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第五話
一応拘束してみた<Ⅰ>
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気絶している筋肉の塊と黒タイツを縄で全員拘束しつつ、武具類を回収して万能雑嚢に全て仕舞い込む。
「アティウラ、この鎧使ってみる?」
「なんて非道いことを聞いてくるのでしょう」
俺が聞いたらアティウルはわざとらしくぐすんと子供が泣いたようなポーズをした。
「え、そんなに? この鎧って結構高性能だし着用者に合わせてサイズが変化するから問題は……」
「えっと勇者様、そういう話ではなくて根本的に着用したくないのですよ。わたくしだって絶対に嫌ですし」
そう言ってさり気なくセレーネが拘束された筋肉を指差す。
「そっか、確かに俺も嫌だな。なんか臭そうだし洗ってもなんか汚れ後が残ってたらそれだけでも気持ち悪いもんな。アティウラごめん」
鎧と斧は雑嚢に入らないので車の荷台にとりあえず置く。
「うっ……は!?」
そうやっている間に筋肉男だけがもう目を覚ました。なんつー身体をしているんだよ。
「そうか……だが、ははははっ!」
自分の状態に気が付いたそいつは何故か高笑いを始める。
「はぁ、なにこいつ。アティウラ失敗して頭おかしくなったんじゃないの?」
「それはない。頭も筋肉だから元々」
どうやら筋肉の相手が面倒になってきたデルとアティウラは段々辛辣になっている。
「バカが! これで勝ったと思うなよ! たとえ拘束したとしても我らには偉大なる空飛ぶ皿がある。今に後悔することになるぞ!」
「なんだってぇ!?」
「ふふふっ、ふははははーはーっはっははは!」
一応流れに乗ってみたら得意げに高笑いをする筋肉。実際に笑うときに筋肉も動くのがちょっとキモい。
「それならさっき自爆したよ」
「はっ? う、ウソだ! ウソをつくな!」
「残念ながら嘘じゃないよ。あんたのところのサリ様が敵の手に渡るくらいならって自爆させたんだ」
「ええ!? さ、サリが……殿が? ……そ、それは……いや、そんな……しかし」
さすがの脳筋もサリ様の名前を出されたことで、自信満々の顔がいっきに崩れ落ちた。
「いやホント、どうやって壊すか思案していたから助かったよ」
「き、貴様っ、貴様等は一体何者なんだ!」
「俺か? 俺は……通りすがりの冒険者だけど」
格好付けて某特撮風に言ってみた。
「ふ、ふ、ふざけるな! ただの冒険者風情が我らの存在を知っていようはずがない! それになんだあの暴力的な魔術は! しかもメイド服の死神もいるなんて!」
「……っ!」
「待て待て待て、待てって!」
黙って武器を振り上げたアティウラを慌てて止める。
しかし彼女はパーティクラッシャーだのメイド服の死神とか色々と通り名があるなぁ。
「ぐすん」
アティウラが甘えるように抱きついてきたので、よしよしと頭を撫でておく。
「んふっ♪」
すると直ぐに上機嫌になってくれた。
「何故だ!? 何故そんなナヨナヨした小僧にばかり……どこがいいというのだ! 見ろこの筋肉を見ろ!」
二回も見ろと言いたいほど、そんなに見せたいのか。
「それはない」
「ありえませんね」
「僕もそう思う」
女性陣はざっくりであった。
「何故だあぁぁ! 筋肉が足りないのか!?」
「いやなんで筋肉なんだよ」
だめだ。この人本当に脳まで筋肉になっているっぽい。
「では、なにがダメなんだ?」
「どれだけ鍛えたところで私達に勝てないのがなんとも哀れ」
アマゾネスってそんなに強いのか。
「黙れ! 亜人如きが!」
「その亜人に手も脚も出なかったのは誰?」
「ぐっ……」
「自慢していても暑苦しいだけ。何よりも一番ダメなのが……」
「な、なんだ?」
「汗臭い。凄く臭い。ついでに口も臭い」
「ぐあああっ! そ、それはそこは言ってはいけないところだろ!」
うわっ、アティウラが辛辣過ぎて、マジ泣きしそうな顔になっちゃったよ。
「何よりも可愛らしさが全くない」
「ば、馬鹿な! 男に可愛さを求めるだと!?」
俺もそこはちょっと分からない。
「アティウラ、この鎧使ってみる?」
「なんて非道いことを聞いてくるのでしょう」
俺が聞いたらアティウルはわざとらしくぐすんと子供が泣いたようなポーズをした。
「え、そんなに? この鎧って結構高性能だし着用者に合わせてサイズが変化するから問題は……」
「えっと勇者様、そういう話ではなくて根本的に着用したくないのですよ。わたくしだって絶対に嫌ですし」
そう言ってさり気なくセレーネが拘束された筋肉を指差す。
「そっか、確かに俺も嫌だな。なんか臭そうだし洗ってもなんか汚れ後が残ってたらそれだけでも気持ち悪いもんな。アティウラごめん」
鎧と斧は雑嚢に入らないので車の荷台にとりあえず置く。
「うっ……は!?」
そうやっている間に筋肉男だけがもう目を覚ました。なんつー身体をしているんだよ。
「そうか……だが、ははははっ!」
自分の状態に気が付いたそいつは何故か高笑いを始める。
「はぁ、なにこいつ。アティウラ失敗して頭おかしくなったんじゃないの?」
「それはない。頭も筋肉だから元々」
どうやら筋肉の相手が面倒になってきたデルとアティウラは段々辛辣になっている。
「バカが! これで勝ったと思うなよ! たとえ拘束したとしても我らには偉大なる空飛ぶ皿がある。今に後悔することになるぞ!」
「なんだってぇ!?」
「ふふふっ、ふははははーはーっはっははは!」
一応流れに乗ってみたら得意げに高笑いをする筋肉。実際に笑うときに筋肉も動くのがちょっとキモい。
「それならさっき自爆したよ」
「はっ? う、ウソだ! ウソをつくな!」
「残念ながら嘘じゃないよ。あんたのところのサリ様が敵の手に渡るくらいならって自爆させたんだ」
「ええ!? さ、サリが……殿が? ……そ、それは……いや、そんな……しかし」
さすがの脳筋もサリ様の名前を出されたことで、自信満々の顔がいっきに崩れ落ちた。
「いやホント、どうやって壊すか思案していたから助かったよ」
「き、貴様っ、貴様等は一体何者なんだ!」
「俺か? 俺は……通りすがりの冒険者だけど」
格好付けて某特撮風に言ってみた。
「ふ、ふ、ふざけるな! ただの冒険者風情が我らの存在を知っていようはずがない! それになんだあの暴力的な魔術は! しかもメイド服の死神もいるなんて!」
「……っ!」
「待て待て待て、待てって!」
黙って武器を振り上げたアティウラを慌てて止める。
しかし彼女はパーティクラッシャーだのメイド服の死神とか色々と通り名があるなぁ。
「ぐすん」
アティウラが甘えるように抱きついてきたので、よしよしと頭を撫でておく。
「んふっ♪」
すると直ぐに上機嫌になってくれた。
「何故だ!? 何故そんなナヨナヨした小僧にばかり……どこがいいというのだ! 見ろこの筋肉を見ろ!」
二回も見ろと言いたいほど、そんなに見せたいのか。
「それはない」
「ありえませんね」
「僕もそう思う」
女性陣はざっくりであった。
「何故だあぁぁ! 筋肉が足りないのか!?」
「いやなんで筋肉なんだよ」
だめだ。この人本当に脳まで筋肉になっているっぽい。
「では、なにがダメなんだ?」
「どれだけ鍛えたところで私達に勝てないのがなんとも哀れ」
アマゾネスってそんなに強いのか。
「黙れ! 亜人如きが!」
「その亜人に手も脚も出なかったのは誰?」
「ぐっ……」
「自慢していても暑苦しいだけ。何よりも一番ダメなのが……」
「な、なんだ?」
「汗臭い。凄く臭い。ついでに口も臭い」
「ぐあああっ! そ、それはそこは言ってはいけないところだろ!」
うわっ、アティウラが辛辣過ぎて、マジ泣きしそうな顔になっちゃったよ。
「何よりも可愛らしさが全くない」
「ば、馬鹿な! 男に可愛さを求めるだと!?」
俺もそこはちょっと分からない。
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