もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

文字の大きさ
上 下
239 / 357
いざ帝国!

船長、死す

しおりを挟む
俺の部屋の探検とお兄様の部屋の探検をしていたら、一時間はあっという間だった。
フィガロ船長が「そろそろ船内ツアーに行くか?」とお迎えに来てくれた。

ゲイルはお留守番してるっていうんで、お兄様、ミカミカ、途中でリオとキースを呼んで一緒にいくことに。

まずは俺の部屋のフロアから。

「ちなみに、このフロアの奥にあるのが遊技場です。ダンスホールになっているんですが、ここでダンスをしたり、ボール遊びをしたりといろいろできますよ」
「おおお!ここで訓練と化してもらったりできまするか?」
「ははは!いいですよ。声をかけて頂ければ、手が空いたものをやりましょう」
「やったあ!」

ぴょんぴょんと飛び上がって喜んでいたら、お兄様がひとこと。

「サフィ。訓練の時は私も誘ってくれるかな?鍛えたいんだ」

するとキースも手を挙げた。

「お!俺も誘ってくれ。一緒にコンビネーションの訓練をしよう。海上だし、海に向けてなら魔法も使えるぜ?」
「いいね!S級パーティ目指そう!」

キースと盛り上がっていたら、フィガロ船長が驚いたように俺を止めた。

「おいおい!いくらなんでも、S級と?無理がありすぎるだろう!最初はウチの見習いと、順を追って訓練しな。焦らず一歩一歩だ。基礎が重要なんだぞ?」

俺はきょとん。

「んーと、基礎はありまするよ?」

キースが苦笑して説明してくれた。

「サフィは特別でな。五歳からオルガ団長とギルド長じきじきに鍛えてきたんだ。勿論、時間がある時は俺もな。筋力はないが、センスはあるぞ?」
「10歳になったから冒険者登録もしたよ?特例でC級なの」

フィガロ船長のお口があんぐり空いた。この顔、みんながよくするやつ!

「ちなみに、サフィには二つ名もあるぞ?」
「はあ?二つ名⁈マジか!」
「いっちゃだめーっ!恥ずかしいやつう!」

慌ててキースを止めたのに、代わりにお兄様が笑って言った。

「サンダーエンジェル、だよね?サフィにピッタリだ。サフィは、恐らくこの場の誰よりも強いですよ?」
「まあな。実践経験は足りないが、それさえ身につけばS級レベルだ」

えっへん、と胸を張る。俺、ツエエですのでね!まあエンジェルってとこだけはなんとかして欲しいけど!サンダーヒーローとかに変えてほしい。
俺もキースみたくドラゴン倒したら二つ名も変わるのかなあ?サンダードラゴンとかに。

そしたら、まさかの俺の二つ名、フィガロ船長が知ってた。

「サンダーエンジェルか!嘘だろおい!チビだって噂は聞いてたが、こういうチビかよ!身長かと思ってたぜ!」

頭を抱えてしゃがみ込んじゃった。

大丈夫かな、と近寄ろうとしたら、ミカミカにポンと肩を叩かれた。

「サフィ。ちょっと時間をあげようぜ?俺たちはサフィの規格外に慣れてるけど、フィガロ船長は初めてなんだぞ?今、船長は自分の中の常識と戦ってるんだ」
「そうだね。自分のこれまでの常識を構築し直しているんだよ。帝国にはゲイルやサフィみたいな人はいないからね。大変なことだと思うよ?」

お兄様も首をふりふり。

一方、キースはスタスタと船長のところに。
船長の背を叩き慰めている。

「サフィみたいなのは例外だ。王国にも、ゲイルとサフィくらいだから、安心しろ。船長の常識が普通だから」

それを聞いた船長は、死んだような目をして言った。

「ゲイルというと、先程の伯爵か?貴族で医者なんだろ⁈なのに強いのか⁈」
「……サフィの次くらいかな?あの人も魔法が凄い上に若い頃からギルド長に鍛えられてるからなあ!あ。戦略に長けてるし。王国で一番ヤバいよゲイルが。で、サフィ。その次が俺ね」
「S級が三番目!しかも伯爵親子の次⁈」

あ。死んだ。

「あ、あのね。強いけど、筋肉欲しいですし!筋肉は正義でしょ!だから、帝国式マッスル、教えて欲しいのですがー!!」




しばらくして立ち直った船長は、恐る恐る俺に言った。

「坊ちゃんがサンダーエンジェル?あの、最強揃いの王都ギルド全員を従えているという噂は本当か?」
「はあ?何それ!知らないんですけど?」

とたん、船長は元気になった。

「ワッハッハ!やはり噂は噂か!」
「でも、サフィが俺より強いってのは本当だぜ?」
「やっぱマジじゃねえかよ!!」

元気になったり萎れたり忙しいなあ!

「もう!なんでもいいでしょお!俺は俺!何番とかじゃなくて、ゲイルの息子で、俺ツエエなサフィ!それでいいの!悪い人しかやっつけませんし!ギルドのみんなは仲間!従えるとかじゃないの。助け合いなのです。船長と船員さんだってそうでしょ?」

ビシッと物申せば「確かに!」とようやく納得。

「俺はナージャのお友達として遊びに行く、もとい、学校みせてもらうだけだから、冒険者の俺は関係ありませぬ。そこんとこ、よろしく!」

俺が言ったら、みんなまでノッてきた。

「俺もS級冒険者としてじゃなく、護衛として雇われてるキースだから。よろしく」
「私は…王国の皇太子、ナージャ殿下の友人としてだから変わらないけどね。ふふふ」
「俺も俺も!王子の侍従として。そのまんまだな。ははは!」

船長さんは眉をグイッと上げて、ニヤッと男らしく笑った。

「俺は帝国海軍軍団長、兼 護衛しながらの船旅を任された船長だ。よろしくな!」

「ええ⁈海軍軍団長とか秘密だったんじゃないの?バラしちゃって大丈夫?」

思わず叫んだら、苦笑された。

「いや、このメンツだぞ?戦うつもりもねえし意味もねえ。隠す必要ないだろ」

「確かに!戦ったらウチの圧勝だもんね」
「「「サフィ!言い方!!」」」



しおりを挟む
はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
感想 458

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

愛する人

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」 応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。 三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。 『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。

とある文官のひとりごと

きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。 アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。 基本コメディで、少しだけシリアス? エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座) ムーンライト様でも公開しております。

拝啓、婚約破棄して従妹と結婚をなされたかつての婚約者様へ、私が豚だったのはもう一年も前の事ですよ?

北城らんまる
恋愛
ランドム子爵家のご令嬢ロゼッティは、ある日婚約破棄されてしまう。それはロゼッティ自身が地味で、不細工で、太っていたから。彼は新しい婚約者として、叔父の娘であるノエルと結婚すると言い始めた。 ロゼッティはこれを機に、叔父家族に乗っ取られてしまったランドム家を出ることを決意する。 豚と呼ばれるほど太っていたのは一年も前の話。かつて交流のあった侯爵の家に温かく迎えられ、ロゼッティは幸せに暮らす。 一方、婚約者や叔父家族は破滅へと向かっていた── ※なろうにも投稿済

捨てられオメガの幸せは

ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。 幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

狂わせたのは君なのに

白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。 完結保証 番外編あり

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

処理中です...