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最終章 数多の未来への選択編

※※※

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「………」
「………」
「鈴ちゃん?佳織母さん?」
大丈夫だよ、葵お兄ちゃん。そんな心配そうな顔しないで。私、ちゃんと解ってるから安心してっ!
すっくりと立ち上がって…キッチンに行って目的の物を持って、うん、これで良し。

「行くわよ、美鈴っ!!」
「おーっ!!」

私の手には包丁と大根。ママの手には日本刀(金山さん秘蔵刀)とゴボウ。
準備はオッケーっ!
いざ行かんっ!!爺を抹殺しにっ!!
「こらこら。ちょっと待ちなよ。王子も佳織さんも」
「止めないでっ!円っ!」
「そうよっ!クソ爺の血は絶やすべきよっ!」
「そうじゃないって。二人共。暗器とかかく乱する道具も必要だから、ほら、小麦粉と果物ナイフ。それからアタシにも誰か日本刀を」
「えっと、スタンガン…スタンガンは何処だったかな?こっちの鞄にパソコンと一緒にしておいたような…?」」
どんどん武装されて行く私達とそれを見て呆れている葵お兄ちゃんと棗お兄ちゃん、そして理解出来てない風間くん。
『美鈴。落ち着け。佳織母さんも戻って来い』
「だって、鴇お兄ちゃんっ!!人間として屑な連中だよっ!?」
『知ってる。けどな、その人間的な屑のトップは多分今瀕死状態だろ』
「ふみ?」
瀕死状態?どうして?
私がキョトンとして足を止めると、隣でママがポンッと手を叩いた。
「そうね。良く考えたらあの爺結構な年齢よね。何か出来たとしてもたかが知れてるわ」
いそいそと戻るママに従うように私も席に戻る。
「鈴ちゃん。武器(包丁と大根)は僕が預かっておくね」
没収されちゃった…。しょんぼり。
『確かに年齢を考えると何も出来なさそうですけど…。でも瀕死状態と言えど動いている事は確かですよね。ジャックしたテレビの放送。さっき華菜ちゃんが携帯に動画を送ってくれたので見ましたけど。白鳥元総帥の声、で間違いないですよね?』
それは確かに。優兎くんの言葉に皆頷く。けれど、
「声なんてどうとでも出来るよ」
今のこのご時世。どんな道具だってあるんだから。似た声の人を探す事だってお金さえあれば出来る時代だし。
「ねぇ、誠パパ?助けを求められなかったって言っても、一応文美伯母さんの動きを把握はしてたんでしょ?」
『しているよ。だが…』
「だが?」
『ある日を境に詳細な報告が入らなくなった。原因をずっと探ってはいたんだが解らず今も尚探ってる状況だ』
「そうなんだ…」
そのある日って何時の事なんだろう…?
ちらっと時計を見ると時間はもうかなり過ぎており、時計の針は夜の七時を指していた。
「………もう、こんな時間なんだ…」
家は自家発電機で明かりがついているけれど…。
窓に寄って外を見るも、真っ暗で…出ていてもおかしくない筈の月も雲に隠されて出ていなかった。
「美鈴。どうするの?」
ママの言葉。どうするのって言葉には色んな意味が込められてる。
でも、私がどう動くか。そんなのもう決まっていた。
振り返り、皆に向かってニッコリと微笑む。

「紫さんとの一騎打ちを受けて立つっ!」

それ以外ないでしょっ!
「…美鈴ちゃん…」
何か言いたげな華菜ちゃんに私は頷いて、皆に向かってバンッと指を三本立てて見せた。
「理由は三つ。一つは白鳥順一朗絡みの人間を叩き潰す為。一つは市民の安全を取り戻す為。そして、最後の一つは紫さんの柵をたたっ斬る為」
「柵を…?」
「そう。誠パパの話す紫さんの印象と、さっきの紫さんの言葉。キャラが違い過ぎる。勿論、白鳥家を、そのトップに立つ私を恨む気持ちも多分にあるんだと思う。けどこんな大掛かりな事を仕掛ける事が出来るだけの知識を持った人間が、下調べもなしにこんな事をするとは思えない」
『…確かに。白鳥を調べる上で美鈴の事を調べない訳がない。となると…』
「可能性としては、…誰かにそれを強要されている、が一番有力だと思うわ」
私の言葉を鴇お兄ちゃんとママが引き継いだ。私も、そう思っていた。
賢い人間が、その賢さを自分の為に使わない。それはきっと誰かにそうせざるを得ない理由が付いた時だ。
『美鈴。指示を出せ』
「鴇お兄ちゃん…?」
『ゲーム、受けて立つんだろう?なら、指示を出せ』
そっか。そうだね。勝負を受けるって事はそう言う事だね。
まず考えるべきは、鴇お兄ちゃん達電話の向うにいる人達への指示。電気が止められた今。いくら自家発電機があると言えど、無駄に電力を使う訳にはいかない。
鴇お兄ちゃん達に頼めるのは、何か。
まずは、外の状況を教えて貰う事。これは絶対。私を含め白鳥家の大半はこっちに閉じ込められてる状態にある。仕事の事を含め世間への対応もして貰わなきゃいけない。
後は、もしもの時の為に市民を外に避難させる為にも避難経路を作っておきたい。その為には…地雷が邪魔。にしても、地雷…、地雷か…。地雷って本来そんな簡単に設置出来る物じゃない。地雷ってのは諸刃の剣なんだよね。今は遠隔操作出来るものとかもあったりするけど、昔は埋めたらもう踏んで爆発するまで解除する事が出来ないものもあったりした。未だに海外には地雷が残ってる場所がある。それはそういう理由があるからだ。
それから…良子お祖母ちゃんに紫さんの事を知らせる必要がある。
となると…。
「鴇お兄ちゃんと樹先輩は財閥の運営をお願い」
『分かった』
『了解だ』
「それから誠パパ。今いる場所が場所だからちょっと手間になると思うんだけど。…警察と連携をとってくれる?いつでも突入出来るように準備をして欲しい」
『直ぐに準備をするよ。そこに風間の子がいるね?』
風間の子と言う言葉に、ピクリと風間くんが反応を示す。
『君の父親とも連絡を取っておく。…安心するように伝えておくから』
「あ、ありがとうございますっ」
「そして、優兎くん。良子お祖母ちゃんと連絡をとってくれる?」
『…そっか。うん。それは僕の方が良いね。分かったよ、美鈴ちゃん』
四人がその後各々必要な事を私達に話して、電話は切れた。
さて、次だ。
今度はここにいる私達の割り振りだ。
まず、何を差し置いても人質(市民)の安全確保だよね。シェルターの数は…予備込みで18ヵ所にある。財閥の人間だけでもかなりの数だから、その家族、友達。友達の友達。シェルター18でも、もしかしたら足りないくらいかも…。となると逃げ遅れた人の捜索も同時に進行する必要がある。
そして、同時に紫さんのいる場所を探る必要がある。こっちに攻め入られる前に勝負を決めないといけないから、時間との勝負だし。
……きっと、あっちも何かしら考えて攻撃を仕掛けてくるし、防衛もしてくるだろう。それに爆弾の解除もしなきゃいけない。地雷の解除を内側から探る必要も出てくる。地雷に関しては外と内で同時進行しなきゃ…。
……やる事は大体理解している。問題は、人をどう分けるか。
その人選が、紫さんの言う所のゲームの駒、何だと思う。…人を駒とは言いたくないけどね。ゲームと言うのはそういう物だ。
テーブルに開かれた地図をじっと見つめ、シェルターの位置を確認する。
「…ねぇ、美鈴ちゃん…あのね」
「分かってるよ、華菜ちゃん。私もそう考えてたから」
華菜ちゃんの力は必要。パソコンでの情報収集、私達の参謀として情報処理をして貰う必要がある。でも、華菜ちゃんの力は、『逢坂くん』が側にいなければ十二分に発揮出来ない。
となると、まず救いに行くべきは逢坂くんが避難しているであろうシェルター。
戦う能力が強い人はなるべく分散させておきたいな。
戦闘能力が高い人は順に行けば、最強なのはママ、次いで葵お兄ちゃん、棗お兄ちゃん、真珠さんの四人。円も強いとは思うけれど、前にあげた四人は規格外の強さだから一緒にしちゃいけない。
逆に隠密行動には真珠さん以外は向いてない。この場にいる人間で隠密に向いてそうなのがいないのはネックだ。御三家のお兄ちゃん達がいれば、こういう時探りに動いてくれるんだけど。いない人を当てには出来ない。
「鈴。まずはどうするの?」
電話を切ってから私が黙り込んでいるのが気になったのか、棗お兄ちゃんが問いかけてきた。
「…紫さんは多分、数日かけて反撃してくると読んでいると思う。少なからず三日はかかると読んでると思うの。だから私は一日で勝負をつけたい。皆…協力してくれる?」
「当り前だよ。鈴ちゃん」
「指示を出して、鈴」
「爺殺す」
ママの殺気が半端ない。ってかママだけは返事じゃない。けど意見自体は同意しているから何も言わないでおく。
「動くなら、即行で動く。こんな誰かが紫さんを操った卑怯なテロゲームのルールに従うつもりはない。という訳で」
スチャッ。
ペンを取りだして現在位置を示す。勿論我が家、白鳥邸。
「まず、逢坂くんを探し出したい。逢坂くんと華菜ちゃん、二人の情報処理能力が今はかなり重要になってくる。逢坂くんの家の位置を考えると避難している場所はここ」
私はピンクのマーカーペンで第五シェルターのある場所に丸を付けた。
「円の家は隣の市にあるから、そこは円の家族への伝達は鴇お兄ちゃん達がどうにかしてくれる。誠パパが風間くんのお父さんの事を言っていたからそれも今は安心して良い。でも逢坂くんはこの市に住んでいる。そして、今日は家の用事があるとかで大学を休んでいた。となると第五シェルターにいると思う。…ここには小学校の下。小学生も沢山避難している筈。近くには保育園もある。幼稚園も。幼い子達は多分ここに逃げ込んでいる。絶対に。…見せしめには一番向いている場所」
「見せしめ…」
「だけど、ここの爆弾を解除して取り戻せたら、逢坂くんを味方に引き入れられて、子供達の安全も確保出来る。だから、ここは確実に行かなきゃいけない。…ママ」
「任せなさい。確実に爆弾を撤去して逢坂くんを担いで帰ってくるから」
担いで…うん。今回も突っ込みは入れないでおこう。
「同時に他のシェルターの爆弾の解除も必要。これは真珠さん、お願い出来る?」
「お任せください。部下に指示を出しておきます」
「それから、…葵お兄ちゃん、棗お兄ちゃん。二人には…白鳥家の伯父伯母の制圧を」
緑色のマーカーペンを持ち、私は三か所に丸を付ける。一つはここから北東、一つは西、一つは真南の三か所。
「私が知っているのは、この三か所に爺が出入りしていたという事だけ。だけど…そこに爺に似た人間がいたって情報も得ている。…行く価値はある。ただ…」
不安になる。だって、危険の中へ挑めと言っているんだから。まして、ママや誠パパ、鴇お兄ちゃん達みたいに最恐に強い訳でもない。怪我でもしたら…。私が下手な指示を出したらと思うと…。
「大丈夫だよ、鈴」
「そうそう。問題ないよ。鈴ちゃん。僕達があんな連中に負ける訳ないでしょ」
不敵な笑みを浮かべる双子のお兄ちゃん達。
葵お兄ちゃん、棗お兄ちゃん……。そう、だね。お兄ちゃん達なら心配ないよねっ。
「葵、棗。どうせ潰しに行くのならついでに家探しもしてきなさい。情報は多いに越した事はないわ」
「了解っ」
「葵。結構距離がある。もう行こうっ」
「そうだねっ」
立ち上がって二人が急ぎ足で玄関へ向かう。二人なら大丈夫だと思う。思うけど念には念を入れてっ。備えは万全にっ!
お兄ちゃん達を追い越して、音を立てて二階へ駆けあがって、ウエストポーチの中に入るだけの救急セットやその他諸々一切合切を詰めて。
「葵お兄ちゃんっ、棗お兄ちゃんっ、持って行ってっ」
それを二人に渡す。
「これは?」
「救急セットっ。もしもの時の為にっ。無いよりは良いからっ」
「分かった」
「ありがとう、鈴ちゃん」
「絶対に、無傷で帰って来てねっ」
「当り前」
「行ってくるね、鈴ちゃん」
余裕に笑みを浮かべるお兄ちゃん達は最高にカッコいい。
「うんっ、行ってらっしゃいっ」
私も負けじと余裕を見せないとっ。
お兄ちゃん達を見送り、私はリビングへと戻る。
「美鈴。私も行ってくるわ」
「うん、ママ」
リビングを出て来たママと向かい合う。
「……行く前に一つだけ教えておくわ。さっきも言ったように、この展開はゲームになかった展開よ」
「うん」
「ただし、貴女がもし既に『あの子』のルートで確定しているのであれば、『紫』が出てくるのは必然な事。…ゲームでは紫と言うキャラは横恋慕キャラだった。白鳥との関係性などは一切出て来なかったの。まさかこんな繋がりがあるとは…。ゲームの展開とは全く違う展開になっているけどやっぱりゲームと繋がっている場所もある。それは確か。確かだけど…。私が今持っている前世の知識で貴女を助けれるような内容はもうなくなってしまった…。だけど…」
「ママ?」
「私が美鈴の母親である事は変わらないわ。美鈴が私の子である事に変わりはない。何があろうとも絶対に味方よ。美鈴の敵は私の敵。絶対に、幸せになるのよ」
ママの手が私を抱き寄せ、きつく抱きしめる。
あったかい…。
ママの優しさに危うく涙がこみ上げそうになる。でも、今は泣いている場合じゃないから。
「ママ……うんっ、ありがとうっ」
今は笑顔で答える。するとママも勝気な笑みを浮かべて玄関へ向かって歩き、
「じゃ、行ってくるわねっ。全部片付いた時の晩御飯はすき焼きが良いわっ!」
「ちゃっかり注文付けて行かないでーっ!!って言うか、お肉もしかしたら腐るかもーーーっ!!」
駆け出していった。私の突っ込みはきっとママに届いただろうけど、耳には入れてくれなかったと思われる。
念の為に家の玄関に鍵をかけて、中へと戻る。
急いでリビングに戻り、次にすべきことを考える。
「華菜ちゃん。今から電力を華菜ちゃんのパソコンにだけ使える様にするから、紫さんの使っているであろうパソコンにハッキングを仕掛けてみて」
「任せてっ、美鈴ちゃんっ」
「円と風間くんも悪いんだけど、お願いしたい事があるの」
「遠慮なんかしないどくれ」
「何をしたら良いんだっ!?円の事なら全力で守るから安心しろっ!」
「それは頼もしいな。円と風間くんは三階の窓から外の見張りをお願いしたいの。三階の窓は防弾硝子になっているから何かあっても直ぐにどうこうなる事はないから」
「分かったっ。行こうっ、ケン」
「おうっ!」
華菜ちゃんにハッキングを任せた。円と風間くんに見張りも頼んだ。これで大体は何とかなったと思う。
けど後一つだけ問題が残ってる。
次の行動を伝令する人間がいない事だ。さっきも思ったけど、隠密に向いている人間がいない。…真珠さんに人を割いて貰う?でも爆弾処理で一杯一杯だと思う。金山さんや銀川さんも市の外にいる。地雷や爆弾の事を考えると忍びの皆はそっちに人員を割いて欲しい。安全が第一だから。
…本当なら私が行けたら良いんだろうけど…。男が怖い私は行った所で足手まといだ。
どうしたら…。
真珠さんと金山さん、銀川さんの協力があったからさっきは電話が繋がったんだ。特殊電波で。それは即ち、この家でしか電話が通じない事になる。だからお兄ちゃん達やママと連絡を取る手段がなくなっていると言う事と同義。
伝令班が必要になる。
だけど円や風間くんは隠密に向いていない。最悪円が出来ても風間くんは確実に無理だろう。
「…お姉ちゃん」
「旭?」
くいくいっと袖を引かれて下を見ると、そこには旭と蓮、蘭、燐が私を囲む様に立っていた。
「僕達が行くよ」
「え…?」
「伝令担当が欲しいんでしょう?」
「旭…?でも」
まだ小学生の弟達にそんな危険な事させられない。
そう…思っていたのに。
「僕達が一番適役だよ。小さいし、見つからずに駆け抜ける事が出来る」
「それに、葵お兄ちゃんや棗お兄ちゃんを探し慣れてるし」
「僕達なら母さんを止める事が出来るしね」
「最悪誰かとすれ違っても、僕達なら警戒される可能性が低い」
この頼もしさはなんだろう…。
弟達がこんなにも育ってた事に、驚きを隠せなかった。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。僕達が確実にお姉ちゃんの言葉をお兄ちゃんや母さんに届ける。そしてお兄ちゃん達の声をお姉ちゃんに届けるよ。安心して。それに僕達こう見えて強いからっ」
いつの間にこんなに大きくなってたんだろう…。
小学生と言えど、やっぱり男だったんだなぁと。そして、誠パパとママの息子なんだなって改めて実感する。
「……分かった。じゃあ、お願いする。でもこれだけは約束してね」
私は頼もしくなった四人を両手を目一杯広げてまとめて抱きしめる。
「絶対に無理はしないで。危険にも近寄らないでっ。絶対絶対に怪我はしないでねっ。無茶もダメよっ」
大きく頷いた四人は早速準備に取り掛かる。
伝達事項を紙に書いたりしない。処理に困るだろうから。だから、私は必要な事を旭達に口頭で言い、覚えたまま伝えてくれと告げる。
準備が終わった旭達は深く頷いて、家を飛び出していった。

さぁ、これで準備は整った。
私は今出来る精一杯で紫さんと対峙するんだっ。

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