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7.わたあめのための手作りごはん
不満げ?
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散歩が終わると、わたあめ歓喜のごはんタイムだ。
『キッチンに一食分あるから』
部屋に戻ってキッチンスペースをのぞくと、郡司の言う通り、わたあめのごはんが準備されていた。
器にこんもりとドライフードが盛ってある。きちんと毎食、グラムを計って与えているらしい。ちなみにドライフードというのは、水分含有量低いカリカリタイプ。重量当たりの栄養価が高いのが特徴だ。
わたあめは、所定の位置らしい場所できちんとおすわりして、ごはんを待ち構えている。舌なめずりをして、もう待ちきれないといった感じだった。
「はいっ! どうぞ~~!」
そう言ってごはんを置くと、シュババッとこちらに飛んで来た。顔を器に突っ込むような格好で、ガツガツと食べ始める。
ものすごいスピードだ。次に顔を上げたときには、器の中にはフードが一粒の残っていなかった。
ぺろりと平らげたにもかかわらず、名残惜しそうに器のフチをぺろぺろと舐めている。
しばらくすると諦めたのか、ごはんの横にある水を飲み始めた。
ぺちゃぺちゃと音を立てながら、可愛い舌が水をすくいあげている。
息継ぎは大丈夫なのだろうか、と心配になるくらい長い時間をかけて水を飲み続け、ようやく顔を上げた。
「ん? なんか、不満げな顔だな……」
わたあめは、明らかにぶすっとしていた。
前脚でたしっと、ごはん入れにタッチしている。
どうしたんだろう? 量が少なかった? まだ食べ足りないのだろうか。でも、毎回きちんと計量した分をあげていると言っていたし……。
スマートフォンを取り出し、ささっとメッセージを送る。
『わたあめ、ごはん全部食べたんだけどね。なんか、満足してなさそうなんだけど……?』
壁一枚隔てた場所にいる郡司から、メッセージが返ってくる。
『野菜と鶏肉のやつがないからだと思う』
何だそれは?
詳しく郡司に確認すると、どうやら毎食手作りごはんを与えていたらしいことが分かった。ブロッコリーやさつまいも、鶏むね肉を小さめにカットして火を入れ、柔らかくなったものをドライフードの上にかけていたという。
郡司が風邪を引いてからは、その手作りごはんが無くなってしまったのだ。
『なるほどーー! ドライフードだけしかもらえないから、わたあめはプンプンしてるんだね』
『プンプンしてんの?』
フンッと鼻を鳴らしながら、わたあめはごはん入れを前脚でつついている。その様子を郡司に送信した。
『めっちゃ文句言ってるな』
自分の気持ちを素直に表現しているわたあめの姿に頬を緩めつつ、腕時計で時間を確認する。まだ余裕がありそうだ。
『私が作ってもいい?』
『今から?』
『そう』
『仕事は?』
『まだ平気だよ』
『じゃ、たのむ』
『おっけーー! レシピ送って』
『レシピとか大層なもんないけど。切って煮るだけ』
郡司のメッセージを見て、思わずため息が出る。料理苦手女子を舐めてもらっては困る。どれくらいの大きさに切るとか、どの順番で鍋に入れるとか、水の量とか火加減とか。
目分量で料理した結果、大惨事になった経験が幾度とある。
子どもの頃、母に代わってよく料理をしていたけど、それでも上達したいのだから私は立派な料理オンチだ。
自分が口にする分にはいいけれど、わたあめに失敗作を食べさせるわけにはいかない。
『キッチンに一食分あるから』
部屋に戻ってキッチンスペースをのぞくと、郡司の言う通り、わたあめのごはんが準備されていた。
器にこんもりとドライフードが盛ってある。きちんと毎食、グラムを計って与えているらしい。ちなみにドライフードというのは、水分含有量低いカリカリタイプ。重量当たりの栄養価が高いのが特徴だ。
わたあめは、所定の位置らしい場所できちんとおすわりして、ごはんを待ち構えている。舌なめずりをして、もう待ちきれないといった感じだった。
「はいっ! どうぞ~~!」
そう言ってごはんを置くと、シュババッとこちらに飛んで来た。顔を器に突っ込むような格好で、ガツガツと食べ始める。
ものすごいスピードだ。次に顔を上げたときには、器の中にはフードが一粒の残っていなかった。
ぺろりと平らげたにもかかわらず、名残惜しそうに器のフチをぺろぺろと舐めている。
しばらくすると諦めたのか、ごはんの横にある水を飲み始めた。
ぺちゃぺちゃと音を立てながら、可愛い舌が水をすくいあげている。
息継ぎは大丈夫なのだろうか、と心配になるくらい長い時間をかけて水を飲み続け、ようやく顔を上げた。
「ん? なんか、不満げな顔だな……」
わたあめは、明らかにぶすっとしていた。
前脚でたしっと、ごはん入れにタッチしている。
どうしたんだろう? 量が少なかった? まだ食べ足りないのだろうか。でも、毎回きちんと計量した分をあげていると言っていたし……。
スマートフォンを取り出し、ささっとメッセージを送る。
『わたあめ、ごはん全部食べたんだけどね。なんか、満足してなさそうなんだけど……?』
壁一枚隔てた場所にいる郡司から、メッセージが返ってくる。
『野菜と鶏肉のやつがないからだと思う』
何だそれは?
詳しく郡司に確認すると、どうやら毎食手作りごはんを与えていたらしいことが分かった。ブロッコリーやさつまいも、鶏むね肉を小さめにカットして火を入れ、柔らかくなったものをドライフードの上にかけていたという。
郡司が風邪を引いてからは、その手作りごはんが無くなってしまったのだ。
『なるほどーー! ドライフードだけしかもらえないから、わたあめはプンプンしてるんだね』
『プンプンしてんの?』
フンッと鼻を鳴らしながら、わたあめはごはん入れを前脚でつついている。その様子を郡司に送信した。
『めっちゃ文句言ってるな』
自分の気持ちを素直に表現しているわたあめの姿に頬を緩めつつ、腕時計で時間を確認する。まだ余裕がありそうだ。
『私が作ってもいい?』
『今から?』
『そう』
『仕事は?』
『まだ平気だよ』
『じゃ、たのむ』
『おっけーー! レシピ送って』
『レシピとか大層なもんないけど。切って煮るだけ』
郡司のメッセージを見て、思わずため息が出る。料理苦手女子を舐めてもらっては困る。どれくらいの大きさに切るとか、どの順番で鍋に入れるとか、水の量とか火加減とか。
目分量で料理した結果、大惨事になった経験が幾度とある。
子どもの頃、母に代わってよく料理をしていたけど、それでも上達したいのだから私は立派な料理オンチだ。
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