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飼い犬が牙を剥きました

エリアナとボルゾイをくっつけよう!

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俺は早速ボルゾイが来るのを待った。

ゴーホームさせるためにウチに来るのを待つ、というのも変な話だが、今後のことを考えたらさっさとボルゾイをくっつけちまったほうがいい。
その辺の男なんかに可愛いエリアナをやる気はねえが、ボルゾイなら別だ。
この7年間俺が見てきたボルゾイは、健気で賢く、しかも優しく気遣いのできる男だ。
頼りない体格も気づけば立派に育っている。
剣の腕も確かで、魔法にも長けている。

てか、暑い夏に氷出させてたの、あれよく考えたらグランディールの有名な氷魔法じゃねえか!
俺え…!どんだけ油断してたんだよ…!
いや、ちまたで言うグランディールの特徴(冷たい、無表情、冷酷)と俺のわんこの印象が違いすぎて疑いもしなかったわ!!

ごほん。話が逸れた。

まあ、実際のグランディールは噂とは違い、十分大切なエリアナを託すに値する男だった。

ボルゾイには少し甘えたなところもあるから、芯の強いエリアナなら甘やかしてやることができるだろう。
昔身体が弱かったエリアナは、皆に心配し世話を焼かれた反動なのか、以外と世話好きで肝っ玉母ちゃんみたいなところがある。
かくいう俺もビシッとやられた。
ボルゾイとエリアナ、相性がいいと思うんだよなあ。

横に寄り添って並ぶ2人を思い浮かべる。
銀髪に碧眼の見目麗しい美丈夫と、銀髪にエメラルドの瞳の妖精のように可愛らしい女性。
美男美女じゃねえか!

ズキン。

何故か胸が痛い気がするが、これは、まあ、アレだ!
妹とわんこを手放す寂しさみたいなもんだろう。



問題は兄貴だが…。
男同士、血塗れ冷血公では問題ありありだが、
何しろボルゾイとエリアナだ。
地位も年齢も性別も、お互いの人となりにもなんら問題は無い。
過去を見ても、同性同士の痛いアレやこれや以外は、一途なグランディールに想い想われ幸せに暮らしていた。
うん!
反対はしない…とは思うが。
誰が相手でも可愛いエリアナを手放したがらない可能性が高いから、事後承諾でいいだろう!




俺の計画はこうだ。

エリアナを我が家に招待して、庭でボルゾイを加えピクニック。
最中にギルドから緊急の呼び出しが。
仕方なくボルゾイにエリアナを託し、俺はギルドに急ぐ…


完璧じゃねえか!!
自然に2人を出合せ、2人きりにする作戦だ。
ギルド長にも協力を頼んである。
あとは決行の日を決めるだけだ。
エリアナはいいとして、アイツは最近忙しそうだからな。

まあ事情が分かれば納得。
クソ親父の事故死による爵位継承と、王家の世代交代による史上最年少の宰相の仕事。
元々騎士団に所属してたようだし、そっちへの義理もあるだろう。
こう並べてみただけで「アイツよくウチに来る時間があったな」と呆れてしまう程の多忙ぶりだ。

ほぼ毎週週末には来ているから、次の週末でいいだろう。
ボルゾイが来たら週末は必ず来いと念押ししておこう。


しかし…
グランディールだと知っちまったことは、本人に言うべきだろうか。
知らないふりをしてやったほうがいいんだろうか。
ギルド長の口ぶりからは、アイツは俺がグランディールを避けているのを知っていたようだ。
俺に知られないように必死に頑張ってたらしいボルゾイを思えば、知らないふりでいてやる方がいい気もする。
まあ、俺としてはエリアナとくっついてさえくれれば問題は無い話なのだ。

しかし…グランディールに対して俺がこんなふうに思う日が来るなんてなあ。俺もすっかり絆されちまったもんだ。


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