30 / 46
割れ窓
しおりを挟む
自分でものごとを決めてこなかった人間は、気付く頃には自分で何も決められない人間になっている。人がどうするかで自分の行動を決めるようになる。他人がどう言おうと勝手、自分の本質とは関係ないとは思えなくなる。割れ窓理論というのがある。きれいに掃除の行き届いた窓、持ち主がこだわりを持って選んだであろうお家の窓と、すでにラクガキがされた、ボロい、安っぽい窓。どちらかにポイ捨てするならどちらを選ぶかというと、後者の方が断然選ばれやすくなる。これと同じことが人間にも起きる。自分をケアする、自分の気持ちに寄り添う、自分がどう思ったり考えているかを大事にする。たとえ他人や社会のルールに沿っていなくても、否定されたとしても。
問題は、はたしてバキバキに割られてしまった窓は戻すことができるのだろうかということ。自分のことを考えるような時間や精神的な余裕がないなかで、どんどん割られていく窓を、そのまま修理もできずに、何年も生きてしまった人はどうするのだろうか。
割られた窓は直すのか、取り替えるのか?それとももう粉々になってしまったら、元には戻せないのか。
じっさいのところ、この答えは人の数だけあると思っている。ほとんどの人にとって割れた窓を直すのは簡単なことではない。でも人によっては、割られた分強くなるタイプもいる。弱くなる人もいるし、立ち直る人もいればそのまま沈む人もいる。だけどそれには、その人の弱さだけでなく、周りに支えてくれる人がいるかどうか、お金があるかどうか、若いか、健康か、なにか趣味があるか、やりたいことがあるかなど相関するのではないだろうか。無数の要素によって人間の足場はつくられているので、その全ての要素を解明していくことなどできない。割られた窓を元に戻せるのか、もとい、その人はこの先その人らしく生きていけるのか、という問いかけに答えることはだれにもできない。だれにできると言われても、言われなくても、それをあてにしてはならない。
問題は、はたしてバキバキに割られてしまった窓は戻すことができるのだろうかということ。自分のことを考えるような時間や精神的な余裕がないなかで、どんどん割られていく窓を、そのまま修理もできずに、何年も生きてしまった人はどうするのだろうか。
割られた窓は直すのか、取り替えるのか?それとももう粉々になってしまったら、元には戻せないのか。
じっさいのところ、この答えは人の数だけあると思っている。ほとんどの人にとって割れた窓を直すのは簡単なことではない。でも人によっては、割られた分強くなるタイプもいる。弱くなる人もいるし、立ち直る人もいればそのまま沈む人もいる。だけどそれには、その人の弱さだけでなく、周りに支えてくれる人がいるかどうか、お金があるかどうか、若いか、健康か、なにか趣味があるか、やりたいことがあるかなど相関するのではないだろうか。無数の要素によって人間の足場はつくられているので、その全ての要素を解明していくことなどできない。割られた窓を元に戻せるのか、もとい、その人はこの先その人らしく生きていけるのか、という問いかけに答えることはだれにもできない。だれにできると言われても、言われなくても、それをあてにしてはならない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる