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俺の平凡な日常

俺、ギルド長とゲイルを説得します!

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最初は「なに言ってんだ?」と思いっきり顔に書いてあったギルド長とゲイル。
俺の話を聞いて、考え込み始めた。

「うーん。いろいろとツッコミどころはあるが…。言わんとすることはわかった。
孤児院への理解を深め、寄付や手伝いを募るってのと、冒険者のイメージアップを同時にするってことだろ?
たしかに…有りかもしれん」
「でしょ!まちの人にも、こっちのぼうけんしゃブロックは怖いってイメージを持ってる人もいるでしょ?
そういう人に、お祭りをきっかけにもっとぼうけんしゃと仲良くなってほしいの。
みんなおくちはわるいけど、ちょっとがさつだけど、ちょっと汚かったけどしんせつでいい人なんだもん!」
「口が悪くてがさつで汚い。ハッキリ言ってくれるなあ」

ギルド長が苦笑する。

「だいじょうぶ。ちょっとずつお口も良くなってるし、汚くなくなってきたから。
せいけつはだいじ!せいけつはせいぎ!」

俺はばっちぐーと親指をたてて請け負った。
前の冒険者さんだと難しかったかもだけど、今のみんなならいい感じにわきあいあいできると思う!
なんだかんだ、外見って大事だよ。
服が高級とかじゃなくって、服とか身体が清潔かどうか。
やっぱり臭ってたりすると嫌でしょ?
冒険者同士だと慣れちゃって気付かなくなっちゃってるけど、一般的にみたらけっこう臭くて汚いんだもの!
そりゃ眉くらい顰めたくなる。分かる分かる。
でも、冒険者側からしたらすれ違ったくらいで眉を顰められたら気分が悪いよね。それで冒険者がムッとして乱暴になるでしょ。
そうすると当たり前だけど相手には余計に悪印象になる。
そういう悪循環。
お互いに会話して、話をしてみたらいいんだけど。その機会がない人もいる。
そういう人が、このイベントをきっかけにちょっと小綺麗になった冒険者と触れ合って「あれ?」ってなってくれること。
それがこの祭りのギルドとしてのメリットなの。

あと忘れてはならない当初の目的!
おっちゃんたちを呼びよせること!

「それと、まちの人もだけど、きぞくもお祭りに呼んでお祭りをきっかけにこじいんの子をすきになってほしいの。
お金だけ出すだけじゃなくって、好きになってほしいの。
じっさいに子どもを見てふれあっていっしょにあそんだら、ひまなおいちゃんとかがここに通ってくれるようになるとおもう。
だって、あの子たちすっごくかわいいんだもん!さいこうに!かわいいから!
だっこしたりしたら、大好きになるにきまってるでしょ!!」

腕をブンブン振って熱弁。

ゲイルとギルド長は「お、おお」「そうだな」とか言いながらちょっと引いてる。
ええ?伝わってない?

「あそこね、小さな子がたくさんいるの。
でもシスターはたくさんはいないから、かまってあげる時間が足りないの。
だからオレがあそびにいくとみんないそいで抱っこにくるの。うしろをついてあるくの。
すわるとすぐにおひざにのって『なでなでして』っていうの」

健気なあの子たちのこと。みんなに知って欲しい。
話してたらちょっと泣きそうになっちゃった。

俺は両手を前に出してゲイルの方に。
当たり前みたいに自然にゲイルが俺を抱き上げ、背中をぽんぽんしてくれる。
あったかくて優しいそのしぐさに、胸の奥からぽかぽかが溢れてきた。
これなの。これを、みんなにもあげたい。

「オレもずっとひとりだったでしょ。だからわかるの。
人は食べ物とかだけでそだつんじゃないの。ぽかぽかな抱っことか、大好きがひつよう!
ゲイルが抱っこしてくれてなでなでしてくれると、すっごくうれしくて幸せ!元気になるもん。
でも、あそこは子どもがたくさんすぎて抱っこしたりなでなでしてくれる手がぜんぜん足りてないの。
オレにはたくさんあるのに、あそこには大好きの抱っこがぜんぜん足りないの!
ふこうへいすぎるでしょ?おかしいでしょ?
オレは、もっと抱っことかなでなでをあげたいの!
子どもには抱っことなでなでがひつようなの!」

抱っことかなでなでっていうのは、「好き」を伝えるっていうことなの。
どんな子供もたくさんの好きを浴びて育たなきゃダメ。
それで心にぽかぽかをたくさん溜めて、その大好きをみんなにお返しするの。
そうしたらみんなの好きが世界にあふれていくでしょ。

語り終えるころには俺はしゃくりあげてて、ゲイルとギルド長は目を潤ませてた。

「サフィ…まだ子供のお前がもうそんなことを……。
いつの間にか大きくなっているんだなあ」

ゲイルはぎゅうっと痛いくらいに俺を抱きしめる。

「うん…。子供はすぐに大きくなっちまう。
あんなに小さかったのになあ…」

しばらくそうして何かを噛みしめていたが、やがて顔をあげるとにっこりと笑った。

「そうだな。抱っことか大好きは必要だ。
俺みたいな大人でもサフィの大好きや抱っこで癒されるんだから。子どもにはなおさら必要だよな。
祭り、やろうぜ!お父様にも一枚かませてくれ!」

「そうだな。サフィの言う通りだ。
衣食住があればいいような環境で俺ら育ったからなあ。
そんでいいと思ってた。
だが確かにそれだけじゃダメだな。愛情も必要だ。
ギルドへのメリットも十分理解した。
ギルドとしても、全面的に協力させてもらおう!」

「やったあ!!!ばんざーい!!」

俺は嬉しさのあまりゲイルの抱っこのまんまで両手を振り上げた。
嬉しい!嬉しい!嬉しいよおおおおおう!!!

「お、おい!サフィ、危ないっ!
こら!暴れるな!!落としちまうだろうがっ!!」

慌ててゲイルが落としてくれたので、溢れる喜びのまま部屋の中を駆け回る。

「だっこ、だっこ、だっこをゲット!だっこをゲット!ゲット!ゲット!!」

「サフィ、ちょっと落ち着こうな?嬉しい気持ちは分かるが、部屋の中を走りまわるのはやめろ!」

「だっこ、だっこ、だっこ!」

「サフィ!!」

ゲイルに首根っこを掴まれてじたばた。

「あーん!」

だって、この喜び!どこかで発散しなきゃなんだものーーー!!


俺の責任者ゲイルとギルドの責任者であるギルド長の許可を貰い、正式に「ギルド設立50周年記念祭」の開催が決定いたしました!
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