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第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺の新たな始まり

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第2部のスタートです!
ようやくタイトル回収。冒険者になります!
✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。


※※※※※※※※※※※※※※※




ぱんぱかぱーん!!

皆様こんにちは!サフィです!
俺、10歳になりました!!!

そう!俺が昔約束した公爵家で搾取する期限、10歳になったのです!

俺は無事ゲイルの養子になり、正式にグリフィス家の息子「サフィラス・グリフィス」に!
そして…長年居候しておりました公爵家から出る。

あんなに「大嫌い」「早く出たい」って思ってた公爵家だけど。
いつの間にか俺の居場所になってた。

公爵家のみんなは、俺が間違ったことを言わない限り、どんな無理を言っても俺の味方をしてくれた。手助けしてくれた。
むちゃな要求にも黙って応えてくれた。
俺を守るためになら、力もお金も惜しまず使ってくれた。
「お父様じゃない」「家族じゃない」って言われても、俺を見守り続けてくれた。
何より…俺を大切に想ってくれたから。

ライとリオの、そして公爵の真心が俺の気持ちを溶かした。
みんなの愛情が、ちゃんと俺に伝わったんだ。
6年前は絶対に許せないと思ってたけど、やっぱりここに残ってよかったよ。



俺は感慨深く邸を眺めた。

2歳の俺が一段一段這うようにして降りた階段も、もう軽々と上り下りできる。
ゲイルが無理やり壁をぶち抜いて広げちゃった俺の部屋。
公爵が俺のために増設した訓練所。
ライとリオが俺のためにっていろいろ考えてくれた中庭。
今はあちこちに幸せな想い出がある。

バイバイ公爵家。これで一旦さよならだね。
次にここに来るときは、居候じゃなくてお客様な俺だよ。



邸の前で公爵は俺に聞いた。

「……最後に、抱きしめさせてもらっても良いか?」

公爵のその勇気を振り絞った気弱な発言に、俺は黙って手を広げた。
俺をぎゅうっと思い切り抱きしめる公爵。
これまでずっと俺に遠慮して、俺からハグすることはあっても公爵からは触れないようにしていたのに。
それでも、震える手を俺に伸ばし、しっかりとその身に抱き込んだ。
その身体は温かく思ったよりもしっかりと逞しくて、力も強かった。
ドッドッドッ。
伝わる公爵の鼓動は速くて。黙ったままの公爵の激情を俺に伝えてくる。

胸が熱い。
なんでだろ。泣きそう。

俺もぎゅうっと抱き返した。


しばらく抱きしめ合った後、公爵は何度も何度も大きく息をつき、やがてその想いを振り切るように俺を離した。
そして俺の顔をじいっと愛おし気に見つめる。まるでその目に焼き付けようとするかのように。

ひたすら、ひたすら見つめて。
ついに、公爵は言った。


「………サフィラスの部屋はずっとそのままにしておく。
ここを別邸だと思って、いつでも泊まりにくるといい。
私たちは……いつでもお前を歓迎するから」

「うん。ライリオも居るしね。また遊びにくるから。
今までありがとう。…………お父様」

ぐぅ!
声にならない声とともに、もういちど背骨が折れそうなくらいに強く強く抱きしめられた。

「私の…愛する息子、サフィ。
覚えていてくれ。私はこれからもお前を愛している。
だから困った時には遠慮なく頼って欲しい。必ず力になる」

震える声。

「うん。…うん。覚えとく」

ありがとう。そしてさよなら、お父様。
俺は行くよ。





絶対に泣くだろうと思ったリオは笑顔だった。

「だって、サフィとは離れても仲間でしょ?
僕たちをサフィのパーティーに入れてくれるって言ったもんね。
会いにいくから。またギルドにも遊びにいくから。
これで終わりじゃないよね!
だから、こう言わせて。いってらっしゃいサフィ!」

「そうだな。屋敷を出たからって会えないわけじゃない。
会おうと思えばいつでも会えるんだ。
……会ってくれるだろう?」

ライもそう言って俺に手を差し出す。

「うん!もちろん!
グリンアローの仲間だからね!」

俺は差し出された手を掴むと、そのままぐいっとひっぱった。

「うわっ!」

倒れてきたライを受け止め、その背をぽんぽん、と叩いてぱっと離れる。

「またね、ライ、リオ!
俺……行くね!」





ゲイルは門の前に停めた馬車の中で俺を待っていてくれた。

「お待たせ。ゲイル」
「ちゃんとお別れできたか?」
「うん!」

俺は耐え切れずにゲイルに抱き着いた。

「……っ。ど、どうして…どうして涙がでるのかなあ?
俺、俺、ゲイルの息子になれて、嬉しいのに…っ。
これからは、ゲイルの家で、ゲイルとっ一緒にっ暮らせるのに…っそれでも…」
「ああ。…分かってる」
「……ふっ……うっ…っ」
「泣いていいぞ。サフィ。泣けよ」
「…………泣かないもん…っ」
「ほーら。いい子だ。我慢するな。俺が許す」
「………………しつこいよっ!もうっ!ゲイルの…ゲイルのばかああああ!
うわあああああん!もうっもうっ泣きたくっ…なかったのにいいいいいい!
ゲイルがっ悪いっん、だからなああっ!わあああああああん!」


俺はゲイルの胸にぐりぐりと顔を押し付けながら、ゲイルの胸を何度も叩いた。
ゲイルは「ごめんな」「うん。俺が悪かった」「大丈夫だ。大丈夫」って言いながら、俺が泣き止むまで俺の背中を撫でてくれた。
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