270 / 286
最終決戦!
お兄様と合流!
しおりを挟む
ナージャと聖女様には少し遅れて登場してもらうことにして、一足先に俺たちだけ王城に向かった。
お兄様と団長はどんな感じだろう?
困ってないといいけど。
王城に戻ると、宰相が待ち構えていた。
「お手を煩わせて申し訳ございません。正直なところ、これまで薬を取り寄せたり医師を読んだりと色々手を尽くしてはおりましたが、なかなか芳しくなく……。やはり聖女様の病ということで、我々とは違うのでしょうなあ。王国で診ていらっしゃるのとは違ったのではありませんか?」
さりげなあく探りを入れてきた。しらじらしいなあ!
ちょっとむっとしたので、この際だし宰相さんの心の真っ黒度を測ってみることにした。
とことこっと宰相さんに近寄って
「ああっ!」
っと躓いたふりして宰相さんの手を掴んでみた。
ばっちーん!
「ヒイ!」
宰相さんの手に猛烈な衝撃!(俺はなんともない)ほうほう。こうなるのかあ!強烈な静電気って感じなんだね。
もうこれは既に俺たちを敵視してるってことでおけですな!
「な……な……何を……!!」
ゲイルが苦笑しながら俺の手を引いた。
「申し訳ない。息子と私は帯電体質でしてな。静電気を起こしやすいのです」
「ご、ごめんなさい。このお洋服、静電気をためやすいみたい。痛かったですか?」
うるうるおめめでこてんと首を傾げて謝罪すれば、宰相さんも怒るに怒れない。
「せ、静電気……!なかなかに難儀な体質ですな……。気を付けてくださいね?」
手をさすりながらも、それ以上俺を責めることなくビビりながら俺とゲイルから距離を取った。
後ろでキースが小さく「たいでんたいしつ……」と震える声で呟いている。
しいっ!黙って!
これ、あとで側妃様にもやってみるつもりだから。ゲイルが!
ゲイルがにっこりと極上の笑みを浮かべながら(宰相さんの後ろの侍従が被弾していた。すごい効果だ!)宰相さんに頼んだ。
「聖女様の診断の結果を王にお伝えしたいのですが……。王にお取次ぎ願えますでしょうか?」
「治療」といわず「診断」としたことで、宰相さんが一瞬かすかに笑みを漏らしたのを俺は見逃さなかった。
「診断だけで治療はできませんでした」と誤解させたのですな!さすがゲイル!
この辺の絶妙なミスリードの誘い方、俺も見習いたいところでございまする。
案の定、油断したのか宰相さんのガードが緩んだ。
「ほう。診断の結果、ですか。分かりました。ご案内いたしましょう」
「お願いいたします」
にこにこ。にこにこ。
腹の探り合いはゲイルの勝利!
ちょっと離れたところにいる、俺たちを見守ってくれてたと思われる陸軍さんに手をふりつつ王様のところに向かったのでした。
通されたのは、いわゆる「面会室」みたいなお部屋。
テーブルと、それを囲むように長椅子が2つ。その少し後ろにも長椅子がいくつか。
俺とゲイルとリオがテーブルの前の椅子に座り、一応護衛扱いのキースがその後ろに立った。
ごめんね、キース。「後ろに座ってもいいのでは?」って言ったら「護衛だからすぐにサフィを守れる位置にいて当然だろ?」ってきらめく笑顔を返されちゃいました。
王様を待っていると、先にお兄様とオルガ団長が戻ってきた。
「サフィ!どうだった?大丈夫だった?何も問題はないかな?」
戻るなりお兄様にぎゅっと抱きしめられてしもうた。
過保護!
「大丈夫だよー!ゲイルもキースも一緒だもん」
「僕もいたし!僕だって頼りになるんだよ?」
「うん。リオもいたしね!」
他国で俺と離れたのが相当心配だったみたい。
「俺がいるんだから大丈夫に決まってるだろ?レオンのほうはどうだ?問題はなかったか?」
するとお兄様がちょっと困った顔をした。チラと宰相さんを見て当たり障りない言葉を選ぶ。
「うーん……。問題というか……お忙しいだろうに陛下自ら案内して下さってね……。留学中のナージャ殿下はどうだったかとひたすら聞かれて困ったことくらいかな……」
なぬ?まさか王様自ら!それで宰相さんがい俺たちのほうのお迎えに出てたのか!
王様って、王国でナージャに聞いてた感じだと側妃べったりで王妃様もナージャも放置みたいだったよね。でも、こっちにきてから王様の印象どんどん変わるんですけど?
普通に、四面楚歌の中なんとか王妃様と息子を守ろうとギリギリ耐えてる人みたいに見えてきたよ?
ナージャのことだって大好きじゃん、王様。
そもそもこうなったのだって、王妃様を治したくってお金をつぎ込みすぎたからでしょ?
脳筋で考えなしだけど。普通の親だよね。
でも、お兄様がナージャと親しいっていうのは建前だから、お兄様もさぞ困ったことでしょうな。
そもそも俺だってそこまでクラスで親しかったわけじゃないもん。いきなり誘拐されただけだし。
でもそんなこと言えないよね。お兄様、なんていって言い逃れたんだろう?
一応宰相さんの目があるから、聞きたいけど聞けない……。
するとお兄様が察してくれた。
「陛下とは話がはずんでね。殿下は……学園でとても人気があった、とか。いろいろなことに興味を持たれていた、とか……」
おお……。当たり障りなく、誰にでも当てはまるようなことをひたすら繰り返していたのですな。それはお疲れさまでござりました……。
「出入りの職人を呼んでくださって、王城内の作業場も案内してくれたんだけど……正直、よく覚えていないんだ。何しろ延々と質問され続けていたものだから……」
とりあえず、くたびれきったお兄様をヨシヨシしておいた。
と、とにかく、これでみんな揃いました!
王様にぶっちゃけちゃいましょー!
にんまりとほくそ笑む俺を見た宰相さんが、困惑した表情でそっと俺から目をそらした。
俺、もしかして変な子認定されちゃってない?ちょっとお!
お兄様と団長はどんな感じだろう?
困ってないといいけど。
王城に戻ると、宰相が待ち構えていた。
「お手を煩わせて申し訳ございません。正直なところ、これまで薬を取り寄せたり医師を読んだりと色々手を尽くしてはおりましたが、なかなか芳しくなく……。やはり聖女様の病ということで、我々とは違うのでしょうなあ。王国で診ていらっしゃるのとは違ったのではありませんか?」
さりげなあく探りを入れてきた。しらじらしいなあ!
ちょっとむっとしたので、この際だし宰相さんの心の真っ黒度を測ってみることにした。
とことこっと宰相さんに近寄って
「ああっ!」
っと躓いたふりして宰相さんの手を掴んでみた。
ばっちーん!
「ヒイ!」
宰相さんの手に猛烈な衝撃!(俺はなんともない)ほうほう。こうなるのかあ!強烈な静電気って感じなんだね。
もうこれは既に俺たちを敵視してるってことでおけですな!
「な……な……何を……!!」
ゲイルが苦笑しながら俺の手を引いた。
「申し訳ない。息子と私は帯電体質でしてな。静電気を起こしやすいのです」
「ご、ごめんなさい。このお洋服、静電気をためやすいみたい。痛かったですか?」
うるうるおめめでこてんと首を傾げて謝罪すれば、宰相さんも怒るに怒れない。
「せ、静電気……!なかなかに難儀な体質ですな……。気を付けてくださいね?」
手をさすりながらも、それ以上俺を責めることなくビビりながら俺とゲイルから距離を取った。
後ろでキースが小さく「たいでんたいしつ……」と震える声で呟いている。
しいっ!黙って!
これ、あとで側妃様にもやってみるつもりだから。ゲイルが!
ゲイルがにっこりと極上の笑みを浮かべながら(宰相さんの後ろの侍従が被弾していた。すごい効果だ!)宰相さんに頼んだ。
「聖女様の診断の結果を王にお伝えしたいのですが……。王にお取次ぎ願えますでしょうか?」
「治療」といわず「診断」としたことで、宰相さんが一瞬かすかに笑みを漏らしたのを俺は見逃さなかった。
「診断だけで治療はできませんでした」と誤解させたのですな!さすがゲイル!
この辺の絶妙なミスリードの誘い方、俺も見習いたいところでございまする。
案の定、油断したのか宰相さんのガードが緩んだ。
「ほう。診断の結果、ですか。分かりました。ご案内いたしましょう」
「お願いいたします」
にこにこ。にこにこ。
腹の探り合いはゲイルの勝利!
ちょっと離れたところにいる、俺たちを見守ってくれてたと思われる陸軍さんに手をふりつつ王様のところに向かったのでした。
通されたのは、いわゆる「面会室」みたいなお部屋。
テーブルと、それを囲むように長椅子が2つ。その少し後ろにも長椅子がいくつか。
俺とゲイルとリオがテーブルの前の椅子に座り、一応護衛扱いのキースがその後ろに立った。
ごめんね、キース。「後ろに座ってもいいのでは?」って言ったら「護衛だからすぐにサフィを守れる位置にいて当然だろ?」ってきらめく笑顔を返されちゃいました。
王様を待っていると、先にお兄様とオルガ団長が戻ってきた。
「サフィ!どうだった?大丈夫だった?何も問題はないかな?」
戻るなりお兄様にぎゅっと抱きしめられてしもうた。
過保護!
「大丈夫だよー!ゲイルもキースも一緒だもん」
「僕もいたし!僕だって頼りになるんだよ?」
「うん。リオもいたしね!」
他国で俺と離れたのが相当心配だったみたい。
「俺がいるんだから大丈夫に決まってるだろ?レオンのほうはどうだ?問題はなかったか?」
するとお兄様がちょっと困った顔をした。チラと宰相さんを見て当たり障りない言葉を選ぶ。
「うーん……。問題というか……お忙しいだろうに陛下自ら案内して下さってね……。留学中のナージャ殿下はどうだったかとひたすら聞かれて困ったことくらいかな……」
なぬ?まさか王様自ら!それで宰相さんがい俺たちのほうのお迎えに出てたのか!
王様って、王国でナージャに聞いてた感じだと側妃べったりで王妃様もナージャも放置みたいだったよね。でも、こっちにきてから王様の印象どんどん変わるんですけど?
普通に、四面楚歌の中なんとか王妃様と息子を守ろうとギリギリ耐えてる人みたいに見えてきたよ?
ナージャのことだって大好きじゃん、王様。
そもそもこうなったのだって、王妃様を治したくってお金をつぎ込みすぎたからでしょ?
脳筋で考えなしだけど。普通の親だよね。
でも、お兄様がナージャと親しいっていうのは建前だから、お兄様もさぞ困ったことでしょうな。
そもそも俺だってそこまでクラスで親しかったわけじゃないもん。いきなり誘拐されただけだし。
でもそんなこと言えないよね。お兄様、なんていって言い逃れたんだろう?
一応宰相さんの目があるから、聞きたいけど聞けない……。
するとお兄様が察してくれた。
「陛下とは話がはずんでね。殿下は……学園でとても人気があった、とか。いろいろなことに興味を持たれていた、とか……」
おお……。当たり障りなく、誰にでも当てはまるようなことをひたすら繰り返していたのですな。それはお疲れさまでござりました……。
「出入りの職人を呼んでくださって、王城内の作業場も案内してくれたんだけど……正直、よく覚えていないんだ。何しろ延々と質問され続けていたものだから……」
とりあえず、くたびれきったお兄様をヨシヨシしておいた。
と、とにかく、これでみんな揃いました!
王様にぶっちゃけちゃいましょー!
にんまりとほくそ笑む俺を見た宰相さんが、困惑した表情でそっと俺から目をそらした。
俺、もしかして変な子認定されちゃってない?ちょっとお!
877
お気に入りに追加
5,168
あなたにおすすめの小説
殿下、側妃とお幸せに! 正妃をやめたら溺愛されました
まるねこ
恋愛
旧題:お飾り妃になってしまいました
第15回アルファポリス恋愛大賞で奨励賞を頂きました⭐︎読者の皆様お読み頂きありがとうございます!
結婚式1月前に突然告白される。相手は男爵令嬢ですか、婚約破棄ですね。分かりました。えっ?違うの?嫌です。お飾り妃なんてなりたくありません。
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。
Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。
ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。
なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる