277 / 286
にゅー帝国にむけて
取捨選択をばいたしましょー
しおりを挟む
とりあえず、俺が思う問題を申しましたけれども。
一方的に言ってしまったので、ちょこっと心配。
「えっと。いまさらではありますが。以上が俺の意見でございまする!
あくまでの俺から見た話だからね。お兄様とかゲイルとかキースとか、ミカミカとかリオとか、みんなの意見は違うかもだし。
あ、帝国の意見はとりあえずおいておきます。そもそも、ちゃんとできてたらこうなっていませんのでね!
ここでは第三者から見た意見を客観的にってことで!そこんとこよろしくです!」
俺のとりなしに、お父様呆れ顔。
「あんだけ言っておきながら、いまさら不安そうな顔をするな。確かにサフィははっきり言いすぎた面もあるかもしれんが、曖昧にぼかしてもしょうがねえからな。まあ、俺の意見も似たようなもんだ。こっからは、無礼講ってことでいいか?」
王様がぎこちなく頷いたのを確認し、ゲイルも話始めた。
「細かな事情はあったかもしれん。だが、はたからみたらサフィの言ったようにしか見えねえんだよ。確かに聖女の病ってのは他国に触れ回るもんじゃねえ。薬草などの治療をするのもいい。
だが、問題はそれしかしなかったことだ。同時に王としてすべきことを放棄しちまった。それが問題なんだよ。
で、これからどうするかだが…………あくまで俺から見た意見だぜ?
そもそも、この国は武力の国だ。だからこそ、聖獣の守護による力の強い王家の権力が絶対、王族至上主義だったんだよな?だが、その分、武力が崩れちまえば王家自体の権威も落ちちまう。ナージャに聖獣の守護があったって、侵攻など武力を必要としなければ関係ねえ。だからナージャだって狙われたわけだ。だろ?」
「そうだ。本来ならば聖獣の守護があるものは国の未来のため重要視されないんだが……。私がまだ成人前だということを差し引いても、私の国における力は弱い。確かに、パワー増大という力以外は、予知の力があるとはいえ曖昧なものだから。例えば……王国の聖女が救ってくれるといったことは分かっても、どのように、いつ、ということは分からないんだ。戦いのない平和な時代には恩恵が分かりにくいんだろうな」
「つまり、この国の王家自体の力が侵攻し続けていないと衰えてしまうっていうのが、今のこの国の現状なんだよ。
そこから変えていく必要があるんじゃねえか?」
おお。確かに。戦争しないと尊敬されない王家って、ちょっとヤバい。平和な国になるの、無理じゃん!
「しかし……我らの国の在り方が武力によるものである以上、どう変えていけばよいというのだ。先代の王も先生代も、他国へ侵攻し、統合することで国を発展させてきたのだ。聖獣様のお力もそれに特化しておられるのだぞ?」
ここでお兄様が王国を例に出して分かりやすく解説してくれた。
「あくまでも例としてお聞きください。王国も昔は他国と戦争をしていた。王国の戦争は、武力と魔法によるものなのです。そして、ご存じの通り魔法の威力は絶大だ。しかし、魔法を使えるのは貴族に限られる。そこで貴族を必要以上に重用し、貴族権威主義の国となっていたのです。だが、王国の力が他国に知れ渡るにつれ、戦争は減った。今では王国に牙をむく国などほぼないと言っていいでしょう。ここで王家は考えを改めたのです。これまで外に向けていた力を、内に向けることにした。
国内の平定、国民の安穏を第一と掲げ、国を豊かにするために労力を使うことにしたのです。川や土地を整備したり、魔物を狩ったり。貴族は戦争ではなく領地を良くするために魔法を応用し、活用する。貴族を優遇していた政策を、国民のためのものに替えてゆく。労力を割く方向を変えたのです。
武力とは、簡単に言えば力。それは他国を侵攻するものでもあるが、木を倒し、川を整備するのもまた力なのでは?ただ遊ばせておくのではなく、別の場所で活用するのです」
ミカミカも頷いた。
「うちは辺境伯だからさ。国境が近いんだよ。もともと武力の一族だから、戦時には大活躍だったんだぜ?今は戦争がないだろ?だから国境の警備をしつつ、魔物を狩ったり、土地を切り開いたりすんのに騎士団をこきつかってるぜ?」
「俺たち冒険者と同じだな。ひとくちに冒険者といっても仕事は多岐にわたる。護衛として誰かを守ることもあれば、兵として戦うこともある。魔物を狩ったり、ダンジョンを踏破したり。力の使い道はいろいろある。その時に応じて必要なことをするんだ」
「軍だから、騎士だから、兵隊だからって戦うだけってわけじゃないってことだよね?」
「そうだ。街を巡回して警護するのもいい。集団の力を利用して、道を作ったりしてもいい。砦を作るのもいい。ただ、何も指示せず遊ばせておくのは愚策ってことだ」
「ではでは!どんなことができそうか、意見を出し合いましょー!王様とかナージャとか聖女様も意見を出してね。団長さんたちも!戦争じゃなくったって、パワーを活かすところはたくさんあるでしょ?」
こうして俺たちは意見を出し合った。これからの帝国に何ができるか。
最初は暗い顔してた帝国勢も、話をしているうちに「これはどうだ?」「これもできるのでは?」とどんどん乗り気になっていった。
そうそう、これこれ!
惰性で侵攻してちゃだめ。聖女様の病気云々がなくたって、どのみちあのままいけば行き詰ったと思うよ?
これはちょうどいい機会だったんじゃないかな。帝国が新しい未来を掴むための。
一方的に言ってしまったので、ちょこっと心配。
「えっと。いまさらではありますが。以上が俺の意見でございまする!
あくまでの俺から見た話だからね。お兄様とかゲイルとかキースとか、ミカミカとかリオとか、みんなの意見は違うかもだし。
あ、帝国の意見はとりあえずおいておきます。そもそも、ちゃんとできてたらこうなっていませんのでね!
ここでは第三者から見た意見を客観的にってことで!そこんとこよろしくです!」
俺のとりなしに、お父様呆れ顔。
「あんだけ言っておきながら、いまさら不安そうな顔をするな。確かにサフィははっきり言いすぎた面もあるかもしれんが、曖昧にぼかしてもしょうがねえからな。まあ、俺の意見も似たようなもんだ。こっからは、無礼講ってことでいいか?」
王様がぎこちなく頷いたのを確認し、ゲイルも話始めた。
「細かな事情はあったかもしれん。だが、はたからみたらサフィの言ったようにしか見えねえんだよ。確かに聖女の病ってのは他国に触れ回るもんじゃねえ。薬草などの治療をするのもいい。
だが、問題はそれしかしなかったことだ。同時に王としてすべきことを放棄しちまった。それが問題なんだよ。
で、これからどうするかだが…………あくまで俺から見た意見だぜ?
そもそも、この国は武力の国だ。だからこそ、聖獣の守護による力の強い王家の権力が絶対、王族至上主義だったんだよな?だが、その分、武力が崩れちまえば王家自体の権威も落ちちまう。ナージャに聖獣の守護があったって、侵攻など武力を必要としなければ関係ねえ。だからナージャだって狙われたわけだ。だろ?」
「そうだ。本来ならば聖獣の守護があるものは国の未来のため重要視されないんだが……。私がまだ成人前だということを差し引いても、私の国における力は弱い。確かに、パワー増大という力以外は、予知の力があるとはいえ曖昧なものだから。例えば……王国の聖女が救ってくれるといったことは分かっても、どのように、いつ、ということは分からないんだ。戦いのない平和な時代には恩恵が分かりにくいんだろうな」
「つまり、この国の王家自体の力が侵攻し続けていないと衰えてしまうっていうのが、今のこの国の現状なんだよ。
そこから変えていく必要があるんじゃねえか?」
おお。確かに。戦争しないと尊敬されない王家って、ちょっとヤバい。平和な国になるの、無理じゃん!
「しかし……我らの国の在り方が武力によるものである以上、どう変えていけばよいというのだ。先代の王も先生代も、他国へ侵攻し、統合することで国を発展させてきたのだ。聖獣様のお力もそれに特化しておられるのだぞ?」
ここでお兄様が王国を例に出して分かりやすく解説してくれた。
「あくまでも例としてお聞きください。王国も昔は他国と戦争をしていた。王国の戦争は、武力と魔法によるものなのです。そして、ご存じの通り魔法の威力は絶大だ。しかし、魔法を使えるのは貴族に限られる。そこで貴族を必要以上に重用し、貴族権威主義の国となっていたのです。だが、王国の力が他国に知れ渡るにつれ、戦争は減った。今では王国に牙をむく国などほぼないと言っていいでしょう。ここで王家は考えを改めたのです。これまで外に向けていた力を、内に向けることにした。
国内の平定、国民の安穏を第一と掲げ、国を豊かにするために労力を使うことにしたのです。川や土地を整備したり、魔物を狩ったり。貴族は戦争ではなく領地を良くするために魔法を応用し、活用する。貴族を優遇していた政策を、国民のためのものに替えてゆく。労力を割く方向を変えたのです。
武力とは、簡単に言えば力。それは他国を侵攻するものでもあるが、木を倒し、川を整備するのもまた力なのでは?ただ遊ばせておくのではなく、別の場所で活用するのです」
ミカミカも頷いた。
「うちは辺境伯だからさ。国境が近いんだよ。もともと武力の一族だから、戦時には大活躍だったんだぜ?今は戦争がないだろ?だから国境の警備をしつつ、魔物を狩ったり、土地を切り開いたりすんのに騎士団をこきつかってるぜ?」
「俺たち冒険者と同じだな。ひとくちに冒険者といっても仕事は多岐にわたる。護衛として誰かを守ることもあれば、兵として戦うこともある。魔物を狩ったり、ダンジョンを踏破したり。力の使い道はいろいろある。その時に応じて必要なことをするんだ」
「軍だから、騎士だから、兵隊だからって戦うだけってわけじゃないってことだよね?」
「そうだ。街を巡回して警護するのもいい。集団の力を利用して、道を作ったりしてもいい。砦を作るのもいい。ただ、何も指示せず遊ばせておくのは愚策ってことだ」
「ではでは!どんなことができそうか、意見を出し合いましょー!王様とかナージャとか聖女様も意見を出してね。団長さんたちも!戦争じゃなくったって、パワーを活かすところはたくさんあるでしょ?」
こうして俺たちは意見を出し合った。これからの帝国に何ができるか。
最初は暗い顔してた帝国勢も、話をしているうちに「これはどうだ?」「これもできるのでは?」とどんどん乗り気になっていった。
そうそう、これこれ!
惰性で侵攻してちゃだめ。聖女様の病気云々がなくたって、どのみちあのままいけば行き詰ったと思うよ?
これはちょうどいい機会だったんじゃないかな。帝国が新しい未来を掴むための。
792
お気に入りに追加
5,168
あなたにおすすめの小説
殿下、側妃とお幸せに! 正妃をやめたら溺愛されました
まるねこ
恋愛
旧題:お飾り妃になってしまいました
第15回アルファポリス恋愛大賞で奨励賞を頂きました⭐︎読者の皆様お読み頂きありがとうございます!
結婚式1月前に突然告白される。相手は男爵令嬢ですか、婚約破棄ですね。分かりました。えっ?違うの?嫌です。お飾り妃なんてなりたくありません。
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。
Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。
ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。
なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる