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最終章 数多の未来への選択編

※※※(海里視点)

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「……すよー………」
ボクの寝息じゃないよ?
この寝息はボクじゃなくて、鈴先輩の寝息。
どうしてレッスン室で卍描いて寝てるんだろう…?
今日レッスン室に一番乗りだったボクは、ドアを開けていきなり卍型で力尽きている鈴先輩を見て驚いた。
どうしたらいいんだろう?
取りあえず風邪引くといけないから、ボクの制服のジャケットでもかけておこ……あれ?でもボク達が近づいたら起きちゃうかな?
鈴先輩、男性恐怖症でボク達が近づいたら気配で起きちゃうし。
…夢姉連れて来る?
でも夢姉、今日歌番のリハがあるからって早くインしてる筈だし…。
…………………。
せめて暖かくして寝る為に…。
レッスン室のドアを閉めて、誰にも邪魔されないようにボクは閉めたドアを背に座った。
おやすみなさい。
これで誰かしら来たら起きれるしね。

…………すよすよ……。

ゴンッ。
「…………痛い…」
「そらそうだろ。痛くなる様に殴ったんだからな。お前なんつー場所で寝てんだ」
この声は透馬兄?
目を開けると呆れたように笑う透馬兄の顔があって、ボクの体は床に倒れていた。
「大体、想像はつくけどな。ほら、とっとと退け。中に姫がいるんだろ?」
「そうだった」
急いで立ち上がってドアを開ける。すると中では相変わらず鈴先輩が卍型で眠っていた。
「あーあー。なんつー格好で」
透馬兄は普通に鈴先輩に近寄り、先輩のほっぺをつついた。
「ひーめー。おーい、姫ー?起きないと顔に床の痕がつくぞー」
ボクがその様子を遠くからジッと見ていると、透馬兄がその視線に気付いて今度は少し強めに鈴先輩の肩を揺すった。
「………ふみぃ~……HARDモードが……ガチ、過ぎて、……つらぁ…」
「何か楽しい寝言言ってんな。こりゃまたゲームのし過ぎか?」
「鈴先輩、ゲームにはまってるの?」
「みたいだな。毎日プライベートな時間はそれに注ぎ込んでるっぽい。ほら、姫。しゃっきりしろ。ってーか、寝るならここじゃなくて家で寝ろ」
「……んー…起きる」
もっそりと起き上がった鈴先輩は目を擦って漸く目を開けた。
「ふあ~ぁ…。…うん、寝不足には慣れてるから大丈夫っ!さっ、早速仕事しようかっ。海里くん、スケジュール表持って来てる?」
スッと切り替えるあたり流石だと思う。
でも、まだ皆揃ってないんだけどな。いいのかな?
取りあえず、鈴先輩に渡されたスケジュール表と担当分けしたのを記したメモをセットで渡した。
「…うーんと…、……やれる事をやるのは悪い事じゃないと思うけど…海里くん。海里くん、この一尺八寸山の登山チャレンジって本当に出来るの?」
「?、山登りですよね?一尺八寸って書くって事は、小さい山…」
「……そんなに小さくないし、【いっしゃくはっすん】と書いて【みおうやま】って読むんだよ~」
「え?」
「………改めて見直そっか」
「はい」
「透馬お兄ちゃんも一緒に見直し作業してくれる?」
「おう」
鈴先輩と透馬兄と三人でもう一度仕事の仕分けをしていた時、ふと思い出したので聞いてみる事にした。
「昨日、言われたんですけど、ボク達の仕事って本来他の人に行く筈の仕事だったって」
「え?」
「それって本当なんですか?」
ボクの言葉に一瞬驚いたようにキョトンとした鈴先輩はそこからフッと優しく微笑んだ。
「本当だったら、どうするの?」
「え?」
「仕事、譲る?」
そんな事、出来ない。
ボク達だって駆け出しだし。人に仕事を譲る程仕事がある訳じゃない。
「海里。お前達がつこうとしている仕事は、生半可な気持ちでつける仕事じゃないぞ。言い方は悪いが相手を蹴落としてでも上がって行かなきゃならない。もしそれで食って行こうと思うならな」
「透馬兄…」
「そうだね。自分を商品にして売り込むってのはそう言う事だと思う」
二人の言う事は正しい。
ボクが言ってた事は甘いんだ。
でも、そんなボクを見て二人は笑った。
「だけどね、海里くん。私は出来ればホワイト企業にしたいんだよね。この事務所も」
「え?」
「私は、莉良さんとちゃんと話し合った人には、ちゃんとその人にあった仕事を渡してるよ」
そう言えば、昨日夢姉が似たようなこと言ってた。
どうせ面談してないんでしょっ、て。
「勿論、その人がやりたい事も考慮してね」
やりたい事も、か。
じゃあ、望んだ事もやらせてくれる訳だから…え?面談しないのって意味ないんじゃ…?
「もし海里くんが誰かに仕事を奪われたと言われたのなら、その人は莉良さんとなーんも会話しなかったんだろうね」
「そう、なのかな?」
「私は仕事一度与えた仕事を他に回すってことはしないよ」
「そういや、そうだな。ほら、思い出してみろよ、海里。お前達にやらせてる宿題。あれ姫が作ってるけど、やれそうな範囲で限界までやらせるだろ?」
「そう言われてみたら、そう、かも」
「それと同じで仕事もやれるものだけを渡してる。きっと面談してない奴らは莉良さんがどんな奴なのか読み切れてないから仕事がうまく回されてないんだろ。それに姫は出来なかった仕事は代役を立てて他に、ではなく、違う事務所に依頼している」
「正しくは樹財閥の芸能部門の方に流してるんだよね。逆にこっちも流されてくるんだけどね…。樹先輩から回されてくる案件、ほんっと面倒なのが多くて…」
「姫、愚痴は樹本人に言えな」
「は~い。後で鬼メル送っておく~。と言う訳で、はい、これが海里くんの分のお仕事ねー」
「あ、はい」
手元で仕分けだけは進んでいたんだね。鈴先輩。
鈴先輩に渡された手元の仕事リストを見てボクは固まった。
「せ、先輩…?」
「んー?どうしたのー?海里くん」
「ボクに、ドラマ関係の仕事が全て、来てるんだけど…」
「そだね」
「えっと…ボクに演技は…」
「イケるイケるっ!ファイトっ!」
「あ、はい。…が、頑張ります」
ボクに演技、…出来るかなぁ…?
「あ、あとそれからこれが陸実くんと空良くんの分ね」
「あ、はい」
受け取って、手元に来た陸と空に与えられた仕事の振り分けを見て、ボクは固まった。
陸のがバライティ―物に完全に振られており、空は殆ど歌番組に振られていた。
「強みを更にアピールしていこうねっ」
気のせいかな?
鈴先輩の言葉の語尾にハートがついているように聞こえた…。
透馬兄が力尽きた鈴先輩を連れて行ったのを見送り、ボクは陸と空来るのを待って仕事の予定表を二人に渡した。

予定表を渡されてから3日が過ぎて、今日は14日。
デビューの日だ。
カメラの前でボクと陸、空の3人は並んで話していた。
グループ名はアッフェ。
デビューしたら、どうしたい、夢はなんだ、等々、話したい事は全部話した。
ネットの生配信を流した後に、今度は有名歌番組に出演。
鈴先輩が用意した衣装を脱いで、次の現場へ移動。
ワゴン車に乗りこむと、透馬兄が運転席で待機していてくれて、助手席にはマネージャー…じゃなくて、莉良社長が座って膝に乗せたノートパソコンを叩いていた。
「ちゃんとシートベルト締めたか?発進するぞ」
「はーい」
返事を返して、全員がシートベルトを締めたかどうかバックミラーで透馬兄が確認して車が動き出した。
「次の現場は何処の局だったっけ?」
「えっとですねー」
莉良社長と透馬兄が道の確認をしている間にボク達は鈴先輩に言われた宿題をする。
「…ここが、こうなるから…Xの値は…」
「空、なぁ、ここってさ」
「…………………ねぇ、陸、海」
互いに解らない所を助け合いながらやっていると、空が珍しく話しを振りだしたのでボクと陸は動きを止めて空を見た。
「……………これって、もう、完全にバレてるよね…」
言われた事は直ぐに理解出来たので。
声を潜めて透馬兄達に聞こえないようにボクは答えた。
「まぁ、バレてるよね」
「…………だよね。陸が決めた作戦だし…」
「そりゃどう言う意味だっ!って言いたい所だけど、まぁ、バレてるのは確実だよな」
バレてるよね…ボク達が頭が悪くなったフリをしているって事が。
「だってさ。ボク達の理解力が衰えたと思ってたら、こんな難しい問題出してこないよ、鈴先輩なら」
「……………うん。激ムズ……」
「美鈴センパイに教わるようになってから勉強も楽しくなってきたし。高校の時なんて同じ学校に通えるのが嬉しくて堪らなかったもんな」
「小学校から一緒だった樹先輩達が本当羨ましかったし」
「……………その前から一緒だった先生達、嫉ましい…」
うんうんと頷き合ってると、ぶはっと笑い声が聞こえた。
驚いて前を見ると、運転席で透馬兄が笑っていて。
しっかりと今までの内緒話が聞こえていた事が解る。
「お前達、マジでばっかだなー」
「ちょっとちょっと天川さん。折角可愛い話聞けてたのにっ」
「あぁ、ごめんごめん。あんまりバカ可愛い事言うもんだから」
くっくっくっと口を抑えて笑う透馬兄にちょっと腹が立って、仕返しに結ばれた髪にファンシーなリボンを括りつけたやった。
クラスの女子に頑張ってって貰ったとっても可愛い水玉ピンクのリボン。
「…………視界にすら入れないんだから、馬鹿でもやれることはやる」
「成程なぁ。けどま、姫の視界に入るにはかなりの努力が必要だろうな」
「してるし、し続けてるってのっ!」
陸の言葉にボク達は大きく頷く。
けど透馬兄はそんなボク達の反応を見てまた笑った。
「透馬兄。笑い過ぎ」
透馬兄の大人な余裕にボクは少し腹が立った。そんなに笑う程無理な恋ってことか、と。
じっとりと睨みつけると、透馬兄と視線が合った。バックミラー経由で。
その眼にボクの体はビクついた。本気の時の…透馬兄の目。……怖いなんてもんじゃなかった。体が震える。
視線は一瞬だった。それでも恐怖を感じるには十分な時間だった。
透馬兄はすぐに口元と目元を和らげ、言った。
「姫に守られてるようじゃまだまだ努力が足りねぇな」
「………」
「解ってるか?お前ら。お前達は今姫におんぶに抱っこ、更には飯まで与えられてる状態なんだぞ?」
「そ、れは…」
「全部お膳立てして貰って、それをやっとの事でこなして、で努力?笑っちまうだろ」
反論が出来ない。
透馬兄は表情を和らげて言ってくれているけれど、言葉がぎゃんぎゃんと刺さってくる。
「男が怖いって言ってる女の子をこんな肉食系の男しかいないような所に巻き込んで、視界に入る?無理無理。今の姫にはお前達を成功させようって事しか頭にねぇよ」
ガンッと金槌で頭を殴られた気がする程の衝撃を受けた。
ちらっと左右を見ると二人はボク以上にダメージを受けている。
「………天川先生ってこんな言葉厳しかったか…?」
「……………………………死んじゃう………」
ボクは元々の透馬兄を知っていたからこの程度ですんでるのかもしれない。
左右で窓に頭をつけて落ち込んでいる二人よりはまだ軽傷だ。
あと、もう一つ、透馬兄が厳しく言ってる理由が解るから、尚更傷は浅くすんでいる。
「透馬兄、怒ってる?」
「……海里。なんでそう思う?」
「ボク達が、鈴先輩に甘えきってる、から」
「………その位で俺は怒ったりしねぇよ。俺も勿論アイツらもな」
「じゃあ、なんで」
「お前達がもっと早く俺達を頼ってくれたらって拗ねてはいる」
「え?」
「お前達が真っ先に声をかけたのが姫だった。それは姫と一緒にいたいからだってのは理解してるしその気持ちも、まー男なら誰しもが通る道だから痛いほど解る。けどな、お前ら姫の仕事量、知ってるか?」
「鈴先輩の仕事量?」
赤信号で車がタイミング良く止まったからか、透馬兄は手早くスマホを開き操作してボクに投げてよこした。
その画面を見ると、どうやらスケジュール表みたいだ。
時間所か分刻みに予定がびっしり。
空いてる時間なんて殆どない…あ、でも夜はほとんど入ってない。
「それが姫のスケジュールだ。PM6時以降は仕事を入れないってのはモットーらしい。プライベートな時間は絶対取るって言いはってそれを実行してるのが姫っぽいだろ」
それは、そうだけど…え?本当に?
「じゃ、じゃあ、ボク達もしかして鈴先輩のプライベートな時間を奪ってる…?」
ガバっと体ごと窓から離れ、ボクが見ているスケジュールを横から二人も覗き込んで、顔を青くした。
だって鈴先輩が来るのはいつもこのプライベートな時間だから…。
「ちょ、ちょっと私も見せて貰ってもいいですか?」
慌てて振り返った莉良社長にボクは透馬兄に確認をとってから渡す。
するとその画面を見た莉良社長も青褪めた。
「彼女の仕事についていったことはありますが、まさかこんなにとは」
「社長が来た時は社長に解りやすくする為にセーブしてたんだろうな」
「…………私、頑張りますっ!早く、彼女を解放出来るようにっ!」
社長は拳を握り、大きく宣言して、透馬兄にスマホを返した。
そこからの社長のパソコンを叩くスピードは凄かった。
「正直な話。お前達が真っ先に俺達を頼ってくれるって考えに及ばなかった程度には教師としては失格だったってことか、って多少落ち込んだんだよ」
「そんな事はっ」
「ん?あぁ、解ってるって。本当は誰も頼る気はなかったんだろ?でも姫との関わりを立たずに済むには、って色々考えた結果だったんだろ?お前達なりに」
「…うん」
「全部ちゃんと解ってるし、その行動が馬鹿みたいに可愛かっただけだ。青春って感じだよな」
「うぅ…」
何でもお見通し感が恥ずかしくて堪らない。
「ま、今度からは俺達にも言えよ?生徒の手助けくらいさせろよな」
「透馬兄…」
「あ、それはそれとして、姫を口説くつもりなら、まずは俺達を捻じ伏せてみるんだな」
「えっ!?」
「俺達くらい乗り越えないと、あの兄弟の壁は壊せねぇぞ?」
明るく言う透馬兄の言葉にボク達は固まった。
車はボク達が固まっている間に到着し、ボク達は入り口前で降ろして貰い莉良社長の後をついていく。
「良く考えなくても、美鈴センパイへの道程、厳し過ぎねぇ?」
「うん。透馬兄達は自分達を捻じ伏せろって言うけど、多分その前に樹先輩達って言う壁があるよね?」
「……………その前にもある。…夢姉…」
「あー……」
「ハードル(しかない)走って感じ…」
ボク達は大きくため息をついた。
そんな中、パァンと陸が自分の顔を両手で挟む様に叩いた。
「…ッ…、負けてたまるかっ!!」
「陸?」
「ハードルがなんだってんだっ!!オレ達はどん底からここまで這いあがって来たんだっ!!絶対絶対諦めねぇからなっ!!だろっ!?」
こう言う陸の強さは、本当に凄いと思う。
落ち込んだ時、陸はいつもまず自分を怒って、更にボク達を引っ張り上げてくれるんだ。
「うんっ、諦めないっ!!」
「……まずは、今は歌番組の初出演を成功させるっ!」
「おうっ!!行こうぜっ!!」
陸と空。二人と拳をぶつけて、ボク達は胸をはって現場入りした。
それを後ろの方で透馬兄が笑いながら見ていた…らしい。ボク達は撮影に集中して気付けなかったけれど。
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