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第四章 ゲイルをください?
楽しい楽しいお茶会
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中に入ることを許された俺たちは、客間に通され、茶を啜っている。
ちなみに、フィオの傷は俺がさくっとヒールしてやった。
無言の兄貴と、困ったような表情(俺にはそう見えるが、一般的には無表情)のフィオ。
顔馴染みの使用人が笑顔で俺に焼き菓子を出してくれる。
「ぼっちゃま!こちら、ぼっちゃまのお好きな菓子ですよ!ご連絡をいただいてすぐに料理長が張り切って用意致しましたの!召し上がってくださいまし!」
「食べきれない分はお包みしますからね。忘れずにお持ち帰りくださいね?」
俺の大好きなクッキーだ!ジンジャーを効かせた素朴な味。少し堅めのこいつ、クセになるんだよなあ!俺も伯爵家で再現しようとしたんだが、どうしても同じにできねえ。夜書類を書きながら摘んだら、あっという間になくなっちまう俺の大好物!
「フィオ、これ食ってみな?すげえ美味いから。お前の好きな味だぜ?」
ひとつ摘んでフィオの口元に出してやると、フィオが目を丸くした。
「?どうした?早く口を開けろよ」
「…………お前、いつもそのようなことをしているのか?」
呆れたような声に我にかえる。
あ!しまった!つい、ウチにいるようなつもりで……。かああ、と顔に血が集まった。
「い、いや、違うんだよ!拾ったときのこいつ、ちっこい上に弱っててさあ!俺がスプーンで飯を食わせてやってたんだよ。食も細いし、なんつーか、クセっていうかな?」
「……拾ってからどれくらいになる?」
「…………7年?」
「もう十分育っていると思うが?」
「………………だな」
猛烈にこっ恥ずかしい。完全に無意識だった。
出したままの手を引っ込めようとすれば、フィオが俺の手を掴んでパクリ。
「!お、おま…」
「美味しいです。ありがとうございます」
フィオの恥ずかし気な笑みに、兄貴が絶句した。
どうだ、俺のフィオ。かわいいだろうがよ!冷血なんていわれてっけど、こいつってばこんなに可愛いんだぜ!
フィオはそんな兄貴に向かって、語りだした。
「ゲイルに出会うまで、私には味というものが分かりませんでした。単に生きるための栄養補給として、決められた時間に決められたものを摂取していたに過ぎません。無味乾燥な食事という名のその時間が、私には苦痛でした」
淡々と紡がれたその内容の悲惨さに皆が息をのむ。
フィオはおそらく俺が「あーん」しちまったのをフォローしてくれたつもりなんだろう。
だが、我が家の連中にはフィオの話は衝撃だった。
ウチは食事の時間を大切にする。忙しい時もできる限り時間を合わせ、会話しながら温かな料理を楽しむのだ。採れたての旬の野菜をふんだんに使ったメシは格別!自分たちだけでなく、使用人たちへの食事にもこだわっている。食事が身体を作るのだと、「良いものを楽しく食べる」これが我が家のモットーなのだ。
そんなウチの連中にとって、単に生きるために味のしない食事を詰め込むという言葉は相当ショックだったようだ。それはこいちが食べ物の味も感じないくらい無味乾燥な生活を送ってきたということ。それほどの環境に置かれていたのだということだからだ。
でも、とフィオは続ける。
「ゲイルが食べさせて下さった食事は、味がしました。ゲイルのおかげで、私は生まれて初めて『美味しい』という言葉の意味を知ったのです。食事は楽しいものだと、幸せなものなのだと知ったのです。ゲイルには甘えてしまい申し訳ないと思ってはいるのですが……」
そこでここぞとばかりに俺は言い募った。
「こいつさあ、俺が拾ったとき13歳でな。こんくらいだったんだよ」
こんくらい、と俺の胸より下の位置を指して見せてやる。平均的子供より低めの位置だ。
「おまけに傷だらけの上にやせ細ってて、青白い顔してやがってさあ……」
兄貴が慌てたように侍女を呼びなにか言づけると、侍女が決意を込めた表情で頷き走り出て行った。
「食わせようとしても、なかなか食えねえくらい弱ってたんだよ。だから俺が抱き上げてひとさじひとさじ口にいれてやったんだ。最初は皿に一杯も食えなくてな……。徐々に慣らして、ようやく普通の飯が食えるようになったんだ」
語り終えたときには、フィオの前にたくさんの料理が並べられていた。
うちの定番、たくさんの野菜を丁寧に裏ごしした野菜とミルクたっぷりのポタージュ。焼きたての柔らかなパンにはうちでとれた果樹で作った特製のジャムが添えられている。食べやすいようにこぶりに切られた牛の頬肉はよく煮込まれており、口に入れるとほろりととろける。
あれ?お茶……じゃなかったか?飯だっけ?
「ゲイル……よくぞ拾った!そのような子を見捨てておくなど、サフィールにあってはならぬ!まったく!この子の親御さんは何をしていたのだ!許せぬ!」
どうやら兄貴にはこのデカい図体が俺が拾った小さな幼子に見えるらしい。
「ほら。食べなさい。君はまだ少しやせているようだ。これなら食べられるか?好き嫌いがあるなら言いなさい。少しずつ直していけばよいからな」
「お味が薄いようでしたらおっしゃってくださいね?」
「お熱いですからね。ぼっちゃま、気を付けて差し上げてくださいよ」
え?俺?俺が気を付けるのか?
……スプーンを手に取り、ふうふうしてからフィオに差し出す。
それをあたたかく見守る兄貴と使用人たち。
「……ほら、フィオ。あーん」
「……いただきます」
ひとくち口にして……ほわりと幸せそうにほほ笑んだ。
「…………とても美味しいです。ゲイルの作ってくれるものと同じだ、優しくて温かい」
兄貴が満足そうに頷いた。
「うむ。そうだろう。たくさん食べなさい。足りないようならば作らせよう」
「ありがとうございます。とても……とても嬉しいです」
俺、何してるんだろうな?あれ?
どうやらフィオは無事にサフィールの庇護下に入ったようだ。みんなまるで幼子にでもするようにせっせとフィオの世話を焼きだした。
「お寒くないですか?きちんと上着を着るんですよ?」
「お腹がすいているとろくなことはありませんからね。きちんとぼっちゃまに食べさせてもらってくださいね。ぼっちゃまはお食事だけはきちんとしたものとおとりになりますから…。ただ、お忙しいときには平気でお食事をお忘れになるんです。それだけがねえ……」
「まとめて食べればよいと思っているふしがあるからな。だが、ゲイルの顔色もいいようだ。フィオくんが管理してくれているのだろう」
「うふふ。確かにねえ。お食事を忘れさえしなければ、召し上がる物自体はきちんとされていますからねえ。お二人で足りないところを補っていらっしゃるのですね」
おいヤメロ。俺が世話してやってんだって!逆じゃねえ!
まさかの大逆転ときた!受け入れられてるどころじゃねえ!世話を焼く対象にされちまったぞ、おい!
困ったように笑うフィオは、面映ゆそうで幸せそうだ。俺に見せるようなリラックスした表情をしている。
クソ、面白くねえなあ!
「フィオ!嫌なら嫌って言っていいんだぞ?こいつら、どこまでも世話を焼いてくるからな!俺らをまだ子供だって勘違いしてやがるんだよ。もう立派な大人だってえのに!」
ぐいっとフィオを引っ張ると、兄貴に笑われた。
「なんだ、お前、焼きもちでも焼いているのか?そんな顔は初めて見たぞ?」
「まあまあ!おぼっちゃま!大丈夫ですよ、フィオさんをとったりしませんので!」
「……焼きもちを焼いてくださったのですか?ゲイルが私に?」
おい、フィオ!嬉しそうな顔すんじゃねえ!お前いつも無表情どこいったよ!
兄貴!ニヤニヤすんなよ!風で攻撃しやがったくせに、180度態度が違うじゃねえか!
とにかく認めてもらえたようで良かった……のか?
帰るはずがあれよあれよという間に部屋が用意され、ふたりでふかふかのベッドに。
え?俺ら同じ部屋でいいのか?夫婦扱いじゃねえかよ!マジか!
「…………嵐のような方がたですね」
フィオがクスクスと笑った。
「まあなあ。あいつら、態度変えすぎなんだよ!特に兄貴!もうお前のこと、捨てられた子犬にしか見えてねえぞ?いいのかよ、お前!」
「……あのように世話を焼かれたのは初めてで……どうしてよいのかわかりません。でも、とても幸せなものなのですね」
「あああ!もう!」
俺はたまらない気持ちになってフィオの頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。
「あのな。この部屋、夫婦用の客間なんだ。俺の部屋も客間もあるのに、俺たちを二人でこの部屋に案内した。その意味わかってるか?」
「……意味?」
「兄貴がお前を家族だって認めたってことだよ。しかも、俺の相手としてな。まさかいきなりここまで許されるとはなあ……」
「…………」
「ん?フィオ?」
「………………」
「……泣くなよ。お前って意外と泣き虫だよなあ。これで冷血とか鉄仮面とか言われてんだろ?どこがだよ。こおんなにかわいいのになあ……」
そおっとフィオの頭を抱き寄せて、その髪のあちこちにキスをしてやった。
「なあ。フィオ。こんなとこであれだが……俺が幸せにしてやる。だから、俺と結婚しろ。お前は当主だろうが、後継だとかまあ全部俺がなんとかしてやるから。とにかく、はい、って言え。それ以外の答えは認めない」
「…………はい。はい!」
「ほら!笑え、フィオ!俺はお前の笑った顔が好きなんだ。見せろよフィオ」
フィオは俺が大好きな柔らかな笑顔を見せてくれた。
ちなみに、フィオの傷は俺がさくっとヒールしてやった。
無言の兄貴と、困ったような表情(俺にはそう見えるが、一般的には無表情)のフィオ。
顔馴染みの使用人が笑顔で俺に焼き菓子を出してくれる。
「ぼっちゃま!こちら、ぼっちゃまのお好きな菓子ですよ!ご連絡をいただいてすぐに料理長が張り切って用意致しましたの!召し上がってくださいまし!」
「食べきれない分はお包みしますからね。忘れずにお持ち帰りくださいね?」
俺の大好きなクッキーだ!ジンジャーを効かせた素朴な味。少し堅めのこいつ、クセになるんだよなあ!俺も伯爵家で再現しようとしたんだが、どうしても同じにできねえ。夜書類を書きながら摘んだら、あっという間になくなっちまう俺の大好物!
「フィオ、これ食ってみな?すげえ美味いから。お前の好きな味だぜ?」
ひとつ摘んでフィオの口元に出してやると、フィオが目を丸くした。
「?どうした?早く口を開けろよ」
「…………お前、いつもそのようなことをしているのか?」
呆れたような声に我にかえる。
あ!しまった!つい、ウチにいるようなつもりで……。かああ、と顔に血が集まった。
「い、いや、違うんだよ!拾ったときのこいつ、ちっこい上に弱っててさあ!俺がスプーンで飯を食わせてやってたんだよ。食も細いし、なんつーか、クセっていうかな?」
「……拾ってからどれくらいになる?」
「…………7年?」
「もう十分育っていると思うが?」
「………………だな」
猛烈にこっ恥ずかしい。完全に無意識だった。
出したままの手を引っ込めようとすれば、フィオが俺の手を掴んでパクリ。
「!お、おま…」
「美味しいです。ありがとうございます」
フィオの恥ずかし気な笑みに、兄貴が絶句した。
どうだ、俺のフィオ。かわいいだろうがよ!冷血なんていわれてっけど、こいつってばこんなに可愛いんだぜ!
フィオはそんな兄貴に向かって、語りだした。
「ゲイルに出会うまで、私には味というものが分かりませんでした。単に生きるための栄養補給として、決められた時間に決められたものを摂取していたに過ぎません。無味乾燥な食事という名のその時間が、私には苦痛でした」
淡々と紡がれたその内容の悲惨さに皆が息をのむ。
フィオはおそらく俺が「あーん」しちまったのをフォローしてくれたつもりなんだろう。
だが、我が家の連中にはフィオの話は衝撃だった。
ウチは食事の時間を大切にする。忙しい時もできる限り時間を合わせ、会話しながら温かな料理を楽しむのだ。採れたての旬の野菜をふんだんに使ったメシは格別!自分たちだけでなく、使用人たちへの食事にもこだわっている。食事が身体を作るのだと、「良いものを楽しく食べる」これが我が家のモットーなのだ。
そんなウチの連中にとって、単に生きるために味のしない食事を詰め込むという言葉は相当ショックだったようだ。それはこいちが食べ物の味も感じないくらい無味乾燥な生活を送ってきたということ。それほどの環境に置かれていたのだということだからだ。
でも、とフィオは続ける。
「ゲイルが食べさせて下さった食事は、味がしました。ゲイルのおかげで、私は生まれて初めて『美味しい』という言葉の意味を知ったのです。食事は楽しいものだと、幸せなものなのだと知ったのです。ゲイルには甘えてしまい申し訳ないと思ってはいるのですが……」
そこでここぞとばかりに俺は言い募った。
「こいつさあ、俺が拾ったとき13歳でな。こんくらいだったんだよ」
こんくらい、と俺の胸より下の位置を指して見せてやる。平均的子供より低めの位置だ。
「おまけに傷だらけの上にやせ細ってて、青白い顔してやがってさあ……」
兄貴が慌てたように侍女を呼びなにか言づけると、侍女が決意を込めた表情で頷き走り出て行った。
「食わせようとしても、なかなか食えねえくらい弱ってたんだよ。だから俺が抱き上げてひとさじひとさじ口にいれてやったんだ。最初は皿に一杯も食えなくてな……。徐々に慣らして、ようやく普通の飯が食えるようになったんだ」
語り終えたときには、フィオの前にたくさんの料理が並べられていた。
うちの定番、たくさんの野菜を丁寧に裏ごしした野菜とミルクたっぷりのポタージュ。焼きたての柔らかなパンにはうちでとれた果樹で作った特製のジャムが添えられている。食べやすいようにこぶりに切られた牛の頬肉はよく煮込まれており、口に入れるとほろりととろける。
あれ?お茶……じゃなかったか?飯だっけ?
「ゲイル……よくぞ拾った!そのような子を見捨てておくなど、サフィールにあってはならぬ!まったく!この子の親御さんは何をしていたのだ!許せぬ!」
どうやら兄貴にはこのデカい図体が俺が拾った小さな幼子に見えるらしい。
「ほら。食べなさい。君はまだ少しやせているようだ。これなら食べられるか?好き嫌いがあるなら言いなさい。少しずつ直していけばよいからな」
「お味が薄いようでしたらおっしゃってくださいね?」
「お熱いですからね。ぼっちゃま、気を付けて差し上げてくださいよ」
え?俺?俺が気を付けるのか?
……スプーンを手に取り、ふうふうしてからフィオに差し出す。
それをあたたかく見守る兄貴と使用人たち。
「……ほら、フィオ。あーん」
「……いただきます」
ひとくち口にして……ほわりと幸せそうにほほ笑んだ。
「…………とても美味しいです。ゲイルの作ってくれるものと同じだ、優しくて温かい」
兄貴が満足そうに頷いた。
「うむ。そうだろう。たくさん食べなさい。足りないようならば作らせよう」
「ありがとうございます。とても……とても嬉しいです」
俺、何してるんだろうな?あれ?
どうやらフィオは無事にサフィールの庇護下に入ったようだ。みんなまるで幼子にでもするようにせっせとフィオの世話を焼きだした。
「お寒くないですか?きちんと上着を着るんですよ?」
「お腹がすいているとろくなことはありませんからね。きちんとぼっちゃまに食べさせてもらってくださいね。ぼっちゃまはお食事だけはきちんとしたものとおとりになりますから…。ただ、お忙しいときには平気でお食事をお忘れになるんです。それだけがねえ……」
「まとめて食べればよいと思っているふしがあるからな。だが、ゲイルの顔色もいいようだ。フィオくんが管理してくれているのだろう」
「うふふ。確かにねえ。お食事を忘れさえしなければ、召し上がる物自体はきちんとされていますからねえ。お二人で足りないところを補っていらっしゃるのですね」
おいヤメロ。俺が世話してやってんだって!逆じゃねえ!
まさかの大逆転ときた!受け入れられてるどころじゃねえ!世話を焼く対象にされちまったぞ、おい!
困ったように笑うフィオは、面映ゆそうで幸せそうだ。俺に見せるようなリラックスした表情をしている。
クソ、面白くねえなあ!
「フィオ!嫌なら嫌って言っていいんだぞ?こいつら、どこまでも世話を焼いてくるからな!俺らをまだ子供だって勘違いしてやがるんだよ。もう立派な大人だってえのに!」
ぐいっとフィオを引っ張ると、兄貴に笑われた。
「なんだ、お前、焼きもちでも焼いているのか?そんな顔は初めて見たぞ?」
「まあまあ!おぼっちゃま!大丈夫ですよ、フィオさんをとったりしませんので!」
「……焼きもちを焼いてくださったのですか?ゲイルが私に?」
おい、フィオ!嬉しそうな顔すんじゃねえ!お前いつも無表情どこいったよ!
兄貴!ニヤニヤすんなよ!風で攻撃しやがったくせに、180度態度が違うじゃねえか!
とにかく認めてもらえたようで良かった……のか?
帰るはずがあれよあれよという間に部屋が用意され、ふたりでふかふかのベッドに。
え?俺ら同じ部屋でいいのか?夫婦扱いじゃねえかよ!マジか!
「…………嵐のような方がたですね」
フィオがクスクスと笑った。
「まあなあ。あいつら、態度変えすぎなんだよ!特に兄貴!もうお前のこと、捨てられた子犬にしか見えてねえぞ?いいのかよ、お前!」
「……あのように世話を焼かれたのは初めてで……どうしてよいのかわかりません。でも、とても幸せなものなのですね」
「あああ!もう!」
俺はたまらない気持ちになってフィオの頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。
「あのな。この部屋、夫婦用の客間なんだ。俺の部屋も客間もあるのに、俺たちを二人でこの部屋に案内した。その意味わかってるか?」
「……意味?」
「兄貴がお前を家族だって認めたってことだよ。しかも、俺の相手としてな。まさかいきなりここまで許されるとはなあ……」
「…………」
「ん?フィオ?」
「………………」
「……泣くなよ。お前って意外と泣き虫だよなあ。これで冷血とか鉄仮面とか言われてんだろ?どこがだよ。こおんなにかわいいのになあ……」
そおっとフィオの頭を抱き寄せて、その髪のあちこちにキスをしてやった。
「なあ。フィオ。こんなとこであれだが……俺が幸せにしてやる。だから、俺と結婚しろ。お前は当主だろうが、後継だとかまあ全部俺がなんとかしてやるから。とにかく、はい、って言え。それ以外の答えは認めない」
「…………はい。はい!」
「ほら!笑え、フィオ!俺はお前の笑った顔が好きなんだ。見せろよフィオ」
フィオは俺が大好きな柔らかな笑顔を見せてくれた。
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