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第3章 ボルゾイは語る
これが幸せなのか?
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ぼんやりと意識が浮上した。
「…まるでボルゾイだな」
ボルゾイ?誰?
目にかかる髪が優しく払われる感触。
「…なあ。お前を傷つけるクソ野郎は、誰だ?
親か?それとも教師?
それはお前が耐えなきゃならんもんなのか?
いずれにせよ、もう大丈夫だぞ。
俺がいるからな」
クソ野郎?もしかして…父のことか?
この優しい声は私のために怒ってくれている?
まさか。
そんな人が存在するなんて。
触れてくれる手が気持ちいい。
もっと、もっと触れて。
無意識に擦り寄れば、そっとほほを撫でてくれる。
ああ。幸せだ。
なんて…なんて素敵なんだろう。
ここはとても安心する。
するとまた優しい声が言った。
「ふふ。かわいいもんだ。
まあ、ゆっくり休め。
ここにはお前を傷つけるヤツはいない。
お前には休息が必要だ。
よく頑張ったな。偉かったぞ」
その声に吸い込まれるようにまた意識が消えていく。
倒れた時とは違う。
この人がいる。
次に目を開けた時には、幸せが待っている気がした。
生まれて初めて、目を覚ますのが待ち遠しいと思った。
「う…うん…。………ここは…何処だ?」
とても良い夢を見ていた気がする。
幸せな…とても幸せな夢だ。
何だったか…
ハッキリしない頭を2、3度降ると、少しだけ意識がハッキリしてきた。
!!どこだ、ここは?
見慣れない視界に慌てて周囲を見回せば、すぐ横で見知らぬ男がくつろいだ様子で酒を飲んでいた。
「!!あなたは⁈私は何故ここにいる?
ここは何処なのだ?」
慌てて起きあがろうとするの男が片手で制してくる。
「おい。まだ起きるな。
俺はゲルリアス。ゲイルでいい。医者だ。
きみはうちの屋敷の前で倒れていたんだ。
覚えてるか?」
穏やかで優しい声。
初めて聞くはずなのに、何故か涙が出そうになる。
ふるり、と頭を振れば、徐々に思い出してきた。
ああ。そうだ。
確か…身体を休める場所を探していたのだ。
「………ああ。思い出しました。
…頭が…痛くて…身体がとても重くて…」
「ああ。発熱していたからな」
「発熱?……そうですか。ご迷惑をおかけしました。
このお礼はまだ後日」
言いながら立ち上がろうとした。
私を助けてくれたらしい見知らぬ男に、これ以上迷惑はかけられないと思った。
屋敷に運び込み保護してくれただけで十分だ。
失礼する、と言いかけたのを遮るように、男が言った。
「悪いが背中を見せてもらったぞ」
心臓がズキンと痛んだ。
だが、私はそれを顔に出すことは無かった。
父の教育の賜物だ。
「…そうですか」
何を言われるのだろうか?
まさか、余計な正義感で憲兵を呼ぶ?
そのようなことになれば、我が家門はおしまいだ。
私は無意識に身構えた。
しかし男はただ淡々とこう言った。
「ああ。治療に必要だったからな。
発熱の原因は背中の傷だ。
で……誰にやられた?」
「何のことでしょう?」
とぼけて見せたが男はそれを許さなかった。
「あれは明らかに鞭の跡だ。
しかも長年に渡るものだ。
薬でも治療はできたが、緊急だったからヒールさせてもらった。もう痛みはないだろう?」
「ヒールを⁈」
驚いた。
まさか、あの傷からそこまで理解し、更には見ず知らずの子供を貴重なヒールまで使って治療してくれたとは!
思わずまじまじと男を注視する。
男は意外にも若かった。
とても…とても美しい容貌をしている。
私より数歳違うくらいだろう。成人して数年?
なのにその瞳は驚くほど優しく、世の中の全てを知り尽くしているように深い。これは…森だ。
優しく全てを包み込む、森のように深い緑。
男は私の不躾な視線を柔らかく受け止めた。
「ああ。俺はヒールが使える。
そして薬草や薬も使う医者でもある」
ヒールを使えるのに、薬草や薬⁈
そんな人物はひとりしかいない。
「まさか、あなたは…!そうか。あなたが…」
そのヒールの威力にほとんどの貴族が首を垂れるという、ゲルリアス・フィオネル伯爵。
貴族でありながら、平民の治療もするという有名人。
彼は若くして人格者としても知られていた。
そうか。あなたがゲイル。
「分かってくれたか?
このまま返せば、また同じことになるだろう。
医者としてそれは認められん。
だから聞くぞ。
誰にやられた?」
諦めて語れる範囲で真実を伝えることにした。
この人ならば、悪いようにはしないだろう。
「………父です。…名前は言えません。
お世話になっておきながら申し訳ございません」
頭を下げると、何故か手が伸びてきて私はとっさにそれを避けてしまった。
無意識に身体が動いてしまったのだ。
決して彼を信頼していないわけではない。
気を悪くしていないといいのだが…。
すると彼は私の前にしゃがみ込んだ。
何をしようと?
すると、私の目を見てこう断ってきた。
「…触れるぞ?」
驚かせぬよう配慮してくれたのか?
そっと額に手を当てられた。
少し高めの体温が気持ちいい。
触れた先から温かな何かが私を満たしていくようだ。
すっと手が離れるのを感じ、それを惜しいと思った。
すると、そのまま頬を優しく撫ぜられた。
もっと撫でて欲しいと思ってしまったのが伝わったのだろうか?
まさか!
するとゲイルは私の頬を両の手で優しく包み込み、こう言った。
「…辛かったな。よく頑張った。
うちの前で倒れてくれて良かった。
偉いぞ。よくやった!」
そしてそっと抱え込むようにして私の頭をその胸に抱きしめてくれた。
伝わる鼓動。
温かな体温。
ぽん、ぽん、ぽん。
背に刻まれる優しいリズム。
胸から響く声が言った。
「どんな理由だろうと、子供に手を挙げる親はクソだ。ゴミだ」
美しい容貌には似つかわしくない乱暴な物言い。
が、不思議とこの人らしいと思った。
私のために怒ってくれているのが伝わってくる。
そのことを嬉しいと。嬉しいと思ってしまった。
「お前は悪くない。
だから、我慢なんてする必要はないんだよ。
悪いのは、クソの方だ」
なんと。
なんと言ってくれたのだろう。
私は我慢しなくていいのか?
痛みを。悲しみを。辛さを耐えなくていいていうのか?
痛いと言ってしまっていいのだろうか。
辛いと言っていいのか?
それでも私は悪くないのか?
初めて与えられた言葉に、胸がギュウっと苦しくなる。
何か言いたいのに、言葉が出ない。
ゲイル。ゲイル。
私は…辛い。苦しい。……寂しくてたまらないんです。
もう痛いのは嫌だ。
ひとりは嫌だ。
そばにいて欲しい。
もっと抱きしめて欲しい。
何も言っていないのに、ゲイルは抱きしめてくれた。
「ああ。分かった。
大丈夫。大丈夫だ」
本当に伝わった?
まさか。
まさか、こんなことがあるのだろうか。
でも…これも私の名を知るまでだろう。
ゲイルの名は有名だった。
彼の噂は私でも知っている。
しかし…グランディール家にゲイルの顔を知るものはいない。
彼と、彼の一族はグランディール家を避けているから。
理由はわからない。
恐らく数代前まであまりに密だったというサフィールとグランディールの関係に何かあるのだろう。
私は祈るような気持ちで、願った。
どうか、どうか私が何者か聞かないで欲しい。
知らないままでいて。
私を避けないで。
神がいるのならば。
これまでの非道は全て許すから。
このままゲイルの…ゲイルの側にいさせて欲しい。
すると奇跡が起こった。
ゲイルがこう言ってくれたのだ。
「名前は聞かない。
だが、お前は俺の名を覚えておけ。
フィオネル伯爵、ゲルリアス。医者でありヒーラーでもあるゲイルだ。
お前の父親に『ゲイルに会って背中を治療された。定期的に通うように言われた』と言え。
貴族の中で俺は顔が効く。
クソも俺を敵には回したくないはずだ。
お前が俺の庇護下にあると思えば手も出さねーはずだ。
いいか?必ずだぞ。クソに俺の名前を伝えるんだ。
それだけでいい」
ああ。
ああ。神様はいた。ゲイルだ。
私の神様はゲイルだ。
私は黙って何度も何度もうなづいた。
ゲイルは私にボルゾイという名をくれた。
自分では良くわからないが、どこか私と似ているのだという。
初めてゲイルから与えられたものだ。
私はボルゾイ。素晴らしい名前だ。
「…まるでボルゾイだな」
ボルゾイ?誰?
目にかかる髪が優しく払われる感触。
「…なあ。お前を傷つけるクソ野郎は、誰だ?
親か?それとも教師?
それはお前が耐えなきゃならんもんなのか?
いずれにせよ、もう大丈夫だぞ。
俺がいるからな」
クソ野郎?もしかして…父のことか?
この優しい声は私のために怒ってくれている?
まさか。
そんな人が存在するなんて。
触れてくれる手が気持ちいい。
もっと、もっと触れて。
無意識に擦り寄れば、そっとほほを撫でてくれる。
ああ。幸せだ。
なんて…なんて素敵なんだろう。
ここはとても安心する。
するとまた優しい声が言った。
「ふふ。かわいいもんだ。
まあ、ゆっくり休め。
ここにはお前を傷つけるヤツはいない。
お前には休息が必要だ。
よく頑張ったな。偉かったぞ」
その声に吸い込まれるようにまた意識が消えていく。
倒れた時とは違う。
この人がいる。
次に目を開けた時には、幸せが待っている気がした。
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「う…うん…。………ここは…何処だ?」
とても良い夢を見ていた気がする。
幸せな…とても幸せな夢だ。
何だったか…
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!!どこだ、ここは?
見慣れない視界に慌てて周囲を見回せば、すぐ横で見知らぬ男がくつろいだ様子で酒を飲んでいた。
「!!あなたは⁈私は何故ここにいる?
ここは何処なのだ?」
慌てて起きあがろうとするの男が片手で制してくる。
「おい。まだ起きるな。
俺はゲルリアス。ゲイルでいい。医者だ。
きみはうちの屋敷の前で倒れていたんだ。
覚えてるか?」
穏やかで優しい声。
初めて聞くはずなのに、何故か涙が出そうになる。
ふるり、と頭を振れば、徐々に思い出してきた。
ああ。そうだ。
確か…身体を休める場所を探していたのだ。
「………ああ。思い出しました。
…頭が…痛くて…身体がとても重くて…」
「ああ。発熱していたからな」
「発熱?……そうですか。ご迷惑をおかけしました。
このお礼はまだ後日」
言いながら立ち上がろうとした。
私を助けてくれたらしい見知らぬ男に、これ以上迷惑はかけられないと思った。
屋敷に運び込み保護してくれただけで十分だ。
失礼する、と言いかけたのを遮るように、男が言った。
「悪いが背中を見せてもらったぞ」
心臓がズキンと痛んだ。
だが、私はそれを顔に出すことは無かった。
父の教育の賜物だ。
「…そうですか」
何を言われるのだろうか?
まさか、余計な正義感で憲兵を呼ぶ?
そのようなことになれば、我が家門はおしまいだ。
私は無意識に身構えた。
しかし男はただ淡々とこう言った。
「ああ。治療に必要だったからな。
発熱の原因は背中の傷だ。
で……誰にやられた?」
「何のことでしょう?」
とぼけて見せたが男はそれを許さなかった。
「あれは明らかに鞭の跡だ。
しかも長年に渡るものだ。
薬でも治療はできたが、緊急だったからヒールさせてもらった。もう痛みはないだろう?」
「ヒールを⁈」
驚いた。
まさか、あの傷からそこまで理解し、更には見ず知らずの子供を貴重なヒールまで使って治療してくれたとは!
思わずまじまじと男を注視する。
男は意外にも若かった。
とても…とても美しい容貌をしている。
私より数歳違うくらいだろう。成人して数年?
なのにその瞳は驚くほど優しく、世の中の全てを知り尽くしているように深い。これは…森だ。
優しく全てを包み込む、森のように深い緑。
男は私の不躾な視線を柔らかく受け止めた。
「ああ。俺はヒールが使える。
そして薬草や薬も使う医者でもある」
ヒールを使えるのに、薬草や薬⁈
そんな人物はひとりしかいない。
「まさか、あなたは…!そうか。あなたが…」
そのヒールの威力にほとんどの貴族が首を垂れるという、ゲルリアス・フィオネル伯爵。
貴族でありながら、平民の治療もするという有名人。
彼は若くして人格者としても知られていた。
そうか。あなたがゲイル。
「分かってくれたか?
このまま返せば、また同じことになるだろう。
医者としてそれは認められん。
だから聞くぞ。
誰にやられた?」
諦めて語れる範囲で真実を伝えることにした。
この人ならば、悪いようにはしないだろう。
「………父です。…名前は言えません。
お世話になっておきながら申し訳ございません」
頭を下げると、何故か手が伸びてきて私はとっさにそれを避けてしまった。
無意識に身体が動いてしまったのだ。
決して彼を信頼していないわけではない。
気を悪くしていないといいのだが…。
すると彼は私の前にしゃがみ込んだ。
何をしようと?
すると、私の目を見てこう断ってきた。
「…触れるぞ?」
驚かせぬよう配慮してくれたのか?
そっと額に手を当てられた。
少し高めの体温が気持ちいい。
触れた先から温かな何かが私を満たしていくようだ。
すっと手が離れるのを感じ、それを惜しいと思った。
すると、そのまま頬を優しく撫ぜられた。
もっと撫でて欲しいと思ってしまったのが伝わったのだろうか?
まさか!
するとゲイルは私の頬を両の手で優しく包み込み、こう言った。
「…辛かったな。よく頑張った。
うちの前で倒れてくれて良かった。
偉いぞ。よくやった!」
そしてそっと抱え込むようにして私の頭をその胸に抱きしめてくれた。
伝わる鼓動。
温かな体温。
ぽん、ぽん、ぽん。
背に刻まれる優しいリズム。
胸から響く声が言った。
「どんな理由だろうと、子供に手を挙げる親はクソだ。ゴミだ」
美しい容貌には似つかわしくない乱暴な物言い。
が、不思議とこの人らしいと思った。
私のために怒ってくれているのが伝わってくる。
そのことを嬉しいと。嬉しいと思ってしまった。
「お前は悪くない。
だから、我慢なんてする必要はないんだよ。
悪いのは、クソの方だ」
なんと。
なんと言ってくれたのだろう。
私は我慢しなくていいのか?
痛みを。悲しみを。辛さを耐えなくていいていうのか?
痛いと言ってしまっていいのだろうか。
辛いと言っていいのか?
それでも私は悪くないのか?
初めて与えられた言葉に、胸がギュウっと苦しくなる。
何か言いたいのに、言葉が出ない。
ゲイル。ゲイル。
私は…辛い。苦しい。……寂しくてたまらないんです。
もう痛いのは嫌だ。
ひとりは嫌だ。
そばにいて欲しい。
もっと抱きしめて欲しい。
何も言っていないのに、ゲイルは抱きしめてくれた。
「ああ。分かった。
大丈夫。大丈夫だ」
本当に伝わった?
まさか。
まさか、こんなことがあるのだろうか。
でも…これも私の名を知るまでだろう。
ゲイルの名は有名だった。
彼の噂は私でも知っている。
しかし…グランディール家にゲイルの顔を知るものはいない。
彼と、彼の一族はグランディール家を避けているから。
理由はわからない。
恐らく数代前まであまりに密だったというサフィールとグランディールの関係に何かあるのだろう。
私は祈るような気持ちで、願った。
どうか、どうか私が何者か聞かないで欲しい。
知らないままでいて。
私を避けないで。
神がいるのならば。
これまでの非道は全て許すから。
このままゲイルの…ゲイルの側にいさせて欲しい。
すると奇跡が起こった。
ゲイルがこう言ってくれたのだ。
「名前は聞かない。
だが、お前は俺の名を覚えておけ。
フィオネル伯爵、ゲルリアス。医者でありヒーラーでもあるゲイルだ。
お前の父親に『ゲイルに会って背中を治療された。定期的に通うように言われた』と言え。
貴族の中で俺は顔が効く。
クソも俺を敵には回したくないはずだ。
お前が俺の庇護下にあると思えば手も出さねーはずだ。
いいか?必ずだぞ。クソに俺の名前を伝えるんだ。
それだけでいい」
ああ。
ああ。神様はいた。ゲイルだ。
私の神様はゲイルだ。
私は黙って何度も何度もうなづいた。
ゲイルは私にボルゾイという名をくれた。
自分では良くわからないが、どこか私と似ているのだという。
初めてゲイルから与えられたものだ。
私はボルゾイ。素晴らしい名前だ。
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