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俺の平凡な日常
俺、ゲイルにホウレンソウ!
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ミカミカが来たのをきっかけに、逃げるようにして帰ってきた俺。
お兄様がいきなりすごいんだもん!
あんな迫り方されたら、俺が同級生の女の子とかならイチコロだわ。
美形、ヤバい!
このまんま甘々対応されたら、16歳になった頃にはドレスでおめでとうリンゴーンしてしまいそう!
とりあえず、ゲイルにホウレンソウ!
お兄様が俺にラブだって伝えて、対策を練らねば!
「ゲイルー!ゲイルー!いるー?
もうごはんたべちゃった?
いっしょにたべよー!!」
「おう!お帰り、サフィ!
レオンはどうだった?」
俺はガクリと肩を落とした。
「…ごはんしながら、きいて」
「お、おう…」
かくかくしかじか。
うんたらかんたら。
ご飯を食べてゲイルのお膝に移動。
デザートもぐもぐしながらゲイルにことの次第をホウレンソウしました。
びっくりするかと思いきや、ゲイルは通常運転だった。
「まあなあ…。お父様としては、かわいいサフィとずっといたいのは山々だがな。
俺は賛成もしないが反対もしないぞ?」
「ええ?はんたいするかとおもった!」
「何でだよ!」
「だってゲイル、オレのこと大好きだし、だいじでしょ」
父親って、嫁にやるのを渋るものだしね。
「それはそうだが…。
今すぐ嫁に来いってんじゃないだろ。
レオンは待つつもりでいる。
それに…俺とサフィは30歳近く離れてる。
サフィと一生一緒には居てやれねえからなあ」
悔しいさと切なさ半々みたいな表情をするゲイル。
「え?それって…
ゲイルのほうが早く死んじゃうってこと?」
「まあ、順当ならそういうことだな」
そんな!ようやくできた俺の家族なのに!
「やだ!ゲイルは聖女だから大丈夫だよ!
まりょく多いと、ながいきだってきいたもん!」
「嫌でもしょーがねーよ。
それにサフィが俺より先に逝くなんて俺が許さん!
どうしたって俺が先だ。それが道理だろ?」
「でも…やだ。やだもん!」
俺はギュウッとゲイルに抱きついた。
年齢からしたら、当たり前かもだけど。
口に出して言われたら急に怖くなった。
あと、ふと思った。
前世の俺、卓也は順番変えちゃったんだな、って。
兄は、母さん、父さんはどんな気持ちだったろう。
考えても仕方ないからなるべく考えないようにしてたけど。
ものすごい親不孝しちゃったんだよな…。
今の俺は元気だよ、幸せだよって伝えられたらいいのに。
でも、もう何もしてあげられない。
俺の声は届かない。
死ぬって、大好きな人に二度と会えなくなることなんだ。
その意味では、俺はもう死を知ってる。
俺の方からしたら全ての家族を一度失ってる。
月日がたつと、だんだん顔が思い出せなくなる。
記憶の中の顔は本当に父の顔?
兄ちゃんはこんな顔だった?
優しい母さんの声はどんなだった?
耳に残っていたはずの声がどうしても思い出せないんだ。
ひとかけらだって無くしたくないのに。
ビデオも写真もない。記憶しかないのに。
徐々にそれは失われていく。
でも、ゲイルだって失った人だ。
俺の曾祖父はゲイルがまだ小さな頃亡くなってる。
俺の祖父であるゲイルの兄が育てたようなものだ、って前に聞いた。
お母様のエリアナも亡くしてる。
だからこそ、ゲイルと俺は唯一なのかも。
多くのものを奪われて失ってきた俺たち。
お互いの隙間をお互いがピッタリと埋めたんだ。
だからこそ、ゲイルを失うのが怖い。
何十年か先だとしても。
「あのね。
だれともけっこんしないから、ゲイル、ずっとオレといて?
オレがすんごいヒールするから、大丈夫だよ!
ルーダにもてつだってもらうし!」
「…サフィ」
「ながいきだからっ、ずっと、いっしょ!
おじいさんになっても…いっしょなの!」
ゲイルの長い指が俺の頬を撫でる。
「サフィ、泣くな」
「だって、だって、ゲイルが、ゲイルが、いじわるいうー!
うわああああん!!」
「まだまだずうっと先のことなんだぞ?
それまでは俺がそばに居るから。
泣くな、サフィ」
俺は大好きなゲイルの心臓の音と、困ったみたいな声を聞きながら、泣いて泣いて、泣きつかれて眠ってしまうまで泣いてしまったのだった。
遠のく意識の中で俺は誓った。
やっぱり、恋とかまだまだいらない。
俺はまだまだずっとお父様といるんだもん!
お兄様がいきなりすごいんだもん!
あんな迫り方されたら、俺が同級生の女の子とかならイチコロだわ。
美形、ヤバい!
このまんま甘々対応されたら、16歳になった頃にはドレスでおめでとうリンゴーンしてしまいそう!
とりあえず、ゲイルにホウレンソウ!
お兄様が俺にラブだって伝えて、対策を練らねば!
「ゲイルー!ゲイルー!いるー?
もうごはんたべちゃった?
いっしょにたべよー!!」
「おう!お帰り、サフィ!
レオンはどうだった?」
俺はガクリと肩を落とした。
「…ごはんしながら、きいて」
「お、おう…」
かくかくしかじか。
うんたらかんたら。
ご飯を食べてゲイルのお膝に移動。
デザートもぐもぐしながらゲイルにことの次第をホウレンソウしました。
びっくりするかと思いきや、ゲイルは通常運転だった。
「まあなあ…。お父様としては、かわいいサフィとずっといたいのは山々だがな。
俺は賛成もしないが反対もしないぞ?」
「ええ?はんたいするかとおもった!」
「何でだよ!」
「だってゲイル、オレのこと大好きだし、だいじでしょ」
父親って、嫁にやるのを渋るものだしね。
「それはそうだが…。
今すぐ嫁に来いってんじゃないだろ。
レオンは待つつもりでいる。
それに…俺とサフィは30歳近く離れてる。
サフィと一生一緒には居てやれねえからなあ」
悔しいさと切なさ半々みたいな表情をするゲイル。
「え?それって…
ゲイルのほうが早く死んじゃうってこと?」
「まあ、順当ならそういうことだな」
そんな!ようやくできた俺の家族なのに!
「やだ!ゲイルは聖女だから大丈夫だよ!
まりょく多いと、ながいきだってきいたもん!」
「嫌でもしょーがねーよ。
それにサフィが俺より先に逝くなんて俺が許さん!
どうしたって俺が先だ。それが道理だろ?」
「でも…やだ。やだもん!」
俺はギュウッとゲイルに抱きついた。
年齢からしたら、当たり前かもだけど。
口に出して言われたら急に怖くなった。
あと、ふと思った。
前世の俺、卓也は順番変えちゃったんだな、って。
兄は、母さん、父さんはどんな気持ちだったろう。
考えても仕方ないからなるべく考えないようにしてたけど。
ものすごい親不孝しちゃったんだよな…。
今の俺は元気だよ、幸せだよって伝えられたらいいのに。
でも、もう何もしてあげられない。
俺の声は届かない。
死ぬって、大好きな人に二度と会えなくなることなんだ。
その意味では、俺はもう死を知ってる。
俺の方からしたら全ての家族を一度失ってる。
月日がたつと、だんだん顔が思い出せなくなる。
記憶の中の顔は本当に父の顔?
兄ちゃんはこんな顔だった?
優しい母さんの声はどんなだった?
耳に残っていたはずの声がどうしても思い出せないんだ。
ひとかけらだって無くしたくないのに。
ビデオも写真もない。記憶しかないのに。
徐々にそれは失われていく。
でも、ゲイルだって失った人だ。
俺の曾祖父はゲイルがまだ小さな頃亡くなってる。
俺の祖父であるゲイルの兄が育てたようなものだ、って前に聞いた。
お母様のエリアナも亡くしてる。
だからこそ、ゲイルと俺は唯一なのかも。
多くのものを奪われて失ってきた俺たち。
お互いの隙間をお互いがピッタリと埋めたんだ。
だからこそ、ゲイルを失うのが怖い。
何十年か先だとしても。
「あのね。
だれともけっこんしないから、ゲイル、ずっとオレといて?
オレがすんごいヒールするから、大丈夫だよ!
ルーダにもてつだってもらうし!」
「…サフィ」
「ながいきだからっ、ずっと、いっしょ!
おじいさんになっても…いっしょなの!」
ゲイルの長い指が俺の頬を撫でる。
「サフィ、泣くな」
「だって、だって、ゲイルが、ゲイルが、いじわるいうー!
うわああああん!!」
「まだまだずうっと先のことなんだぞ?
それまでは俺がそばに居るから。
泣くな、サフィ」
俺は大好きなゲイルの心臓の音と、困ったみたいな声を聞きながら、泣いて泣いて、泣きつかれて眠ってしまうまで泣いてしまったのだった。
遠のく意識の中で俺は誓った。
やっぱり、恋とかまだまだいらない。
俺はまだまだずっとお父様といるんだもん!
1,200
はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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