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波瀾万丈ピクニック
さあ、ピクニックだ!
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運命の日がやってきた。
俺の、ではない。
ボルゾイがエリアナと出会う運命の日である。
この出会いにより、グランディールとサフィールは正しく男女で出会い、運命的な恋に落ちるのだ。
俺はいわば2人を結びつけるキューピッドなのだ。
エリアナには「俺の手伝いをしてくれてる弟分を紹介したい」と伝えてある。
「そんな奇特な人がいるの?
お兄様がお世話になっています、ってしっかりとご挨拶しておかなきゃ!」
そう言って笑うエリアナは我が姪ながら文句なしに可愛かった。妖精だ。
エリアナに会って惚れない男などいないだろう。
うちのシェフたちが張り切って用意してくれたランチが既にバスケットにスタンバイされている。
ここから馬で敷地内の木陰に向かう予定だ。
俺がバスケットを持つことにして、エリアナをボルゾイに頼むのだ。
2人で馬に乗れば一気に打ち解けるはず。
我ながら完璧な作戦だ。
時間きっかりにボルゾイは現れた。
「ゲイル!」
後ろでブンブンする尻尾が見える気がする。
「あの人がボルゾイ?」
クスリ、とエリアナが笑った。
「うふふ。ゲイル兄さんが大好きなのね!
確かに忠犬だわ!」
慌てたようにやってきて、エリアナを見て緊張したように顔をこわばらせるボルゾイ。
「ゲイルの姪御さんだと伺っております。
私は……ボルゾイと呼んでください。
ゲイルにはいつもお世話になっております」
胸に手を当て紳士の礼をとる。
こうしてみれば高位貴族そのものじゃねえか!
うん。これなら…
エリアナも好印象を抱いたようだ。
「まあ!
ご丁寧なご挨拶いたみいります。
私はエリアナと申します。
いつもゲイルお兄様からあなたのお話を伺っておりましたのよ?
ですからお会いするのを楽しみにしておりましたの!」
親しみ深く語りかけ、笑みをこぼす。
ころころと笑うエリアナに、ボルゾイの表情が緩んだ。
「そうなのですか?
ゲイルがあなたに私の話を?」
「ええ!
とても可愛いと聞いていたのですけれど…想像より立派な方なので驚きました!」
俺は慌てて言い訳した。
「いや、だってこいつ、出会った時は俺より小さかったんだって!急に育ったんだよ!」
「そんなに急に大きくなるはずないでしょうに!
ねえ、ボルゾイさん?」
「そうですね」
苦笑するエリアナとボルゾイ。
すっかり打ち解けたようだ。
人見知りの気があるボルゾイにしては珍しい。
グランディールの血が騒いだか?
「すっかり仲良くなったようだな。
なあ、ボルゾイ。
敷地内の丘まで馬で向かうつもりなんだが。
俺が飯を運ぶから、お前がエリアナを乗せてやってくれないか?」
ボルゾイは少し戸惑ってはいたが、
「…エリアナさんがよろしければ」
と承知した。
うん。第一関門クリアだな。
「じゃあ、俺は先に行ってセッティングしておくから!
お前らはゆっくり来てくれ!
エリアナを落とすなよ!」
俺は馬に飛び乗ると、初々しい2人をその場に残して振り返りもせず走り去った。
後ろ髪を引かれるような想いを振り切るように。
俺の大切なエリアナと俺の可愛いわんこ。
2人がくっつくのは喜ばしいことだ。
俺も呪いから免れるし、魔王も誕生させずにすむ。
少しだけ。
少しだけの寂しさには気づかないふりで、俺は駆けた。
俺の、ではない。
ボルゾイがエリアナと出会う運命の日である。
この出会いにより、グランディールとサフィールは正しく男女で出会い、運命的な恋に落ちるのだ。
俺はいわば2人を結びつけるキューピッドなのだ。
エリアナには「俺の手伝いをしてくれてる弟分を紹介したい」と伝えてある。
「そんな奇特な人がいるの?
お兄様がお世話になっています、ってしっかりとご挨拶しておかなきゃ!」
そう言って笑うエリアナは我が姪ながら文句なしに可愛かった。妖精だ。
エリアナに会って惚れない男などいないだろう。
うちのシェフたちが張り切って用意してくれたランチが既にバスケットにスタンバイされている。
ここから馬で敷地内の木陰に向かう予定だ。
俺がバスケットを持つことにして、エリアナをボルゾイに頼むのだ。
2人で馬に乗れば一気に打ち解けるはず。
我ながら完璧な作戦だ。
時間きっかりにボルゾイは現れた。
「ゲイル!」
後ろでブンブンする尻尾が見える気がする。
「あの人がボルゾイ?」
クスリ、とエリアナが笑った。
「うふふ。ゲイル兄さんが大好きなのね!
確かに忠犬だわ!」
慌てたようにやってきて、エリアナを見て緊張したように顔をこわばらせるボルゾイ。
「ゲイルの姪御さんだと伺っております。
私は……ボルゾイと呼んでください。
ゲイルにはいつもお世話になっております」
胸に手を当て紳士の礼をとる。
こうしてみれば高位貴族そのものじゃねえか!
うん。これなら…
エリアナも好印象を抱いたようだ。
「まあ!
ご丁寧なご挨拶いたみいります。
私はエリアナと申します。
いつもゲイルお兄様からあなたのお話を伺っておりましたのよ?
ですからお会いするのを楽しみにしておりましたの!」
親しみ深く語りかけ、笑みをこぼす。
ころころと笑うエリアナに、ボルゾイの表情が緩んだ。
「そうなのですか?
ゲイルがあなたに私の話を?」
「ええ!
とても可愛いと聞いていたのですけれど…想像より立派な方なので驚きました!」
俺は慌てて言い訳した。
「いや、だってこいつ、出会った時は俺より小さかったんだって!急に育ったんだよ!」
「そんなに急に大きくなるはずないでしょうに!
ねえ、ボルゾイさん?」
「そうですね」
苦笑するエリアナとボルゾイ。
すっかり打ち解けたようだ。
人見知りの気があるボルゾイにしては珍しい。
グランディールの血が騒いだか?
「すっかり仲良くなったようだな。
なあ、ボルゾイ。
敷地内の丘まで馬で向かうつもりなんだが。
俺が飯を運ぶから、お前がエリアナを乗せてやってくれないか?」
ボルゾイは少し戸惑ってはいたが、
「…エリアナさんがよろしければ」
と承知した。
うん。第一関門クリアだな。
「じゃあ、俺は先に行ってセッティングしておくから!
お前らはゆっくり来てくれ!
エリアナを落とすなよ!」
俺は馬に飛び乗ると、初々しい2人をその場に残して振り返りもせず走り去った。
後ろ髪を引かれるような想いを振り切るように。
俺の大切なエリアナと俺の可愛いわんこ。
2人がくっつくのは喜ばしいことだ。
俺も呪いから免れるし、魔王も誕生させずにすむ。
少しだけ。
少しだけの寂しさには気づかないふりで、俺は駆けた。
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