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第一話
幕間:3バカが出世?
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「……はぁ、ミネディア一生の不覚」
深いため息の3バ……いや3騎士の代表ミネディア。
「もしかしたら陛下の不興を買ってしまったかもしれない」
「姐さん、本当によかったんですかい?」
背の高いちょび髭がトレードマークの甲冑を着た男が少し残念そうに肩を落とす女騎士に話しかけた。
「ライトン……正直ちょっとやってしまったと思っている……ライトン、サレフト、お前達には申し訳ないことをした」
いつも無駄な自信に満ちている顔が、今は見る影もなく心底済まなそうにしていた。
「俺等は姐さんと一緒だったら何処へでも問題ないっす!」
「サレフト!」
サレフトは小柄だが筋骨隆々でドワーフのような体型をした騎士だった。
ミネディアはドガ砦の一件でゾンビたちを退け、首謀者のネクロマンサーを捕らえたことで王への謁見が認められたのだった。
王はこれほど優秀な人材を放っておくのは勿体ないと褒美として、かねてから彼らの希望であったものを叶えてやろうと言ってくれた。
『黒鳳騎士団でも蒼獅子騎士団でも好きなところを選ぶがよい』
そう言われてミネディアは喜びのあまりその場で踊り出しそうだった。
彼女にとって黒鳳騎士団は子供の頃からの憧れだったので、またとないチャンスであった。
「……世の習いとはいえ、やはり受け入れられなかった自分が拙かったのだろうか」
この世界では貴族や騎士が戦場の功を奪っていくのはよくあることである。
地位の低い一般兵や半農兵がどれだけ訴えたとしても、かえって貴族や騎士を侮辱したとして罪に問われてしまう。
「最も功を立てたはずの勇者は何処かに消えてしまったのだから貰ってもいいとはいえ……」
その例に倣い3バカもドガ砦を護ったことを自分たちの功績としたのだ。
これで晴れて正規の騎士となれる。
3バカは騎士の立場ではあるが団にはまだ所属していない言わば準騎士であり、団に所属して初めて正騎士となるのである。
だがミネディアはそこで迷ってしまった。
「確かにとても小生意気な勇者だったが……あんな子供から自分たちが功績を奪うのは騎士として、いや人間としてどうしても出来なかった」
それが例え世の習いであり、あたりまえのことだとしても。
『国王様……どうか、この場で発言することをお許しください……』
「ああ……、やっぱり今から撤回したら許してくれるだろうか」
「無茶言わんでくださいよ」
結局彼女は世の習いよりも自分を通してしまった。
『此度のドガ砦における最大の功労者は私共ではなく……名もなき勇者にございます』
結局彼女は恩賞を受け取らなかった。
それは別の良い方をすると王からの恩賞を拒否したことになる。
王にとってもそれは体面を潰されたことになるので、おそらく怒らせてしまったと思われる。
そして彼女達はまた元の巡回騎士として国を巡る旅を続ける事とになったのだ。
「……はぁ、父上に怒られるかもしれない」
「そこは自分も心配です」
「ワシもですわ」
巡回騎士に出されている給金は微々たるもので、ほとんどの場合実家が資金を援助しているのだ。
予備の騎士を国で抱えるには資金が掛かりすぎるためこの様な処置を取っていて彼らはそうやって国中を巡って功績を立てて、王や有力な貴族に見初められてやっと正騎士になれるのだ。
そう言う意味で今回は大きなチャンスを掴んだミネディア達だったが、彼らは思いの外自分達が思っている以上に真面目で実直な人物なのだった。
「よし、とにかくもう一度功績を立てて正規の騎士になるんだ!」
「おう!」
「おうさ!」
こういうところはまともな彼らだが、何故か戦闘となると謎のトライアングルフォーメーションに拘り、なんの戦術も策もなく飛び込んでいくである。
間違ってはいけない。そう、彼らはただの“バカ”である。
「おいー! いい話で終わるところなのになんつーナレーションで締めてんだ!」
あ、補足し忘れておりましたが、正騎士になるには年齢制限があります。
ミネディア様はともかく、後ろの二人はそろそろその制限に引っ掛かるのでお気を付けて。
「なんだってぇ!!」
「なんだとー!?」
「あ、姐さん! やはり国王様にもう一度正騎士への件をお願いしましょう!!」
「ワシもそうしたいっす!」
「え、い、いや……無理だろ……」
「そこをなんとか!」
「いや、そう言われても……」
さすがに吐いた唾を飲むなんて出来るわけがない。
「よ、よし! 行くぞ!」
「あ、姐さんが逃げた!」
「ちょ、頼みますよ!」
逃げるように馬で走り出したミネディアを追いかけるように走るライトンとサレフト。
人気が出ればもう少し出番が増えるんじゃないっすかね。
まあ、ガンバレェ~。
深いため息の3バ……いや3騎士の代表ミネディア。
「もしかしたら陛下の不興を買ってしまったかもしれない」
「姐さん、本当によかったんですかい?」
背の高いちょび髭がトレードマークの甲冑を着た男が少し残念そうに肩を落とす女騎士に話しかけた。
「ライトン……正直ちょっとやってしまったと思っている……ライトン、サレフト、お前達には申し訳ないことをした」
いつも無駄な自信に満ちている顔が、今は見る影もなく心底済まなそうにしていた。
「俺等は姐さんと一緒だったら何処へでも問題ないっす!」
「サレフト!」
サレフトは小柄だが筋骨隆々でドワーフのような体型をした騎士だった。
ミネディアはドガ砦の一件でゾンビたちを退け、首謀者のネクロマンサーを捕らえたことで王への謁見が認められたのだった。
王はこれほど優秀な人材を放っておくのは勿体ないと褒美として、かねてから彼らの希望であったものを叶えてやろうと言ってくれた。
『黒鳳騎士団でも蒼獅子騎士団でも好きなところを選ぶがよい』
そう言われてミネディアは喜びのあまりその場で踊り出しそうだった。
彼女にとって黒鳳騎士団は子供の頃からの憧れだったので、またとないチャンスであった。
「……世の習いとはいえ、やはり受け入れられなかった自分が拙かったのだろうか」
この世界では貴族や騎士が戦場の功を奪っていくのはよくあることである。
地位の低い一般兵や半農兵がどれだけ訴えたとしても、かえって貴族や騎士を侮辱したとして罪に問われてしまう。
「最も功を立てたはずの勇者は何処かに消えてしまったのだから貰ってもいいとはいえ……」
その例に倣い3バカもドガ砦を護ったことを自分たちの功績としたのだ。
これで晴れて正規の騎士となれる。
3バカは騎士の立場ではあるが団にはまだ所属していない言わば準騎士であり、団に所属して初めて正騎士となるのである。
だがミネディアはそこで迷ってしまった。
「確かにとても小生意気な勇者だったが……あんな子供から自分たちが功績を奪うのは騎士として、いや人間としてどうしても出来なかった」
それが例え世の習いであり、あたりまえのことだとしても。
『国王様……どうか、この場で発言することをお許しください……』
「ああ……、やっぱり今から撤回したら許してくれるだろうか」
「無茶言わんでくださいよ」
結局彼女は世の習いよりも自分を通してしまった。
『此度のドガ砦における最大の功労者は私共ではなく……名もなき勇者にございます』
結局彼女は恩賞を受け取らなかった。
それは別の良い方をすると王からの恩賞を拒否したことになる。
王にとってもそれは体面を潰されたことになるので、おそらく怒らせてしまったと思われる。
そして彼女達はまた元の巡回騎士として国を巡る旅を続ける事とになったのだ。
「……はぁ、父上に怒られるかもしれない」
「そこは自分も心配です」
「ワシもですわ」
巡回騎士に出されている給金は微々たるもので、ほとんどの場合実家が資金を援助しているのだ。
予備の騎士を国で抱えるには資金が掛かりすぎるためこの様な処置を取っていて彼らはそうやって国中を巡って功績を立てて、王や有力な貴族に見初められてやっと正騎士になれるのだ。
そう言う意味で今回は大きなチャンスを掴んだミネディア達だったが、彼らは思いの外自分達が思っている以上に真面目で実直な人物なのだった。
「よし、とにかくもう一度功績を立てて正規の騎士になるんだ!」
「おう!」
「おうさ!」
こういうところはまともな彼らだが、何故か戦闘となると謎のトライアングルフォーメーションに拘り、なんの戦術も策もなく飛び込んでいくである。
間違ってはいけない。そう、彼らはただの“バカ”である。
「おいー! いい話で終わるところなのになんつーナレーションで締めてんだ!」
あ、補足し忘れておりましたが、正騎士になるには年齢制限があります。
ミネディア様はともかく、後ろの二人はそろそろその制限に引っ掛かるのでお気を付けて。
「なんだってぇ!!」
「なんだとー!?」
「あ、姐さん! やはり国王様にもう一度正騎士への件をお願いしましょう!!」
「ワシもそうしたいっす!」
「え、い、いや……無理だろ……」
「そこをなんとか!」
「いや、そう言われても……」
さすがに吐いた唾を飲むなんて出来るわけがない。
「よ、よし! 行くぞ!」
「あ、姐さんが逃げた!」
「ちょ、頼みますよ!」
逃げるように馬で走り出したミネディアを追いかけるように走るライトンとサレフト。
人気が出ればもう少し出番が増えるんじゃないっすかね。
まあ、ガンバレェ~。
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