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いざ帝国!
帆を揚げろ!出航だ!
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船はナージャが手配してくれた。あまりなデカさに思わずため息。
「ほええー……」
帝国製の船は、工芸が得意な国というだけあってとても立派だった。見るからに重厚な造りで、ちょっとやそっとの波ではビクともしなさそう。
港にある優美な王国の船と違い、質実剛健って感じ。派手な塗装はされておらず、そのかわり磨き上げられた美しい木目が鈍く艶を放っていた。
こんな凄いの用意してもらって申し訳ないみたい!
こちらから帝国に向かうのは七名。
リーダーとして王子であるお兄様。侍従のミカミカ。留学として向こうの学校体験したいってことで俺とリオ。俺の保護者であり医者としてゲイル。護衛としてオルガ団長、S級冒険者のキース。
人数は少ないが、身分、権力、魔力、武力全てに選りすぐりのメンバーなのでございます!
俺にはゲイルがいるから、いざって時にはオルガ団長にお兄様とミカミカを、キースにリオを守ってもらう予定!俺もみんなを守るけどね!
国から出るのも船旅も初めてだから、むちゃくちゃテンション上がっちゃう!
ナージャには悪いけど、目的を忘れて旅行気分。
「ゲイル、忘れものはない?カバンは持ってきた?あ!ルーくん連れてきた方がよかったかなあ?」
「サフィ、ちと落ち着け。忘れもんはねえし、あったところでいまさらだ!ルーは呼び出せるだろ?」
「あ!そうだった!呼べば来てくれるんだった!」
「みんなも忘れものとか大丈夫?オヤツは持った?」
「招待という形になるから、帝国側がすべて用意してくれているよ。だから落ち着いて、サフィ。海に落ちないようにね?」
お兄様にひょいっと抱き上げされてしまった。もう10歳なのに、ひょいって!
「自分で歩けるからあああ!」
じたばたしたら「こおら!大人しく抱っこされてて?」と叱られた。しょぼん。俺、悪くないもん。
「甲板は意外と滑るんだよ?はしゃいでいたら危ないでしょ?」
注意する言葉のわりになんだか嬉しそうじゃない?
「ふふふ。なんだか新婚旅行みたいだね?」
「いや、みんないますけどもね?」
「こやって抱っこして船に乗るのが夢だったんだ。嬉しいな」
あ。お兄様もちょっと浮かれてた。頭の中がお花畑になっていらっしゃるようだ。
「まだうちの子は嫁にやらんぞ!」
ゲイルまで!俺が男の子だってすっかり忘れていらっしゃるようですな。俺はね、嫁になるんじゃなくて嫁を貰うほうなのですよ。あしからず。
でもまだまだ俺が抱っこしてお船に乗るのは難しそう。もっと身体を鍛えておかねば!フン!
タラップを上がると、その上にはズラリと背人さんたちが並んで俺たちを出迎えてくれた。
抱っこされた俺を見てびっくりした顔をしてる。ひーん!
「出迎えありがとう。私はレオンハルト。王国の第一王子だ。帝国でいろいろ学ばせてもらうのを楽しみにしている。旅の間世話になるが、よろしく頼む。
私の腕の中にいる子は、サフィラス・グリフィス。高名な医師であるゲイルの名はご存じだろうか。ゲイルことグリフィス伯爵のご子息であり、私の大切な人だ」
「こ……こんなところでしつれーいたしまする。サフィラスです。サフィと呼んでください。
ナージャ殿下とかクラスメートでお友達になりましたのでね。それでご招待いただいたのでございます。みなさま、よろしくお願いします!」
ぺこり、と抱っこのまま頭を下げる。は……はずかしいっ!
「ゲイルだ。息子のサフィともどもよろしく頼む」
「あと、こちらは私の侍従、ミカエル」
「辺境伯が三男、ミカエルです。お世話になります」
「僕はグランディール公爵家が次男、リオネル・グランディールです。サフィと一緒に帝国の学院を見せていただくのを楽しみにしております。よろしく」
「私はオルガ。王国の騎士団の団長をしている。世話になる」
「俺は冒険者のキースだ。護衛として同行させてもらう。よろしくな!」
ひととおりこちら側の挨拶が終わると、向こうの一番偉い感じの人が一歩前へ。
立派な顎鬚を蓄えた、ザ・海の男。たくましい胸襟と、こん棒みたいな腕をしているマッチョメン。
「丁寧なごあいさつ痛み入ります。私はこの船の船長をしております、フィガロ。皆様を無事に帝国までお連れ致しますので、ご安心ください。魔法などは使えませんが、その分技術はございますのでね」
にこやかな笑顔を浮かべているように見えるけど……どこか挑戦的。なんだかなあと思ったら、目が全然笑ってない!これって要するに「あんたら魔法使えば何とかなると思ってんだろうけどさあ、技術じゃこっちが上なんだよ、馬鹿にすんなよオラオラア!」だ!
思わず口から飛び出てしまった。
「か、か、かっこよ!かっこよきですーーっ!海の男って感じ!ふわああああ!」
あまりのカッコよさに手足バタバタ。お兄様の腕から頑張って飛び降りで、とててと船長さんのもとへ。
「操縦とか見せてもらってもいいですか?お邪魔ですか?このお船、すんごく強そう!かっこよきです!ザ・漢ってゆうかんじ!船長さんの筋肉!筋肉もすんごいですね!バッキバキのムッキムキ!腕とか触ってみていいですか?どうやって鍛えましたか?俺もそういう風になれますか?」
興奮のあまり手をワキワキとしながら迫ると、船長さんがなぜかあとずさり。
「すこおしだけでいいんですが、触られるの嫌ですか?だったら、腕にぶら下がってみてもよきですか?ぶらーんってできますか?」
仕方なく代案を出してみた。
困惑顔の船長に、オルガ団長が苦笑。
「ああ……俺も似たようなことをされました……。申し訳ない、悪気はないのです。筋肉に憧れがあるようで……」
ぽかーんとしていた船長が、わっはっはと笑い出す。
「なんだこの子!王国にもおもしれえ坊ちゃんがいたもんだ!王子さん、触らせてもいいかい?」
一応お兄様に許可をとる船長。お兄様を俺の保護者認定したみたい。保護者はゲイルなんですけど……。ゲイルは「好きにしろ」な感じで笑ってるからまあいいんだと思う。
お願いお願いお願い、とお兄様を見つめたら、苦笑して頷いてくれた。
「申し訳ない。好きにさせてやってほしい」
やったあ!
船長はすごかった!片手で俺を持ち上げて、ぶら下がっても、ぶんぶん揺れても全く腕が動かない!
「おおおおお!す、すごい!鋼の肉体だ!お船に乗っている間だけでよいので、弟子にしてくださいっ!」
俺は即座に頼み込んだ。こんなすごい人なら、俺にも筋肉をくれるかもしれない!
そうしたら俺だってお兄様を抱っこできるようになるかもしれない!
しっかりと90度のお辞儀でお願いしたら、わらわらわらと船員の皆様が集まってきた。
「坊ちゃん、船長みたいになりたいのか?この人は別格だぞ?」
「俺たちにしときな!船長のしごきはきついからなあ!」
「毎朝、ちょとしたトレーニングをするんだけど、一緒にやるか?」
おおお!みんないい人っ!親切でやさしいっ!
「やるっやりまするっ!やったあ!俺もマッチョになれる?」
聞いたとたん、そっと目をそらされた。そこはなれるって言ってよおおお!
でも、トレーニング!海の男のトレーニング!すっごく楽しみ!
そしたらオルガ団長がすかさず手を挙げた。
「すまんが、俺も参加してもいいだろうか?」
「あ、なら俺も!帝国式トレーニング、やってみたかったんだよねー!」
おお。みんなで参加。楽しそう!
そしたら船員さんたち、大歓迎してくれた。
「名高いオルガ団長と!光栄です!」
「キースさんって、もしかして…S級冒険者のキースですか?ドラゴンスレイヤー?」
「S級のキースだ。ドラゴンスレイヤーと呼ぶ人もいるかな」
「うわ!伝説の!まだ20代って聞いたんですが、本当に若いんですね!」
オルガ団長もキースも、騎士とか戦う男界隈では大人気みたい。船員さんたち、まるで憧れのヒーローに合ったみたいなキラキラした目をしてる。
こんないい感じの人たちと船旅だなんて、最高!ナージャのためにって思ってたけど、逆にこっちがありがとうだね!
「ゲイルー!みんなすっごくいいひと!楽しい旅になりそうだねっ!」
「そうだな!まあ、お前がいるんだ、こうなる気はしてた」
「リオ!リオも筋肉ほしいでしょ?リオもぺしょぺしょだもん。一緒に訓練しようね!」
喜ぶかと思ったリオは、げんなりした顔をしていった。
「こうなると思った!もう!」
「ほええー……」
帝国製の船は、工芸が得意な国というだけあってとても立派だった。見るからに重厚な造りで、ちょっとやそっとの波ではビクともしなさそう。
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人数は少ないが、身分、権力、魔力、武力全てに選りすぐりのメンバーなのでございます!
俺にはゲイルがいるから、いざって時にはオルガ団長にお兄様とミカミカを、キースにリオを守ってもらう予定!俺もみんなを守るけどね!
国から出るのも船旅も初めてだから、むちゃくちゃテンション上がっちゃう!
ナージャには悪いけど、目的を忘れて旅行気分。
「ゲイル、忘れものはない?カバンは持ってきた?あ!ルーくん連れてきた方がよかったかなあ?」
「サフィ、ちと落ち着け。忘れもんはねえし、あったところでいまさらだ!ルーは呼び出せるだろ?」
「あ!そうだった!呼べば来てくれるんだった!」
「みんなも忘れものとか大丈夫?オヤツは持った?」
「招待という形になるから、帝国側がすべて用意してくれているよ。だから落ち着いて、サフィ。海に落ちないようにね?」
お兄様にひょいっと抱き上げされてしまった。もう10歳なのに、ひょいって!
「自分で歩けるからあああ!」
じたばたしたら「こおら!大人しく抱っこされてて?」と叱られた。しょぼん。俺、悪くないもん。
「甲板は意外と滑るんだよ?はしゃいでいたら危ないでしょ?」
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「ふふふ。なんだか新婚旅行みたいだね?」
「いや、みんないますけどもね?」
「こやって抱っこして船に乗るのが夢だったんだ。嬉しいな」
あ。お兄様もちょっと浮かれてた。頭の中がお花畑になっていらっしゃるようだ。
「まだうちの子は嫁にやらんぞ!」
ゲイルまで!俺が男の子だってすっかり忘れていらっしゃるようですな。俺はね、嫁になるんじゃなくて嫁を貰うほうなのですよ。あしからず。
でもまだまだ俺が抱っこしてお船に乗るのは難しそう。もっと身体を鍛えておかねば!フン!
タラップを上がると、その上にはズラリと背人さんたちが並んで俺たちを出迎えてくれた。
抱っこされた俺を見てびっくりした顔をしてる。ひーん!
「出迎えありがとう。私はレオンハルト。王国の第一王子だ。帝国でいろいろ学ばせてもらうのを楽しみにしている。旅の間世話になるが、よろしく頼む。
私の腕の中にいる子は、サフィラス・グリフィス。高名な医師であるゲイルの名はご存じだろうか。ゲイルことグリフィス伯爵のご子息であり、私の大切な人だ」
「こ……こんなところでしつれーいたしまする。サフィラスです。サフィと呼んでください。
ナージャ殿下とかクラスメートでお友達になりましたのでね。それでご招待いただいたのでございます。みなさま、よろしくお願いします!」
ぺこり、と抱っこのまま頭を下げる。は……はずかしいっ!
「ゲイルだ。息子のサフィともどもよろしく頼む」
「あと、こちらは私の侍従、ミカエル」
「辺境伯が三男、ミカエルです。お世話になります」
「僕はグランディール公爵家が次男、リオネル・グランディールです。サフィと一緒に帝国の学院を見せていただくのを楽しみにしております。よろしく」
「私はオルガ。王国の騎士団の団長をしている。世話になる」
「俺は冒険者のキースだ。護衛として同行させてもらう。よろしくな!」
ひととおりこちら側の挨拶が終わると、向こうの一番偉い感じの人が一歩前へ。
立派な顎鬚を蓄えた、ザ・海の男。たくましい胸襟と、こん棒みたいな腕をしているマッチョメン。
「丁寧なごあいさつ痛み入ります。私はこの船の船長をしております、フィガロ。皆様を無事に帝国までお連れ致しますので、ご安心ください。魔法などは使えませんが、その分技術はございますのでね」
にこやかな笑顔を浮かべているように見えるけど……どこか挑戦的。なんだかなあと思ったら、目が全然笑ってない!これって要するに「あんたら魔法使えば何とかなると思ってんだろうけどさあ、技術じゃこっちが上なんだよ、馬鹿にすんなよオラオラア!」だ!
思わず口から飛び出てしまった。
「か、か、かっこよ!かっこよきですーーっ!海の男って感じ!ふわああああ!」
あまりのカッコよさに手足バタバタ。お兄様の腕から頑張って飛び降りで、とててと船長さんのもとへ。
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興奮のあまり手をワキワキとしながら迫ると、船長さんがなぜかあとずさり。
「すこおしだけでいいんですが、触られるの嫌ですか?だったら、腕にぶら下がってみてもよきですか?ぶらーんってできますか?」
仕方なく代案を出してみた。
困惑顔の船長に、オルガ団長が苦笑。
「ああ……俺も似たようなことをされました……。申し訳ない、悪気はないのです。筋肉に憧れがあるようで……」
ぽかーんとしていた船長が、わっはっはと笑い出す。
「なんだこの子!王国にもおもしれえ坊ちゃんがいたもんだ!王子さん、触らせてもいいかい?」
一応お兄様に許可をとる船長。お兄様を俺の保護者認定したみたい。保護者はゲイルなんですけど……。ゲイルは「好きにしろ」な感じで笑ってるからまあいいんだと思う。
お願いお願いお願い、とお兄様を見つめたら、苦笑して頷いてくれた。
「申し訳ない。好きにさせてやってほしい」
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船長はすごかった!片手で俺を持ち上げて、ぶら下がっても、ぶんぶん揺れても全く腕が動かない!
「おおおおお!す、すごい!鋼の肉体だ!お船に乗っている間だけでよいので、弟子にしてくださいっ!」
俺は即座に頼み込んだ。こんなすごい人なら、俺にも筋肉をくれるかもしれない!
そうしたら俺だってお兄様を抱っこできるようになるかもしれない!
しっかりと90度のお辞儀でお願いしたら、わらわらわらと船員の皆様が集まってきた。
「坊ちゃん、船長みたいになりたいのか?この人は別格だぞ?」
「俺たちにしときな!船長のしごきはきついからなあ!」
「毎朝、ちょとしたトレーニングをするんだけど、一緒にやるか?」
おおお!みんないい人っ!親切でやさしいっ!
「やるっやりまするっ!やったあ!俺もマッチョになれる?」
聞いたとたん、そっと目をそらされた。そこはなれるって言ってよおおお!
でも、トレーニング!海の男のトレーニング!すっごく楽しみ!
そしたらオルガ団長がすかさず手を挙げた。
「すまんが、俺も参加してもいいだろうか?」
「あ、なら俺も!帝国式トレーニング、やってみたかったんだよねー!」
おお。みんなで参加。楽しそう!
そしたら船員さんたち、大歓迎してくれた。
「名高いオルガ団長と!光栄です!」
「キースさんって、もしかして…S級冒険者のキースですか?ドラゴンスレイヤー?」
「S級のキースだ。ドラゴンスレイヤーと呼ぶ人もいるかな」
「うわ!伝説の!まだ20代って聞いたんですが、本当に若いんですね!」
オルガ団長もキースも、騎士とか戦う男界隈では大人気みたい。船員さんたち、まるで憧れのヒーローに合ったみたいなキラキラした目をしてる。
こんないい感じの人たちと船旅だなんて、最高!ナージャのためにって思ってたけど、逆にこっちがありがとうだね!
「ゲイルー!みんなすっごくいいひと!楽しい旅になりそうだねっ!」
「そうだな!まあ、お前がいるんだ、こうなる気はしてた」
「リオ!リオも筋肉ほしいでしょ?リオもぺしょぺしょだもん。一緒に訓練しようね!」
喜ぶかと思ったリオは、げんなりした顔をしていった。
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