うならいっそ思い切り笑い飛ばして頂戴」
そう開き直った佳織母さんを、
「あはははははははっ!!ママ、何その髪型ーっ!!あははははははははっ!!」
俺達が笑い飛ばす前に、佳織母さんの後ろにいた美鈴が大爆笑。
腹を抱えて笑っている。
あ、駄目だ。もう無理。
「くくっ…はははっ!」
「あははっ、無理ぃっ!」
「佳織母さん、それはないよっ、はははっ!」
俺も、棗も、美鈴の後ろにいた葵も笑いを堪える事はもう無理だった。
腹を抱えて笑う。
「ママっ、ママっ!横に折り曲げてもいいっ!?あはははははっ!!」
「ちょ、美鈴っ!これ以上ママで遊ばないで頂戴っ!」
「あはっあはははははっ!!死んじゃうーっ!!」
「……美鈴っ!貴女も同じ目に合わせてあげるわっ!」
ガシッと襟首を掴まれる。
「え?」
「さぁ、仲良くお風呂行きましょうねー、美鈴」
「え?え?」
逆立った髪の母さんと一緒に美鈴は消えて行く。
俺達は笑いが消えて茫然と見送ったんだが…。
「ぶにゃーっ!!折角葵お兄ちゃんに直して貰ったのにーっ!!」
「おーほほほほっ!!仲良く髪を固めましょうねーっ!!」
「にゃあああああっ!!」
風呂場から美鈴の絶叫が聞こえる。
「…結局、この状況はなんだったんだ?」
「……鈴ちゃんの話によれば、作者が下手やったお詫び、らしいよ?」
「なんで僕達家族がお詫びしなきゃならない訳?」
俺達の間に沈黙が訪れた…。




※※※

近況で愚痴ってホントすみませんしたっ!
佳織母さんで笑って頂けたら幸いですっ!
反省しますっ!!

三木猫



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