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にゅー帝国にむけて

王様よいしょっ

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俺とお兄様にヨイショされた王様、満更でもなさそうに

「共に戦場に出たのだ。臣下ではあるが、私は友だと思っている」

とにっこり。
これには残った忠臣さんも大盛り上がり!

「陛下!もったいないお言葉!!」
「我らはずっと陛下と共に!」

ガシリと厚い握手を交わし抱き合っておる。
の、のうきーん!!

なんて単純!これだからこの国はやってこれたのかも。
勢いに乗ったら強いんだよねこのタイプ。

聖女さまをチラッとみたら、まさに「仕方のない人ねえ」と全てを包み込み許す聖女の微笑みを口元に浮かべていらした。

ちなみにナージャの目は死んでいる。
ナージャ…将来はこの人たちを率いていくんだね。大変そう…いや、いっそ扱い安いのか?




残った人たちはこれから説明する新しい帝国に文句言わないだろうから、まあいっか!
てことで。王様は使い物にならないので王国代表であるお兄様に仕切りをお願い。

「えっと。陛下。先程のお話ですが、レオンハルト殿下から公表させて頂いてもよろしいでしょうか?」

盛り上がってた王様、慌てて「あ、ああ!頼む」。こらー!やっぱ忘れてたんでしょ!もう!

「では、わたしから説明させて頂きます。今後、帝国は、侵攻ではなく内政に力を入れ、観光大国を目指されるとのこと。先程の話し合いで、王国との文化交流、関税を撤廃し交易強化が決まりました。帝国の素晴らしい技術、製品は我が国にとっても大変価値があるもの。このような機会を頂き感謝いたします」

「観光大国?」
「どういう事だ?」

ざわつく貴族たち。すると団長さんたちが立ち上がる。

「それについては、我々が説明させて頂こう。よろしいでしょうか、レオンハルト殿下?」

「ああ。よろしく頼む」

団長さんたちは、さっきの話し合いの内容をかいつまんで説明。陸海軍先導で改革を進めるのだと宣言した。

聖女様も「わたしも全力で応援いたします」と後押し。
ナージャが聖女様に続けた。

「帝国の侵攻の時代は終わりだ。帝国は新たな時代に入らねばならない。侵攻により、さまざまな文化、技術がこの国のものとなった。これからはそれをさらに発展させ、磨き、国の内側の改革に力を入れたい。私の夢みる帝国の未来は、誰もが平和に幸せに暮らす未来だ。どうか皆も力を貸して欲しい!」

力強く訴えるナージャは、あの日「どうすればいい?」と叫んでいた時と違い、とても堂々として見えた。まだ10歳の、大人に比べて小さな身体が、とても大きく見えた。

うん。もう大丈夫だね、ナージャ。
戦うのは得意でも、それ以外はてんでダメ。だけど人望はある王様。
優しく、でもしたたかな聖女さま。
それに見違えるほど強くなったナージャ。
これなら大丈夫。



さあ、俺たちが協力するのはここまで。あとは自分たちで頑張れ!ナージャ!









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