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最終章 数多の未来への選択編
御三家おまけ小話 とあるアルバイト店員の話
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「先生。まだ悩んでらっしゃるんですか?」
「んー……」
おれがこの天川透馬大先生に弟子入りして一か月。
先生が作品を作る度に、こうして悩んでる姿をもう何度見ただろうか?
おれから見れば、一体何が違うのかさっぱり解らない。
だって見た目完璧で…。先生のこだわりポイントなんだろうけど…。けど、翌日になると大抵テンション高く出勤してきて、更にクオリティの高いものを作り上げる。
一先ず先生にお茶を置いて、おれは先生の工房を出た。
工房と一つになっている店に出て、店番をする。
「こら、バイト。来た早々椅子に座るな。店番は立ってしろ」
「えー、だってお客いないっすよー。座って先生の作品をガン視してたいっす」
「はぁ?んなの許す訳ねぇだろ。先輩の俺ですらまだ見きれてねぇってのにっ」
「そんなの要領が悪いだけじゃないっすかー」
「あぁん?仕事増やしてやろうか?後輩」
おっと、やべ。
先輩の目が吊り上がったわ。
逃げるが勝ちってね。
「店外掃除行って来まーすっ」
「あっ、こらっ。…くそっ、調子の良い奴」
箒とバケツを持って店の外へ逃げる。
「よしっ。やるぜっ」
箒で店の端から端まで綺麗にする。
「……こんにちわ?」
店の前で掃除してると、滅茶苦茶綺麗な女の人に話かけられた。
「すげー…金のほわほわ」
「ふみみ?」
いっけね、思わず固まってしまった。
店の外で掃除してておれに話かけるって事はお客さんだよなっ。
「えっと、お客さん?」
「貴方は新しい店員さん?」
「おうっ」
「そっかぁ」
にこにこと微笑む目の前の女性はちょっと綺麗過ぎて目が…。
若干目を細めて、神々しさから目を守りつつ、その人の姿を確認する。
…新しい店員だって解るって事は、てっきり常連さんなのかと思ったら…つけてるのは指輪だけ。薬指…左手…結婚指輪?
もしかして、結婚指輪だけは先生の指輪にしようって言う…先生の顔目当てのミーハー?
だとしたら…先生に合わせてなんかやるもんか。おれが接客してさっさと帰って貰おう。
先生は今お悩み中だしなっ。面倒な事はおれ達が引き受けるのが常ってもんだろ。
「今日は何をお探しに?」
「今日は、透馬にお弁当を届けに」
「えっ!?」
も、もしかしてミーハー通り越して、追っかけっ!?ストーカーっ!?
駄目だ駄目だっ!絶対会わせてやるもんかっ!!
「今、透馬先生は忙しいので」
「ふみ?んー…確かにそうかも。何か悩んでたもんね」
えええーっ!?
なんでそんな事まで把握済みっ!?やべーっ!この人やべーっ!!
「あ、あのですね?透馬先生は、本当に凄い人で」
「ふみ?」
「あの有名アイドルグループのアッフェの海くんが尊敬して、新作が出来ると必ず愛用してる、とか言う本当にヤバいくらい凄い人でっ」
「……海里くん、透馬に心酔してるもんねぇ」
うええええーっ!?
全然ダメージいってないっ!?
ど、どうすれば、諦めてくれるんだろうっ!?
えっと、えーっとっ!?
「そ、そうっ!透馬先生には、超美人な奥さんがいるんですよっ!だからっ!!」
「あ…成程。そっか、そっか」
「だからっ、あのっ、ストーカーは駄目なんですっ!絶対ダメっすっ!」
「うんうん」
あぁ、何か空回ってるぅ~っ!
でも、守らなきゃっ!!透馬先生はおれが見つけた唯一の職人なんだっ!
「と、とにかくお客さんじゃないなら帰って下さいっ!」
「ふふっ。必死だね~。…でも、そうだなぁ。帰ってもいいけど、このお弁当も渡したいし…ちょっと覗くだけ、でも、ダメ?」
「み、店から、工房、覗く、だけ、なら」
うぅ…美人のおねだり…反則だ。
店の中に入ると、
「いらっしゃいませー」
先輩がにっこり笑った後に目を丸めて驚いた。
後ろにいた美人を知ってるのかと思って振り向くと、彼女は微笑むだけ。
もう一度正面、先輩の方を向くと苦笑していた。
何が何やら解らないけど、一先ず工房が見える場所へとこっそり向かう。
工房のドアを少ーしだけ開けて、二人並んで中を覗く。
「透馬」
あっ、しまったっ。声かけちゃダメって言い忘れてたっ!
先生に言い訳しようと覚悟を決めたのに、先生の反応は全く違った。
先生がぐるんっと勢いよく振り返って、こっちを見てパァァッと後光が照らす位に笑む。
「美鈴っ!何だっ?どうしたっ?一人で来たのかっ!?」
「え?」
椅子から立ち上がり、見た事も無い速さでこっちへ駆け寄り、おれを押し退けて彼女を抱きしめた。
「真珠さんに送って貰ったの~。お弁当届けに来たよ~」
「そうかっ。美鈴の飯っ!待ってろっ!今、机開けっからっ!」
え?え?
先生のあんな速度見た事ねぇんだけど…。
ぽかんと口を開けていると。
ポンッと肩に手を置かれた。
そっちを見ると、そこには先輩がいた。
「…あちら、透馬先生の奥さんで美鈴さんだ」
「あ、はい、なるほ…えええええっ!?」
嘘ウソうそぉっ!?
「せ、先生の奥さんっ!?」
「そうだ」
「だ、だってっ!先生の奥さんは美人でっ」
「美人だろ?」
「料理も激うまでっ」
「いつもくれる差し入れ美味いよな」
「何より、透馬先生に溺愛されてっ!!」
「あれが目に入らぬか?」
「めっちゃ距離近っ!?」
近いと言うかもうあれは膝の上だなっ!?
透馬先生の膝の上にちょこんと座らせられて、しかも透馬先生の口にせっせとご飯を運んでいる。
先生デレデレだ…。
「……えーっと…」
言葉も出ず。
ただ二人の光景を眺めていると、先生がようやっとこっちに気付いてくれた。
「あーっと、そうだ。言い忘れてたな。俺の可愛くて綺麗で天使な嫁の美鈴だ」
「前フリが長すぎる~…まぁ、透馬は置いとくとして、美鈴です。さっきはごめんね?つい焼き餅やいてる貴方が可愛くて」
「おい、美鈴。男に可愛いは褒め言葉じゃないぞ」
「うん、それはまぁ、そうだけど。女子には褒め言葉の事多いよ、ね?」
「え?」
「ボーイッシュな姿も可愛いし、おれって一人称も似合えば可愛いし、ね?」
「え?」
「ねー?」
あ、あぅ…。
ばれてる。絶対にばれてる。
「今度一緒にお茶しようねー?」
先生の膝の上から降りた奥さんに手を握られニッコリ微笑まれた。
「……え?」
「透馬。まだ気付かないのー?私が、触れる相手だよ?女の子に決まってるじゃない。ねー?」
「う、ぁ、は、はい…」
「お茶しよう、お茶ー。もういっそ今からしようっ」
奥さんに手を引かれ、奥へと連れて行かれる。
脳味噌が全く付いて行かない。
「……はああーっ?」
どうやら透馬先生も同じだったらしくホッとした。
その後直ぐ追い掛けて来た透馬先生に謝られたんだけど、それだけで先生は仕事しろとあっさりと部屋を追い出された。
先生の奥さんは本当に可愛い人で。
先生の奥さんなだけはあった。奥さんに会えておれは益々先生のファンになった。
なったんだけど…先生の奥さん愛を毎日語られるのは、流石に引く…ってのは、おれの心の中だけの秘密である。
「んー……」
おれがこの天川透馬大先生に弟子入りして一か月。
先生が作品を作る度に、こうして悩んでる姿をもう何度見ただろうか?
おれから見れば、一体何が違うのかさっぱり解らない。
だって見た目完璧で…。先生のこだわりポイントなんだろうけど…。けど、翌日になると大抵テンション高く出勤してきて、更にクオリティの高いものを作り上げる。
一先ず先生にお茶を置いて、おれは先生の工房を出た。
工房と一つになっている店に出て、店番をする。
「こら、バイト。来た早々椅子に座るな。店番は立ってしろ」
「えー、だってお客いないっすよー。座って先生の作品をガン視してたいっす」
「はぁ?んなの許す訳ねぇだろ。先輩の俺ですらまだ見きれてねぇってのにっ」
「そんなの要領が悪いだけじゃないっすかー」
「あぁん?仕事増やしてやろうか?後輩」
おっと、やべ。
先輩の目が吊り上がったわ。
逃げるが勝ちってね。
「店外掃除行って来まーすっ」
「あっ、こらっ。…くそっ、調子の良い奴」
箒とバケツを持って店の外へ逃げる。
「よしっ。やるぜっ」
箒で店の端から端まで綺麗にする。
「……こんにちわ?」
店の前で掃除してると、滅茶苦茶綺麗な女の人に話かけられた。
「すげー…金のほわほわ」
「ふみみ?」
いっけね、思わず固まってしまった。
店の外で掃除してておれに話かけるって事はお客さんだよなっ。
「えっと、お客さん?」
「貴方は新しい店員さん?」
「おうっ」
「そっかぁ」
にこにこと微笑む目の前の女性はちょっと綺麗過ぎて目が…。
若干目を細めて、神々しさから目を守りつつ、その人の姿を確認する。
…新しい店員だって解るって事は、てっきり常連さんなのかと思ったら…つけてるのは指輪だけ。薬指…左手…結婚指輪?
もしかして、結婚指輪だけは先生の指輪にしようって言う…先生の顔目当てのミーハー?
だとしたら…先生に合わせてなんかやるもんか。おれが接客してさっさと帰って貰おう。
先生は今お悩み中だしなっ。面倒な事はおれ達が引き受けるのが常ってもんだろ。
「今日は何をお探しに?」
「今日は、透馬にお弁当を届けに」
「えっ!?」
も、もしかしてミーハー通り越して、追っかけっ!?ストーカーっ!?
駄目だ駄目だっ!絶対会わせてやるもんかっ!!
「今、透馬先生は忙しいので」
「ふみ?んー…確かにそうかも。何か悩んでたもんね」
えええーっ!?
なんでそんな事まで把握済みっ!?やべーっ!この人やべーっ!!
「あ、あのですね?透馬先生は、本当に凄い人で」
「ふみ?」
「あの有名アイドルグループのアッフェの海くんが尊敬して、新作が出来ると必ず愛用してる、とか言う本当にヤバいくらい凄い人でっ」
「……海里くん、透馬に心酔してるもんねぇ」
うええええーっ!?
全然ダメージいってないっ!?
ど、どうすれば、諦めてくれるんだろうっ!?
えっと、えーっとっ!?
「そ、そうっ!透馬先生には、超美人な奥さんがいるんですよっ!だからっ!!」
「あ…成程。そっか、そっか」
「だからっ、あのっ、ストーカーは駄目なんですっ!絶対ダメっすっ!」
「うんうん」
あぁ、何か空回ってるぅ~っ!
でも、守らなきゃっ!!透馬先生はおれが見つけた唯一の職人なんだっ!
「と、とにかくお客さんじゃないなら帰って下さいっ!」
「ふふっ。必死だね~。…でも、そうだなぁ。帰ってもいいけど、このお弁当も渡したいし…ちょっと覗くだけ、でも、ダメ?」
「み、店から、工房、覗く、だけ、なら」
うぅ…美人のおねだり…反則だ。
店の中に入ると、
「いらっしゃいませー」
先輩がにっこり笑った後に目を丸めて驚いた。
後ろにいた美人を知ってるのかと思って振り向くと、彼女は微笑むだけ。
もう一度正面、先輩の方を向くと苦笑していた。
何が何やら解らないけど、一先ず工房が見える場所へとこっそり向かう。
工房のドアを少ーしだけ開けて、二人並んで中を覗く。
「透馬」
あっ、しまったっ。声かけちゃダメって言い忘れてたっ!
先生に言い訳しようと覚悟を決めたのに、先生の反応は全く違った。
先生がぐるんっと勢いよく振り返って、こっちを見てパァァッと後光が照らす位に笑む。
「美鈴っ!何だっ?どうしたっ?一人で来たのかっ!?」
「え?」
椅子から立ち上がり、見た事も無い速さでこっちへ駆け寄り、おれを押し退けて彼女を抱きしめた。
「真珠さんに送って貰ったの~。お弁当届けに来たよ~」
「そうかっ。美鈴の飯っ!待ってろっ!今、机開けっからっ!」
え?え?
先生のあんな速度見た事ねぇんだけど…。
ぽかんと口を開けていると。
ポンッと肩に手を置かれた。
そっちを見ると、そこには先輩がいた。
「…あちら、透馬先生の奥さんで美鈴さんだ」
「あ、はい、なるほ…えええええっ!?」
嘘ウソうそぉっ!?
「せ、先生の奥さんっ!?」
「そうだ」
「だ、だってっ!先生の奥さんは美人でっ」
「美人だろ?」
「料理も激うまでっ」
「いつもくれる差し入れ美味いよな」
「何より、透馬先生に溺愛されてっ!!」
「あれが目に入らぬか?」
「めっちゃ距離近っ!?」
近いと言うかもうあれは膝の上だなっ!?
透馬先生の膝の上にちょこんと座らせられて、しかも透馬先生の口にせっせとご飯を運んでいる。
先生デレデレだ…。
「……えーっと…」
言葉も出ず。
ただ二人の光景を眺めていると、先生がようやっとこっちに気付いてくれた。
「あーっと、そうだ。言い忘れてたな。俺の可愛くて綺麗で天使な嫁の美鈴だ」
「前フリが長すぎる~…まぁ、透馬は置いとくとして、美鈴です。さっきはごめんね?つい焼き餅やいてる貴方が可愛くて」
「おい、美鈴。男に可愛いは褒め言葉じゃないぞ」
「うん、それはまぁ、そうだけど。女子には褒め言葉の事多いよ、ね?」
「え?」
「ボーイッシュな姿も可愛いし、おれって一人称も似合えば可愛いし、ね?」
「え?」
「ねー?」
あ、あぅ…。
ばれてる。絶対にばれてる。
「今度一緒にお茶しようねー?」
先生の膝の上から降りた奥さんに手を握られニッコリ微笑まれた。
「……え?」
「透馬。まだ気付かないのー?私が、触れる相手だよ?女の子に決まってるじゃない。ねー?」
「う、ぁ、は、はい…」
「お茶しよう、お茶ー。もういっそ今からしようっ」
奥さんに手を引かれ、奥へと連れて行かれる。
脳味噌が全く付いて行かない。
「……はああーっ?」
どうやら透馬先生も同じだったらしくホッとした。
その後直ぐ追い掛けて来た透馬先生に謝られたんだけど、それだけで先生は仕事しろとあっさりと部屋を追い出された。
先生の奥さんは本当に可愛い人で。
先生の奥さんなだけはあった。奥さんに会えておれは益々先生のファンになった。
なったんだけど…先生の奥さん愛を毎日語られるのは、流石に引く…ってのは、おれの心の中だけの秘密である。
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