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望んだ世界。
しおりを挟む「うし。」
何故か決まって、食事担当は僕。
あいつらが作業してる間に料理をして、出来たら呼びに行く。
確かアリアが中央フロアに居た。まず行くか。
ーーー
「飯だけど。」
「ほんと?!すぐ行くー!俺よりヴィーを見てきてあげてよ!」
中央フロアの巨大ツリーで作業をしながら返事をしてくる。怖くねぇのかよ。ムカつく。
「分かってる。あいつは僕の最重要案件だ。」
まさか、本当にここを歩けるとはな。
あいつらに着いてきて、何かあるとは思ったが、ここまで来るなんて。
螺旋階段を上がって、2階の廊下を歩く。
赤い絨毯。縦長の窓。所々にある鎧。
スケボー出来そうなくらい長い長い廊下。
この廊下の1番端の部屋。
そこにあいつが居る。
「ゲヴィヒト。」
「あ、」深紅の短髪。揺れる黄金の瞳。
全ては、こいつから始まった。
「飯。」
「あ…、飯…。」
今までずっと、読んでいたんだろう。
床には、医学についての本がどっさり積んであった。
「お前なぁ、いい加減飯のある生活に慣れろって。」
「わ、悪い…。」
しおらしくなりやがって。結局、同じ事を繰り返すだろうに。
「本はそのままで良いからついて来い。」
「ん。」
ゆっくり立ち上がると、大きく伸びをした。小柄だった癖に、こんな短期間でこんなに伸びやがって。ムカつく。
「腹減ってるか?」
「…、まぁまぁ。」
まぁまぁってなんだよ…、どっちかにしろっつーの。
1人で上ってきた螺旋階段を2人で下って、中央フロアに。
「お、ヴィー!お帰り!どう?気に入った本は見つかった?」
「うん。ありがとう、リア。」
「俺はなーんにもしてないよ!よし、ご飯食べよ!」
アリアは、ツリーから滑り降りてきた。
勢い余りすぎて、僕とゲヴィヒトが止めて無かったら多分、あっちの玄関まで吹っ飛んでた。
「今日のご飯は?」
クリスマスだから張り切ったなんて思われたくねーなー。
「…バイキング。」
ボソッと言ったはずなのに、アリアはちゃんと聞き取った。
「…、は?」
豆鉄砲食らったような顔。
「はァ?」
「え…、何て?」
驚き過ぎだろ。大袈裟だぞ。
「バイキング。」
「え、マジ?!」
ようやくはっきり理解したようで、分かりやすく、キラキラした目になった。
「おう。」
「よっしゃぁっ!行くぞヴィー!」
「ぁ…、」
まるで興味無さそうなゲヴィヒトを引っ張って、俺を残して食堂へ走って行った。
「ったく…。疲れる。」
とか言いながら、口角はさっきから上がりっぱなしで。
こいつらと居ると、疲れるけど飽きねぇんだよな。
ほんと…、こんな事になるとは…。
僕正直、おまえらの夢、叶うと思って無かったぜ。それを叶えちゃうんだもんな。
すげぇよ。
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