黒い青春

樫野 珠代

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** 空 side**










いつから・・・なんて考えたことない。


本当に気が付いたら・・・
そういう状態だった。


でも本当はそうじゃない。
たぶん初めからそうなる運命だったんだ
僕は彼女のことを好きになるって






いつも考える事は同じだった。

― 僕の方を見て ―

それを自覚したのも早かったと思う。
ずっとそういう状況に置かれていたから。



僕は小さい頃から体が弱くて、人並みの運動さえ避けるように言われてた。
すぐに熱は出すし、貧血で倒れるし。
だから僕の定位置は木陰の下。
そしてそこからいつも見る風景も変わらない。
兄貴と、そして淡い想いを馳せる彼女。
2人はいつも一緒だった。
遊ぶにしても勉強にしても。

どうして僕はあそこに入れないんだろう。

何度もそんな自分を悔いた。
体が弱いというだけじゃない。
3つという年の違いも確実に関係している。
兄貴にひまわりのような笑顔を絶え間なく向ける彼女。
そしてその笑顔を素っ気なく・・・照れ隠しでそうしている兄貴。


あれはいつだったか、彼女が兄貴の頬にキスをしているのを目のあたりにした。
そしてそれは決して自分には与えられないもの。
どうして僕には何もないの?
泣きながら走って家に帰ったことを今でも忘れていない。
もちろん無理して走ったせいでその後、ひどい熱で苦しんだことも。




でもそれ以上に苦しみが僕を待ち受けていた。




彼女が兄貴と・・・・・・・・・・・・付き合いだしてから。

 














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