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第10章 結婚式
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「さあ、宴だ!祝杯と行こうぜ!酒を持て!」
俺の声に会場がどっと湧いた。
「乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
一斉にみんなが群がって来た。
あちこちから肩を叩かれ、祝いの言葉を浴びせられる。
「ゲイル、ボルゾイ、おめでとう!」
「ちきしょう!みんなのゲイルだったのに!今日は飲んでやる!」
泣きながらフィオの肩を叩く奴もいた。
「ボルゾイ、良かったなあ。頑張って番犬してきたもんなあ。幸せにして貰えよ〰」
「だよなあ。お前、健気に尽くしてきたもんなあ!マジで報われるとは思ってなかった。ホントに良かったなあ!」
この7年でフィオを応援してきた奴らもいたらしい。
フィオも嬉しそうに眼差しを緩め「ありがとうございます」「幸せになります」と握手を交わしている。
暗く凍えた瞳をしていたフィオが、今は温かな場所にいて皆に囲まれて幸せそうに笑っている。
そのことが嬉しい。
胸に込み上げるものに耐えていると、背を叩かれた。
「おい、花嫁!なんて顔してやがる」
クリスだ。
「いや……つくづく幸せだなあと思ってさ」
クリスの後ろから仔犬が顔を出した。
「はん!クリスさんを振りやがったんだ。幸せでなきゃ許さねえからな!」
イーッと歯を剥き出した後、ニヤリと笑ってクリスの腕に抱きつく。
「クリスさんは俺が貰う!絶対に幸せにするから、ゲイルは安心して怖い奴とくっついとけよ!」
「勝手なこと言うな!お前はただの弟子だってえの!」
「A級になったら認めて貰いますから!待ってて下さいね、クリスさん!」
「清々しいほどクリス命だな、お前は」
思わず笑えば「当たり前だろ?」と返された。
これは間違いなく近日中にクリスは落とされる。なんだかんだ文句を言いつつ今日も仔犬を連れてきているしな。
「クリス、良かったな!お前にも俺にとってのフィオができたぞ!」
言えば2人とも渋ーい表情に。
なんでだよ!
普段冒険者とはあまり接点がない貴族連中も、冒険者に入り混じってワイワイと楽しそうにしている。
義姉さんが乳母と一緒になって冒険者に「これがオススメよ!」「もっと食べなさい。そんなにガリガリでどうするの」だの「あなたは太り過ぎ!それはやめてこっちになさい」だの遠慮ない口ぶりで世話を焼き、冒険者がらしくもなく照れながら世話をやかれてんのには笑った。
にやにやと家族や仲間たちを眺めながら酒を飲んでいると、いつの間にか隣にフィオが戻ってきた。
冒険者に酒を次々と飲まされていたがなんとかやつらを潰して来たようだ。
「……いい式になりましたね。ただ私たちを祝ってくれる仲間と家族が集まって身分も地位も関係なく楽しんでいる。ゲイルらしい式です」
「だな!これぞ『ゲイルとフィオの結婚式』にふさわしい光景だろ?型に捉われない最高の式だ!」
こっそりとフィオに軽くキスしてやれば、めざといヤツに見つかった。
「おいおい!誓いでさんざんやっただろうが!まだ足りねえのかよ」
「新婚だぜ?足りねえに決まってんだろ。なあ、フィオ」
「ですね。あれくらいではとても足りません。このゲイルを前にあれで踏みとどまった私の理性を褒めて欲しいくらいです」
「堅物だったボルゾイも言うようになったもんだぜ!やんのは夜まで待てよ!独り身には目の毒だ」
「エリアナもいるのにするわけねえだろ!帰るまでお預けだよ!」
「ははは!」
当のエリアナは、せっせとセルゲイの世話を焼いてやっていた。エリアナも俺に似て手がかるヤツが好きなんだよなあ。傷心のセルゲイのなにかがエリアナの琴線に触れたんだろう。
「フィオ、みろよ。セルゲイも満更でもなさそうだぞ?」
「エリアナさんはゲイルと似た面がありますからね。ゲイルより常識がありますからお似合いかもしれません。
私としては大歓迎です。いつまでもゲイルに横恋慕されたくありませんしね」
クリスといいセルゲイといい、幸せの種が芽吹いたようで嬉しい。
祝福ってやつもあるし、きっと2組ともうまく纏まる気がするんだ。
俺の声に会場がどっと湧いた。
「乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
一斉にみんなが群がって来た。
あちこちから肩を叩かれ、祝いの言葉を浴びせられる。
「ゲイル、ボルゾイ、おめでとう!」
「ちきしょう!みんなのゲイルだったのに!今日は飲んでやる!」
泣きながらフィオの肩を叩く奴もいた。
「ボルゾイ、良かったなあ。頑張って番犬してきたもんなあ。幸せにして貰えよ〰」
「だよなあ。お前、健気に尽くしてきたもんなあ!マジで報われるとは思ってなかった。ホントに良かったなあ!」
この7年でフィオを応援してきた奴らもいたらしい。
フィオも嬉しそうに眼差しを緩め「ありがとうございます」「幸せになります」と握手を交わしている。
暗く凍えた瞳をしていたフィオが、今は温かな場所にいて皆に囲まれて幸せそうに笑っている。
そのことが嬉しい。
胸に込み上げるものに耐えていると、背を叩かれた。
「おい、花嫁!なんて顔してやがる」
クリスだ。
「いや……つくづく幸せだなあと思ってさ」
クリスの後ろから仔犬が顔を出した。
「はん!クリスさんを振りやがったんだ。幸せでなきゃ許さねえからな!」
イーッと歯を剥き出した後、ニヤリと笑ってクリスの腕に抱きつく。
「クリスさんは俺が貰う!絶対に幸せにするから、ゲイルは安心して怖い奴とくっついとけよ!」
「勝手なこと言うな!お前はただの弟子だってえの!」
「A級になったら認めて貰いますから!待ってて下さいね、クリスさん!」
「清々しいほどクリス命だな、お前は」
思わず笑えば「当たり前だろ?」と返された。
これは間違いなく近日中にクリスは落とされる。なんだかんだ文句を言いつつ今日も仔犬を連れてきているしな。
「クリス、良かったな!お前にも俺にとってのフィオができたぞ!」
言えば2人とも渋ーい表情に。
なんでだよ!
普段冒険者とはあまり接点がない貴族連中も、冒険者に入り混じってワイワイと楽しそうにしている。
義姉さんが乳母と一緒になって冒険者に「これがオススメよ!」「もっと食べなさい。そんなにガリガリでどうするの」だの「あなたは太り過ぎ!それはやめてこっちになさい」だの遠慮ない口ぶりで世話を焼き、冒険者がらしくもなく照れながら世話をやかれてんのには笑った。
にやにやと家族や仲間たちを眺めながら酒を飲んでいると、いつの間にか隣にフィオが戻ってきた。
冒険者に酒を次々と飲まされていたがなんとかやつらを潰して来たようだ。
「……いい式になりましたね。ただ私たちを祝ってくれる仲間と家族が集まって身分も地位も関係なく楽しんでいる。ゲイルらしい式です」
「だな!これぞ『ゲイルとフィオの結婚式』にふさわしい光景だろ?型に捉われない最高の式だ!」
こっそりとフィオに軽くキスしてやれば、めざといヤツに見つかった。
「おいおい!誓いでさんざんやっただろうが!まだ足りねえのかよ」
「新婚だぜ?足りねえに決まってんだろ。なあ、フィオ」
「ですね。あれくらいではとても足りません。このゲイルを前にあれで踏みとどまった私の理性を褒めて欲しいくらいです」
「堅物だったボルゾイも言うようになったもんだぜ!やんのは夜まで待てよ!独り身には目の毒だ」
「エリアナもいるのにするわけねえだろ!帰るまでお預けだよ!」
「ははは!」
当のエリアナは、せっせとセルゲイの世話を焼いてやっていた。エリアナも俺に似て手がかるヤツが好きなんだよなあ。傷心のセルゲイのなにかがエリアナの琴線に触れたんだろう。
「フィオ、みろよ。セルゲイも満更でもなさそうだぞ?」
「エリアナさんはゲイルと似た面がありますからね。ゲイルより常識がありますからお似合いかもしれません。
私としては大歓迎です。いつまでもゲイルに横恋慕されたくありませんしね」
クリスといいセルゲイといい、幸せの種が芽吹いたようで嬉しい。
祝福ってやつもあるし、きっと2組ともうまく纏まる気がするんだ。
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