上 下
200 / 276
ギルド50周年記念祭りだよ!

俺とみんなのアフターフェスティバル

しおりを挟む
結果として、お祭りは大成功だった。

街の人、たまたま城下に立ち寄った観光客、流れの冒険者、色々な人が参加してくれて。

冒険者さんたちは、街の人や子供たちと交流してすっかり街の人とも馴染んだ。
これまでは街の人の中には「冒険者ってちょっと怖い」なんて言う人もいたんだけど、もうそんな人は居ない。
お祭りに来てくれた人が「あら!おいしいお肉の人!」とか声を掛けてくれるし、それを見た他の人も気軽に声を掛けてくれるようになった。
冒険者は重い荷物を持って困ってる人とかを見たら「どこに運べばいいんだ?手伝ってやるよ」って気軽に手助けしたり、街の人にも話しかけたりするようになったし、そのお礼だと言って色々なものがギルドに差し入れされるようになった。
全体的に「冒険者ゾーン」「街の人ゾーン」の境界があいまいになり、一つの大きな街として機能し始めたのである。

また、副次的効果として冒険者同士で仲良くなった!
「孤高の人」だと思われてたソロ冒険者さんが実は笑い上戸だったりとか、ごっついおっちゃんがお料理上手だったりとか、色々な新事実も判明!
これまで交流の無かった冒険者同士がぶつかり合い励まし合いしてお店をやったことで、すっかり気心も知れてうちとけたのであーる!
なので、ソロだと微妙、パーティーがいくほどでもない余りがちな依頼も「お、お前行けそう?」みたいにその場のノリで臨時ペアを組んで受けたり、お互いに装備を融通し合ったりしてけっこうスムーズにはけちゃうようになった!
ギルド全体がいい感じに回り出したのだ!
なんか大きな家族みたい。
わちゃわちゃといろんな個性がごちゃ混ぜで。
喧嘩したり、ちょっと合わない人もいて。
それでも全体としてはうまく回ってく。

街も、人も、ギルドも、いろんなところの風通しがよくなった気がする。


でもって、お互いに顔見知りが増えたから、逆に変な人が目につくように。

「あれ?アイツ見かけねえ奴だな。お前知ってる?」

みたいに、防犯的な面でも祭りでの人脈が役に立っておるのです!



あとね。祭りに来たおっちゃんたちに話を聞いた貴族が、平民街で買い物するようになったよ。

「あの公爵が美味しいと言っていたパンはこれかね?」
「土産にもらったクッキーはここのだと聞いたが」
「なんと!安すぎないか?」

なんて、ほくほく顔で大量に買っていくので、みんな大喜び。
パン大人気の八百屋のおっちゃんなんて、俺に金一封ならぬ野菜ひと箱くれた。
カイルさんのカフェも連日大盛況。隣の店を買って店舗を拡張しようかと話してるんだって。

でもって金銭的に余裕ができたから、ちょっと気を遣ってお掃除するようになったりなんかして。
改装したり、立て替えたり整備したり。
街も綺麗になってきた。


金銭的余裕と言えば。
ギルドの一角にも「ギルド限定土産コーナー」なんてものが出来た。
孤児院の子の手作りブレスレットやクッキーを常時販売。
「王家認定」シール付きなこともあって、外からの旅行者や冒険者に大人気。
ギルドと孤児院の収入源となっている。



あと、忘れちゃいけない孤児院の子どもたちだが、みんなあちこちにお出かけするようになった。
というのも、おっちゃんたちが子供たちを気に入り支援するようになったのだ。

夏には交代で孤児院の子をまとめて保養地の別荘に招待してくれたり。
邸に呼んで乗馬を教えてくれたり。
皆で雇った教師を孤児院に定期的に寄越してくれたりする。

俺が「孤児院はここだけじゃないよ」って言ったら、各地の孤児院にも寄付したり支援するようになった。
しかも、これまでは「お金を送っておけばいい」って感じだったのが、自ら顔を出して「何が不足で何が必要なのか」を考えて支援してる。
暇があれば顔を出し、遊んでくれたり、勉強をみてくれたりもする。
子どもたちも「顔も知らない人からの施し」じゃなくて「あのおっちゃんのお土産」だというので嬉しそう。
施しって助かるけど、それだけ。でもお土産や支援は、体だけじゃなくて心まで温めてくれるからね。

俺のところに顔を出すことも減った、
それをちょこっとだけ寂しいななんて思ってるのは内緒の話。



ちなみに、王様はこっそりお忍びでギルドに来たり、孤児院に顔を出したりする。
孤児院には「とくめいのだれかさん」から大量のビーズが定期的に届く。
それを使ってみんな色々なアクセサリーを作って販売。
その収入はそれぞれの子どものお小遣いになる。
自分で働いて自分でお金を稼ぎ、そのお金で何かを買う。
そのことは、ここの子どもの心に小さな誇りを芽生えさせた。
この誇りこそが、この子たちに必要なもの。
ただ養ってもらうんじゃない。
自分が作ったものが認められること。
自分も誰かに何かを与えてあげられること。
そういうのが大事なんだ。


街の人も冒険者も子供たちを気にかけてくれるようになった。
差し入れをくれたり、ちょっとした仕事を頼んでお小遣いをくれたり。手が空けばひょいっと顔をだしてくれたり。

気にかけてくれる人がいるって幸せなの。
愛情と、誇り。これがあれば、みんなちゃんと自立して生きていけるようになる。
本当の支援って、そういうものだと思う。
誰かが一方的に与えるんじゃなくて。
誰かが一方的に与えらえるんじゃなくて。
お互いに与えて与えられて、そうやって循環することが理想。
幸せの輪ができたらいいなって。そう思うんだ。



大好きなみんな。
愛して愛されて、楽しく元気であれ!




あ。バイツー先生だけど、冒険者さんと仲良くなってね。
あれからちょくちょく遊びに来てます。
魔塔から「お仕事してくださあああい!!」って迎えが来ることもあるの。
あーあ。
きっとお友達ができて嬉しいんだろうなあ。可愛いけど、困った先生!


お祭りは、あまりに好評だったのと冒険者も臨時収入が入って味を占めたのもあり、毎年定期開催されることに。
俺はまたギルドメダルをもらった。
まさかそれが街の名物となり観光客も増え、街が発展。
城下発展の功労者だと、王様からも表彰されることになるとは、その時の俺は思っても見なかったのでした、、、。





俺はここから公爵家、王家、ギルドを行き来しながら毎日を過ごす。
当たり前みたいにギルドに「みんなー、ただいまー」と顔を出す。
居合わせた冒険者が「おかえりー!ゲイル、2階にいるぞ!」とか「メシ食ってきたか?一緒に食うか?」と声をかけてくれる。

薄暗い部屋でひとりぼっちで誰かの腕を夢見てたあの頃の俺へ。
大丈夫だよ。これから大好きな人に出会えるから。
沢山の愛してくれる人に出会えるから。
レインボーだとか聖女だとか聖獣だとか、驚くことが沢山だけど。

平凡で幸せなサイコーの毎日が待ってる!





※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ 

こんなに長くなってしまったサフィちゃんをここまでご拝読くださりありがとうございます!
ここまで辿り着けたのも、お読みくださったり、温かいコメントをくださる読者さまのおかげです。感謝!

次回、ここから数年飛び。
ようやくサフィちゃん10歳
新米冒険者サフィラス・グリフィスの章がスタートです!


毎日2回更新でお送り致しましたが、ここからは1日一回更新となります。
引き続き、お付き合い頂ければ幸いです♡

よろしければイイネ、♡をポチして頂きますと、作者喜美ます。ぜひよろしくです♡ 
コメント頂きますと、作者が喜びに悶えますwぜひぜひ♡




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アリシアの恋は終わったのです【完結】

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。

Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。 二人から見下される正妃クローディア。 正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。 国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。 クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」  何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?  後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!  負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。  やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*) 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/06/22……完結 2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位 2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位 2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

【運命】に捨てられ捨てたΩ

諦念
BL
「拓海さん、ごめんなさい」 秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。 「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」 秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。 【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。 なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。 右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。 前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。 ※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。 縦読みを推奨します。

処理中です...