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第5章
すみれのダブルデート大作戦① ~夜中のウキウキトーク~
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#126 すみれのダブルデート大作戦① ~夜中のウキウキトーク~
二郎が騒がしい一日を過ごした9月19日金曜日の夜、すみれは二郎と約束したとおり、彼氏である一にダブルデートの日程について確認の電話をしていた。
すみれにとってこのダブルデートは待ちに待った休日の一との初デートであり、付き合い始めたとは言えやはりそれなりに緊張しながら話を切り出していた。
「もしもし一君、今少し話をして大丈夫かな?」
「もしもし、おぉすーみんか。ちょっと自分の部屋に行くから少し待ってくれるか」
「うん、わかった」
「・・・・・・ごめん、ごめん。もう大丈夫だよ。話ってなんだい」
「うん、実はね、今日二郎君に放課後に会って少し話をしたんだけど」
「マジか。あいつ今日部活に結局来なくてさ。それで忍が超機嫌悪くて会うなりいきなり怒鳴られてさ、大変だったんだぞ。奴は何をしていたんだ」
すみれは一の愚痴を聞くも二郎がすみれと会った後に何をしでかしたまでは当然知らなかったが、二郎がろくでもないことをしたと思い当たりため息を付いて返答した。
「そんなことがあったの。私は放課後すぐくらいに二郎君に会ったから、その後何をしていたのかは分からないんだけどさ。はぁ全く二郎君は何をやっているだろうね。忍も忍で一君に当たらなくても良いのに、今度文句言っておくわ」
「いや、別に俺はそんなに怒ってないからそこまでしなくても良いんだけどさ。それよりも忍と二郎の冷戦はまだまだしばらく続きそうかね。早く前みたいに二人の痴話喧嘩を見たいもんだわ」
一が共に仲の良い友人である二郎と忍の関係を心底心配していると、ここがチャンスとすみれは本題を切り出した。
「そうそう、私もそのことを話したかったのよ。実は私も二人の事をずっと心配していてね、それで二郎君に忍と仲直りをするための秘策を教えたのよ」
「仲直りの秘策?なんだそりゃ?」
「ふふふ、実はこの前忍とカフェに行ったときに気になる映画があるって話を聞いてね。それで仲直りのきっかけに二郎君に忍を映画に誘うように言ったの」
すみれの突拍子もない話に心配そうに一が返事をした。
「いや~それはなかなかハードルが高いんじゃないか。忍が二郎にいきなり映画に誘われても素直に行くとは思えないけどな。それ大丈夫か、すーみん」
「心配しないで大丈夫だよ。だって私と一君を加えたダブルデートって言うことにしておいたから、これで何かあっても私らがフォロー出来るでしょ、ね♪」
すみれが嬉しそうに計画の全貌を説明すると、一は驚きはしたがここはすみれの提案に乗ってあげようと協力の姿勢を見せた。
「ダブルデート?!それは随分急な話だね。て言うか、俺の参加はもう決定なんだな。まぁ良いけどさ。う~ん、そうだな、確かに二人だけでどうこうするのは難しいだろうし、俺らが一肌脱ぐしかないかな」
「さすが、一君ならそう言ってくれると思ったよ。私達で二人の間を取り持ってあげましょう。それでいつなら都合つくかな。忍も二郎君も同じバスケ部だし、一君なら二人の予定もある程度分かるでしょ」
「そうだなぁ、確か来週の日曜日なら部活も休みだし、二人とも都合がつくと思うけど、実際のところ大人しく二人が来るかが疑問だが、そこら辺は大丈夫なのか」
一の当然の疑問にすみれは何やら自信満々に答えた。と言うのも、すみれはなんだかんだ言いつつも忍は二郎に思いを寄せていること、そして二郎も忍と仲直りしたと思っていることを確認しているため、誰かが背中を押してあげれば二人ともなんだかんだ言ってもこのダブルデートに参加すると考えていた。
「大丈夫よ、安心して。二人とも絶対に参加するから。ふふふ、それよりも私達も初めてのデートなんだよ、それ分かってる一君?」
「そっか、そういえばあの祭りの日以来、まともに二人で出かけることがなかったな。まぁこれはこれで楽しそうだな。よーし、何だかよく分からないけど、そこまで言うならきっと大丈夫なんだろうな。信じて良いんだな、すみれ」
すみれは一からの信頼に応えるようとはっきりと大きな声で言った。
「もちろん!私に任せて」
「わかった。そんじゃ明日部活で二郎に都合を聞いてみるよ」
「ありがとう、よろしくね。いや~本当に楽しみだなぁ。へへへ、それじゃおやすみ、一君♪」
「あぁ、おやすみ。すみれ」
一の協力を得てすみれの計画は一歩前進となり、後は一番の問題である忍をどうやって誘うかを思案しながらデートの実現を夢見てウキウキしながら電話を終わらせるのであった。
二郎が騒がしい一日を過ごした9月19日金曜日の夜、すみれは二郎と約束したとおり、彼氏である一にダブルデートの日程について確認の電話をしていた。
すみれにとってこのダブルデートは待ちに待った休日の一との初デートであり、付き合い始めたとは言えやはりそれなりに緊張しながら話を切り出していた。
「もしもし一君、今少し話をして大丈夫かな?」
「もしもし、おぉすーみんか。ちょっと自分の部屋に行くから少し待ってくれるか」
「うん、わかった」
「・・・・・・ごめん、ごめん。もう大丈夫だよ。話ってなんだい」
「うん、実はね、今日二郎君に放課後に会って少し話をしたんだけど」
「マジか。あいつ今日部活に結局来なくてさ。それで忍が超機嫌悪くて会うなりいきなり怒鳴られてさ、大変だったんだぞ。奴は何をしていたんだ」
すみれは一の愚痴を聞くも二郎がすみれと会った後に何をしでかしたまでは当然知らなかったが、二郎がろくでもないことをしたと思い当たりため息を付いて返答した。
「そんなことがあったの。私は放課後すぐくらいに二郎君に会ったから、その後何をしていたのかは分からないんだけどさ。はぁ全く二郎君は何をやっているだろうね。忍も忍で一君に当たらなくても良いのに、今度文句言っておくわ」
「いや、別に俺はそんなに怒ってないからそこまでしなくても良いんだけどさ。それよりも忍と二郎の冷戦はまだまだしばらく続きそうかね。早く前みたいに二人の痴話喧嘩を見たいもんだわ」
一が共に仲の良い友人である二郎と忍の関係を心底心配していると、ここがチャンスとすみれは本題を切り出した。
「そうそう、私もそのことを話したかったのよ。実は私も二人の事をずっと心配していてね、それで二郎君に忍と仲直りをするための秘策を教えたのよ」
「仲直りの秘策?なんだそりゃ?」
「ふふふ、実はこの前忍とカフェに行ったときに気になる映画があるって話を聞いてね。それで仲直りのきっかけに二郎君に忍を映画に誘うように言ったの」
すみれの突拍子もない話に心配そうに一が返事をした。
「いや~それはなかなかハードルが高いんじゃないか。忍が二郎にいきなり映画に誘われても素直に行くとは思えないけどな。それ大丈夫か、すーみん」
「心配しないで大丈夫だよ。だって私と一君を加えたダブルデートって言うことにしておいたから、これで何かあっても私らがフォロー出来るでしょ、ね♪」
すみれが嬉しそうに計画の全貌を説明すると、一は驚きはしたがここはすみれの提案に乗ってあげようと協力の姿勢を見せた。
「ダブルデート?!それは随分急な話だね。て言うか、俺の参加はもう決定なんだな。まぁ良いけどさ。う~ん、そうだな、確かに二人だけでどうこうするのは難しいだろうし、俺らが一肌脱ぐしかないかな」
「さすが、一君ならそう言ってくれると思ったよ。私達で二人の間を取り持ってあげましょう。それでいつなら都合つくかな。忍も二郎君も同じバスケ部だし、一君なら二人の予定もある程度分かるでしょ」
「そうだなぁ、確か来週の日曜日なら部活も休みだし、二人とも都合がつくと思うけど、実際のところ大人しく二人が来るかが疑問だが、そこら辺は大丈夫なのか」
一の当然の疑問にすみれは何やら自信満々に答えた。と言うのも、すみれはなんだかんだ言いつつも忍は二郎に思いを寄せていること、そして二郎も忍と仲直りしたと思っていることを確認しているため、誰かが背中を押してあげれば二人ともなんだかんだ言ってもこのダブルデートに参加すると考えていた。
「大丈夫よ、安心して。二人とも絶対に参加するから。ふふふ、それよりも私達も初めてのデートなんだよ、それ分かってる一君?」
「そっか、そういえばあの祭りの日以来、まともに二人で出かけることがなかったな。まぁこれはこれで楽しそうだな。よーし、何だかよく分からないけど、そこまで言うならきっと大丈夫なんだろうな。信じて良いんだな、すみれ」
すみれは一からの信頼に応えるようとはっきりと大きな声で言った。
「もちろん!私に任せて」
「わかった。そんじゃ明日部活で二郎に都合を聞いてみるよ」
「ありがとう、よろしくね。いや~本当に楽しみだなぁ。へへへ、それじゃおやすみ、一君♪」
「あぁ、おやすみ。すみれ」
一の協力を得てすみれの計画は一歩前進となり、後は一番の問題である忍をどうやって誘うかを思案しながらデートの実現を夢見てウキウキしながら電話を終わらせるのであった。
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