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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

閑話休題 俺とライリオのお庭ピクニック

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オルガ団長との久しぶりの訓練。
張り切っていたんだけど…魔法ばっかりしてる間にすっかり身体はなまってしまっておった…。
しょぼん。
腹筋とか筋トレとかはゲイルに手伝ってもらったりして細々と続けてたんだよ?
でもやはり毎日訓練してるのとは違うもんね。

ふうふうと息を切らす俺に、団長は優しかった。

「腹筋などはやっていたんだろう?それが十分わかる結果だ。
それをやっていなければ、もっとなまっていたと思うぞ?
魔法の訓練をしながら、自分でよく頑張ったな!偉いぞ!
心配するな!すぐにまた元通りに鍛えてやるから!」

団長!一生ついていきますーーー!!!

再開初日はひたすら外周を走り、素振りをして終わったのだった。





お昼は、ライリオが待ちかまえていた。
訓練所までランチが入ったバスケット持参でお迎えに来たのである。

「サフィ!今日は時間はあるかい?
久しぶりに中庭でランチをしないか?」

ライは10歳になってから午後は貴族学校に通うようになった。
ちょうど俺と入れ違いみたいになってて、ランチは久しぶりな気がする。
訓練で外に出てたり、バイツー先生やゲイルとご一緒することが多かったから。

「いいよ。ふたりとランチ、久しぶりだしね」
「やったあ!あのね、サフィが好きなフルーツサンドも作ってもらったんだよ!」
「ベーコンサンドもあるぞ。デザートはティガーがアップルパイをくれた。サフィの好物なんだろう?」
「おお!くまさん直伝のやつ!」

るんたるんたと中庭へ。
知らないうちにお花が入れ替わっていた。
前は青かったゾーンがピンクとかオレンジに。
一部は果樹園になってる。

「この果物はもいでそのまま食べてもいいそうだ。サフィはそういうのが好きなんだろう?」
「え?なんで知ってるの?」

冒険者の絵本でそういうシーンがあって、俺はそれに憧れた。
なんかすんごく美味しそうに見えるんだもん。

「前に『木から直接もいで食べるのって美味しそうだよね!冒険者っぽい!』と言っていたからね」
「もしかして、それで作ってくれたの?」
「あのね、ライが植物図鑑で調べて庭師と相談して選んだんだよ!」
「い、いや、私もやってみたかったから…」
「もう!照れちゃってさ!『サフィはどれが好きだと思う?』とかいって、すんごく悩んでたじゃん!」
「あははは。そうだったの」

なんか図鑑を前に真剣な顔してるのがすごく想像できて、笑っちゃった。
むねがぽかぽかする。
出会いは最悪だったけど、こんなのずっとされ続けたら、普通に「かわいいな」って思うやろ。
それはもうそうなるよ。

「ライ、ありがとう。あとで一緒にもいで食べよう!」

なんとゲイルがこそっと緑魔法で成長を速めていたらしく、今がジャスト食べごろに。
あちこちがみんなの気遣い、心遣いでできてる。
みんな全力じゃん!
あああん!
俺ってつくづく幸せもの。素直にそう思った。

今日は真ん中の東屋には行かずに、果樹の下に布を敷いてそこで食べることに。
葉と果樹がちょうどよい木陰をつくり、心地よい。
中庭なのに森の中にいるみたい。

サンドイッチも絶品。
アップルパイはまんま熊さんのだった!ティガーの再現度すごすぎ!
ティガーに向かってグッジョブしたら、優雅に礼をされた。
うーん。ジェントルー!

お腹がいっぱいになったところで。
俺はシャキーンと立ち上がり、声をあげた。

「よーっし!みなさん、じゅんびよきですかー?」

リオがきょとん。

「え?準備?なに?」

ええ?約束したじゃん!もう忘れちゃったの?

「これから冒険者になります!くだものをもいで食べるの!」
「でも、台とか持ってきた方がいいんじゃない?」
「そうだね。少し高いみたいだ」

俺はチチチと指を振った。

「冒険者は台とかもってないでしょ?だって冒険のとちゅうなんだから」
「え?じゃあどうするの?」

うーむ、と思案顔のライが、いい考えだとばかりににっこりして言った。

「………私が抱っこしてあげようか?」
「ち・がーう!冒険者はだっこしないでしょお?
のぼるの!木に!自分のあしで!のぼるのです!」
「ええ?!登るの?!誰が?!」
「オレたちが!」
「無理だよおお!僕、木登りなんてしたことないよ!」
「私も…やったことがない」
「いやいやいや!やってみよう!まずはがんばってみることがだいじ!」

ちょっと高いところにあるけど、木に登ればとれそうじゃん!
足がかりになりそうな枝もあるし。いけるっしょ!

俺は木をジーっと見つめ、頭のなかでシミュレーション。
うん。できた!

「よいしょ!」

ひょいっと木にとびつき、木の枝をしっかり掴むと、ちょっとした出っ張りに足をかけグイっと身体を持ち上げる。
そしたらもう少し上の位置の枝をつかみ、また同じことを繰り返す。

「さ、サフィ!大丈夫?」
「だいじょうぶー!けっこうかんたん!」

ひょいひょいっと上って、地面から2メートルくらいの大きな枝にまたがった。
ここからなら果実に手が届く。

まあるい果実をちょっとひっぱってみると、プチっと軽い手ごたえがあり簡単に果実がもげた。
うん。いい感じ!
俺は下のライリオに声をかけた。

「あのねえ!いいかんじにとれたー!落とすから、じょうずにうけとって!」
「ええ?無理だよー!」
「じめんにおちないようにファイトですよ!がんばってね!
じめんに落としたらオコだからね!」
「そんなあ!」
「ち、ちょっと待って!」

大慌てでライがシートにしてた布を両手でばさりと広げた。

「リオ、そっちを持って!」

2人で四隅を持って広げると、果実を受け止める即席のおおきなバスケットに。

「おお!それよきです!」

思わず両手でパチパチ。

「サフィ!手を離しちゃダメ!危ないよ!」

おとと。すまんすまん。

「じゃあ、いくよー!」

ぽーん。
ぽーん。

次々ともいでは投げ、もいで投げ。
ついでに木の上でパクリ。

「あまーい!じゅーしー!」

「あー!いいなあ!僕もー!」

リオも一旦ぬのを置いて、ひとつパクリ。

「!なにこれ!皮もむいてないのに、美味しい!」

ライもひとつとって服でそっとこすり、ぱくっ。

「!確かに!……何故だろうか?綺麗に盛り付けられたものより美味しく感じる…」

うふふー!そうでしょうそうでしょう!

「こうやってみんなで採れたてをたべると、おいしいの!
外の空気とか楽しいとかが、おいしいものをもっともっとおいしくするんだよ!」

えへん、とドヤったら、バランスを崩して下に真っ逆さま!

「え?!嘘でしょ!」
「サフィ!!!」

ボスッ!

風のように滑り込んできたティガーが俺をキャッチ!
優しく俺を横におろすと、パンパンと服をはたきながらニコリと微笑んだ。

「大丈夫ですか?お気を付けくださいね?」

ライリオも俺もティガーのあんまりなイケメンぶりにあんぐり。

ライがぽつんと呟いた。

「……私もティガーのようになれるだろうか……」

あんた何を目指すんだ?!気持ちはわかりますけれども!




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