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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

お出かけの次の日の朝

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俺の初めてのおでかけは、大、大、大成功!
でもあまりにもいろいろとあって、もりだくさんだったから疲れ切っちゃった。
帰りの馬車で爆睡した俺は、目を覚ますとベッドの中でした。
お土産はちゃんとお部屋のすみっこに積まれてた。
ゲイルが運んでくれたのかな?
たくさんだから、大変だったでしょ。ありがとうね!
クリーンしてくれたみたいで、身体もすっきり!
パジャマも着せてくれてる。重ね重ねありがとうございまする!

ベッドの横の机でなんらかの書類を見ていたゲイルが、俺に気付いて微笑んだ。

「お、起きたのか?おはよう、サフィ!
良く寝てたな。疲れは取れたか?」
「おはよおゲイル。
つかれはとれたみたい。もう元気になった!」

そういえば。帰りが遅くなっちゃったけど、お兄様はどうしたのかな?
バイバイもありがとうもいってなかった…。

「お兄さま、もうかえっちゃった?」

って言ってたら……横でもぞもぞ。
ぺろっとめくってみたら…おお、お兄様!
まさかの、今日もここにお泊りしていらしたとか!
え?大丈夫?王城がパニックしてない?

布団をめくったポーズで固まった俺に、ゲイルが苦笑しながら教えてくれた。

「もともと睡眠不足だったらしい。
ちょっと仮眠するって言うからサフィの横に寝かせたら、そのままサフィから離れなくてな。
仕方ないからここで寝かせたんだよ。もうちょっと寝かせてやれ」
「おうさま、心配してないかな?」
王城には連絡しておいた。
たまにはいいだろう、ゆっくりやすめ、だってさ」
「よかったあ!」

お兄様は、俺がごそごそしても目を覚まさず、すやすやと気持ちよさそうに眠っている。

「ふふふ…。よくねてるね」

俺がちょん、とほっぺをつついたら、その手をぎゅっとしてすりすりしてきた。

「か、かわいい。おにいさま、なんだかかわいい!」

きゅん。

「おい。触るな。危険だからな」
「ええー?お兄さま、きけんぶつ?」

そう言ってたら、寝ぼけたお兄様にそのまま手を引かれ、あっという間の腕の中に抱き込まれてしまった。
おおう!なんたるはやわざ!

「うーん…サフィ……?」
「お兄さま、おねむ?」
「……うん……。サフィも、いっしょに…ねよう…?」

俺の顔を見つめ、柔らかく微笑むお兄様。
ひいい!!顔面力が強すぎる!!なにこの美形!あまーーい!!!

「ふふふ。サフィ…てれてるの…?かわいい……」

半分寝ぼけたまま、ちゅ、ちゅ、と顔中にちゅーの嵐。
ひえええええええ!!!
も、もうだめえええええ!!!

「お、おきてくださいませーー!お兄さま、おきてーーー!!!」

必死に逃げ出した俺にゲイルが言った。

「だから言っただろ、危険だって」

そーゆー意味?早く言ってよね!






しばらくしてぱちりと目を開けたお兄様は、超ご機嫌だった。

「ふふふ。とてもいい夢をみた。夢にサフィがいたよ」

うんうん。よかったですねー。それ、たぶん夢じゃないと思いますよー。

「おはよう、サフィ。
あれ?顔が赤いね?大丈夫?お熱はない?」

俺の前髪をかき上げおでこをくっつけてくるお兄様に、俺は慌てて言った。

「だ、大丈夫!なんともありませんので!ちょっと朝から甘すぎただけですので!」
「確かにあれは甘すぎたな…」

うんうん、と頷くゲイル。
お兄様はキョトンとしたあと、納得したように首を左右に振った。

「朝からお菓子はダメだよ、サフィ。デザートはきちんとご飯を食べてからにしようね?」

食べてないもん、と言いたかったけど、「じゃあ何が甘いの?」とつっこまれそうだったので、俺は黙って頷いたのだった。




俺のお部屋でティガー特製の朝ごはんを食べると、お兄様は爽やかな笑みと共に

「また来るね!」

と王城に帰っていった。
なんだかあっという間だったなあ。

なんとなくだけど、お兄様もゲートを駆使して俺の部屋に居つきそうな気がする。
俺の部屋から「いってきます」して、「ただいまー」って俺の部屋に帰ってきて「おやすみー」と俺を抱っこして寝る未来が見える…。
ベッド、もうちょっと大きいのにしてもらった方がいいのだろうか。
今はまだ3人で寝れるけど、俺はもっと大きくなる予定ですので!

「大きなだきまくらとか作ってもらって、オレの匂いとかをつけてお兄さまにプレゼントする?
ゲイルも欲しい?」
「そういうことじゃないんじゃないか?てか、それはちと変態くさいからレオンに渡すのはやめておこうな」

俺には安眠効果があるらしいし。いい考えだと思うんだけどなあ。
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