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第1章 転移~小鬼族対戦編
第3話 水があったら入りたい。
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「落ち着いたかい?」
「はい。えっと、すみません、取り乱してしまって」
思わず、男の人にしがみついて、泣きじゃくってしまった。
恥ずかしい。
「いやいや、仕方ないよ。とても怖かったのだろうし」
「はい。助けていただき、本当にありがとうございました」
「いいんだよ。流石にゴブリンの蛮行で犠牲になりそうな女性がいて、助けない、なんて選択が出来るわけがない。そんな事をしては、エルフの戦士としての誇りを傷つけてしまうからね」
そう、目の前の男性はエルフだった。
年齢は20~23歳くらいだろうか?
髪の色は、綺麗な青に近い緑。
瞳の色は、この森を体現したような深緑。
耳は尖っていて、長い。
そして、とても美形なイケメンだった。
イケメンについドキドキしてしまいながら、話を続ける。
「あの、それで、ここはどこなんですか?」
「うん? ここがどこか解らずにこんな所にいたのかい? そういえば、服装も見かけない物だね。どこかの民族衣装かな?」
私の格好は制服だった。
確かに、これだけファンタジーの世界なら、セーラー服なんて物は違和感しかないだろう。
「えっと、その、何て言ったらいいか……よく解らないんですが、目が覚めたらここにいたもので……」
我ながら怪しい。
むしろ、怪しさしかない。
でも仕方ないじゃないか、そのままズバリ、言葉の通りの状況なんだもの。
「そっか。まぁこの森には、よく迷い込む人や人拐いの盗賊も来るからね。もしかしたら、眠らされて拐われていた所を、何かの拍子に放り出されたのかもしれない」
都合よく解釈してくれたらしい。
にしても、この人はお人好しというか、凄くイイ人みたいだ。
「それで、名前や住んでいる場所は覚えているかい?」
問い掛けられて、そういえば、助けてもらっておいてまだ名前も聞いていない事に気付いた。
「あ、はい。私の名前は、伊達 駿といいます。歳は14で、日本に住んでる中学生です」
男性は、訝しげな顔をして、首を傾げる。
「ニホン? ニホンというのはどこにある国かな? この辺りでは聞かない名前だけど、ウィスタリア王国内ではないのかな? 帝国の方だろうか?」
しまった。
そうだよね、このファンタジーで日本なんてものが通じる訳がない。
失念していた。
「えっと、あの、うんと、そう! ちっちゃな島国で、多分この国なんかでは、知られていないんだと思うんです!」
慌てながら、言ってしまったが、これも間違いではないのだから、嘘は吐いていない。
命の恩人に嘘なんて吐けるわけがないじゃない。
「そうなのか。族長であれば知っているだろうか。それにしてもそんな国からということであれば、すぐには帰れないでしょ? ひとまず僕達の村に来ると良いよ。僕の名前はシルフェルス。シルって呼んで」
シルはそう言って、優しく微笑んでくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言って、また涙が溢れてしまった。
「それで、シュン。僕は警備と狩りの途中だったけど、ゴブリンが出てる事も報告しないといけないから、一度村に戻ろうと思うんだけど、着いてきてくれるかな?」
「はい。もちろんです。それにこのままここにいるのも怖いですし。シルさんに甘えてばかりで申し訳ないですが、お願いします」
「敬語じゃなくていいよ、さんもつけなくていい。それで、えっとあの、とても言いにくい事なんだけどね」
「?」
何だろう?
何か問題があるんだろうか?
でも、それならなんで、一緒に村に行くかなんて聞いたのだろうか?
いや、さっきシルはエルフの戦士で誇りが、というような事を言っていた。
つまりはエルフの戦士としては、助けた以上は誇りを護る為、ここに私を置いていくのはダメだと思っているのかも。
そうだよね、本来ならこんな怪しい人物を村に連れていくなんて危険だもんね。
それなら、私はどうしたらいいんだろう。
このままここに置いていってもらう?
ダメだ。
私がここに残されたら、死ぬのは確実だ。
だから、それは絶対にダメ。
なら、近くの安全な場所まで連れていってもらう?
そうだね、それなら、なんとかなるかも。
迷惑をかけることになるのは間違いないけど、危険人物を村に入れるよりは遥かにマシなはず。
「あの、シル? 私が村に行くと困るなら、迷惑になっちゃうとは思うんだけど、近くの安全なところまで連れていってくれるだけでも、大丈夫だよ?」
シルが慌てて手と首を振る。
「違うよ! シュンが村に来るのは全然問題ないんだ! 僕の家には空いている部屋もあるから、特に寝る所も問題ないし、食糧にしても、僕は村一番の腕だしね」
そうなんだ。
じゃあ何だろう?
「えっと、あのね、シュンからその。あの、あれ。匂いがね?」
シルは顔を赤くしてそう答える。
匂い? なんだろ?
香水はつけてないし、部活後だったから、汗臭いとか?
鼻を鳴らして、匂いを嗅いでみる。
…………………………………………おしっこ?
「キャアアアアアアア!」
慌てて近くの川に飛び込んで、全身を水に浸けた。
これで一つ思い出した。
私がへたりこんだ時にあの醜悪なゴブリンがニヤニヤ笑っていたことを。
どうやら、ゴブリンに襲われた際に漏らしてしまったらしい……
恥ずかしい……
そりゃ赤くもなるし、言いにくい訳だよ。
漏らしてるなんて、面と向かってスッパリ言える様な人は性格が悪いか、デリカシーが無いかだ。
水の中でブクブクブクブクと顔を冷やしながら、汚れと匂いが洗い流されるまで、恥ずかしさで暴れまわった。
「はい。えっと、すみません、取り乱してしまって」
思わず、男の人にしがみついて、泣きじゃくってしまった。
恥ずかしい。
「いやいや、仕方ないよ。とても怖かったのだろうし」
「はい。助けていただき、本当にありがとうございました」
「いいんだよ。流石にゴブリンの蛮行で犠牲になりそうな女性がいて、助けない、なんて選択が出来るわけがない。そんな事をしては、エルフの戦士としての誇りを傷つけてしまうからね」
そう、目の前の男性はエルフだった。
年齢は20~23歳くらいだろうか?
髪の色は、綺麗な青に近い緑。
瞳の色は、この森を体現したような深緑。
耳は尖っていて、長い。
そして、とても美形なイケメンだった。
イケメンについドキドキしてしまいながら、話を続ける。
「あの、それで、ここはどこなんですか?」
「うん? ここがどこか解らずにこんな所にいたのかい? そういえば、服装も見かけない物だね。どこかの民族衣装かな?」
私の格好は制服だった。
確かに、これだけファンタジーの世界なら、セーラー服なんて物は違和感しかないだろう。
「えっと、その、何て言ったらいいか……よく解らないんですが、目が覚めたらここにいたもので……」
我ながら怪しい。
むしろ、怪しさしかない。
でも仕方ないじゃないか、そのままズバリ、言葉の通りの状況なんだもの。
「そっか。まぁこの森には、よく迷い込む人や人拐いの盗賊も来るからね。もしかしたら、眠らされて拐われていた所を、何かの拍子に放り出されたのかもしれない」
都合よく解釈してくれたらしい。
にしても、この人はお人好しというか、凄くイイ人みたいだ。
「それで、名前や住んでいる場所は覚えているかい?」
問い掛けられて、そういえば、助けてもらっておいてまだ名前も聞いていない事に気付いた。
「あ、はい。私の名前は、伊達 駿といいます。歳は14で、日本に住んでる中学生です」
男性は、訝しげな顔をして、首を傾げる。
「ニホン? ニホンというのはどこにある国かな? この辺りでは聞かない名前だけど、ウィスタリア王国内ではないのかな? 帝国の方だろうか?」
しまった。
そうだよね、このファンタジーで日本なんてものが通じる訳がない。
失念していた。
「えっと、あの、うんと、そう! ちっちゃな島国で、多分この国なんかでは、知られていないんだと思うんです!」
慌てながら、言ってしまったが、これも間違いではないのだから、嘘は吐いていない。
命の恩人に嘘なんて吐けるわけがないじゃない。
「そうなのか。族長であれば知っているだろうか。それにしてもそんな国からということであれば、すぐには帰れないでしょ? ひとまず僕達の村に来ると良いよ。僕の名前はシルフェルス。シルって呼んで」
シルはそう言って、優しく微笑んでくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言って、また涙が溢れてしまった。
「それで、シュン。僕は警備と狩りの途中だったけど、ゴブリンが出てる事も報告しないといけないから、一度村に戻ろうと思うんだけど、着いてきてくれるかな?」
「はい。もちろんです。それにこのままここにいるのも怖いですし。シルさんに甘えてばかりで申し訳ないですが、お願いします」
「敬語じゃなくていいよ、さんもつけなくていい。それで、えっとあの、とても言いにくい事なんだけどね」
「?」
何だろう?
何か問題があるんだろうか?
でも、それならなんで、一緒に村に行くかなんて聞いたのだろうか?
いや、さっきシルはエルフの戦士で誇りが、というような事を言っていた。
つまりはエルフの戦士としては、助けた以上は誇りを護る為、ここに私を置いていくのはダメだと思っているのかも。
そうだよね、本来ならこんな怪しい人物を村に連れていくなんて危険だもんね。
それなら、私はどうしたらいいんだろう。
このままここに置いていってもらう?
ダメだ。
私がここに残されたら、死ぬのは確実だ。
だから、それは絶対にダメ。
なら、近くの安全な場所まで連れていってもらう?
そうだね、それなら、なんとかなるかも。
迷惑をかけることになるのは間違いないけど、危険人物を村に入れるよりは遥かにマシなはず。
「あの、シル? 私が村に行くと困るなら、迷惑になっちゃうとは思うんだけど、近くの安全なところまで連れていってくれるだけでも、大丈夫だよ?」
シルが慌てて手と首を振る。
「違うよ! シュンが村に来るのは全然問題ないんだ! 僕の家には空いている部屋もあるから、特に寝る所も問題ないし、食糧にしても、僕は村一番の腕だしね」
そうなんだ。
じゃあ何だろう?
「えっと、あのね、シュンからその。あの、あれ。匂いがね?」
シルは顔を赤くしてそう答える。
匂い? なんだろ?
香水はつけてないし、部活後だったから、汗臭いとか?
鼻を鳴らして、匂いを嗅いでみる。
…………………………………………おしっこ?
「キャアアアアアアア!」
慌てて近くの川に飛び込んで、全身を水に浸けた。
これで一つ思い出した。
私がへたりこんだ時にあの醜悪なゴブリンがニヤニヤ笑っていたことを。
どうやら、ゴブリンに襲われた際に漏らしてしまったらしい……
恥ずかしい……
そりゃ赤くもなるし、言いにくい訳だよ。
漏らしてるなんて、面と向かってスッパリ言える様な人は性格が悪いか、デリカシーが無いかだ。
水の中でブクブクブクブクと顔を冷やしながら、汚れと匂いが洗い流されるまで、恥ずかしさで暴れまわった。
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