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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)
俺、おみやげ配り人になる6(王様と王妃様)
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超おいで朝ごはんをすませ、張り切って魔塔へ!
と思ったらば。
お兄様にこんなお願いをされた。
「まだ訓練まで少し時間があるよね?
サフィ、父上や母上にもなにかあるんだろう?
悪いが、先に渡してやってもらえないかな?
公爵が昨日小さなナイフを持参していてね。サフィの土産だというもんだから…。
父上も母上も『きっと私たちにもあるはずだ!サフィはいつ来る?』とソワソワしてうるさいんだ」
おおう!公爵!まさか仕事場まで持参して見せびらかしたとは!そんなに嬉しかったのか!
刀とか王城には持ち込みできないはずなのに大丈夫?
その辺もゲートだからゆるゆるだよね…。
公爵家と侯爵家、ゲイルとかの俺界隈はもう家族のような扱いじゃん。いいのかなあ。
にしても、本来身分とか考えたら王家から渡すべきだったのかも。
ついつい手近なとこから配ってしもうた。
王さまたちの「きっと私たちにもあるはず」っていう無償の信頼が逆に辛い!
買い忘れてたらヤバかった!
高価なもんじゃないし王様たちはいらないかも、なんて思ったけど。
ほんっとおに買ってきてよかった!!!
俺は内心冷や汗をかきながら言った。
「じゃあ、先に王さまたちに渡すね!おけ!」
さあ、張り切って王城へ!行こうではありませぬか!
今日も病院だというゲイルにバイバイして、俺はお兄様とれっつらごー!
ゲートってホントに便利。
しゅん、で王城に到着!
なんなら、感覚的には俺の部屋から公爵家の庭に出るより近い。
ミカミカの分と王城のみなさんのお土産と魔塔のみなさんのお土産も持ってきた。
結構な人数だからそれなりの量。
持ち歩くのもアレなので、一旦お兄様のお部屋に置かせてもらうことにする。
さて、最初は王様たちの所!
お兄様曰くこの時間なら王様たちは王家の食堂だというので、王様たちのお土産だけ持って食堂に。
王様たちはお食事の最中でした。
「こんにちはです!王さま、王妃さま、おはようございます!」
元気に挨拶!挨拶は基本ですからね!
とたん、王様と王妃さまのお顔が満面の笑顔に!
眩しいの2乗!!
「まあまあ!サフィちゃん、いらっしゃい!おはよう!」
「サフィ!よく来たな!さあ、こっちにおいで!」
流れるように王さまのお膝の上に座らされ、気がついたらお口に何やら美味しいものが入っていた。
「ふぉひやへは はふんへふー!(おみやげがあるんですー)」
「ん?どうした?こっちも食べなさい。たくさん食べて大きくなるんだぞ?」
「ふあい(はい)」
あーん。
ん!!これ、新しい味!!なにこれ!
甘いのにしょっぱい!癖になる味!
目をぐわっと開き、バッと熊さんを振り返る。
熊さんは「してやった!」という表情でぐっと親指をたててきた。
さすが熊さん!味への追求を怠らない!
俺は夢中になって口に入れられるままにパクパク。
おいしいお食事を堪能していると、お兄様が俺の肩を叩いた。
なぜか困ったみたいなお顔をしている。
ん?どうかした?
「…サフィ?やることがあるんじゃなかったかな?」
は!そうだった!気付けばどんどん食べさせられている!なんて罠!
すっかり2人に甘やかされたおしてしまうところだった!
危ない危ない!
王様たち、俺に会えた方がうれしくってお土産のことは飛んじゃってたみたい。
俺って愛されてるうう!えへへ。うれしいな。
俺はお口の中のものを急いで飲み込み、言った。
「あのね。お2人におみやげがあるのです!」
王様とお后さまの顔がぱああっと輝く。
おおおう!
王家、発光物すぎる!
「まああ!そうなの?何かしらあ?」
「まさか、我に土産が?なんと!」
まるで初めて聞いたかのようにもんのすんごくわざとらしく驚いてみせる2人。
お兄様が「あちゃあ」とおでこに手を当てる。
うん。分かる、その気持ち。腹芸得意なはずなのに、2人とも大根役者すぎっ!
もう既に「ちょうだい」とばかりに手を出している王さまと、俺に肉迫してくる王妃さま。
ど、どうどう!落ちつきたまえ!
ちゃんと2人の分用意してあるから!
俺は王様のお膝からぴょんと飛び降り、ふところからプレゼントを取り出した。
あんまりにもじーっとみられるもんだから、ちょっと手が震えちゃう。
えーん。
ちょっともじもじしながら、一生懸命気持ちを伝える。
「あのね、王さまと王妃さまに、おみやげなのです。
ゲイルとお兄さまといっしょにはじめてのお出かけをしました。
いつもありがとうの気持ち。
ちゃんと王さまにいただいたオレのお金で買いましたのです。
いつもオレにやさしくしてくれてありがとうございます。
それと、いっぱいオレのために動いてくれて、ありがとうございます!
王さまたちのおかげで、とっても楽しいし、幸せなので」
ここまで言って、感極まってしまった俺。
「王さまが王さまで良かった!
ぼうけんしゃになったら、しっかりとこの国を守りまするので!
王さま、つよくてやさしくてカッコいいさいこうの王さま!
王妃さまは、やさしくてかしこくてかわいいステキなおひめさま!
2人とも、大好き!」
と言って2人に飛びついてしまった。
「サフィ!!何よりの言葉だ!ありがとう!私も大好きだぞ!息子のように思っておる!」
「サフィちゃん!ありがとう。私も大好きよ!とっても嬉しいわ!可愛い私のサフィちゃん!」
王様がぎゅうっと俺を抱きしめてくれたので、その大きな胸にぐりぐりと頭をこすりつける。
もんのすごく安心するこの感じ。
ゲイルがお父様なら、王様はお祖父ちゃん。
年齢はまだ若いからそんなこと言ったら怒られちゃいそうだけど。
しっかりと俺を受け止めて愛してくれる、そんな安心感。
王妃様が、後ろからそっと俺を抱きしめ、頭をなでてくれる。
やさしくて柔らかな感触。
王妃様といると、俺はいつもお母さんを思い出す。
エリアナお母様と前世のお母さん。
俺を包み込むようにそっと抱きしめてくれる優しい愛。
待っていてくれる人が、愛してくれる人がいるって幸せだよね。
なんてしてたら、肝心のナイフの説明忘れてた!
「あ、あの!忘れていました!
これ、これなのです!!これがおみやげなの!
お守りになるナイフ。しょくにんさんから買ったの。
王さまも王妃さまも、いつもがんばっててお疲れだから、パワーのこうかのナイフ。
1回だけだけど、お疲れをかいふくしてくれます。
ナイフとしても使えますので!」
慌ててナイフをそれぞれに渡す。
「おお!これか!公爵が昨日持っておったものだな!」
「私たちのことを考えて選んでくれたのね。嬉しいわ!」
「うむ!我らもお守りとして大切に持ち歩こう!」
「もつだけじゃなくて、使ってね。ひもも切れますし。くだものの皮とかもむけますので」
「うふふ。そうね。ひもも切れるわね」
「手紙の封を開けるのにもちょうどよさそうだな」
思った以上に喜んでくれてる!良かったあ!
にこにこの2人に俺まで嬉しくなってしまった。
ご機嫌でお菓子のことも伝える。
「それとね、あとおかしもあるの。とってもかわいい形なので、気に入るはず!
お口に入れるとシュンととけるのです。パリッとシュンなのです!
あとから持ってきますので!」
「まあ、どんなものなのかしら?楽しみだわ!」
「パリッとシュンか。それは興味深い!」
「サフィ。それ、父上と母上だけでなく私も食べていいのかな?」
「うん!ミカミカにも分けてあげて!たくさん入っておりますので!」
あと、忘れないうちに熊さんにも言っておいた。
「そのおかしは、使用人さんと、お料理人さんと、ごえいさんたちの分もあるの。1はこずつ。
あとからもっていくね!」
熊さんが思わずと言った感じで「バウッ!」と吠えた。
たぶん「はい」と言いたかったんだと思うんだけど、熊さんのお口から出たのは「バウッ」だったの。
いかにも熊さんって感じで思わず笑っちゃった。
熊さんも照れくさそうに笑って
「アップルパイをお持ちしますね!」
ってそそくさと厨房へ逃げちゃった。
厨房の方から「ええ!」「うわあ!ホントですかあ!」って歓声が聞こえたから、きっとお土産のことも伝えてくれてるんだと思う。
と思ったらば。
お兄様にこんなお願いをされた。
「まだ訓練まで少し時間があるよね?
サフィ、父上や母上にもなにかあるんだろう?
悪いが、先に渡してやってもらえないかな?
公爵が昨日小さなナイフを持参していてね。サフィの土産だというもんだから…。
父上も母上も『きっと私たちにもあるはずだ!サフィはいつ来る?』とソワソワしてうるさいんだ」
おおう!公爵!まさか仕事場まで持参して見せびらかしたとは!そんなに嬉しかったのか!
刀とか王城には持ち込みできないはずなのに大丈夫?
その辺もゲートだからゆるゆるだよね…。
公爵家と侯爵家、ゲイルとかの俺界隈はもう家族のような扱いじゃん。いいのかなあ。
にしても、本来身分とか考えたら王家から渡すべきだったのかも。
ついつい手近なとこから配ってしもうた。
王さまたちの「きっと私たちにもあるはず」っていう無償の信頼が逆に辛い!
買い忘れてたらヤバかった!
高価なもんじゃないし王様たちはいらないかも、なんて思ったけど。
ほんっとおに買ってきてよかった!!!
俺は内心冷や汗をかきながら言った。
「じゃあ、先に王さまたちに渡すね!おけ!」
さあ、張り切って王城へ!行こうではありませぬか!
今日も病院だというゲイルにバイバイして、俺はお兄様とれっつらごー!
ゲートってホントに便利。
しゅん、で王城に到着!
なんなら、感覚的には俺の部屋から公爵家の庭に出るより近い。
ミカミカの分と王城のみなさんのお土産と魔塔のみなさんのお土産も持ってきた。
結構な人数だからそれなりの量。
持ち歩くのもアレなので、一旦お兄様のお部屋に置かせてもらうことにする。
さて、最初は王様たちの所!
お兄様曰くこの時間なら王様たちは王家の食堂だというので、王様たちのお土産だけ持って食堂に。
王様たちはお食事の最中でした。
「こんにちはです!王さま、王妃さま、おはようございます!」
元気に挨拶!挨拶は基本ですからね!
とたん、王様と王妃さまのお顔が満面の笑顔に!
眩しいの2乗!!
「まあまあ!サフィちゃん、いらっしゃい!おはよう!」
「サフィ!よく来たな!さあ、こっちにおいで!」
流れるように王さまのお膝の上に座らされ、気がついたらお口に何やら美味しいものが入っていた。
「ふぉひやへは はふんへふー!(おみやげがあるんですー)」
「ん?どうした?こっちも食べなさい。たくさん食べて大きくなるんだぞ?」
「ふあい(はい)」
あーん。
ん!!これ、新しい味!!なにこれ!
甘いのにしょっぱい!癖になる味!
目をぐわっと開き、バッと熊さんを振り返る。
熊さんは「してやった!」という表情でぐっと親指をたててきた。
さすが熊さん!味への追求を怠らない!
俺は夢中になって口に入れられるままにパクパク。
おいしいお食事を堪能していると、お兄様が俺の肩を叩いた。
なぜか困ったみたいなお顔をしている。
ん?どうかした?
「…サフィ?やることがあるんじゃなかったかな?」
は!そうだった!気付けばどんどん食べさせられている!なんて罠!
すっかり2人に甘やかされたおしてしまうところだった!
危ない危ない!
王様たち、俺に会えた方がうれしくってお土産のことは飛んじゃってたみたい。
俺って愛されてるうう!えへへ。うれしいな。
俺はお口の中のものを急いで飲み込み、言った。
「あのね。お2人におみやげがあるのです!」
王様とお后さまの顔がぱああっと輝く。
おおおう!
王家、発光物すぎる!
「まああ!そうなの?何かしらあ?」
「まさか、我に土産が?なんと!」
まるで初めて聞いたかのようにもんのすんごくわざとらしく驚いてみせる2人。
お兄様が「あちゃあ」とおでこに手を当てる。
うん。分かる、その気持ち。腹芸得意なはずなのに、2人とも大根役者すぎっ!
もう既に「ちょうだい」とばかりに手を出している王さまと、俺に肉迫してくる王妃さま。
ど、どうどう!落ちつきたまえ!
ちゃんと2人の分用意してあるから!
俺は王様のお膝からぴょんと飛び降り、ふところからプレゼントを取り出した。
あんまりにもじーっとみられるもんだから、ちょっと手が震えちゃう。
えーん。
ちょっともじもじしながら、一生懸命気持ちを伝える。
「あのね、王さまと王妃さまに、おみやげなのです。
ゲイルとお兄さまといっしょにはじめてのお出かけをしました。
いつもありがとうの気持ち。
ちゃんと王さまにいただいたオレのお金で買いましたのです。
いつもオレにやさしくしてくれてありがとうございます。
それと、いっぱいオレのために動いてくれて、ありがとうございます!
王さまたちのおかげで、とっても楽しいし、幸せなので」
ここまで言って、感極まってしまった俺。
「王さまが王さまで良かった!
ぼうけんしゃになったら、しっかりとこの国を守りまするので!
王さま、つよくてやさしくてカッコいいさいこうの王さま!
王妃さまは、やさしくてかしこくてかわいいステキなおひめさま!
2人とも、大好き!」
と言って2人に飛びついてしまった。
「サフィ!!何よりの言葉だ!ありがとう!私も大好きだぞ!息子のように思っておる!」
「サフィちゃん!ありがとう。私も大好きよ!とっても嬉しいわ!可愛い私のサフィちゃん!」
王様がぎゅうっと俺を抱きしめてくれたので、その大きな胸にぐりぐりと頭をこすりつける。
もんのすごく安心するこの感じ。
ゲイルがお父様なら、王様はお祖父ちゃん。
年齢はまだ若いからそんなこと言ったら怒られちゃいそうだけど。
しっかりと俺を受け止めて愛してくれる、そんな安心感。
王妃様が、後ろからそっと俺を抱きしめ、頭をなでてくれる。
やさしくて柔らかな感触。
王妃様といると、俺はいつもお母さんを思い出す。
エリアナお母様と前世のお母さん。
俺を包み込むようにそっと抱きしめてくれる優しい愛。
待っていてくれる人が、愛してくれる人がいるって幸せだよね。
なんてしてたら、肝心のナイフの説明忘れてた!
「あ、あの!忘れていました!
これ、これなのです!!これがおみやげなの!
お守りになるナイフ。しょくにんさんから買ったの。
王さまも王妃さまも、いつもがんばっててお疲れだから、パワーのこうかのナイフ。
1回だけだけど、お疲れをかいふくしてくれます。
ナイフとしても使えますので!」
慌ててナイフをそれぞれに渡す。
「おお!これか!公爵が昨日持っておったものだな!」
「私たちのことを考えて選んでくれたのね。嬉しいわ!」
「うむ!我らもお守りとして大切に持ち歩こう!」
「もつだけじゃなくて、使ってね。ひもも切れますし。くだものの皮とかもむけますので」
「うふふ。そうね。ひもも切れるわね」
「手紙の封を開けるのにもちょうどよさそうだな」
思った以上に喜んでくれてる!良かったあ!
にこにこの2人に俺まで嬉しくなってしまった。
ご機嫌でお菓子のことも伝える。
「それとね、あとおかしもあるの。とってもかわいい形なので、気に入るはず!
お口に入れるとシュンととけるのです。パリッとシュンなのです!
あとから持ってきますので!」
「まあ、どんなものなのかしら?楽しみだわ!」
「パリッとシュンか。それは興味深い!」
「サフィ。それ、父上と母上だけでなく私も食べていいのかな?」
「うん!ミカミカにも分けてあげて!たくさん入っておりますので!」
あと、忘れないうちに熊さんにも言っておいた。
「そのおかしは、使用人さんと、お料理人さんと、ごえいさんたちの分もあるの。1はこずつ。
あとからもっていくね!」
熊さんが思わずと言った感じで「バウッ!」と吠えた。
たぶん「はい」と言いたかったんだと思うんだけど、熊さんのお口から出たのは「バウッ」だったの。
いかにも熊さんって感じで思わず笑っちゃった。
熊さんも照れくさそうに笑って
「アップルパイをお持ちしますね!」
ってそそくさと厨房へ逃げちゃった。
厨房の方から「ええ!」「うわあ!ホントですかあ!」って歓声が聞こえたから、きっとお土産のことも伝えてくれてるんだと思う。
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