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幼児編小話

ホテルから村へ(五話誘拐事件前:文)

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金山さんの用意してくれたリムジンに再び乗り込み、オレ達はまた車に揺られていた。
「あ、あー…あ、アンチエイジングっ!」
「ぐ、ぐ…グアテマラ」
「ら?らー…ランドセル」
「ルーレット」
「東南アジア」
「アイス」
「スイス」
「するめ」
することがなくて、佳織さんから始まったしりとり。
けどここまでやって気付いたけど、何か制限をしないとずっと続きそうだ。
それに飽きてくるだろうし。
結局ある程度やってオレがボロを出した所で終了した。
また他愛もない話をして。でもある程度してくると話のネタも切れて沈黙が流れ始める。
「そう言えば、金山さ~ん」
いきなり姫ちゃんが前にある運転席との仕切りまで進み、小窓を開けた。って言うかそんな所に小窓あったんだー…。
「お嬢様?」
「金山さんもずっと一緒に行動するのー?」
「いいえ。残念ですが、お嬢様たちをお送りした後、帰ります。あぁ、ですが御呼び頂ければ、何処からでも参りますよ」
「あははっ、何処からでも何て無理だよー」
「ふふふ。そんな事ありませんよ、お嬢様。お嬢様が呼んで下されば例え地球の裏でも参ります」
姫ちゃんは信じていないのか笑っているが…。
オレが鴇達に視線を巡らせると笑っていない。多分、実際姫ちゃんが呼んだら地球の裏でも金山さんは来そうだな…。
姫ちゃんに限らず、白鳥家の人間が呼んだらきっと来るんだろう。
「奥様。昼食はどうなさいますか?」
「そうねぇ…。何処かおすすめある?」
「おすすめでございますか?皆様は何を食べたいですか?」
食べたいもの…かぁ。特にこれといってないけれど…。
「お蕎麦、食べたいわ~」
と言う佳織さんの一言で、お蕎麦屋さんに行くことに決まった。
少し早めの昼食だけれど、朝も早かったから丁度いい。それに、金山さんが言うにはこっから先店らしい店もないらしいので今入るしかない。
金山さんの運転が止まり、オレ達は揃って車を降りる。
…え…?
まさかの料亭風蕎麦屋?…マジ?
こわごわと中に入ったけれど、あっさり個室へ案内されて、美味しい美味しい蕎麦を食べた。
昼食を終えて、再び車に乗り込む。
暫し普通の道を走って。

ぐらっ。

いきなり車が揺れた。
山道に入ったのかな?

ガタゴトガタゴトッ。

車でこんなに揺れるってどゆことっ!?
そっと窓の外を見てみると…あれ?車輪が…道路はみ出てない?
「きゃーっ」
姫ちゃんの叫びが聞こえて慌ててそちらを見ると、姫ちゃんが葵の足にダイブしていた。
軽すぎて体が跳ねまくってるみたいだ。
車が揺れる毎に跳ねて、今度は棗の上。段々楽しくなって来たのか、三人はきゃっきゃっとはしゃいでいる。
が、オレ達は…。
そっともう一度窓の外を見る。……タイヤ、落ちてるよね?
なんで走れてるのかな?これは疑問に思っちゃダメなあれかな?
鴇の顔を窺う。あ、目を閉じてる。考える事放棄したな?
なら、オレもそうしよーっと。
目を閉じて、車に揺られるままにしていたら、気付けば到着していた。
荷物を受け取って、佳織さんの実家の家の前に立つ。
「それでは、皆様。私はこれで」
金山さんが戻って行ったのを見送り、オレ達は佳織さん達の挨拶が終わるのを外で待つ。
その後、色々事件がある度に金山さんが現れる。有言実行ってこう言う事を言うんだーって実感する事になるんだけど。
この時のオレはまだそれを知らない。
………出来ればずっと知りたくなかったなぁ……。

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