33 / 111
アイデンティティ
上下反転七転八倒
しおりを挟む
なんとか大量の患者を捌き、下に降りる。
フィオは珍しく冒険者たちに囲まれていた。
ヤツら、いつもは怖がって遠巻きにしてるくせに。まさか、フィオの可愛さに気付いたのか?
少しムッとしたが、俺の顔を見たとたん顔を輝かせるフィオに一発で機嫌は治った。我ながら現金なもんだ。
「ゲイル!もういいんですか?」
「ああ。待たせたな、フィオ!」
俺の言葉にギルド中の奴らが固まった。
「ボルゾイ!俺らはバラしてねえからな!」
「そ、そうだ!俺らは厳守してだぞ!」
一斉にアワアワと言い訳をし始める。
「フィオがグランディールだってことか?」
首を傾げれば、ぎゃあ!とおかしな悲鳴が上がった。
「ゲ、ゲイル!ボルゾイがグランディールだからって避けるなよ⁈」
「そうだぞ!今まで仲良くやってきたんだ。最後まで面倒見ろよ!可哀想だろうが!」
「そうだそうだ!下手に避けて俺らのせいにされたらどうしてくれる!」
オマエら必死かよ!てか、やっぱみんな俺がグランディールを避けていたことも、コイツがグランディールだってことも知ってたんだな⁈裏切り者めが!
結果的に丸く収まったが、オマエらの裏切りは忘れねえぞ!ヒールする時に痛みだけ2割残してやる!
そんな事を考え俺がニヤリとすると、慌てて手のひらを返してきやがった。
「いや、やっぱゲイルの思うようにしてくれ!本人の気持ちが大事だよな〰!」
「そ、そうだよ!俺らはゲイルの味方だぜ?」
「ゲイルが大好きだからな!」
「ほう!そうですか……。ゲイルが好き……」
聞き咎めたフィオに、一気に顔色を悪くする。
「ち、違う!そういう意味じゃねえっ」
「このギルドにゲイルに手を出すヤツなんていねえよ!命は惜しい!」
「そうよ!いくらいい男でも怖い番犬が付いてるんだもの!近寄らないわよ!」
青くなったり赤くなったりと忙しい冒険者が可哀想になって、俺は助け船を出してやった。
「フィオ、おいで」
大人しく俺になつく番犬の頭を優しく撫でてやる。
目を細め幸せそうなフィオの表情を見て唖然とした冒険者どもに俺は言った。
「俺の番犬、かわいいだろ?こいつは俺のにしたから!」
フィオの頭の後ろに手をやりグイッと引き寄せ、目の前でブチュッとかましてやる。
「「「「ぎゃああああ!ゲイルが!ゲイルがああああ!ー」」」」
「まあ、なんだ。こういうことだ。
今まで気い使わせて悪かったな。
グランディールだろうと関係ねえ。だから、もう無理に隠さなくていいぞ」
フィオが真っ赤になったのを見て、絶対に押し倒してやると心に誓った。クソかわいすぎ!
フィオは珍しく冒険者たちに囲まれていた。
ヤツら、いつもは怖がって遠巻きにしてるくせに。まさか、フィオの可愛さに気付いたのか?
少しムッとしたが、俺の顔を見たとたん顔を輝かせるフィオに一発で機嫌は治った。我ながら現金なもんだ。
「ゲイル!もういいんですか?」
「ああ。待たせたな、フィオ!」
俺の言葉にギルド中の奴らが固まった。
「ボルゾイ!俺らはバラしてねえからな!」
「そ、そうだ!俺らは厳守してだぞ!」
一斉にアワアワと言い訳をし始める。
「フィオがグランディールだってことか?」
首を傾げれば、ぎゃあ!とおかしな悲鳴が上がった。
「ゲ、ゲイル!ボルゾイがグランディールだからって避けるなよ⁈」
「そうだぞ!今まで仲良くやってきたんだ。最後まで面倒見ろよ!可哀想だろうが!」
「そうだそうだ!下手に避けて俺らのせいにされたらどうしてくれる!」
オマエら必死かよ!てか、やっぱみんな俺がグランディールを避けていたことも、コイツがグランディールだってことも知ってたんだな⁈裏切り者めが!
結果的に丸く収まったが、オマエらの裏切りは忘れねえぞ!ヒールする時に痛みだけ2割残してやる!
そんな事を考え俺がニヤリとすると、慌てて手のひらを返してきやがった。
「いや、やっぱゲイルの思うようにしてくれ!本人の気持ちが大事だよな〰!」
「そ、そうだよ!俺らはゲイルの味方だぜ?」
「ゲイルが大好きだからな!」
「ほう!そうですか……。ゲイルが好き……」
聞き咎めたフィオに、一気に顔色を悪くする。
「ち、違う!そういう意味じゃねえっ」
「このギルドにゲイルに手を出すヤツなんていねえよ!命は惜しい!」
「そうよ!いくらいい男でも怖い番犬が付いてるんだもの!近寄らないわよ!」
青くなったり赤くなったりと忙しい冒険者が可哀想になって、俺は助け船を出してやった。
「フィオ、おいで」
大人しく俺になつく番犬の頭を優しく撫でてやる。
目を細め幸せそうなフィオの表情を見て唖然とした冒険者どもに俺は言った。
「俺の番犬、かわいいだろ?こいつは俺のにしたから!」
フィオの頭の後ろに手をやりグイッと引き寄せ、目の前でブチュッとかましてやる。
「「「「ぎゃああああ!ゲイルが!ゲイルがああああ!ー」」」」
「まあ、なんだ。こういうことだ。
今まで気い使わせて悪かったな。
グランディールだろうと関係ねえ。だから、もう無理に隠さなくていいぞ」
フィオが真っ赤になったのを見て、絶対に押し倒してやると心に誓った。クソかわいすぎ!
521
お気に入りに追加
884
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる