34 / 277
3巻
3-2
しおりを挟む
赤の商人編
ナスラムはレオンのいた王国と陸続きに隣接した小国である。
その国土は王国の三分の一にも満たず、国力も乏しい。
そして、レオンたちのたどり着いた町はその小国の中でも、さらに端の方に位置していた。
「ここは……商店通りというのでしょうか」
目の前にのびる一本の道を前にレオンは疑問を投げかける。
商店、というにはそれぞれの店はあまりにも小さく、露店通りと言った方がいいのかもしれないと思った。
「先程酒場で聞きました。この町には定住して商売をする者は多くないそうです。この並び集まった露店もほとんどは旅をしながら売買をする旅商人のものらしいですね」
レオンの疑問に答えるように側に立つナッシャが言った。
この町に着いてすぐにナッシャが口にした「計画の変更」とは単純なものであった。
王国からアルガンドへ向けて旅を続けるレオンたちは、ある問題を抱えていた。
それは、「金銭」に関する問題である。
国を逃げ出す直前まで投獄されていたレオンには、当然旅のために準備をする時間などなかった。
王都の魔法学院で愛用していた私物や、それまでバイトやら何やらで稼いでいた金品も全て置いてきた。
これまで使っていた杖すら持っていない状態である。
そして、それは突然アルガンドで誘拐されたナッシャも同様で、私物の類は一切所持していなかった。
魔法騎士団長のミハイルがある程度の旅支度をナッシャに持たせてくれたために、ここまではなんとかなったが、それでもアルガンドに着くまでには路銀が心許なかったのである。
「当初は野宿や『飛行』魔法での移動を想定していたため、ミハイル殿からいただいた金銭はそう多くはありませんでした。しかし、レオン殿の今の体調を考えると、人目を気にせずに宿や馬車を利用して体力を温存した方がいいと思うのです」
そう提案したナッシャは当然、そのために必要な金銭を稼ぐすべも考えていた。
「五日ほどこの町に滞在し、体を休めると共にお金を稼ぎましょう。これだけ賑わいのある町ならば魔法使いの需要もあるでしょう。それに、不足しているものもいくらか買い足せるでしょうから」
「でも、五日もこの町に滞在していていいんですか? アルガンドに到着するのが遅れてしまいます」
ナッシャがいち早く故郷に帰りたいと思っていることを知っているレオンは聞いた。
しかし、ナッシャは微笑みながら首を横に振る。
「五日ほどここに滞在したとしても、馬車を利用するお金を稼げれば問題はありません。それに、早く着くよりも無事に着く方が大事ではありませんか」
じっくりと話し合い、最終的にナッシャにそう説得されて、レオンはこの提案を受け入れた。
その後二人は町で一番安い宿屋を探し、一泊分の宿代を旅費の中から何とか捻出するのだった。
◇
翌日、まだ日が昇ったばかりの早いうちからナッシャは宿を出ていった。
「私は町の人たちに何か困り事がないか聞いて回り、仕事を探してきます。レオン殿は今日一日ゆっくりとお休みください」と言い残して。
しかし、そうは言われても、ナッシャだけを働かせて自分は休んでいるなんてレオンには心苦しかった。
確かに悪魔たちの魂が暴れ出し、体を乗っ取ろうとするのは辛い。
そして悪魔たちの抵抗は、レオンの魔力がある程度回復した今も続いている。
レオンは初めてエレノアの魂と同調し、自らの体の中に取り込んだ時のことを思い出す。
ア・シュドラ率いる悪魔たちとの戦いの最中ではあったが、その時の感動はよく覚えていた。
まるで二つに分かれていた肉体と魂が一つに重なり合うかのような不思議な感覚。
体は軽く、無限とも錯覚しそうになるほど膨大な魔力。
誰にも負ける気がしないくらいの万能感があった。
エレノアが今までどのような魔法を使い、どのように戦ってきたのか、考えなくても記憶として浮かんできた。エレノアという一人の悪魔の膨大な経験がレオンの中に蓄積されたのだ。
その戦い方を真似しようとする必要もなく、自然と体が動いてくれた。
あの時の感覚が今はない。
体の中に眠るエレノアの魂を感じようとすると、ア・シュドラたちの魂が出てくる。
レオンとエレノアの間にあった繋がりのようなものを、他の悪魔たちが遮っている。
「どうすればいいのかな……」
胸に手を当ててレオンは呟くが、その問いに答えてくれる者はいなかった。
「すごい……」
町の露店通りを訪れたレオンは、昨日は気づかなかったその賑わいと並ぶ品々の多様性を前に息を呑んだ。
宿で燻っていても仕方がないと思い直し、今できることをしようと外に出たのだが、正解だったようだ。
露店に並ぶ多くの品々――どこの国のものかわからない青果や、見たことがない形をした魔法具の類はレオンの目を惹きつける。
それは良い気分転換になった。
しかし、遊びに来たわけではない。
ナッシャが提案した「お金を稼ぐ」という目標を達成するために、できることをしようと考えてきたのだ。
「とはいっても、魔法は満足に使えないし、魔法関連の依頼とかは無理だよな……魔力も体力もそんなに使わないで済む仕事があるといいんだけど」
レオンは露店通りを歩きながらきょろきょろと辺りを見渡す。
道を行く人の表情や態度から困っていることがないか探しているのだ。
五日間という短い時間の中でこの先の旅費を稼ぐのならば、レオンのこのやり方は非効率だと言える。
一般的な魔法使いは仕事を探す時にこんな面倒くさいことはしない。
訪れた町の酒場なり人気の店なり、とにかく人の集まる場所に行き、大勢を前に名乗りを上げるのだ。
「我が名はナッシャ、魔法使いである。我が技術、とくとご覧あれ」
こんな風に。
その大きな声はレオンにも聞こえていた。
視線を巡らせると露店通りを抜けた先、町の広場の中心にナッシャの姿を見つけることができた。
人を集めるためか、広場の噴水の縁に乗り、天に向けて手を掲げている。
その目論見は成功しているようで、既にナッシャの周りには興味を引かれた人々が集まっていた。
ナッシャは集まった人々に見せつけるように魔法を使ってみせた。
水の魔法だった。
噴水から溢れ出した水が一度ナッシャの手を介して空に打ち上がり、水竜となって空を泳ぐ。
その見事な魔法に人々から拍手が起こった。
「もう一度名乗ろう。我が名はナッシャ。今日より五日間、この町に滞在する予定だ。その間何か困り事があれば我がもとに来られよ。依頼の大小にかかわらず引き受けると約束しよう」
ナッシャはそう言って、受付場所となる酒場の名前を宣言した後に姿を消した。
つまり、一般の魔法使いの典型的なやり方とはこうなのである。
人を集めて自らの魔法の才能を示し、困り事がある人が見つけやすいようにする。
当然酷く目立ち、顔も名前も覚えられてしまう。
死んだことになっているレオンにはできるはずのない方法だった。
「あっちはナッシャさんに任せて僕は僕にできることをしよう」
レオンは心の中でナッシャにもう一度礼を言った。
他の人たちは気づかなかったかもしれないが、レオンには見えた。最後の方、広場から立ち去る前のナッシャの耳が赤くなっていた。
彼女は誘拐されるまで一度も国の外に出たことがなかった。旅をして各地で困っている人を助けて回る一般的な魔法使いとは違うのだ。
魔法使いの興行について、知識はあったのだろうが実践するのは初めてだったはず。
名乗りを上げるのが恥ずかしかったのだろう。それでもレオンを連れて無事に旅を続けるために勇気を出した。レオンはその勇気に感謝した。
表立っての旅費稼ぎをナッシャに任せたレオンは振り返り、露店通りへと戻る。
レオンが探しているのは魔力も体力も使わずに済むような仕事。もしくはここからアルガンドまで旅をするのに有益な情報や旅の道具の類である。
「おい、こんな不良品売りつけやがって。どうしてくれるんだ!」
「そ、そんな……不良品だなんて」
争う声が聞こえて、レオンは視線を動かす。
見ると揉めているのは露店の店主と客のようであった。
黒い無精髭を生やした、見るからに気性の荒そうな中年の男が露店の店主の胸ぐらを掴み、脅している。
店主の方は随分と気が弱そうで、その細腕では男に対抗することなどできないだろう。
「さて、どうしたものか」
レオンは悩んだ。
一見すると弱い者いじめにあたるこの状況。
ただ、注視するとそうではないと気づく。
まず、怒声を上げる中年の男はその剣幕とは裏腹に、実際に手をあげようとはしておらず、暴力で解決しようとしているようには見えない。
また、その男の右腕には包帯が巻かれている。
脅されている店主の方も謝罪の意思を示してはいるが、困惑した表情を浮かべている。
どうやら、何か行き違いがあったらしい。
そう思ったレオンは旅用に着ていたローブのフードを目深にかぶる。
仲裁に入るのならば、できるだけ目立たないようにしようという工夫だった。
「何かあったんですか?」
声をかけると、まず最初に反応したのは中年の男の方だった。
「ああ?」
ドスのきいた声を響かせてレオンを振り向く。
男は訝しげにレオンのことを見ていたが、このままでは埒があかないと思ったのか、やがて事情を説明し始めた。
露店の店主は昨日この町にやって来た旅商人で、中年の男は昨日のうちに店主から商品を買った客なのだという。
「こいつが簡単に火がつくランプがあるとか言うから買ってやったが、家に持って帰って試してみても一向に火なんかつきやしねぇ。挙げ句の果てにはランプ自体が熱くなっちまって、それを触ってこの通りの大火傷よ。その代金の返金と怪我の治療費を取りに来たんだが、首を縦に振りやがらねぇんだ」
男が説明すると、
「ですから、昨日も動くかどうかはわからないと言ったではありませんか。ここにあるものは皆、私が各地で気に入り購入した魔法具なのです。見た目はとても良いですが、中には壊れて動かないものもあると何度も言いましたよ」
と店主が反論する。
レオンが露店の棚に目を向けると、男が言っていたランプの魔法具らしきものが置かれていた。
「少し、その魔法具を見てもいいですか」
店主と男に了解を取って、レオンはランプの魔法具を手に取る。
なるほど、店主の言うように見た目がとても良く、細部までデザインに凝っていることがよくわかる。
また、中年の男が言っていたことも嘘ではないらしく、試しにレオンが魔法具を起動しようとすると、中で魔力が動くのは感じるものの、ランプに火が灯ることはなかった。
「よかった。これなら何とかなりそうです」
レオンはホッとした様子で言うと、店主に向き直る。
「このランプ、いくらでお売りしたんですか?」
その質問に店主は戸惑った表情のまま答えた。
レオンの思った通り、この手の魔法具にしては破格の安さである。
次にレオンは中年の男を見て、
「この魔法具を直しますので、今回の件は目を瞑っていただけませんか? この魔法具が綺麗に直ればあなたが購入した金額の二倍……いえ、三倍程度の価値にはなると思います。必要であれば売っていただき、そのお金を治療費にあてるというのはどうでしょう」
そう提案した。
店主は目を丸くして、中年の男もまた驚いていた。
それから中年の男は渋々といった顔で頷き、
「本当に直せるならな」
と了承した。
レオンは頷くと、辺りをきょろきょろと見回し始める。
そして、該当の人物を見つけると走って近づいていった。
「突然すみません。魔法具に詳しい魔女の方とお見受けしますが、『印』を付与するためのペンを少しお貸しいただけないでしょうか?」
レオンが頼ったのは町を歩いていた一人の魔女である。
腰には見事な数の魔法具をぶら下げていた。
見るからに魔法具に精通している様子が窺える魔女だ。
魔女は突然の頼みに戸惑った様子だが、レオンが事情を話すと快くペンを貸してくれた。
レオンはそのペンを持って道の端に移動すると、そこに腰を下ろす。
それから店主に借り受けたランプの魔法具をひっくり返し、その底の部分に何やらペンで書き込み始めた。
「へぇ、見事なものね」
レオンが作業をしているのを横から覗き込んでそう興味深そうに呟いたのは、ペンを貸してくれた魔女である。
彼女は大して名の売れていない、しがない魔法使いの一人であったが、それでも魔法具に関してだけは自信を持っていた。何しろ、とある国の魔法学院を卒業して以来、請け負った魔法使いとしての仕事のほとんどは魔法具に関連したものだったからだ。
その彼女から見ても、レオンの魔法具の修復は見事と言わざるをえなかった。
「以前、魔法具の印の複写のバイトをしていたんです。それに、先輩に魔法具に詳しい人がいて色々と勉強させてもらいました」
印とは魔法具を作るため、魔力を文字にして道具に記すものだ。レオンは前に、同じような仕事を尊敬する学院の先輩であるクエンティンに紹介してもらったことがあった。
とはいえ、レオンの魔法具製作の技術は飛び抜けて高いというわけではなかった。
しかし、道具に印を書き写す魔法には無駄がなく丁寧で、それでいて付与するスピードも速い。
レオンが魔法具を直す頃にはいつの間にか魔法使いを中心とした野次馬が出来上がりつつあり、直した魔法具に記された印を見て小さな拍手が起こっていた。
「あんたすごいな。これなら何の文句もない」
先程まで怒っていた中年の男もレオンの仕事の速さに感心したらしい。
火が灯るようになったランプを手に、上機嫌で帰っていった。
「本当に助かりました。ありがとうございます」
深々と頭を下げる露店商人にレオンは手をあげて答える。
それから借りていたペンを魔女に返そうとした。
「あなた、それほどの技術を持っているなら私のところで働かない? 高いお給金は出せないけれど安定した仕事は提供できるわよ」
魔女はペンを受け取ると、レオンにそんな提案をした。
いつの間にか彼女の目は同業者を見る者のそれに変わっている。
高い技術を持っているのに魔法具の製作に必要なペンすら持っていない。
まだ魔法使いとしての経験が浅い素人だろうと目をつけたのだ。
「お誘いは大変嬉しいのですが、目的のある旅の最中でして……仕事は欲しいのですが長期的に働くことはできないんです」
レオンがそう断ると魔女は残念そうにしながらも、あっさり引き下がる。
「そう、わかったわ」
どうやら彼女の思惑は「商売敵になるくらいならば雇ってしまえ」というものだったらしく、レオンに長期的に働くつもりがないとわかって安心したようだ。
魔女は最後に、
「気が変わったらここにおいでなさい」
と、泊まっている宿屋の名前が書かれた紙を手渡して颯爽と帰っていった。
残ったのは露店商人とレオンの二人。
そして、レオンにとって重要な話はここからであった。
いくらレオンでも困っている人がいたら無償で助けるわけではない。
もちろん気持ちとしてはそうしたいし、できる限りそうするだろう。
しかし、それと同時に、今自分が置かれている状況もレオンはしっかりと理解しているつもりだった。
「それで……ここからが本題なんですけど」
露店商人に切り出す。
レオンが彼を助けたわけ、思惑を明かすために。
◇
宿屋に戻ってきたナッシャは小さくため息を吐いた。
一仕事終えた疲れもあったがそれだけではなく、何とか今日泊まる分の宿代を稼ぐことができた安堵のため息だ。
町で一番安い宿屋というだけあってその質はかなり悪い。
部屋の寝具の類はボロボロで埃臭いし、掃除もところどころ行き届いておらず、汚いと言わざるをえない。
壁のどこかにヒビでも入っているのか、隙間風もある。
せめてもう少しグレードの高い宿屋に引っ越したいと思い、宿代は一泊分ずつ払っているが、今後のことを考えるとあまり無駄遣いできない状況だった。
「明日はもう少しマシな仕事があるといいのですが」
これだけ活気がある町ならば仕事も多いだろうというナッシャの読みははずれ、受けられた仕事は一件だけ。それもそこまでお金にならない建物の修理の依頼だった。
人の手が届かない高所の修理依頼だったが、魔法使いであるナッシャにとってはなんてことはない。
「飛行」魔法で修理箇所まで行き、土魔法で一瞬にして依頼を達成してしまった。
それでも二人で一泊する分の宿代にはなったのだから、良しとするべきだろう。
「レオン殿、ただいま戻りました……」
少し浮かない顔で部屋に戻ったナッシャの目に映ったのは、ベッドの前に積み上がった魔法具の山と、それを前にしてペンを持つレオンの姿であった。
「レオン殿、これは一体……」
集中していたレオンはナッシャの帰宅にすぐには気づかなかった。
ハッとして顔を上げてからナッシャを見て、
「お帰りなさい」
と笑いかける。
それから事情を説明した。
露店商人と中年の男の争いを仲裁したレオンはその後、露店商人にこんな提案をした。
ナスラムはレオンのいた王国と陸続きに隣接した小国である。
その国土は王国の三分の一にも満たず、国力も乏しい。
そして、レオンたちのたどり着いた町はその小国の中でも、さらに端の方に位置していた。
「ここは……商店通りというのでしょうか」
目の前にのびる一本の道を前にレオンは疑問を投げかける。
商店、というにはそれぞれの店はあまりにも小さく、露店通りと言った方がいいのかもしれないと思った。
「先程酒場で聞きました。この町には定住して商売をする者は多くないそうです。この並び集まった露店もほとんどは旅をしながら売買をする旅商人のものらしいですね」
レオンの疑問に答えるように側に立つナッシャが言った。
この町に着いてすぐにナッシャが口にした「計画の変更」とは単純なものであった。
王国からアルガンドへ向けて旅を続けるレオンたちは、ある問題を抱えていた。
それは、「金銭」に関する問題である。
国を逃げ出す直前まで投獄されていたレオンには、当然旅のために準備をする時間などなかった。
王都の魔法学院で愛用していた私物や、それまでバイトやら何やらで稼いでいた金品も全て置いてきた。
これまで使っていた杖すら持っていない状態である。
そして、それは突然アルガンドで誘拐されたナッシャも同様で、私物の類は一切所持していなかった。
魔法騎士団長のミハイルがある程度の旅支度をナッシャに持たせてくれたために、ここまではなんとかなったが、それでもアルガンドに着くまでには路銀が心許なかったのである。
「当初は野宿や『飛行』魔法での移動を想定していたため、ミハイル殿からいただいた金銭はそう多くはありませんでした。しかし、レオン殿の今の体調を考えると、人目を気にせずに宿や馬車を利用して体力を温存した方がいいと思うのです」
そう提案したナッシャは当然、そのために必要な金銭を稼ぐすべも考えていた。
「五日ほどこの町に滞在し、体を休めると共にお金を稼ぎましょう。これだけ賑わいのある町ならば魔法使いの需要もあるでしょう。それに、不足しているものもいくらか買い足せるでしょうから」
「でも、五日もこの町に滞在していていいんですか? アルガンドに到着するのが遅れてしまいます」
ナッシャがいち早く故郷に帰りたいと思っていることを知っているレオンは聞いた。
しかし、ナッシャは微笑みながら首を横に振る。
「五日ほどここに滞在したとしても、馬車を利用するお金を稼げれば問題はありません。それに、早く着くよりも無事に着く方が大事ではありませんか」
じっくりと話し合い、最終的にナッシャにそう説得されて、レオンはこの提案を受け入れた。
その後二人は町で一番安い宿屋を探し、一泊分の宿代を旅費の中から何とか捻出するのだった。
◇
翌日、まだ日が昇ったばかりの早いうちからナッシャは宿を出ていった。
「私は町の人たちに何か困り事がないか聞いて回り、仕事を探してきます。レオン殿は今日一日ゆっくりとお休みください」と言い残して。
しかし、そうは言われても、ナッシャだけを働かせて自分は休んでいるなんてレオンには心苦しかった。
確かに悪魔たちの魂が暴れ出し、体を乗っ取ろうとするのは辛い。
そして悪魔たちの抵抗は、レオンの魔力がある程度回復した今も続いている。
レオンは初めてエレノアの魂と同調し、自らの体の中に取り込んだ時のことを思い出す。
ア・シュドラ率いる悪魔たちとの戦いの最中ではあったが、その時の感動はよく覚えていた。
まるで二つに分かれていた肉体と魂が一つに重なり合うかのような不思議な感覚。
体は軽く、無限とも錯覚しそうになるほど膨大な魔力。
誰にも負ける気がしないくらいの万能感があった。
エレノアが今までどのような魔法を使い、どのように戦ってきたのか、考えなくても記憶として浮かんできた。エレノアという一人の悪魔の膨大な経験がレオンの中に蓄積されたのだ。
その戦い方を真似しようとする必要もなく、自然と体が動いてくれた。
あの時の感覚が今はない。
体の中に眠るエレノアの魂を感じようとすると、ア・シュドラたちの魂が出てくる。
レオンとエレノアの間にあった繋がりのようなものを、他の悪魔たちが遮っている。
「どうすればいいのかな……」
胸に手を当ててレオンは呟くが、その問いに答えてくれる者はいなかった。
「すごい……」
町の露店通りを訪れたレオンは、昨日は気づかなかったその賑わいと並ぶ品々の多様性を前に息を呑んだ。
宿で燻っていても仕方がないと思い直し、今できることをしようと外に出たのだが、正解だったようだ。
露店に並ぶ多くの品々――どこの国のものかわからない青果や、見たことがない形をした魔法具の類はレオンの目を惹きつける。
それは良い気分転換になった。
しかし、遊びに来たわけではない。
ナッシャが提案した「お金を稼ぐ」という目標を達成するために、できることをしようと考えてきたのだ。
「とはいっても、魔法は満足に使えないし、魔法関連の依頼とかは無理だよな……魔力も体力もそんなに使わないで済む仕事があるといいんだけど」
レオンは露店通りを歩きながらきょろきょろと辺りを見渡す。
道を行く人の表情や態度から困っていることがないか探しているのだ。
五日間という短い時間の中でこの先の旅費を稼ぐのならば、レオンのこのやり方は非効率だと言える。
一般的な魔法使いは仕事を探す時にこんな面倒くさいことはしない。
訪れた町の酒場なり人気の店なり、とにかく人の集まる場所に行き、大勢を前に名乗りを上げるのだ。
「我が名はナッシャ、魔法使いである。我が技術、とくとご覧あれ」
こんな風に。
その大きな声はレオンにも聞こえていた。
視線を巡らせると露店通りを抜けた先、町の広場の中心にナッシャの姿を見つけることができた。
人を集めるためか、広場の噴水の縁に乗り、天に向けて手を掲げている。
その目論見は成功しているようで、既にナッシャの周りには興味を引かれた人々が集まっていた。
ナッシャは集まった人々に見せつけるように魔法を使ってみせた。
水の魔法だった。
噴水から溢れ出した水が一度ナッシャの手を介して空に打ち上がり、水竜となって空を泳ぐ。
その見事な魔法に人々から拍手が起こった。
「もう一度名乗ろう。我が名はナッシャ。今日より五日間、この町に滞在する予定だ。その間何か困り事があれば我がもとに来られよ。依頼の大小にかかわらず引き受けると約束しよう」
ナッシャはそう言って、受付場所となる酒場の名前を宣言した後に姿を消した。
つまり、一般の魔法使いの典型的なやり方とはこうなのである。
人を集めて自らの魔法の才能を示し、困り事がある人が見つけやすいようにする。
当然酷く目立ち、顔も名前も覚えられてしまう。
死んだことになっているレオンにはできるはずのない方法だった。
「あっちはナッシャさんに任せて僕は僕にできることをしよう」
レオンは心の中でナッシャにもう一度礼を言った。
他の人たちは気づかなかったかもしれないが、レオンには見えた。最後の方、広場から立ち去る前のナッシャの耳が赤くなっていた。
彼女は誘拐されるまで一度も国の外に出たことがなかった。旅をして各地で困っている人を助けて回る一般的な魔法使いとは違うのだ。
魔法使いの興行について、知識はあったのだろうが実践するのは初めてだったはず。
名乗りを上げるのが恥ずかしかったのだろう。それでもレオンを連れて無事に旅を続けるために勇気を出した。レオンはその勇気に感謝した。
表立っての旅費稼ぎをナッシャに任せたレオンは振り返り、露店通りへと戻る。
レオンが探しているのは魔力も体力も使わずに済むような仕事。もしくはここからアルガンドまで旅をするのに有益な情報や旅の道具の類である。
「おい、こんな不良品売りつけやがって。どうしてくれるんだ!」
「そ、そんな……不良品だなんて」
争う声が聞こえて、レオンは視線を動かす。
見ると揉めているのは露店の店主と客のようであった。
黒い無精髭を生やした、見るからに気性の荒そうな中年の男が露店の店主の胸ぐらを掴み、脅している。
店主の方は随分と気が弱そうで、その細腕では男に対抗することなどできないだろう。
「さて、どうしたものか」
レオンは悩んだ。
一見すると弱い者いじめにあたるこの状況。
ただ、注視するとそうではないと気づく。
まず、怒声を上げる中年の男はその剣幕とは裏腹に、実際に手をあげようとはしておらず、暴力で解決しようとしているようには見えない。
また、その男の右腕には包帯が巻かれている。
脅されている店主の方も謝罪の意思を示してはいるが、困惑した表情を浮かべている。
どうやら、何か行き違いがあったらしい。
そう思ったレオンは旅用に着ていたローブのフードを目深にかぶる。
仲裁に入るのならば、できるだけ目立たないようにしようという工夫だった。
「何かあったんですか?」
声をかけると、まず最初に反応したのは中年の男の方だった。
「ああ?」
ドスのきいた声を響かせてレオンを振り向く。
男は訝しげにレオンのことを見ていたが、このままでは埒があかないと思ったのか、やがて事情を説明し始めた。
露店の店主は昨日この町にやって来た旅商人で、中年の男は昨日のうちに店主から商品を買った客なのだという。
「こいつが簡単に火がつくランプがあるとか言うから買ってやったが、家に持って帰って試してみても一向に火なんかつきやしねぇ。挙げ句の果てにはランプ自体が熱くなっちまって、それを触ってこの通りの大火傷よ。その代金の返金と怪我の治療費を取りに来たんだが、首を縦に振りやがらねぇんだ」
男が説明すると、
「ですから、昨日も動くかどうかはわからないと言ったではありませんか。ここにあるものは皆、私が各地で気に入り購入した魔法具なのです。見た目はとても良いですが、中には壊れて動かないものもあると何度も言いましたよ」
と店主が反論する。
レオンが露店の棚に目を向けると、男が言っていたランプの魔法具らしきものが置かれていた。
「少し、その魔法具を見てもいいですか」
店主と男に了解を取って、レオンはランプの魔法具を手に取る。
なるほど、店主の言うように見た目がとても良く、細部までデザインに凝っていることがよくわかる。
また、中年の男が言っていたことも嘘ではないらしく、試しにレオンが魔法具を起動しようとすると、中で魔力が動くのは感じるものの、ランプに火が灯ることはなかった。
「よかった。これなら何とかなりそうです」
レオンはホッとした様子で言うと、店主に向き直る。
「このランプ、いくらでお売りしたんですか?」
その質問に店主は戸惑った表情のまま答えた。
レオンの思った通り、この手の魔法具にしては破格の安さである。
次にレオンは中年の男を見て、
「この魔法具を直しますので、今回の件は目を瞑っていただけませんか? この魔法具が綺麗に直ればあなたが購入した金額の二倍……いえ、三倍程度の価値にはなると思います。必要であれば売っていただき、そのお金を治療費にあてるというのはどうでしょう」
そう提案した。
店主は目を丸くして、中年の男もまた驚いていた。
それから中年の男は渋々といった顔で頷き、
「本当に直せるならな」
と了承した。
レオンは頷くと、辺りをきょろきょろと見回し始める。
そして、該当の人物を見つけると走って近づいていった。
「突然すみません。魔法具に詳しい魔女の方とお見受けしますが、『印』を付与するためのペンを少しお貸しいただけないでしょうか?」
レオンが頼ったのは町を歩いていた一人の魔女である。
腰には見事な数の魔法具をぶら下げていた。
見るからに魔法具に精通している様子が窺える魔女だ。
魔女は突然の頼みに戸惑った様子だが、レオンが事情を話すと快くペンを貸してくれた。
レオンはそのペンを持って道の端に移動すると、そこに腰を下ろす。
それから店主に借り受けたランプの魔法具をひっくり返し、その底の部分に何やらペンで書き込み始めた。
「へぇ、見事なものね」
レオンが作業をしているのを横から覗き込んでそう興味深そうに呟いたのは、ペンを貸してくれた魔女である。
彼女は大して名の売れていない、しがない魔法使いの一人であったが、それでも魔法具に関してだけは自信を持っていた。何しろ、とある国の魔法学院を卒業して以来、請け負った魔法使いとしての仕事のほとんどは魔法具に関連したものだったからだ。
その彼女から見ても、レオンの魔法具の修復は見事と言わざるをえなかった。
「以前、魔法具の印の複写のバイトをしていたんです。それに、先輩に魔法具に詳しい人がいて色々と勉強させてもらいました」
印とは魔法具を作るため、魔力を文字にして道具に記すものだ。レオンは前に、同じような仕事を尊敬する学院の先輩であるクエンティンに紹介してもらったことがあった。
とはいえ、レオンの魔法具製作の技術は飛び抜けて高いというわけではなかった。
しかし、道具に印を書き写す魔法には無駄がなく丁寧で、それでいて付与するスピードも速い。
レオンが魔法具を直す頃にはいつの間にか魔法使いを中心とした野次馬が出来上がりつつあり、直した魔法具に記された印を見て小さな拍手が起こっていた。
「あんたすごいな。これなら何の文句もない」
先程まで怒っていた中年の男もレオンの仕事の速さに感心したらしい。
火が灯るようになったランプを手に、上機嫌で帰っていった。
「本当に助かりました。ありがとうございます」
深々と頭を下げる露店商人にレオンは手をあげて答える。
それから借りていたペンを魔女に返そうとした。
「あなた、それほどの技術を持っているなら私のところで働かない? 高いお給金は出せないけれど安定した仕事は提供できるわよ」
魔女はペンを受け取ると、レオンにそんな提案をした。
いつの間にか彼女の目は同業者を見る者のそれに変わっている。
高い技術を持っているのに魔法具の製作に必要なペンすら持っていない。
まだ魔法使いとしての経験が浅い素人だろうと目をつけたのだ。
「お誘いは大変嬉しいのですが、目的のある旅の最中でして……仕事は欲しいのですが長期的に働くことはできないんです」
レオンがそう断ると魔女は残念そうにしながらも、あっさり引き下がる。
「そう、わかったわ」
どうやら彼女の思惑は「商売敵になるくらいならば雇ってしまえ」というものだったらしく、レオンに長期的に働くつもりがないとわかって安心したようだ。
魔女は最後に、
「気が変わったらここにおいでなさい」
と、泊まっている宿屋の名前が書かれた紙を手渡して颯爽と帰っていった。
残ったのは露店商人とレオンの二人。
そして、レオンにとって重要な話はここからであった。
いくらレオンでも困っている人がいたら無償で助けるわけではない。
もちろん気持ちとしてはそうしたいし、できる限りそうするだろう。
しかし、それと同時に、今自分が置かれている状況もレオンはしっかりと理解しているつもりだった。
「それで……ここからが本題なんですけど」
露店商人に切り出す。
レオンが彼を助けたわけ、思惑を明かすために。
◇
宿屋に戻ってきたナッシャは小さくため息を吐いた。
一仕事終えた疲れもあったがそれだけではなく、何とか今日泊まる分の宿代を稼ぐことができた安堵のため息だ。
町で一番安い宿屋というだけあってその質はかなり悪い。
部屋の寝具の類はボロボロで埃臭いし、掃除もところどころ行き届いておらず、汚いと言わざるをえない。
壁のどこかにヒビでも入っているのか、隙間風もある。
せめてもう少しグレードの高い宿屋に引っ越したいと思い、宿代は一泊分ずつ払っているが、今後のことを考えるとあまり無駄遣いできない状況だった。
「明日はもう少しマシな仕事があるといいのですが」
これだけ活気がある町ならば仕事も多いだろうというナッシャの読みははずれ、受けられた仕事は一件だけ。それもそこまでお金にならない建物の修理の依頼だった。
人の手が届かない高所の修理依頼だったが、魔法使いであるナッシャにとってはなんてことはない。
「飛行」魔法で修理箇所まで行き、土魔法で一瞬にして依頼を達成してしまった。
それでも二人で一泊する分の宿代にはなったのだから、良しとするべきだろう。
「レオン殿、ただいま戻りました……」
少し浮かない顔で部屋に戻ったナッシャの目に映ったのは、ベッドの前に積み上がった魔法具の山と、それを前にしてペンを持つレオンの姿であった。
「レオン殿、これは一体……」
集中していたレオンはナッシャの帰宅にすぐには気づかなかった。
ハッとして顔を上げてからナッシャを見て、
「お帰りなさい」
と笑いかける。
それから事情を説明した。
露店商人と中年の男の争いを仲裁したレオンはその後、露店商人にこんな提案をした。
33
お気に入りに追加
7,502
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。