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23 悪魔? いいえ、守護精霊です。
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私の力が強まったせいでしょうか。
少し困ったことが起き始めました。
「グラジオ、リリィベル嬢と一緒だったのか」
「アマド。なにか用か?」
「報告したいことがあってな。少しいい、か……」
私、グラジオ様、ミュール。
いつものメンバーで、ルーカハイト家の一室にてお茶を楽しんでいたとき。
グラジオ様の部下で、親友でもあるアマド様がやってきました。
テーブルに目を落としたアマド様の言葉が止まります。
「アマド様? どうされましたか?」
「ああいや、失礼。猫を飼っているとは知らなかった……もので……。猫……?」
アマド様は、テーブルに乗るミュールを凝視しています。
はい、見えてますね。これは確実に見えています。グラジオ様に続いて二人目。
どうしたものかと思い、グラジオ様と目と目で会話します。
悪魔だと話していいものでしょうか。
今のところ、アマド様はミュールをちょっと変わった猫ぐらいに思っているように見えます。
羽を使わず、ちょこんとテーブルの上に座っていたので言い訳がききそうです。
グラジオ様と顔を見合わせ、頷き合います。
「ああ。実は最近、猫を飼い始めたんだ。可愛いだろう?」
「そうだったのか。……猫? ねこ?」
アマド様は、ミュールをじいっと見つめています。
まあ、羽が生えていますからね。本当に猫なのか、と思いますよね。
本当のことを話すべきかどうか。私たちは、それぞれ思考を巡らせます。
アマド様は信頼できる方です。悪魔であると、話してしまっても……。
私が口を開こうとした、そのとき。
『猫ではない!』
「喋ったあ!?」
『我は……』
ああ、ミュールが悪魔だと名乗ってしまう。
話してもいいと思ったところでしたが、下手なことをされると困ります。
「ミュール、ちょっと待ってくださ……」
『この地の守護精霊のミュール様じゃ』
「「え?」」
私とグラジオ様の声が、重なりました。
守護精霊としれっと言い放つミュール。彼女は一体何を考えているのでしょう。
ここから徐々に、ミュールの姿が見える人が増えていくのですが……。
ミュールは、自分の正体を隠し、守護精霊を名乗るようになりました。
私、リリィベル・リーシャンを介してこの地を守る精霊だと。
悪魔が憑いていると知られるよりはマシなので、助かってはいます。
「ミュール。何故、守護精霊と名乗るのですか?」
もしかして、私と共にこの地やフォルビア様を守る気になってくれたのでしょうか。
そんな思いから尋ねてみると。
『その方が得をすると思ったからじゃ! ほれ見ろ、守護精霊様への貢ぎ物が届いておる!』
ミュールは、聖女様と守護精霊のミュール様宛てに贈られたお茶や食べ物の周りを、嬉しそうに飛び回っていました。
……全然違いました。悪魔は悪魔です。
少し困ったことが起き始めました。
「グラジオ、リリィベル嬢と一緒だったのか」
「アマド。なにか用か?」
「報告したいことがあってな。少しいい、か……」
私、グラジオ様、ミュール。
いつものメンバーで、ルーカハイト家の一室にてお茶を楽しんでいたとき。
グラジオ様の部下で、親友でもあるアマド様がやってきました。
テーブルに目を落としたアマド様の言葉が止まります。
「アマド様? どうされましたか?」
「ああいや、失礼。猫を飼っているとは知らなかった……もので……。猫……?」
アマド様は、テーブルに乗るミュールを凝視しています。
はい、見えてますね。これは確実に見えています。グラジオ様に続いて二人目。
どうしたものかと思い、グラジオ様と目と目で会話します。
悪魔だと話していいものでしょうか。
今のところ、アマド様はミュールをちょっと変わった猫ぐらいに思っているように見えます。
羽を使わず、ちょこんとテーブルの上に座っていたので言い訳がききそうです。
グラジオ様と顔を見合わせ、頷き合います。
「ああ。実は最近、猫を飼い始めたんだ。可愛いだろう?」
「そうだったのか。……猫? ねこ?」
アマド様は、ミュールをじいっと見つめています。
まあ、羽が生えていますからね。本当に猫なのか、と思いますよね。
本当のことを話すべきかどうか。私たちは、それぞれ思考を巡らせます。
アマド様は信頼できる方です。悪魔であると、話してしまっても……。
私が口を開こうとした、そのとき。
『猫ではない!』
「喋ったあ!?」
『我は……』
ああ、ミュールが悪魔だと名乗ってしまう。
話してもいいと思ったところでしたが、下手なことをされると困ります。
「ミュール、ちょっと待ってくださ……」
『この地の守護精霊のミュール様じゃ』
「「え?」」
私とグラジオ様の声が、重なりました。
守護精霊としれっと言い放つミュール。彼女は一体何を考えているのでしょう。
ここから徐々に、ミュールの姿が見える人が増えていくのですが……。
ミュールは、自分の正体を隠し、守護精霊を名乗るようになりました。
私、リリィベル・リーシャンを介してこの地を守る精霊だと。
悪魔が憑いていると知られるよりはマシなので、助かってはいます。
「ミュール。何故、守護精霊と名乗るのですか?」
もしかして、私と共にこの地やフォルビア様を守る気になってくれたのでしょうか。
そんな思いから尋ねてみると。
『その方が得をすると思ったからじゃ! ほれ見ろ、守護精霊様への貢ぎ物が届いておる!』
ミュールは、聖女様と守護精霊のミュール様宛てに贈られたお茶や食べ物の周りを、嬉しそうに飛び回っていました。
……全然違いました。悪魔は悪魔です。
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