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1巻
1-3
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新入生に第二王子がいるという噂はすぐに学院中に広まった。入学式を終え、教室に戻ると既に噂を聞きつけた他クラスの人間や他学年の生徒たちが、第二王子ヒースクリフ・デュエンを一目見ようと集まっていた。
「お前たち、すぐに自分の教室に戻りなさい」
アインツの担任となったグラントが声を張り上げ、集まった生徒たちを散らす。ヒースクリフは困ったように笑いながら集まった生徒たちに手を振っていた。
「大変そうだなー、第二王子様は」
レオンの横で面白くなさげにそう呟く少年はマーク。
赤みがかった茶色い短髪で、貴族家の出身ではなく、平民である。同じ身分だからかレオンとはすぐに仲良くなった。
「学院内では身分は関係ないって言っても王子だからね。しばらくこの人気は続くんじゃないかな。彼、人当たりも良さそうだし」
そう言いつつもレオンはヒースクリフに対し、少し苦手意識を感じていた。
先程のダレンとの一件。表向きには仲裁に入り良くしてくれたように映るのだが、どうにも違和感があったのだ。ヒースクリフと話していても彼はこちらをまるで見ていないような、純粋に見下されているような感覚。
言葉と表情が合っていないとでもいうのだろうか。
「さぁ、アインツの諸君、まずは座りなさい」
ある程度生徒が散ったあとでグラントがアインツの生徒を座らせ、手に持っていた紙の束をふわりと宙に投げた。すると魔法により紙は一枚ずつ生徒の元へと運ばれていく。
「魔法は生活の一部、か」
その様子を見てレオンは呟く。それは入学式の時に学院長が言っていた言葉だった。
レオンを含め、ここにいる新入生の全員が今までは魔法を使う世界の外にいた。もちろん自分自身は魔法を使えるのだが、外では使えない人間の方が圧倒的に多いからだ。
水を汲み、火を起こす、そういった生活の動作のほとんどを人力でやっている。しかし、学院の中では違う。
寮に入って過ごす三年間は、周りにいるのは全て魔法使いなのだ。
水を使いたければ生み出せばいい。火は魔法で灯せ。ないものは生み出し、あるものは活用しろという学院の教えだった。
「さて、配ったのは今後のスケジュールだ。学院内では時間厳守、遅れた者は容赦なく置いていくから気をつけろよ」
グラントは今後のスケジュールを説明する。
今日はこのあとすぐ解散し、それぞれ割り当てられた寮で荷解きと明日の準備。明日からは早速授業がある。
「明日の授業ではそれぞれがどれだけ魔法を使えるかを見せてもらう。今日のうちにその準備もしておくこと」
魔法学院では一年次には魔法の基礎を、二年三年では選択した専門分野での教養を得られる。明日行われる魔法の試射は、入学時点での生徒の実力を測るためのものだった。
グラントはその後いくつかの学院内規則を読み上げ(廊下は走るな、魔法による私闘は禁止など)、すぐにアインツを解散させた。
「おいレオン、寮に行こうぜ。聞いた話だと寮は出身地ごとに分けられるらしいから、多分俺とお前おんなじところだ」
グラントが教室から出ていくと、マークがレオンの席へやってきた。偶然にも二人の出身地は隣町同士だったのだ。
二人は教室を出て配られた紙に書かれている寮の場所へと向かう。
今度は特に魔法による妨害はなく、紙に書かれた通りに進むと寮があった。
「うわぁ……ぼろぼろだな」
寮を一目見たマークの感想である。
レオンも同じ気持ちだった。夢で見た古い洋館、それよりも遥かに年季の入った建物が目の前にはあった。
「お化け屋敷だ、きっと」
レオンが呟いた。今にも倒れてしまいそうな学生寮を見て、二人はゴクリと生唾を呑み込んだ。
そして何のためにかはわからないが、覚悟を決めて一歩踏み出した。
「ようこそ、新入生」
扉を開けると、そこには魔法の世界が広がっていた。
「どうなってんだ、これ」
マークが呆気に取られて言った。
外見はボロボロの古い屋敷。しかし、中に入れば貴族の家にも負けないほどの豪華な内装が広がっている。
「外から見た大きさと中の大きさが合ってない。魔法ってことだね」
レオンもそう言って、マークと一緒にその光景に感動していた。
「驚いているようだね、新入生。そんな君たちにもう一度言うけどようこそ、新入生」
驚く二人の前に存在をアピールするかのように立ちはだかる男がいた。二人はわざと無視したわけではないのだが、その一言でようやく我に返った。
「ああ、すみません。魔法に驚いてしまって」
慌てて取り繕うレオンに対し、その男は満足そうに笑った。
「そうだろう、ここの魔法は僕のアイデアなんだ。外見で判断するなっていう皮肉を込めてね」
男はレオンとマークを談話室まで案内し、そこにあるソファに座らせる。
「僕はクエンティン、クエンティン・ウォルス。三年生でこの南寮の監督生だ。よろしく」
クエンティンは二人に寮内を案内する。
談話室、食堂、それから各寮生の部屋があった。寮生の部屋は相部屋でマークとレオンはルームメイトだった。
「さて、君たち、荷物を整理したら下の食堂に来るといい。今日は新入生の歓迎会だ。食堂の料理人が張り切ってたから」
そう言い残すとクエンティンは下へおりていく。レオンとマークは部屋に届いていた荷物を一つ一つ確認しながら荷解きを始めた。
「それ、剣かい?」
マークの荷物の中に一本の長剣があるのを見つけ、レオンが聞いた。マークはレオンが指差した剣を手に取ってくるくると回す。
「俺の親父は衛兵で、学院に入ることが決まった時にこの剣をくれたんだ。魔法を学ぶって言ってるのにな」
そう言って笑いながら剣を持つマークは、随分と様になっていた。
二人は荷物をあらかた片付け終え、二つあるベッドのどちらに寝るかを話し合いで決めてから食堂へと向かった。その頃には日もすっかりと暮れ切って二人ともお腹を空かせていた。食堂が近づくにつれ、いい匂いと馬鹿騒ぎする寮生たちの声が聞こえてくる。
「おお、来たね。待ってたよ」
食堂に入ってきたレオンとマークを見て、クエンティンが駆け寄ってくる。
「食事はあそこに、もちろん酒もある。好きなものを飲み、好きなものを食べて交流を深めるといい」
クエンティンの言う通り、食堂には豪華な食事と多くの酒が置いてあった。
レオンとマークはバイキング形式で好きな食事を皿に盛り、あまり詳しくないながらも美味しそうな酒を手に取って席についた。
周囲では既に酒で出来上がっている新入生たちが馬鹿騒ぎをしていた。その様子を見ると彼らが貴族家出身だとは思えないのだが、随分と楽しそうな様子である。
貴族の中には格式高く礼儀作法に厳しい家も多いため、学院に入学する生徒の中にはこの三年間を大いに楽しむ者もいる。
最初は雰囲気に溶け込めなかったレオンとマークだったが、酒が進むとそんなことは関係なくなっていた。どこの誰とも知らない新入生と肩を組み、歌を歌い楽しんだ。そこには貴族と平民の格差など存在せず、ただの新入生しかいなかった。
クエンティンはそれを見て満足そうに微笑む。貴族と平民の格差は魔法学院の中でもよく問題になるのだ。規則で格差をなくすと言っても人の心はそれほど簡単にはいかない。
学院内に四つあるそれぞれの寮では、毎年新入生に対してこういった趣向の歓迎会を行い、貴族と平民の間にある軋轢を少しでも減らそうとしているのだ。
「おやおや、誰かと思えばハートフィリアじゃないか」
レオンが気持ち良く酒を飲んでいるところに一人の新入生が近づいてきた。その顔はレオンも良く知るものだった。
アイルトン・ネバード。レオンの家の近くにある町に住む貴族だ。レオンの父ドミニクを痛めつけたあの貴族の息子である。
彼はレオンよりもさらに酔いが回っているようで既に足取りはふらつき、顔も真っ赤になっていた。
「アイルトン、君も入学してたのか」
レオンの発言にアイルトンの額がピクリと動いた。
「アイルトン様だろ! この平民が!!」
そして右の拳を振り上げる。しかし、酔っ払っているアイルトンはその拳を振り下ろすことなく尻餅をついてしまった。
「おい、大丈夫かい? アイルトン」
レオンはアイルトンに手を貸そうと立ち上がるが、彼はその手を振り払う。
「平民が馴れ馴れしくするな!! この卑しいハートフィリアめ」
アイルトンはよたよたと立ち上がると両手を合わせた。攻撃魔法を行おうとしているのだ。
その頃には周りで騒いでいた生徒たちも異常に気づき、ざわつき始めている。
親譲りの短絡さと下劣な性格を持つアイルトンは学院に入学してもなお、レオンのことを見下していた。そのレオンに気安くされたことに腹を立てたのだ。
アイルトンが合わせた手が赤く光り、熱を帯びる。火球を放つ魔法だ。簡単なもので魔法の素質があれば本から学べるレベルの攻撃魔法だった。
酔っているレオンだったが、まだ自衛するだけの頭はあった。
アイルトンが火球を放つよりも早く守りの魔法を構築して、自分と自分の後ろにいる生徒たちを守れるだけの透明な壁を作り出した。
アイルトンの放った火球はレオンめがけて真っ直ぐ飛び、そして消えた。
「あ、あれ? ……なんだ?」
自身の放った魔法が不発に終わり、アイルトンは戸惑う。
アイルトンの魔法が消えた原因がレオンにはわかっていた。魔法を相殺した人物がいるのだ。
レオンはその人物――監督生クエンティン・ウォルスを見た。
クエンティンは少し離れた場所からこちらを見て微笑んでいる。
レオンはまだ使えないが、「相殺」の魔法はものに触れなくても魔法の塊として飛ばすことができるのだ。クエンティンが使ったのはそれだろう。
「ネバード新入生、学内での差別的発言と私闘は厳罰対象だ。今回は目を瞑るが以後気をつけるように」
先程までの和やかなクエンティンの姿はなく、キリッとした厳しい態度でアイルトンに言う。アイルトンもさすがに三年生に反発するほどの度胸はなく、その場でしゅんとして縮こまった。
「さぁ、皆そろそろお開きにしよう。特に一年生、明日は試射の授業だろう。遅刻すると僕が教師陣に怒られてしまうからね」
シーンとした空気の中、いつもの和やかな雰囲気に戻ったクエンティンが言った。
レオンとアイルトンを取り巻くように見ていた新入生たちも、ゾロゾロと食堂を出ていく。
これ以上問題を起こすわけにはいかないレオンも、そそくさと食堂を出ようとしたのだが、クエンティンに呼び止められた。
「ハートフィリア君、先程の魔法は独学かい?」
透明の壁を使った防御魔法のことを聞かれ、レオンは頷く。
レオンの記憶にある本の内容から覚えた魔法だったが、誰かに習ったわけではないので独学と言えよう。
「そうかい、あれは二年生で習う魔法だったから。それに構築するスピードも大したものだった。君ならきっといい成績がとれるよ、がんばりたまえ」
クエンティンはそう言って、食堂の後片付けをしている二、三年生に合流しに行った。
◇
その日の夜、レオンは再び夢を見た。
いつもの洋館で黒い猫の姿をしたモゾと一緒に屋敷内を歩き回る夢。
魔法の本が詰まった部屋を見つけ、その本を読む夢。
しかし、普段と違うのは夢が中々覚めないことだ。
いつもであれば開いた本を全て読む前に目が覚める。それなのにこの日は本を一冊読み終えても夢は終わらなかった。
初めて魔法に関する本を一冊読み終えることができたのだ。
それまでであれば読んだ本の途中までしか思い出すことができず、知識も浅いままだったのが一冊分の情報を手に入れた。
喜びを噛みしめつつ、レオンは別の本を手に取ろうとした。
その時だった。ギイィ……と扉が開く音が聞こえた。反射的にレオンの視線は部屋の扉の方へと向く。しかし、扉は閉まったままで動いた様子はない。
違う部屋の扉が開いたようだ。こんなことは今までにはなかった。
自分以外の誰かがいる?
未知の存在に不気味さを感じながら、レオンは置いてあったランタンを持って立ち上がった。レオンの後ろをモゾがちょろちょろとついてくる。
部屋の扉に手をかけ、そーっと廊下の様子を探る。
暗闇。人の気配はなく、ただ冷たい空気が流れているだけだ。
レオンは足音を立てないように廊下へと出た。
ひんやりとした空気がレオンを包み、息が白くなる。
「おいで、モゾ」
小さい声で呼ぶと、モゾはレオンの肩までよじ登り、彼に頬を擦り寄せる。
廊下を歩きながらレオンは考えた。この屋敷は一体なんなのか。現実の世界にも存在するところなのだろうか、と。
この夢のことをレオンは前世の記憶だと勝手に解釈していたが、それならば今ここにいる自分は誰なのだろうか。
廊下はすぐに突き当たりに達した。左右に分かれている。
まるで迷路のようだと思いながらレオンは右側に続く廊下の先を覗き込んだ。暗く、奥までは見えないが窓のようなものがある。
今度は左側を覗き込む。こちらも暗くてよくわからないものの、奥に階段のようなものが見えた。
少し考えてからレオンは右側へ進むことを選んだ。
この屋敷がどんなところにあるのかを知るために、外の景色を見たかったのだ。近づいてみると、窓が白く曇っていることがわかった。
うっすらと見える外の景色。外は大雪のようだ。
雪のせいで窓の外がどんな風景なのかよくわからない。わかるのはここが極寒の地ということだけ。
ヒタ……ヒタ……と廊下に足音が響いた。それはレオンのものではなく、当然モゾのものでもない。
やはり誰かいる。レオンは確信し、身構えた。
足音はレオンが進む廊下の向こうにある暗闇から聞こえてくる。ランタンを持つ手をできるだけ伸ばして先を照らす。
冷たく湿った足音は、確実に一歩ずつ近づいている。
足音がどんどん近くなって、レオンの目の前で消えた。
辺りを包み込む静寂。聞こえるのはレオンの呼吸と心臓の音だけ。
とても寒いのに、レオンは汗をかいていた。
「誰かいるの?」
静寂に耐えきれなくなったレオンが問う。
その問いに答えはなかったが、目の前の暗闇が揺らいだ。闇に溶け込む何かが、目の前にいた。
レオンは闇に目を凝らしたが、見ようとすればするほどその何かは闇に溶けていく。近づいているのか、動いているのかもわからない。
「キイイイイイイイイ」
甲高い声、叫びのような音だった。
レオンは思わず耳を塞ぎ、うずくまる。
黒い影がレオンを包み込むように襲ってきた。
そこで目が覚めた。
学院編
「これより魔法の試射を行う! 呼ばれた生徒は前に出て、的に向けて『火球』の魔法を撃つように」
早朝から魔法学院の競技場に響き渡るグラントのその声を、レオンは眠そうに目を擦りながら聞いていた。
不眠の理由は言うまでもなく昨夜見たあの夢だ。突然現れた不気味な何か。襲いかかってきた黒い影のせいで満足に眠れた感じがしない。
「眠そうだな、レオン」
隣にいるマークはレオンとは真逆でぐっすりと眠れたらしい。
張り切っているのが傍目からもわかるくらい、胸を張って自信に満ちた表情だ。
「昨日のやつのせいか? あの野郎、変ないちゃもんつけてきやがって」
黒い影のことを言われたのかと思いドキリとしたが、すぐにそれがアイルトンの話だとわかった。
競技場にはアインツの生徒しかおらず、ここにアイルトンの姿はない。
レオンはアイルトンが昨夜の歓迎会で使った「火球」の魔法のことを思い出した。
威力は低かったが、速度はあった。
魔法で重要なのはその魔法をしっかりと操れているかどうかだが、もちろん威力やスピードも必要である。特に攻撃魔法においてはどれだけコントロールできていたとしても、威力が低ければ意味がなく、速度がなければ当たらない。
そして、その威力と速度を補うには、どれだけその魔法のことをイメージできているかという想像力が必要なのだ。
レオンの前では、グラントに名前を呼ばれた生徒が順番に「火球」の魔法を目の前にある藁人形でできた的に向けて放っている。
今のところアイルトンの放った火球よりも威力が高く、速度も十分なものばかりだった。
「次、ヒースクリフ・デュエン」
第二王子ヒースクリフが名前を呼ばれ、的の前に立つ。アインツの生徒の空気が変わった。皆、彼の実力がどれほどなのかが気になるらしい。
ヒースクリフは両手を胸の前で交差し、目を瞑る。
そしてその手を裏返し「火球」の魔法を放つ。
ヒースクリフの手から飛び出した魔法は大きかった。大きな火の球が恐るべき速さで的に向かって飛んでいき、ぶつかった。的にぶつかった火の球は轟々と燃える。
誰からともなく拍手が起きた。
それほどまでにヒースクリフの魔法は立派だったのだ。
「よし。次、レオン・ハートフィリア」
名前を呼ばれ、レオンが前に出る。
「修復」の魔法がかけられているのか、ヒースクリフの魔法で黒焦げになった的はみるみる元の姿に戻った。
レオンは深呼吸を一つして、右手の人差し指を的に向け、親指を立てる。
魔法を発動するのに決められたポーズはないが、レオンのそのポーズは他のどの生徒とも違っていた。
ボンッという音がした。
ただそれだけ。
「不発かよ……ダセェ」
ダレンが吐き捨てるように言い、他の生徒もクスクスと笑い出す。レオンの魔法に気づいたのはグラントとヒースクリフだけだった。
レオンは人差し指から飴玉サイズの「火球」を射出していた。その小さな火の球はものすごい速さで飛んでいき、藁人形を貫き、その後ろにある競技場を囲む塀までも貫いて消えた。
攻撃魔法に必要なのは威力とスピード。
決して魔法の大きさではない。
レオンは「火球」を小さくすることで空気抵抗を少なくし、速度を上げた。その速度をそのまま威力へと変換して貫通させたのだ。
この高度なコントロールはレオンが積み重ねてきた訓練の成果である。
馬鹿にしたように笑うクラスメイトたちの中、レオンは想像した通りの魔法を放てたことに喜んでいた。
「お前たち、すぐに自分の教室に戻りなさい」
アインツの担任となったグラントが声を張り上げ、集まった生徒たちを散らす。ヒースクリフは困ったように笑いながら集まった生徒たちに手を振っていた。
「大変そうだなー、第二王子様は」
レオンの横で面白くなさげにそう呟く少年はマーク。
赤みがかった茶色い短髪で、貴族家の出身ではなく、平民である。同じ身分だからかレオンとはすぐに仲良くなった。
「学院内では身分は関係ないって言っても王子だからね。しばらくこの人気は続くんじゃないかな。彼、人当たりも良さそうだし」
そう言いつつもレオンはヒースクリフに対し、少し苦手意識を感じていた。
先程のダレンとの一件。表向きには仲裁に入り良くしてくれたように映るのだが、どうにも違和感があったのだ。ヒースクリフと話していても彼はこちらをまるで見ていないような、純粋に見下されているような感覚。
言葉と表情が合っていないとでもいうのだろうか。
「さぁ、アインツの諸君、まずは座りなさい」
ある程度生徒が散ったあとでグラントがアインツの生徒を座らせ、手に持っていた紙の束をふわりと宙に投げた。すると魔法により紙は一枚ずつ生徒の元へと運ばれていく。
「魔法は生活の一部、か」
その様子を見てレオンは呟く。それは入学式の時に学院長が言っていた言葉だった。
レオンを含め、ここにいる新入生の全員が今までは魔法を使う世界の外にいた。もちろん自分自身は魔法を使えるのだが、外では使えない人間の方が圧倒的に多いからだ。
水を汲み、火を起こす、そういった生活の動作のほとんどを人力でやっている。しかし、学院の中では違う。
寮に入って過ごす三年間は、周りにいるのは全て魔法使いなのだ。
水を使いたければ生み出せばいい。火は魔法で灯せ。ないものは生み出し、あるものは活用しろという学院の教えだった。
「さて、配ったのは今後のスケジュールだ。学院内では時間厳守、遅れた者は容赦なく置いていくから気をつけろよ」
グラントは今後のスケジュールを説明する。
今日はこのあとすぐ解散し、それぞれ割り当てられた寮で荷解きと明日の準備。明日からは早速授業がある。
「明日の授業ではそれぞれがどれだけ魔法を使えるかを見せてもらう。今日のうちにその準備もしておくこと」
魔法学院では一年次には魔法の基礎を、二年三年では選択した専門分野での教養を得られる。明日行われる魔法の試射は、入学時点での生徒の実力を測るためのものだった。
グラントはその後いくつかの学院内規則を読み上げ(廊下は走るな、魔法による私闘は禁止など)、すぐにアインツを解散させた。
「おいレオン、寮に行こうぜ。聞いた話だと寮は出身地ごとに分けられるらしいから、多分俺とお前おんなじところだ」
グラントが教室から出ていくと、マークがレオンの席へやってきた。偶然にも二人の出身地は隣町同士だったのだ。
二人は教室を出て配られた紙に書かれている寮の場所へと向かう。
今度は特に魔法による妨害はなく、紙に書かれた通りに進むと寮があった。
「うわぁ……ぼろぼろだな」
寮を一目見たマークの感想である。
レオンも同じ気持ちだった。夢で見た古い洋館、それよりも遥かに年季の入った建物が目の前にはあった。
「お化け屋敷だ、きっと」
レオンが呟いた。今にも倒れてしまいそうな学生寮を見て、二人はゴクリと生唾を呑み込んだ。
そして何のためにかはわからないが、覚悟を決めて一歩踏み出した。
「ようこそ、新入生」
扉を開けると、そこには魔法の世界が広がっていた。
「どうなってんだ、これ」
マークが呆気に取られて言った。
外見はボロボロの古い屋敷。しかし、中に入れば貴族の家にも負けないほどの豪華な内装が広がっている。
「外から見た大きさと中の大きさが合ってない。魔法ってことだね」
レオンもそう言って、マークと一緒にその光景に感動していた。
「驚いているようだね、新入生。そんな君たちにもう一度言うけどようこそ、新入生」
驚く二人の前に存在をアピールするかのように立ちはだかる男がいた。二人はわざと無視したわけではないのだが、その一言でようやく我に返った。
「ああ、すみません。魔法に驚いてしまって」
慌てて取り繕うレオンに対し、その男は満足そうに笑った。
「そうだろう、ここの魔法は僕のアイデアなんだ。外見で判断するなっていう皮肉を込めてね」
男はレオンとマークを談話室まで案内し、そこにあるソファに座らせる。
「僕はクエンティン、クエンティン・ウォルス。三年生でこの南寮の監督生だ。よろしく」
クエンティンは二人に寮内を案内する。
談話室、食堂、それから各寮生の部屋があった。寮生の部屋は相部屋でマークとレオンはルームメイトだった。
「さて、君たち、荷物を整理したら下の食堂に来るといい。今日は新入生の歓迎会だ。食堂の料理人が張り切ってたから」
そう言い残すとクエンティンは下へおりていく。レオンとマークは部屋に届いていた荷物を一つ一つ確認しながら荷解きを始めた。
「それ、剣かい?」
マークの荷物の中に一本の長剣があるのを見つけ、レオンが聞いた。マークはレオンが指差した剣を手に取ってくるくると回す。
「俺の親父は衛兵で、学院に入ることが決まった時にこの剣をくれたんだ。魔法を学ぶって言ってるのにな」
そう言って笑いながら剣を持つマークは、随分と様になっていた。
二人は荷物をあらかた片付け終え、二つあるベッドのどちらに寝るかを話し合いで決めてから食堂へと向かった。その頃には日もすっかりと暮れ切って二人ともお腹を空かせていた。食堂が近づくにつれ、いい匂いと馬鹿騒ぎする寮生たちの声が聞こえてくる。
「おお、来たね。待ってたよ」
食堂に入ってきたレオンとマークを見て、クエンティンが駆け寄ってくる。
「食事はあそこに、もちろん酒もある。好きなものを飲み、好きなものを食べて交流を深めるといい」
クエンティンの言う通り、食堂には豪華な食事と多くの酒が置いてあった。
レオンとマークはバイキング形式で好きな食事を皿に盛り、あまり詳しくないながらも美味しそうな酒を手に取って席についた。
周囲では既に酒で出来上がっている新入生たちが馬鹿騒ぎをしていた。その様子を見ると彼らが貴族家出身だとは思えないのだが、随分と楽しそうな様子である。
貴族の中には格式高く礼儀作法に厳しい家も多いため、学院に入学する生徒の中にはこの三年間を大いに楽しむ者もいる。
最初は雰囲気に溶け込めなかったレオンとマークだったが、酒が進むとそんなことは関係なくなっていた。どこの誰とも知らない新入生と肩を組み、歌を歌い楽しんだ。そこには貴族と平民の格差など存在せず、ただの新入生しかいなかった。
クエンティンはそれを見て満足そうに微笑む。貴族と平民の格差は魔法学院の中でもよく問題になるのだ。規則で格差をなくすと言っても人の心はそれほど簡単にはいかない。
学院内に四つあるそれぞれの寮では、毎年新入生に対してこういった趣向の歓迎会を行い、貴族と平民の間にある軋轢を少しでも減らそうとしているのだ。
「おやおや、誰かと思えばハートフィリアじゃないか」
レオンが気持ち良く酒を飲んでいるところに一人の新入生が近づいてきた。その顔はレオンも良く知るものだった。
アイルトン・ネバード。レオンの家の近くにある町に住む貴族だ。レオンの父ドミニクを痛めつけたあの貴族の息子である。
彼はレオンよりもさらに酔いが回っているようで既に足取りはふらつき、顔も真っ赤になっていた。
「アイルトン、君も入学してたのか」
レオンの発言にアイルトンの額がピクリと動いた。
「アイルトン様だろ! この平民が!!」
そして右の拳を振り上げる。しかし、酔っ払っているアイルトンはその拳を振り下ろすことなく尻餅をついてしまった。
「おい、大丈夫かい? アイルトン」
レオンはアイルトンに手を貸そうと立ち上がるが、彼はその手を振り払う。
「平民が馴れ馴れしくするな!! この卑しいハートフィリアめ」
アイルトンはよたよたと立ち上がると両手を合わせた。攻撃魔法を行おうとしているのだ。
その頃には周りで騒いでいた生徒たちも異常に気づき、ざわつき始めている。
親譲りの短絡さと下劣な性格を持つアイルトンは学院に入学してもなお、レオンのことを見下していた。そのレオンに気安くされたことに腹を立てたのだ。
アイルトンが合わせた手が赤く光り、熱を帯びる。火球を放つ魔法だ。簡単なもので魔法の素質があれば本から学べるレベルの攻撃魔法だった。
酔っているレオンだったが、まだ自衛するだけの頭はあった。
アイルトンが火球を放つよりも早く守りの魔法を構築して、自分と自分の後ろにいる生徒たちを守れるだけの透明な壁を作り出した。
アイルトンの放った火球はレオンめがけて真っ直ぐ飛び、そして消えた。
「あ、あれ? ……なんだ?」
自身の放った魔法が不発に終わり、アイルトンは戸惑う。
アイルトンの魔法が消えた原因がレオンにはわかっていた。魔法を相殺した人物がいるのだ。
レオンはその人物――監督生クエンティン・ウォルスを見た。
クエンティンは少し離れた場所からこちらを見て微笑んでいる。
レオンはまだ使えないが、「相殺」の魔法はものに触れなくても魔法の塊として飛ばすことができるのだ。クエンティンが使ったのはそれだろう。
「ネバード新入生、学内での差別的発言と私闘は厳罰対象だ。今回は目を瞑るが以後気をつけるように」
先程までの和やかなクエンティンの姿はなく、キリッとした厳しい態度でアイルトンに言う。アイルトンもさすがに三年生に反発するほどの度胸はなく、その場でしゅんとして縮こまった。
「さぁ、皆そろそろお開きにしよう。特に一年生、明日は試射の授業だろう。遅刻すると僕が教師陣に怒られてしまうからね」
シーンとした空気の中、いつもの和やかな雰囲気に戻ったクエンティンが言った。
レオンとアイルトンを取り巻くように見ていた新入生たちも、ゾロゾロと食堂を出ていく。
これ以上問題を起こすわけにはいかないレオンも、そそくさと食堂を出ようとしたのだが、クエンティンに呼び止められた。
「ハートフィリア君、先程の魔法は独学かい?」
透明の壁を使った防御魔法のことを聞かれ、レオンは頷く。
レオンの記憶にある本の内容から覚えた魔法だったが、誰かに習ったわけではないので独学と言えよう。
「そうかい、あれは二年生で習う魔法だったから。それに構築するスピードも大したものだった。君ならきっといい成績がとれるよ、がんばりたまえ」
クエンティンはそう言って、食堂の後片付けをしている二、三年生に合流しに行った。
◇
その日の夜、レオンは再び夢を見た。
いつもの洋館で黒い猫の姿をしたモゾと一緒に屋敷内を歩き回る夢。
魔法の本が詰まった部屋を見つけ、その本を読む夢。
しかし、普段と違うのは夢が中々覚めないことだ。
いつもであれば開いた本を全て読む前に目が覚める。それなのにこの日は本を一冊読み終えても夢は終わらなかった。
初めて魔法に関する本を一冊読み終えることができたのだ。
それまでであれば読んだ本の途中までしか思い出すことができず、知識も浅いままだったのが一冊分の情報を手に入れた。
喜びを噛みしめつつ、レオンは別の本を手に取ろうとした。
その時だった。ギイィ……と扉が開く音が聞こえた。反射的にレオンの視線は部屋の扉の方へと向く。しかし、扉は閉まったままで動いた様子はない。
違う部屋の扉が開いたようだ。こんなことは今までにはなかった。
自分以外の誰かがいる?
未知の存在に不気味さを感じながら、レオンは置いてあったランタンを持って立ち上がった。レオンの後ろをモゾがちょろちょろとついてくる。
部屋の扉に手をかけ、そーっと廊下の様子を探る。
暗闇。人の気配はなく、ただ冷たい空気が流れているだけだ。
レオンは足音を立てないように廊下へと出た。
ひんやりとした空気がレオンを包み、息が白くなる。
「おいで、モゾ」
小さい声で呼ぶと、モゾはレオンの肩までよじ登り、彼に頬を擦り寄せる。
廊下を歩きながらレオンは考えた。この屋敷は一体なんなのか。現実の世界にも存在するところなのだろうか、と。
この夢のことをレオンは前世の記憶だと勝手に解釈していたが、それならば今ここにいる自分は誰なのだろうか。
廊下はすぐに突き当たりに達した。左右に分かれている。
まるで迷路のようだと思いながらレオンは右側に続く廊下の先を覗き込んだ。暗く、奥までは見えないが窓のようなものがある。
今度は左側を覗き込む。こちらも暗くてよくわからないものの、奥に階段のようなものが見えた。
少し考えてからレオンは右側へ進むことを選んだ。
この屋敷がどんなところにあるのかを知るために、外の景色を見たかったのだ。近づいてみると、窓が白く曇っていることがわかった。
うっすらと見える外の景色。外は大雪のようだ。
雪のせいで窓の外がどんな風景なのかよくわからない。わかるのはここが極寒の地ということだけ。
ヒタ……ヒタ……と廊下に足音が響いた。それはレオンのものではなく、当然モゾのものでもない。
やはり誰かいる。レオンは確信し、身構えた。
足音はレオンが進む廊下の向こうにある暗闇から聞こえてくる。ランタンを持つ手をできるだけ伸ばして先を照らす。
冷たく湿った足音は、確実に一歩ずつ近づいている。
足音がどんどん近くなって、レオンの目の前で消えた。
辺りを包み込む静寂。聞こえるのはレオンの呼吸と心臓の音だけ。
とても寒いのに、レオンは汗をかいていた。
「誰かいるの?」
静寂に耐えきれなくなったレオンが問う。
その問いに答えはなかったが、目の前の暗闇が揺らいだ。闇に溶け込む何かが、目の前にいた。
レオンは闇に目を凝らしたが、見ようとすればするほどその何かは闇に溶けていく。近づいているのか、動いているのかもわからない。
「キイイイイイイイイ」
甲高い声、叫びのような音だった。
レオンは思わず耳を塞ぎ、うずくまる。
黒い影がレオンを包み込むように襲ってきた。
そこで目が覚めた。
学院編
「これより魔法の試射を行う! 呼ばれた生徒は前に出て、的に向けて『火球』の魔法を撃つように」
早朝から魔法学院の競技場に響き渡るグラントのその声を、レオンは眠そうに目を擦りながら聞いていた。
不眠の理由は言うまでもなく昨夜見たあの夢だ。突然現れた不気味な何か。襲いかかってきた黒い影のせいで満足に眠れた感じがしない。
「眠そうだな、レオン」
隣にいるマークはレオンとは真逆でぐっすりと眠れたらしい。
張り切っているのが傍目からもわかるくらい、胸を張って自信に満ちた表情だ。
「昨日のやつのせいか? あの野郎、変ないちゃもんつけてきやがって」
黒い影のことを言われたのかと思いドキリとしたが、すぐにそれがアイルトンの話だとわかった。
競技場にはアインツの生徒しかおらず、ここにアイルトンの姿はない。
レオンはアイルトンが昨夜の歓迎会で使った「火球」の魔法のことを思い出した。
威力は低かったが、速度はあった。
魔法で重要なのはその魔法をしっかりと操れているかどうかだが、もちろん威力やスピードも必要である。特に攻撃魔法においてはどれだけコントロールできていたとしても、威力が低ければ意味がなく、速度がなければ当たらない。
そして、その威力と速度を補うには、どれだけその魔法のことをイメージできているかという想像力が必要なのだ。
レオンの前では、グラントに名前を呼ばれた生徒が順番に「火球」の魔法を目の前にある藁人形でできた的に向けて放っている。
今のところアイルトンの放った火球よりも威力が高く、速度も十分なものばかりだった。
「次、ヒースクリフ・デュエン」
第二王子ヒースクリフが名前を呼ばれ、的の前に立つ。アインツの生徒の空気が変わった。皆、彼の実力がどれほどなのかが気になるらしい。
ヒースクリフは両手を胸の前で交差し、目を瞑る。
そしてその手を裏返し「火球」の魔法を放つ。
ヒースクリフの手から飛び出した魔法は大きかった。大きな火の球が恐るべき速さで的に向かって飛んでいき、ぶつかった。的にぶつかった火の球は轟々と燃える。
誰からともなく拍手が起きた。
それほどまでにヒースクリフの魔法は立派だったのだ。
「よし。次、レオン・ハートフィリア」
名前を呼ばれ、レオンが前に出る。
「修復」の魔法がかけられているのか、ヒースクリフの魔法で黒焦げになった的はみるみる元の姿に戻った。
レオンは深呼吸を一つして、右手の人差し指を的に向け、親指を立てる。
魔法を発動するのに決められたポーズはないが、レオンのそのポーズは他のどの生徒とも違っていた。
ボンッという音がした。
ただそれだけ。
「不発かよ……ダセェ」
ダレンが吐き捨てるように言い、他の生徒もクスクスと笑い出す。レオンの魔法に気づいたのはグラントとヒースクリフだけだった。
レオンは人差し指から飴玉サイズの「火球」を射出していた。その小さな火の球はものすごい速さで飛んでいき、藁人形を貫き、その後ろにある競技場を囲む塀までも貫いて消えた。
攻撃魔法に必要なのは威力とスピード。
決して魔法の大きさではない。
レオンは「火球」を小さくすることで空気抵抗を少なくし、速度を上げた。その速度をそのまま威力へと変換して貫通させたのだ。
この高度なコントロールはレオンが積み重ねてきた訓練の成果である。
馬鹿にしたように笑うクラスメイトたちの中、レオンは想像した通りの魔法を放てたことに喜んでいた。
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