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アイデンティティ

やる気でどうしようもないこともある!※性的表現あり

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 ブワッとフィオの瞳孔が開いた。
 とたん、噛み付くようにキスをされた。
 喰われるかと思った。
 それ程の衝撃だったのだ。
 息を継ぐ間も惜しいとばかりに交わされる激しい口づけ。
 その合間に忙しなくボタンを外される。

「っ、ふぃ…おっ!ちょっとま……」
「無理です!すみません!無理です!」

 コイツ、二度も無理って言いやがった!

「いや、お前…」

 がぶり!

「いてっ!こ、こら!」

 黙れとばかりに頸に食いつかれる。
 痛みのお陰でキスでぼうっとした頭が少しクリアになっだ。こりゃ絶対歯形が付いたぞ。
 そのまま唇は首筋を辿り、徐々に下に降りていった。

「…んっ…」

 思わず漏れた声。慌てて息を殺せば、フィオが意地悪く同じ箇所に唇を落としてきた。

「んあっ……フィオ、そこっ……ヤメロって…っ」

 なんかそこ、やべえんだって!
 震える手でなんとかフィオをどかそうとするが、腕に力が入らない。う、嘘だろ⁈

 頭の中でアワアワしている間に、悪戯な指先がするりと下履きの中に入り込んで来た。

「⁈」

 い、いきなりそこか!

「ま、待て!待て待て待て!」

 必死で止めると、渋々というのを隠そうともせずようやく顔を上げる。

 その隙に俺は叫んだ。

「クリーン!」

 フィオは一瞬キョトンとした後、爆笑した。かおをくしゃくしゃにして声を出して笑っている。
 こんなフィオを見たのは初めてだ。

「あ、あなた!ここでクリーンですか!私は、私は、これ以上はダメだと言われるのではと……っ」

 俺は撫然とした表情で唇をとがらせる。

「そんな詐欺みてえなことするかよ!俺だって……お前が好きなんだし……」

 最後の方でなんだか声が小さくなってしまった。だが、フィオの耳にはしっかりと届いたようだ。

「あなたって、無駄に潔いですよね」

 呆れたように溢すその唇に噛みつき、ニヤリと挑戦的に笑ってやる。

「そんな俺が好きなんだろ?」
「どんなあなたも愛しています」

 年上の意地で仕掛けた攻撃をしれっと打ち返され、俺はあえなく撃沈。

「大事に扱えよ。俺は痛いのは嫌だからな」
「真綿に包むように大事に扱います。決して痛い思いはさせません!ゲイルに誓います!」
「本人に違うなよww」
「じゃあ、善処しますから。……私のものになって?お願い」

 おま!お前、ここでそれはズルいだろう!

「………ダメ、ですか………?」

「いいよ。良いっていったろうが。漢に二言はねえよ」





訂正しよう。漢には二言はねえが、俺にはあった!

くちっくちゅっくちゅ

さっきから人の身体から出ていいような音ではない音が俺の身体から……正確には尻からしている。
居たたまれねえ!マジで逃げ出したい!
気を抜けば漏れそうになる声をシーツを掴む事で必死に抑える。身体は自然と逃げを打つが、フィオがそれを許してくれない。
セックスってえのがこんなに恥ずかしくて生々しいものだったとは!











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