もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

文字の大きさ
上 下
210 / 358
第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺、正式に冒険者になりました!

しおりを挟む
 この地には巨大な国家がいくつかあり、そしてその周囲に小国が散らばっている。
 人々の往来は東西中央海の道を通じていくつもルートがあり、それはまた、交易に従事する民族によって都度開発されていた。

 この国、アルメルセデスは小国ながら、西は山脈、南と東は海に隔たれ、そして北は雪深い氷河に覆われた地域とあって、あまり他国との戦禍には巻き込まれることなく長い歴史を誇ってきた。

 海を隔てたはるか東には龍が住まうという華国。南には砂漠の国カナン。そして山脈を隔てた西には帝国。
 アルメルセデスは地域的に、この西の地域の覇者である帝国の影響下にあると言える。
 過去、アルメルセデスの王室が絶えた時、帝国からその皇室の血筋の者を王に迎えたこともあった。
 それでも属国とはならず独立を保ったのも、この地の特殊性故だろう。


 ここ、アルメルセデスは神に護られた剣と魔法の国。
 この国が自らそう名乗るようになったのは、これより一世紀は前の事だった——。


 ♢ ♢ ♢

 この世界には神の氣が満ち、それは生命の活力ともなると共に、濃すぎるその氣は命あるものにとって毒にもなる。

 エーテルと呼ばれるそんな神の氣は、真那マナと呼ばれる清浄な氣と、そしてその状態が変ったと呼ばれるものに分けられる。

 水と氷のように、ただその状態が変わっただけで同じ神の氣エーテルであるに違いはないのだけれど、生憎と生命にとってその性質は正反対に作用してしまう。

 水が命を育むように、真那マナは生命の活力となり。
 氷が死を呼ぶように、は生命を蝕んだ。

 元々、この世界を構成するブレーンの表面に存在するには神の氣は真那マナの状態である場合が多く。
 ブレーンの内側にはが多かった。
 そのため、生命はそのブレーンの表面に多く生まれ、繁殖していったのだった。

 真那マナの泡、プランクブレーンはいつしか命の源大霊グレートレイスを産み。
 そしてその大霊グレートレイスからレイスが産まれ、生命に宿り『意志』が目覚め。
『意志』すなわちその神のかけらは『人』と呼ばれるものとなる。

 神は自らの分身でもあるその人の誕生を祝福し、彼らに加護マギアスキルを与えた。

 しかしそれは、神による人のレイスに対する、人がその全ての権能を解放し神と同等となることが無いようにする為の枷でもあった。

 そうしてその能力に対して枷が嵌められた『人』は、命の終わりにまた大霊グレートレイスに還る。
 多くの命はそうしてその円環の輪の中で、永く時を紡いできたのだった。




 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「本日をもって貴様は解任だ、聖女フランソワ!」

 亜麻色の髪の聖女フランソワは、そろそろお昼の食事の時間だなぁとのんびりしている所で、自室を訪れた王室聖女庁長官を務める王太子、シャルル・ド・アルメルセデスにいきなりそう告げられた。

 一瞬あっけにとられる彼女。
 それでもすぐに気をとりなおす。

「はう。何かございましたでしょうか?」
 そう首を傾げる彼女。

 それでなくとも冷たい目をしていたシャルル王太子、いっそう冷えた視線を聖女に向けた。

「お前のそういう所が私はずっと気に入らなかったのだ。聖魔法も碌に使えない半人前のくせに。お前のような者を聖女として迎えた事自体が誤りだったのだ!」

 そう怒鳴り。

「まあいい。真の聖女が見つかった今となってはお前はもう用済みだ。荷物を纏めてとっとと実家に帰るといい!」

 と続けた後、背をむけ部屋を出ていった。

 ♢ ♢ ♢
しおりを挟む
はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
感想 458

あなたにおすすめの小説

妹の嘘の病により、私の人生は大きく狂わされましたが…漸く、幸せを掴む事が出来ました

coco
恋愛
病弱な妹の願いを叶える為、私の婚約者は私に別れを告げた。 そして彼は、妹の傍に寄り添う事にしたが…?

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

石女を理由に離縁されましたが、実家に出戻って幸せになりました

お好み焼き
恋愛
ゼネラル侯爵家に嫁いで三年、私は子が出来ないことを理由に冷遇されていて、とうとう離縁されてしまいました。なのにその後、ゼネラル家に嫁として戻って来いと手紙と書類が届きました。息子は種無しだったと、だから石女として私に叩き付けた離縁状は無効だと。 その他にも色々ありましたが、今となっては心は落ち着いています。私には優しい弟がいて、頼れるお祖父様がいて、可愛い妹もいるのですから。

妹に何もかも奪われてしまったと思っていましたが、ちゃんと見てくれる人はいたようです。隣国で、幸せになれるとは夢にも思いませんでした

珠宮さくら
恋愛
ヴェロニカは、妹によって婚約を奪われ、家を勘当されて、国も出て行くことになってしまった。 だが、そんなヴェロニカがひょんなことから王子と婚約することになり、姉妹が真逆の人生を送ることになるとは夢にも思っていなかった。 ※全4話。

婚約者が、私より従妹のことを信用しきっていたので、婚約破棄して譲ることにしました。どうですか?ハズレだったでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者が、従妹の言葉を信用しきっていて、婚約破棄することになった。 だが、彼は身をもって知ることとになる。自分が選んだ女の方が、とんでもないハズレだったことを。 全2話。

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

処理中です...