もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。

文字の大きさ
上 下
164 / 359
たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

俺、おみやげ配り人になる(ティガマリ、公爵家に)

しおりを挟む
さーって!ゲイルには「今日は配り人になる」って言ってある。
今日会う予定があるのは、午前中にお久しぶりのオルガ団長。
午後はエリアス。
うーん。どうしようかなあ。

とりあえず、王城に行くほどの時間はないから、まずは近くから。
てことで。

俺はマリーとティガーを呼んだ。
ていうか、2人とも「ちょっと待っててね」ってお部屋の前で待っててもらったんだけどね。
お土産の整理が終わったから「どうぞ」って入って貰う。


俺はてれてれしながら、最初のお土産を用意した。

「あのね、これ。
はじめて自分でかせいだお金でかったの!
いつもありがとうのお礼なの」

「ティガー、いつもお世話してくれてありがとう。おいしいご飯をありがとう。
なんでもできるティガーが大好き。でも、むりしすぎないでね!」

「マリー、いつも守ってくれてありがとう。げんきたくさんもらってるよ。
とっても強いマリーが大好き!でも、やりすぎないでね!」

ギュってしてから、それぞれに髪の色の小銭入れとハンカチを渡した。

「この小銭入れは、俺とかゲイルとかお兄様とかとお揃いなんだよ!」


そしたらば。
マリーもティガーも、固まったまんまでボロボロと泣き出しちゃった!

「えええ?!だ、だいじょうぶ?気に入らなかった?
他の色とこうかんっこする?
オレのぽーちとかえっこしてもいいよ?」

「ち、ちがうんですううう!!サフィさまが!サフィさまが、お優しいからあああああ!!
ご自分のお金で…そんな貴重なもので…っ。
私たちの分までお土産を下さるなんて……っ!うれしいんですよおおおおおう!!」

マリーがうわあああん、と泣き出したかと思えば

「サフィ様が…サフィ様が…このような素晴らしいものを私のために…!!
このティガー、一生大切にさせて頂きます!!」

とティガーが床に崩れ落ちた。


こんなにも喜んでくれるなんて、嬉しいを通り越して申し訳ない。
なんか、ナイフを他に回しちゃってほんとーにほんとーにごめん。
次は絶対にもっとたくさん買ってくるからね!!



2人に着いてきてもらって、次はライリオと公爵だ。
公爵は朝は家にいるからね。

「ライー!リオー!いるー?」

2人を探してうろちょろしてたら、ちょうど公爵のほうの食堂に3人そろっていた。
ちょうどいいから3人一緒に渡すことに。

俺はお尻のポケットにさしていたナイフを、まずは2本取り出した。

「はい。リオ。
これね、かんしゃのきもち。
あそんでくれてありがとう。
1回だけしゅごが使えるこうかがついたナイフなの。
いざってときに使ってね」
「ライも。いつもありがとう。
ふつうにナイフとしても使えるからね」

2人はぽかーん。

「え?これ、僕に?いいの?」
「私にも?」
「うん。きのう、ゲイルとお兄さまといっしょに、はじめてのお出かけしたの。
ありがとうの気持ちだから、ちゃんと自分でかせいだお金で買いましたので!
このまえのおひろめかいでコンサートしたら、反王家のおいちゃんとなかよくなったの。
それで、国をまとめたからっていって、王さまがごほうびのお金をくれたの」

ライとリオはじいっとナイフを見つめ、静かに言った。

「……これね。すっごくうれしい。大切にするからね。
僕、無くさないように持ち歩く」
「うん。こんなに嬉しい贈り物を貰ったのは初めてだ。
ありがとうサフィ」

大切そうにそうっとナイフを撫でるライリオ。
あげて良かったって思った。


さて。次は…公爵だ。
さっきから「期待してませんよー」「私は気にしていませんよー」って感じで、食事に集中していますとばかりにお皿をじーっと見つめている公爵!
どこかソワソワしてるの、気付いてるからねっ!

なんか、ほんとこの人ってしょうがない人だよね。
俺にしたことは許せないけど、この1年近く接してきて嫌がおうにも気づかされた。
良くも悪くも、この人って地位と権力と実力を兼ね備えた子供なんだよね。
エリアナお母様が育てないしてる途中でいなくなっちゃって、途方にくれちゃってたのもわかる。だって子供なんだだもん。そらああなるわ。
ダメダメだったけど、そこはしっかりと「ゴルァ」なんだけど。
罪悪感のせいで俺にめっちゃ忠実で「サフィのために」「サフィが」「サフィは」って文句も言わずせっせと俺のために頑張ってるのを見てきたから、なんか…ほだされてきた。
こういっちゃあアレだけど。健気なんだもんこの人。
ちょっと意地悪しちゃったけど。ちゃんと公爵の分もあるからそんな顔すんなって!

俺はとことこ公爵の所に行き、

「こうしゃく、手」

と言って手を出させた。
どこかおずおずと差し出された手は、震えていた。ほんとにこの人ってば!

「はい。これはこうしゃくへおみやげ。
オレのためにいろいろがんばってくれてありがとう。
これはちゆのこうかが1回だけ使えるから。けがとかびょうきのときに使って。
その後はふつうにナイフとして使えるからね!」

公爵に、はい、と渡したらば。
無表情のまま目を潤ませ、ひたすら「うむ。うむ。……うむ………」って頷いてる。

ああああ!もう!

俺は公爵をギュ、としてポンポン、としてやった。
もういいよ。嫌いじゃない。もう嫌いじゃないよ。

俺の胸もとで小さく聞こえた「ありがとう」。
うん。
せっかく買ってきたんだから、大事にしてよね!


湿っぽくなっちゃったので、おれはとっとと退散することにした。

「おせわになってる侍女さんとかにもおみやげあるから。夜、おじかんあればここに集まってもらうよう伝えてくれる?じゃあ、オレ行くね!」





「「サフィ!ありがとう!!」」

俺は3人にバイバイと手を振って急いで部屋から出た。
ちょっと嬉しいみたいな切ないみたいな、不思議な気持ち。
うん。
これでいいよね、お母様。






しおりを挟む
はじめまして。初めて書いてみたオリジナル異世界BL。可哀想な主人公が、それに負けずに力業で幸せになるのが好きです。ハピエン主義なので、完全無双のハピエンになります。誤字脱字など、ご容赦くださいませ(;・∀・)→ご指摘があれば修正いたしますので!ご都合主義の作者の自己満足小説です。作者豆腐メンタルのため、ご不満のある方は「そっ閉じ」でお願いいたします。。。お楽しみいただけましたら、ぜひぽちっとイイネをお願いいたします♡コメントもぜひ♡
感想 461

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました

新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。

大好きなあなたが「嫌い」と言うから「私もです」と微笑みました。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
私はずっと、貴方のことが好きなのです。 でも貴方は私を嫌っています。 だから、私は命を懸けて今日も嘘を吐くのです。 貴方が心置きなく私を嫌っていられるように。 貴方を「嫌い」なのだと告げるのです。

拝啓、婚約破棄して従妹と結婚をなされたかつての婚約者様へ、私が豚だったのはもう一年も前の事ですよ?

北城らんまる
恋愛
ランドム子爵家のご令嬢ロゼッティは、ある日婚約破棄されてしまう。それはロゼッティ自身が地味で、不細工で、太っていたから。彼は新しい婚約者として、叔父の娘であるノエルと結婚すると言い始めた。 ロゼッティはこれを機に、叔父家族に乗っ取られてしまったランドム家を出ることを決意する。 豚と呼ばれるほど太っていたのは一年も前の話。かつて交流のあった侯爵の家に温かく迎えられ、ロゼッティは幸せに暮らす。 一方、婚約者や叔父家族は破滅へと向かっていた── ※なろうにも投稿済

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

妹の嘘の病により、私の人生は大きく狂わされましたが…漸く、幸せを掴む事が出来ました

coco
恋愛
病弱な妹の願いを叶える為、私の婚約者は私に別れを告げた。 そして彼は、妹の傍に寄り添う事にしたが…?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...