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第四話 見えなかったイジメ

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 摂七くんと一緒にいるようになってから、本当に手鞠達からのイジメが止まった。嬉しいけれど、少し変に感じた。そんなある日、こんなことが起きた。私が下駄箱の前に立って靴を脱ごうとしたときだった。
手鞠:「ねえ、どうしてなの?!なんでなの?!」
突然手鞠が私に向かって怒鳴った。
弥生:「どうしてって、何が?」
衣恵里:「何のことかもわかんないの?」
星禾:「一体どうなってるの…。」
3人は何を言ってるんだろう。私には心当たりが全く無かった。
弥生:「ごめん、何言ってるのかよくわからないんだけど…。」
私がそう聞くと、手鞠は私の靴を指した。
手鞠:「………その靴、私達昨日その靴をあんたが帰る前に隠したのに……。」
弥生:「えっ?でも……。」
靴を隠したってどういうこと?私が昨日帰るとき、確かに靴は下駄箱に入っていた。
手鞠:「私達、昨日あんたが帰るのを隠れて見てたけど、あんたが来るまで誰もあんたの下駄箱に触ってないのに…誰も靴を戻してないのに……。」
星禾:「昨日だけじゃない!その前もずっとあんたに同じようなことしてるのに、なんであんたはそれに気づいてすらいないの?!」
どういうこと?私が気づいていなかっただけでイジメは続いていたの?でもじゃあなんで私にはなんの被害もないんだろう…。その時、突然頭痛がした。
手鞠:「と、とにかく、下手なマネはしないことね。私達のこと馬鹿にするようなことすると、もっと酷いことしてやるから。」
そう言い残して3人は教室に戻って行った。さっき頭痛がしたとき、変な感じがした。なんか、こんなことが前にもあったような…。そのとき、なんだか摂七くんのことを思い出した。こんなことが起こるようになったのは多分摂七くんといるようになってからだと思うけど…。何か関係があるのかな。摂七くんは、まさか本当に………。
 
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