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アイデンティティ
上下反転七転八倒
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なんとか大量の患者を捌き、下に降りる。
フィオは珍しく冒険者たちに囲まれていた。
ヤツら、いつもは怖がって遠巻きにしてるくせに。まさか、フィオの可愛さに気付いたのか?
少しムッとしたが、俺の顔を見たとたん顔を輝かせるフィオに一発で機嫌は治った。我ながら現金なもんだ。
「ゲイル!もういいんですか?」
「ああ。待たせたな、フィオ!」
俺の言葉にギルド中の奴らが固まった。
「ボルゾイ!俺らはバラしてねえからな!」
「そ、そうだ!俺らは厳守してだぞ!」
一斉にアワアワと言い訳をし始める。
「フィオがグランディールだってことか?」
首を傾げれば、ぎゃあ!とおかしな悲鳴が上がった。
「ゲ、ゲイル!ボルゾイがグランディールだからって避けるなよ⁈」
「そうだぞ!今まで仲良くやってきたんだ。最後まで面倒見ろよ!可哀想だろうが!」
「そうだそうだ!下手に避けて俺らのせいにされたらどうしてくれる!」
オマエら必死かよ!てか、やっぱみんな俺がグランディールを避けていたことも、コイツがグランディールだってことも知ってたんだな⁈裏切り者めが!
結果的に丸く収まったが、オマエらの裏切りは忘れねえぞ!ヒールする時に痛みだけ2割残してやる!
そんな事を考え俺がニヤリとすると、慌てて手のひらを返してきやがった。
「いや、やっぱゲイルの思うようにしてくれ!本人の気持ちが大事だよな〰!」
「そ、そうだよ!俺らはゲイルの味方だぜ?」
「ゲイルが大好きだからな!」
「ほう!そうですか……。ゲイルが好き……」
聞き咎めたフィオに、一気に顔色を悪くする。
「ち、違う!そういう意味じゃねえっ」
「このギルドにゲイルに手を出すヤツなんていねえよ!命は惜しい!」
「そうよ!いくらいい男でも怖い番犬が付いてるんだもの!近寄らないわよ!」
青くなったり赤くなったりと忙しい冒険者が可哀想になって、俺は助け船を出してやった。
「フィオ、おいで」
大人しく俺になつく番犬の頭を優しく撫でてやる。
目を細め幸せそうなフィオの表情を見て唖然とした冒険者どもに俺は言った。
「俺の番犬、かわいいだろ?こいつは俺のにしたから!」
フィオの頭の後ろに手をやりグイッと引き寄せ、目の前でブチュッとかましてやる。
「「「「ぎゃああああ!ゲイルが!ゲイルがああああ!ー」」」」
「まあ、なんだ。こういうことだ。
今まで気い使わせて悪かったな。
グランディールだろうと関係ねえ。だから、もう無理に隠さなくていいぞ」
フィオが真っ赤になったのを見て、絶対に押し倒してやると心に誓った。クソかわいすぎ!
フィオは珍しく冒険者たちに囲まれていた。
ヤツら、いつもは怖がって遠巻きにしてるくせに。まさか、フィオの可愛さに気付いたのか?
少しムッとしたが、俺の顔を見たとたん顔を輝かせるフィオに一発で機嫌は治った。我ながら現金なもんだ。
「ゲイル!もういいんですか?」
「ああ。待たせたな、フィオ!」
俺の言葉にギルド中の奴らが固まった。
「ボルゾイ!俺らはバラしてねえからな!」
「そ、そうだ!俺らは厳守してだぞ!」
一斉にアワアワと言い訳をし始める。
「フィオがグランディールだってことか?」
首を傾げれば、ぎゃあ!とおかしな悲鳴が上がった。
「ゲ、ゲイル!ボルゾイがグランディールだからって避けるなよ⁈」
「そうだぞ!今まで仲良くやってきたんだ。最後まで面倒見ろよ!可哀想だろうが!」
「そうだそうだ!下手に避けて俺らのせいにされたらどうしてくれる!」
オマエら必死かよ!てか、やっぱみんな俺がグランディールを避けていたことも、コイツがグランディールだってことも知ってたんだな⁈裏切り者めが!
結果的に丸く収まったが、オマエらの裏切りは忘れねえぞ!ヒールする時に痛みだけ2割残してやる!
そんな事を考え俺がニヤリとすると、慌てて手のひらを返してきやがった。
「いや、やっぱゲイルの思うようにしてくれ!本人の気持ちが大事だよな〰!」
「そ、そうだよ!俺らはゲイルの味方だぜ?」
「ゲイルが大好きだからな!」
「ほう!そうですか……。ゲイルが好き……」
聞き咎めたフィオに、一気に顔色を悪くする。
「ち、違う!そういう意味じゃねえっ」
「このギルドにゲイルに手を出すヤツなんていねえよ!命は惜しい!」
「そうよ!いくらいい男でも怖い番犬が付いてるんだもの!近寄らないわよ!」
青くなったり赤くなったりと忙しい冒険者が可哀想になって、俺は助け船を出してやった。
「フィオ、おいで」
大人しく俺になつく番犬の頭を優しく撫でてやる。
目を細め幸せそうなフィオの表情を見て唖然とした冒険者どもに俺は言った。
「俺の番犬、かわいいだろ?こいつは俺のにしたから!」
フィオの頭の後ろに手をやりグイッと引き寄せ、目の前でブチュッとかましてやる。
「「「「ぎゃああああ!ゲイルが!ゲイルがああああ!ー」」」」
「まあ、なんだ。こういうことだ。
今まで気い使わせて悪かったな。
グランディールだろうと関係ねえ。だから、もう無理に隠さなくていいぞ」
フィオが真っ赤になったのを見て、絶対に押し倒してやると心に誓った。クソかわいすぎ!
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