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小学生編小話
命名会議
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「ちょっとピックアップしてみようよ」
「だな。棗、ちょっとその戸棚から紙とペン出して持ってこい」
「うん。分かったっ」
「うぅ~ん…。お兄ちゃん達も誠パパも漢字一文字だから、一文字で統一したいなぁ」
僕達はソファとテーブルの隙間に、ラグに直に座って顔つき合わせてうんうん唸っていた。
その理由はこれ。
「男の子、だもんねぇ」
そう。新たに産まれた僕達の弟の命名で悩んでいる、
父さんが僕達が名前を決めろって言ってくれたから早速辞書や携帯を使って色々調べているんだけど…。
候補は沢山あって悩む。
書くものを取りに行った棗が戻りそれぞれの前に紙とペンを置いて行く。それを素直に受け取って僕達は再び唸り始める。
「今ざっと携帯で調べて見たんだが」
そう言いながら、鴇兄さんは紙に候補を上げて行く。
僕達三人はそれを覗き込んだ。
「宝(たから)、心(こころ)、迅(じん)…」
「昴(すばる)、丞(たすく)、倭(やまと)…」
「うぅ~ん…ここまであると逆に困るねー」
「確かに」
でもどうしてかな?こう、ピンとくるのがない。
「何か、こう…パッとなる名前がいいな」
「?、鈴ちゃん。どういうこと?」
「うぅー…上手く説明出来ないんだけど…。多分ね?多分なんだけどね?すっごく明るい子になる気がするの。あくまで私の勘、なんだけどさー」
「ふぅん。明るい子、ね。なら、そっから少し絞ってみるか」
僕達はまた色々候補を上げて行く。
「明るい、って言うなら、太陽とかそれ系かな?」
「月とか星もありだろ」
「植物系もありだよ?」
「色のイメージはやっぱり父さんや鴇兄さんと同じ『赤系』だよね」
「うん。私もそう思う」
「じゃあ、月系はなしかな」
「植物…茜、とか?」
「それだと女の名前っぽくないか?」
「ええー。そうかなー」
「いっそ陽(よう)とかは?」
「悪くはないと思うけど…」
「なーんか違うんだよねー」
「うん。僕も鈴に同意」
あーでもない、こーでもないと話し合う。
その時、タイミング良く鴇兄さんの携帯がメールの着信を告げた。
鴇兄さんが携帯を手早く操作して、眉間に皺を寄せた。何か悪い事でも書いてたのかな?
三人でじっと鴇兄さんの反応を見ていると、その視線に気付いた鴇兄さんは苦笑しながら僕達にそのメールの画面を見せてきた。
『弟の瞳は美鈴と同じ澄んだ水色だぞ』
…父さんからのメールだったんだ。
「水色…なんでだろう。今植物から一気に離れた気がする」
「分かるよ、鈴ちゃん。やっぱり太陽関係がいいんじゃないかな?」
「太陽…お日様の言い方って他にどんなのあるかな?」
「朝焼け?」
「夕焼け?」
「火輪?」
「斜陽?」
「日輪?」
「烈日?」
皆で首を傾げながら色々あげていくけれど。どれも名前っぽくはない。
なら一文字だけ取る?
「烈日から頭文字だけとって『烈』とか?」
「悪くはない。悪くはないんだがなぁ…」
「しっくりこない、よねー」
うぅーん…。四人で再び考え込む。
「よしっ。甘い物食べようっ!働かない脳味噌をに糖分を与えようっ!作っておいた紅白の大福があるのーっ」
そう言って鈴ちゃんが台所に飛び込んで行った。
残された僕達三人は再び名前を考える。気付けばテーブルの上に紙が何枚も乱雑に置かれ埋まっていた。
「どれも微妙、だよね」
「うん。しいてあげるなら『烈』が今の所一番かな」
「だな」
「でもさー?私思うんだけど」
カチャカチャとお盆の上の食器を鳴らしながら鈴ちゃんが戻って来た。皆でテーブルを片付けつつ鈴ちゃんの言葉の続きを待つ。
テーブルに鈴ちゃんはお盆ごと置いて、和菓子に合う様にと湯呑に入れてくれたお茶を配っていく。
「誠パパに似てると言えど、ママの血を感じるんだよね。二人の子だから当然なんだけどさ。それで『烈』なんて強い名前をつけちゃったら…何か駄目な気がする」
………確かに。
誰よりも凶暴になるってことだよね。
配られた鈴ちゃん特製の大福を手に取り口に含む。鈴ちゃんの作るものは何でもおいしい。
「美しさと言うか品性と言うか、そう言う物を自然と身に着けてくれればいいって願いを入れたい所だな」
「うん」
「ってなると…太陽関係で強烈にならない…例えば夕日からとって、夕(ゆう)とか?」
少し柔らかいイメージにならないかな?
そう思って口にすると、鈴ちゃんがポンッと手を叩いた。
「朝日っ。あさひはどうっ!?」
「あさひ?」
「うんっ。確か朝日って一文字の漢字もあったよねっ」
「あぁ。あるな。『旭』って書く」
鴇兄さんが紙に『旭』と言う漢字を書く。
あぁ、しっくりくる。うん、これだっ!
「爽やか系で良い名前だねっ」
「綺麗だしねっ」
「漢字一文字だし」
「決定だな」
僕達は大きく頷くと、鴇兄さんも満足気に頷いた。
すぐさま鴇兄さんが父さんにメールして、即行で返事が来る。
それを四人で覗き込むと、
『良い名だ。佳織も祖母さんも喜んでるぞ』
と書かれていた。
僕達は良い名前が決められたと四人で喜び合った。
「だな。棗、ちょっとその戸棚から紙とペン出して持ってこい」
「うん。分かったっ」
「うぅ~ん…。お兄ちゃん達も誠パパも漢字一文字だから、一文字で統一したいなぁ」
僕達はソファとテーブルの隙間に、ラグに直に座って顔つき合わせてうんうん唸っていた。
その理由はこれ。
「男の子、だもんねぇ」
そう。新たに産まれた僕達の弟の命名で悩んでいる、
父さんが僕達が名前を決めろって言ってくれたから早速辞書や携帯を使って色々調べているんだけど…。
候補は沢山あって悩む。
書くものを取りに行った棗が戻りそれぞれの前に紙とペンを置いて行く。それを素直に受け取って僕達は再び唸り始める。
「今ざっと携帯で調べて見たんだが」
そう言いながら、鴇兄さんは紙に候補を上げて行く。
僕達三人はそれを覗き込んだ。
「宝(たから)、心(こころ)、迅(じん)…」
「昴(すばる)、丞(たすく)、倭(やまと)…」
「うぅ~ん…ここまであると逆に困るねー」
「確かに」
でもどうしてかな?こう、ピンとくるのがない。
「何か、こう…パッとなる名前がいいな」
「?、鈴ちゃん。どういうこと?」
「うぅー…上手く説明出来ないんだけど…。多分ね?多分なんだけどね?すっごく明るい子になる気がするの。あくまで私の勘、なんだけどさー」
「ふぅん。明るい子、ね。なら、そっから少し絞ってみるか」
僕達はまた色々候補を上げて行く。
「明るい、って言うなら、太陽とかそれ系かな?」
「月とか星もありだろ」
「植物系もありだよ?」
「色のイメージはやっぱり父さんや鴇兄さんと同じ『赤系』だよね」
「うん。私もそう思う」
「じゃあ、月系はなしかな」
「植物…茜、とか?」
「それだと女の名前っぽくないか?」
「ええー。そうかなー」
「いっそ陽(よう)とかは?」
「悪くはないと思うけど…」
「なーんか違うんだよねー」
「うん。僕も鈴に同意」
あーでもない、こーでもないと話し合う。
その時、タイミング良く鴇兄さんの携帯がメールの着信を告げた。
鴇兄さんが携帯を手早く操作して、眉間に皺を寄せた。何か悪い事でも書いてたのかな?
三人でじっと鴇兄さんの反応を見ていると、その視線に気付いた鴇兄さんは苦笑しながら僕達にそのメールの画面を見せてきた。
『弟の瞳は美鈴と同じ澄んだ水色だぞ』
…父さんからのメールだったんだ。
「水色…なんでだろう。今植物から一気に離れた気がする」
「分かるよ、鈴ちゃん。やっぱり太陽関係がいいんじゃないかな?」
「太陽…お日様の言い方って他にどんなのあるかな?」
「朝焼け?」
「夕焼け?」
「火輪?」
「斜陽?」
「日輪?」
「烈日?」
皆で首を傾げながら色々あげていくけれど。どれも名前っぽくはない。
なら一文字だけ取る?
「烈日から頭文字だけとって『烈』とか?」
「悪くはない。悪くはないんだがなぁ…」
「しっくりこない、よねー」
うぅーん…。四人で再び考え込む。
「よしっ。甘い物食べようっ!働かない脳味噌をに糖分を与えようっ!作っておいた紅白の大福があるのーっ」
そう言って鈴ちゃんが台所に飛び込んで行った。
残された僕達三人は再び名前を考える。気付けばテーブルの上に紙が何枚も乱雑に置かれ埋まっていた。
「どれも微妙、だよね」
「うん。しいてあげるなら『烈』が今の所一番かな」
「だな」
「でもさー?私思うんだけど」
カチャカチャとお盆の上の食器を鳴らしながら鈴ちゃんが戻って来た。皆でテーブルを片付けつつ鈴ちゃんの言葉の続きを待つ。
テーブルに鈴ちゃんはお盆ごと置いて、和菓子に合う様にと湯呑に入れてくれたお茶を配っていく。
「誠パパに似てると言えど、ママの血を感じるんだよね。二人の子だから当然なんだけどさ。それで『烈』なんて強い名前をつけちゃったら…何か駄目な気がする」
………確かに。
誰よりも凶暴になるってことだよね。
配られた鈴ちゃん特製の大福を手に取り口に含む。鈴ちゃんの作るものは何でもおいしい。
「美しさと言うか品性と言うか、そう言う物を自然と身に着けてくれればいいって願いを入れたい所だな」
「うん」
「ってなると…太陽関係で強烈にならない…例えば夕日からとって、夕(ゆう)とか?」
少し柔らかいイメージにならないかな?
そう思って口にすると、鈴ちゃんがポンッと手を叩いた。
「朝日っ。あさひはどうっ!?」
「あさひ?」
「うんっ。確か朝日って一文字の漢字もあったよねっ」
「あぁ。あるな。『旭』って書く」
鴇兄さんが紙に『旭』と言う漢字を書く。
あぁ、しっくりくる。うん、これだっ!
「爽やか系で良い名前だねっ」
「綺麗だしねっ」
「漢字一文字だし」
「決定だな」
僕達は大きく頷くと、鴇兄さんも満足気に頷いた。
すぐさま鴇兄さんが父さんにメールして、即行で返事が来る。
それを四人で覗き込むと、
『良い名だ。佳織も祖母さんも喜んでるぞ』
と書かれていた。
僕達は良い名前が決められたと四人で喜び合った。
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