もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

俺、おみやげ配り人になる(ティガマリ、公爵家に)

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さーって!ゲイルには「今日は配り人になる」って言ってある。
今日会う予定があるのは、午前中にお久しぶりのオルガ団長。
午後はエリアス。
うーん。どうしようかなあ。

とりあえず、王城に行くほどの時間はないから、まずは近くから。
てことで。

俺はマリーとティガーを呼んだ。
ていうか、2人とも「ちょっと待っててね」ってお部屋の前で待っててもらったんだけどね。
お土産の整理が終わったから「どうぞ」って入って貰う。


俺はてれてれしながら、最初のお土産を用意した。

「あのね、これ。
はじめて自分でかせいだお金でかったの!
いつもありがとうのお礼なの」

「ティガー、いつもお世話してくれてありがとう。おいしいご飯をありがとう。
なんでもできるティガーが大好き。でも、むりしすぎないでね!」

「マリー、いつも守ってくれてありがとう。げんきたくさんもらってるよ。
とっても強いマリーが大好き!でも、やりすぎないでね!」

ギュってしてから、それぞれに髪の色の小銭入れとハンカチを渡した。

「この小銭入れは、俺とかゲイルとかお兄様とかとお揃いなんだよ!」


そしたらば。
マリーもティガーも、固まったまんまでボロボロと泣き出しちゃった!

「えええ?!だ、だいじょうぶ?気に入らなかった?
他の色とこうかんっこする?
オレのぽーちとかえっこしてもいいよ?」

「ち、ちがうんですううう!!サフィさまが!サフィさまが、お優しいからあああああ!!
ご自分のお金で…そんな貴重なもので…っ。
私たちの分までお土産を下さるなんて……っ!うれしいんですよおおおおおう!!」

マリーがうわあああん、と泣き出したかと思えば

「サフィ様が…サフィ様が…このような素晴らしいものを私のために…!!
このティガー、一生大切にさせて頂きます!!」

とティガーが床に崩れ落ちた。


こんなにも喜んでくれるなんて、嬉しいを通り越して申し訳ない。
なんか、ナイフを他に回しちゃってほんとーにほんとーにごめん。
次は絶対にもっとたくさん買ってくるからね!!



2人に着いてきてもらって、次はライリオと公爵だ。
公爵は朝は家にいるからね。

「ライー!リオー!いるー?」

2人を探してうろちょろしてたら、ちょうど公爵のほうの食堂に3人そろっていた。
ちょうどいいから3人一緒に渡すことに。

俺はお尻のポケットにさしていたナイフを、まずは2本取り出した。

「はい。リオ。
これね、かんしゃのきもち。
あそんでくれてありがとう。
1回だけしゅごが使えるこうかがついたナイフなの。
いざってときに使ってね」
「ライも。いつもありがとう。
ふつうにナイフとしても使えるからね」

2人はぽかーん。

「え?これ、僕に?いいの?」
「私にも?」
「うん。きのう、ゲイルとお兄さまといっしょに、はじめてのお出かけしたの。
ありがとうの気持ちだから、ちゃんと自分でかせいだお金で買いましたので!
このまえのおひろめかいでコンサートしたら、反王家のおいちゃんとなかよくなったの。
それで、国をまとめたからっていって、王さまがごほうびのお金をくれたの」

ライとリオはじいっとナイフを見つめ、静かに言った。

「……これね。すっごくうれしい。大切にするからね。
僕、無くさないように持ち歩く」
「うん。こんなに嬉しい贈り物を貰ったのは初めてだ。
ありがとうサフィ」

大切そうにそうっとナイフを撫でるライリオ。
あげて良かったって思った。


さて。次は…公爵だ。
さっきから「期待してませんよー」「私は気にしていませんよー」って感じで、食事に集中していますとばかりにお皿をじーっと見つめている公爵!
どこかソワソワしてるの、気付いてるからねっ!

なんか、ほんとこの人ってしょうがない人だよね。
俺にしたことは許せないけど、この1年近く接してきて嫌がおうにも気づかされた。
良くも悪くも、この人って地位と権力と実力を兼ね備えた子供なんだよね。
エリアナお母様が育てないしてる途中でいなくなっちゃって、途方にくれちゃってたのもわかる。だって子供なんだだもん。そらああなるわ。
ダメダメだったけど、そこはしっかりと「ゴルァ」なんだけど。
罪悪感のせいで俺にめっちゃ忠実で「サフィのために」「サフィが」「サフィは」って文句も言わずせっせと俺のために頑張ってるのを見てきたから、なんか…ほだされてきた。
こういっちゃあアレだけど。健気なんだもんこの人。
ちょっと意地悪しちゃったけど。ちゃんと公爵の分もあるからそんな顔すんなって!

俺はとことこ公爵の所に行き、

「こうしゃく、手」

と言って手を出させた。
どこかおずおずと差し出された手は、震えていた。ほんとにこの人ってば!

「はい。これはこうしゃくへおみやげ。
オレのためにいろいろがんばってくれてありがとう。
これはちゆのこうかが1回だけ使えるから。けがとかびょうきのときに使って。
その後はふつうにナイフとして使えるからね!」

公爵に、はい、と渡したらば。
無表情のまま目を潤ませ、ひたすら「うむ。うむ。……うむ………」って頷いてる。

ああああ!もう!

俺は公爵をギュ、としてポンポン、としてやった。
もういいよ。嫌いじゃない。もう嫌いじゃないよ。

俺の胸もとで小さく聞こえた「ありがとう」。
うん。
せっかく買ってきたんだから、大事にしてよね!


湿っぽくなっちゃったので、おれはとっとと退散することにした。

「おせわになってる侍女さんとかにもおみやげあるから。夜、おじかんあればここに集まってもらうよう伝えてくれる?じゃあ、オレ行くね!」





「「サフィ!ありがとう!!」」

俺は3人にバイバイと手を振って急いで部屋から出た。
ちょっと嬉しいみたいな切ないみたいな、不思議な気持ち。
うん。
これでいいよね、お母様。






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はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
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