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第1章 転移~小鬼族対戦編
第4話 エルフの村。
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その後、川から上がった私は、焚き火と風の魔法で乾かしてもらった。
それからエルフの村へと連れていってもらう事になった。
そう、やはりというか、ファンタジーらしく魔法があるらしいのだ。
もはや、夢なのでは、と思うのだが、ゴブリンから切りつけられた左腕が、時折痛むところをみると、夢ではないらしい。
気になったので、道すがら聞いてみる。
「あの、私の住んでたところには魔法はなかったんだけど、このせか、この国の人は誰でも魔法が使えるの?」
危ない。この世界とか言いかけた。
「そうだね。簡単なものであれば素質にもよるけど、基本的には誰でも修得が可能だよ。ただ、条件があったり、種族的な問題で修得できないものも沢山あるね」
そうなのか、異世界から来た私にも使えるのかな?
魔法を使ってみたいって気持ちもあるけど、一番の目的は生きる為だ。
今でもゴブリンに殺されかけた時の恐怖が残っている。
怖い。この世界は怖い。
生きる為に。
生きて帰る為に、少なくとも戦う手段を身に付けることは必須科目だ。
「エルフの得意な魔法は何?」
「エルフ族は魔法全般が得意だけど、そうだね。強いてあげるなら、風属性かな?」
やっぱりエルフといえば、風魔法なんだ。
王道だね。
この世界の事や他愛もない事を聞きながら、森の中を歩く。
そして解った事が幾つかある。
1 魔法がある。
2 現在地は、ウィスタリア王国の東にあるルレージュ大森林という場所。
3 ルレージュ大森林の更に東にある、帝国との境目に山脈があり、そこには最近ゴブリンが増え始めているらしい。
4 小鬼族が大森林へと入り始め、エルフにも被害が出始めている。
5 斥候の情報から小鬼族が、近い内に大森林に大量に攻めてくる可能性があるということ。
6 長耳族は長命故に、絶対数が少ない。繁殖力があり、絶対数が多い小鬼族に侵攻された場合、危険な可能性があるということ。
他にも幾つかあるけど、差し迫って私に影響があるものはこれくらいだろう。
それにしてもゴブリンか……怖い。
帰り道でも、何体かのゴブリン、猪や兎の様な生き物をシルは難なく倒して進んでいる。
シル強くない?
小鬼族に侵攻されても、勝てるんじゃないのかな?
「個々の強さでいえば、長耳族が圧倒的に有利だけど、大規模な戦闘になれば、やっぱり数の力は怖いよ」
気になって聞いてみたら、そういうことらしい。
あと、何気無く進んでるけど、どうやらシルは出来るだけ歩きやすい道を選んでくれてる。
そのうえ、踏み固めたり、当たりそうな木や草を切って進んでくれてる。
やだ、何このイケメン。
3時間ほど歩いただろうか、シルが立ち止まった。
「シュン、着いたよ。ここが僕達の村だよ」
私は首を傾げた。
着いたと言われたけど、ここ。
何もないんだけど?
ふいに身体が浮いた感じがする。
いや、浮いてる。
え? 何?
これってあれ?
もしかして、お姫様抱っこ!?
「え? あの、シル?」
「あ、ごめんね? 嫌だと思うけど、少しだけ我慢してね?」
いや、イケメンのお姫様抱っことか、嫌な訳はないんだけど。
ただ、いきなりそんなことされるフラグが立った覚えがないよ?
なんて考えていると、急に身体に圧力がかかった。
空を飛んでいた。
いや、正確には跳んでいた。
シルが大木の僅かな足場をピョンピョン跳び跳ねている。
どういう運動神経なの。
あ、でもちょっと待って、これ酔う、酔っちゃう。
「シュン? 大丈夫かい?」
シルがオロオロしながら、背中を擦ってくれる。
酔った……辛うじて吐いてはないけど……
どうやら、エルフの村は大木の中腹を削り出したり、橋を架けて形成されているらしい。
ツリーハウスが大規模になった様な感じで、とても可愛い。
きっと男の子なら、秘密基地の様だと興奮すること、間違いなしだね。
正直、高さがちょっと怖い。
「改めて、ここが僕達の村だよ」
村というにはちょっと規模が大きい気もしないでもないけど、あれかな。
村と町の中間くらい?
いや、村とか町の定義なんて知らないけど。
社会の授業で習った気もするけど、忘れてしまった。
「素敵なところだね。それで、私はどうしたらいいの?」
「えっと、一先ず腕の具合はどうかな? 薬草の効果としてはそろそろ効いていてもいいはずなんだけど」
そういえば、しばらく前から腕の痛みがない。
巻かれた布を外してみると、傷が綺麗に消えていた。
凄いな。
これが向こうの世界にあったら、ちょっとの怪我なら何でもないじゃん。
「よかった。大丈夫みたいだね。それじゃ、このまま族長の所に向かっても良いかな? 小鬼族やシュンの事を報告しないといけないから」
私が頷くとシルが歩き始めるので、後ろを着いていく。
「よぉ、シル。ん? 何だ? その子は……人族か? 黒髪なんて珍しいのを連れてるな。服装も見たことないもんだし、捕虜か?」
前から歩いてきた、渋いおじさんがシルに声をかけてる。
長耳族は年をとっても、イケメンだな。
じゃなくて!
聞き逃せない言葉があったよ!? 捕虜!?
よく考えたら、シルが怖くないし助けてくれたから着いてきたけど、長耳族と人族の関係がよくわかってないのに着いてきたのはまずかった!?
「違うよ。この子は森でゴブリンに襲われていたから、助けたのさ。どうやら、近くに住んでる訳じゃないみたいだから、保護して連れてきたんだよ。一度族長に伺いを立てて、問題なければ、暫くはウチで預かるよ」
不安になっていたけど、シルはどうやら本当に善意で助けてくれているらしい。
良かった。
「そうか。なら、また後で紹介もあるだろうし、楽しみにしてるぜ! にしても……小鬼族か……」
おじさんは苦々しい顔をして顎に手を当てている。
「幸い、今のところ進化個体も入ってきてないし、しばらくは大丈夫だと思うけど、少し見廻りの範囲は広げた方が良いかもしれないね。この件は族長にも相談してみるよ」
「あぁ、シルには負担をかけちまうが、よろしくたのまぁ! あ、そうだ、今日は獲物を持ってないが、どうしたんだ?」
あ、そういえば、色々仕留めてたけど、持ってきてなかったね。
どうしたんだろ?
「あぁ、この子もいるし、あまり血を見せるのも良くないかと思ってね。狩った所にメグニアの実を付けて、いつも通り置いてあるから、回収に向かってもらうよ」
「おぉ、そうか。それなら、そっちはこっちで手配しといてやるよ。まだ忙しそうだしな。」
「それは助かるよ。ありがと。お礼にフロッグラビットの美味しい所をお裾分けするよ」
「マジか! 酒によく合うんだよなぁ! ありがとよ!」
恐らくは、あの兎みたいなやつだろう。
見た目は兎だったけど、舌が凄く長かった。
「飲みすぎて奥さんに怒られないようにね」
おじさんは苦笑してた。
シルは大体の位置をおじさんに伝えて、そのままおじさんとはお別れとなった。
「ねぇ、シル。メグニアの実って何?」
「あぁ、大森林の大体の場所に自生してる木の実でね。潰すと独特な臭いがするんだ。森の魔物は大体この臭いが嫌いでね。獲物を一時置いておく場合は、この実を潰して周りに撒いておくんだよ」
なるほど。
獣避けみたいなものか。
その後もシルは歩いていると、色々な人に話しかけられていた。
どうやら、人気者らしい。
私は周りの建物……というより、木の洞みたいな所をキョロキョロと見ては、どういう所なのかをシルに聞きながら歩いた。
「着いたよ。ここが族長の家だ」
立派な大木だった。
目に見える範囲では一番の大樹だ。
シルが扉をノックし、中から美人のエルフが顔を出した。
「こんにちは、セフィさん。族長はいらっしゃいますか?」
「あら、シルフェルス様。現在旦那様は執務中で御座いますが、急ぎの用件でしょうか?」
「はい。頼まれていた件の報告と別件での報告がございまして。出来れば早い内に」
「畏まりました。それでは、応接間にてお待ちいただけますか?」
「ありがとうございます。それでは、失礼させていただきます」
シルが中に入るのに合わせて、私も会釈し、お邪魔させていただく。
外見も立派だったが、中も広く、とても木の中だとは思えない。
「あ、なにこれ。凄く美味しいです」
「ありがとうございます。そちらは私共の村で栽培している紅茶なのですよ。お口にあったようで何よりです。それでは、旦那様をお呼びいたしますので、少々お待ちください」
そのまま、応接間に通されたシルと私は、出されたとても香りの良いお茶を飲みながら、族長を待つこととなった。
それからエルフの村へと連れていってもらう事になった。
そう、やはりというか、ファンタジーらしく魔法があるらしいのだ。
もはや、夢なのでは、と思うのだが、ゴブリンから切りつけられた左腕が、時折痛むところをみると、夢ではないらしい。
気になったので、道すがら聞いてみる。
「あの、私の住んでたところには魔法はなかったんだけど、このせか、この国の人は誰でも魔法が使えるの?」
危ない。この世界とか言いかけた。
「そうだね。簡単なものであれば素質にもよるけど、基本的には誰でも修得が可能だよ。ただ、条件があったり、種族的な問題で修得できないものも沢山あるね」
そうなのか、異世界から来た私にも使えるのかな?
魔法を使ってみたいって気持ちもあるけど、一番の目的は生きる為だ。
今でもゴブリンに殺されかけた時の恐怖が残っている。
怖い。この世界は怖い。
生きる為に。
生きて帰る為に、少なくとも戦う手段を身に付けることは必須科目だ。
「エルフの得意な魔法は何?」
「エルフ族は魔法全般が得意だけど、そうだね。強いてあげるなら、風属性かな?」
やっぱりエルフといえば、風魔法なんだ。
王道だね。
この世界の事や他愛もない事を聞きながら、森の中を歩く。
そして解った事が幾つかある。
1 魔法がある。
2 現在地は、ウィスタリア王国の東にあるルレージュ大森林という場所。
3 ルレージュ大森林の更に東にある、帝国との境目に山脈があり、そこには最近ゴブリンが増え始めているらしい。
4 小鬼族が大森林へと入り始め、エルフにも被害が出始めている。
5 斥候の情報から小鬼族が、近い内に大森林に大量に攻めてくる可能性があるということ。
6 長耳族は長命故に、絶対数が少ない。繁殖力があり、絶対数が多い小鬼族に侵攻された場合、危険な可能性があるということ。
他にも幾つかあるけど、差し迫って私に影響があるものはこれくらいだろう。
それにしてもゴブリンか……怖い。
帰り道でも、何体かのゴブリン、猪や兎の様な生き物をシルは難なく倒して進んでいる。
シル強くない?
小鬼族に侵攻されても、勝てるんじゃないのかな?
「個々の強さでいえば、長耳族が圧倒的に有利だけど、大規模な戦闘になれば、やっぱり数の力は怖いよ」
気になって聞いてみたら、そういうことらしい。
あと、何気無く進んでるけど、どうやらシルは出来るだけ歩きやすい道を選んでくれてる。
そのうえ、踏み固めたり、当たりそうな木や草を切って進んでくれてる。
やだ、何このイケメン。
3時間ほど歩いただろうか、シルが立ち止まった。
「シュン、着いたよ。ここが僕達の村だよ」
私は首を傾げた。
着いたと言われたけど、ここ。
何もないんだけど?
ふいに身体が浮いた感じがする。
いや、浮いてる。
え? 何?
これってあれ?
もしかして、お姫様抱っこ!?
「え? あの、シル?」
「あ、ごめんね? 嫌だと思うけど、少しだけ我慢してね?」
いや、イケメンのお姫様抱っことか、嫌な訳はないんだけど。
ただ、いきなりそんなことされるフラグが立った覚えがないよ?
なんて考えていると、急に身体に圧力がかかった。
空を飛んでいた。
いや、正確には跳んでいた。
シルが大木の僅かな足場をピョンピョン跳び跳ねている。
どういう運動神経なの。
あ、でもちょっと待って、これ酔う、酔っちゃう。
「シュン? 大丈夫かい?」
シルがオロオロしながら、背中を擦ってくれる。
酔った……辛うじて吐いてはないけど……
どうやら、エルフの村は大木の中腹を削り出したり、橋を架けて形成されているらしい。
ツリーハウスが大規模になった様な感じで、とても可愛い。
きっと男の子なら、秘密基地の様だと興奮すること、間違いなしだね。
正直、高さがちょっと怖い。
「改めて、ここが僕達の村だよ」
村というにはちょっと規模が大きい気もしないでもないけど、あれかな。
村と町の中間くらい?
いや、村とか町の定義なんて知らないけど。
社会の授業で習った気もするけど、忘れてしまった。
「素敵なところだね。それで、私はどうしたらいいの?」
「えっと、一先ず腕の具合はどうかな? 薬草の効果としてはそろそろ効いていてもいいはずなんだけど」
そういえば、しばらく前から腕の痛みがない。
巻かれた布を外してみると、傷が綺麗に消えていた。
凄いな。
これが向こうの世界にあったら、ちょっとの怪我なら何でもないじゃん。
「よかった。大丈夫みたいだね。それじゃ、このまま族長の所に向かっても良いかな? 小鬼族やシュンの事を報告しないといけないから」
私が頷くとシルが歩き始めるので、後ろを着いていく。
「よぉ、シル。ん? 何だ? その子は……人族か? 黒髪なんて珍しいのを連れてるな。服装も見たことないもんだし、捕虜か?」
前から歩いてきた、渋いおじさんがシルに声をかけてる。
長耳族は年をとっても、イケメンだな。
じゃなくて!
聞き逃せない言葉があったよ!? 捕虜!?
よく考えたら、シルが怖くないし助けてくれたから着いてきたけど、長耳族と人族の関係がよくわかってないのに着いてきたのはまずかった!?
「違うよ。この子は森でゴブリンに襲われていたから、助けたのさ。どうやら、近くに住んでる訳じゃないみたいだから、保護して連れてきたんだよ。一度族長に伺いを立てて、問題なければ、暫くはウチで預かるよ」
不安になっていたけど、シルはどうやら本当に善意で助けてくれているらしい。
良かった。
「そうか。なら、また後で紹介もあるだろうし、楽しみにしてるぜ! にしても……小鬼族か……」
おじさんは苦々しい顔をして顎に手を当てている。
「幸い、今のところ進化個体も入ってきてないし、しばらくは大丈夫だと思うけど、少し見廻りの範囲は広げた方が良いかもしれないね。この件は族長にも相談してみるよ」
「あぁ、シルには負担をかけちまうが、よろしくたのまぁ! あ、そうだ、今日は獲物を持ってないが、どうしたんだ?」
あ、そういえば、色々仕留めてたけど、持ってきてなかったね。
どうしたんだろ?
「あぁ、この子もいるし、あまり血を見せるのも良くないかと思ってね。狩った所にメグニアの実を付けて、いつも通り置いてあるから、回収に向かってもらうよ」
「おぉ、そうか。それなら、そっちはこっちで手配しといてやるよ。まだ忙しそうだしな。」
「それは助かるよ。ありがと。お礼にフロッグラビットの美味しい所をお裾分けするよ」
「マジか! 酒によく合うんだよなぁ! ありがとよ!」
恐らくは、あの兎みたいなやつだろう。
見た目は兎だったけど、舌が凄く長かった。
「飲みすぎて奥さんに怒られないようにね」
おじさんは苦笑してた。
シルは大体の位置をおじさんに伝えて、そのままおじさんとはお別れとなった。
「ねぇ、シル。メグニアの実って何?」
「あぁ、大森林の大体の場所に自生してる木の実でね。潰すと独特な臭いがするんだ。森の魔物は大体この臭いが嫌いでね。獲物を一時置いておく場合は、この実を潰して周りに撒いておくんだよ」
なるほど。
獣避けみたいなものか。
その後もシルは歩いていると、色々な人に話しかけられていた。
どうやら、人気者らしい。
私は周りの建物……というより、木の洞みたいな所をキョロキョロと見ては、どういう所なのかをシルに聞きながら歩いた。
「着いたよ。ここが族長の家だ」
立派な大木だった。
目に見える範囲では一番の大樹だ。
シルが扉をノックし、中から美人のエルフが顔を出した。
「こんにちは、セフィさん。族長はいらっしゃいますか?」
「あら、シルフェルス様。現在旦那様は執務中で御座いますが、急ぎの用件でしょうか?」
「はい。頼まれていた件の報告と別件での報告がございまして。出来れば早い内に」
「畏まりました。それでは、応接間にてお待ちいただけますか?」
「ありがとうございます。それでは、失礼させていただきます」
シルが中に入るのに合わせて、私も会釈し、お邪魔させていただく。
外見も立派だったが、中も広く、とても木の中だとは思えない。
「あ、なにこれ。凄く美味しいです」
「ありがとうございます。そちらは私共の村で栽培している紅茶なのですよ。お口にあったようで何よりです。それでは、旦那様をお呼びいたしますので、少々お待ちください」
そのまま、応接間に通されたシルと私は、出されたとても香りの良いお茶を飲みながら、族長を待つこととなった。
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