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聖女を救え!

作戦というか行き当たりばったり?

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では。ここで軍からもたらされた重要情報を参考に、新たに寝られた作戦をば。

といっても、俺たちがやることは変わらない。

●ナージャ殿下の友人として文化交流のため帝国に来たレオンハルト王子。旅に同行する医者であり王の信頼も厚いゲイル。ナージャ殿下のクラスメートだった息子と、生徒会長だった甥のリオもこの機会に一緒に留学。王宮で王国からの使節として挨拶。サフィの希望でナージャの母である王妃にもご挨拶させて頂きたいと申しでる。その際、王妃の体調不良を知り、高名な医者のゲイルが治療を申し出る。
●ゲイルとサフィで聖女を治療。ゲイルがその衰弱の原因が毒であると突き止める。


で、ここからはナージャが頑張る。

●ナージャがその毒の出どころは宰相だと証言。聖女自身の口からも証言を得る。
●王妃を害そうとした罪状により、軍を後ろ盾に宰相捕縛を王に願い出る。その際、側妃を煽り側妃もグルだと明らかにする。

俺たちはナージャに同行し「成り行きとはいえ、関わってしまったからには責任をもって宰相の処罰まで見守りたい」と、王国がナージャ側についていることをアピール。なんならここらへんで使。それを止めようとリオも
それはその場の成り行きで、友人であるナージャを反逆者である宰相たちから守ろうとしての行為なんだけど、後から罪に問えないくらいに魔法が暴走しちゃうかもしれない。



俺が暴走しちゃうかも、って話をしているあたりで、帝国のみんなの顔色が徐々に悪くなっていって「罪に問えないくらいに暴走しちゃうかも」ってあたりでナージャがしみじみと「……あの出会いで私はよく生きていたな……。サフィが敵じゃなくて良かった……」と呟いたのが印象的だった。
いや、いくら俺だって子供の命なんて奪いませんし!俺は泣く子の味方だもん!

「泣いてる子にそんなひどいことするわけないでしょお!えへん!俺は弱い者いじめはしません。清く正しい最強の冒険者めざしてますしね!」

それを聞いたキースがニコッ。

「S級の俺以上なんだし、最強といってもいいんじゃないか?」

オルガ団長も苦笑。

「こんなことをいうのは悔しいが、魔法を使われたら我が軍でもサフィにかなうものはいないだろうな」

ぱああああ!そ、それって…………

「ゲイル!いつの間にか俺ほんとうに最強だった!夢がかなってた!俺、最強の冒険者だって!」

やったあ!俺、すごい!ドヤアアアア!ドヤアアアアアアア!!
渾身のドヤアを決めた最強冒険者の俺を、ゲイルが抱き上げてくれた。

「良かったな、サフィ!俺もかなり前からそうじゃないかと思ってた!ようやく気付いたか!そうなんだよお前は最強なんだって!」

んん?あれ?ゲイルの反応、思ってたんと違う……。

「え?もしかして……みんな気付いてた?」

仲間たちを見回せば、みんな苦笑しながら頭をこくり。

「言ってよねえええ!もっと早く言ってよねえええええ!!」

「いや、いまさらすぎて、わざわざ言うまでもないというか……」
「どう考えたってサンダーボルドの段階で最強でしょ」
「オルガ団長!リオ!それ、ちゃんと口に出してしっかりと言わなきゃ!」
「だって、サフィ、自分で俺ツエエですっていってたでしょ。もうとっくに最強だって普通なら気づくよ」
「リオだってアイスアローできるでしょ。リオツエエでしょうが!」
「サフィはそれ全部できるでしょ。それがおかしいの!普通はどれかできたらいいな、ってくらいなんだってばあ!」


ここでフィガロ&リアム団長が恐る恐る付け加えた。

「こっちからするとどれかひとつでも凄いぞ?」
「あんなの当たり前にバンバンだされたら、戦うの馬鹿らしくなるっての!」

うんうん、と軍の皆さんがマジなお顔。

「あのな、サフィ。王国で最強なら。ほぼこの世界で最強といってもいい。王国みたいに魔法を使える奴が多い国は他にないんだからな?」

ミカミカ、そうなの?そういえば、俺、他の国についてはあんまり習ってなかった。近隣諸国の外交とか、昔の戦争とかそういうことくらい。貴族はたいてい魔法が使えるっていうのは、うちの国くらいだったらしい。
ほえー……。

「すまん、俺の教育不足だ」

ゲイルが頭を下げた。ので俺も横で「ぞんじあげませんで」とぺこり。



俺たちの会話に、リアム団長がため息をついた。

「こんな可愛いのに最強なんだもんなあ。しかも、最強なのにこんなに可愛いんだぜ?王国、怖えわ」
「でも俺はサフィだからこそ、信じられる気がするぞ?なんつーか、悪意がねえ。基本的には善意でできてる」

フィガロ団長の言葉にお兄様が我が意を得たりと頷く。

「そう。サフィは最強なのにとてもかわいくて、しかもとてもいい子なんだ。最強で最高だろう?」

ええー?そんなに褒めないでよお。てれてれ。

「私の経験上、サフィはいつも思いもよらないことをしでかす。事態は思わぬ方向に進む。だけどね。どんなことも必ずすべてが良いほうに丸く収まるんだ。最後には誰もが笑顔になっている。それがサフィなんだよ。だから……君たちも安心していいよ」

「お兄様の俺に対する謎の信頼感!」

思わず叫ぶと、オルガ団長が真面目な顔でお兄様に同意した。

「いや、殿下のおっしゃる通りだ。俺もそれは感じていた。サフィが絡むと思わぬことが起こる。だが結果は最高の結果になる」
「そりゃあ、俺の息子、神に愛されてるからな!」

チュッと俺にキスするゲイルの顔はマジでした。確かに聖女という点では神に愛されている……のか?でもそれはゲイルだって同じだし、なんならナージャのお母様だって同じでしょうに。
みんなの俺に対する謎すぎる過大評価が怖い。

もっと怖いのは、それを納得して妙に士気が高まってしまったナージャ軍団だ。

「我々にはサフィが味方に付いている!」
「もう勝利は決まったようなもの!聖女をお救いするのだ!そして、我が国を売国奴の手から取り戻すぞ!」
「おーーー!!」

「神」っていう言葉の上に「サフィ」ってルビが見える気がするけど気のせいかなあ?
俺、確かに最強だけど、ツエエけど、まだ十歳ですのでね!期待しすぎないでええええ!!!
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