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俺、自由だー!

俺の小遣い事情

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さて。

おはようございます!サフィです!
目覚めて早々、お兄様が俺の顔をガン見していたのでちょっとびっくりしました。
サフィです。サフィです………。

てか、朝っぱらからキラキラのご尊顔!久しぶりだと威力が!!

目をシパシパさせてたら「眠いの?」だなんて心配されちゃった。
違いますってば!お兄様のお顔がまぶしかっただけなの!



俺の城下町行きは、なんと今日になった!
あのあとすぐ俺はぐーすかぴーだったのだが、お兄様とゲイルで相談してくれたみたい。

お兄様は昨日の夜と今日とで休みをもぎ取ってきたのだそうで「サフィが行きたいのならば、私も付き添うよ?」
ってことになったらしい。

え?お兄様って、王子だよね?王子の付き添い?普通は逆じゃない?
そんなに気軽に町とかに出ていいの?なんか手配とか人払いとか、護衛さんたちとかしなくていいの?
俺の常識、間違ってる?

困惑した俺がゲイルに視線を投げると

「サフィは最強なんだろ?」

とウインクされた。え?俺が護衛がわり?
責任重大じゃん!ひえ!!
ちょっとドキドキしてたら、

「俺も行くから、レオンも一緒で問題ない。
一応影も来てるみたいだしな」

ってゲイルがウインク。
良かった!それを先に言ってよね!ゲイルも一緒なら大丈夫だ!
にこにことゲイルを見上げたら、

「この付き添いってのは、サフィがなんかやらかさねーか、って意味の付き添いでもあるからな」

なんて言っておでこを指でツンと押された。
おっとっと。
俺の付き添いって、保護者たちの過保護というより「サフィがしでかさないようにお目付け役」だったのか。
大丈夫、といいたいところだが、これまでの色々を考えると断言できない自分が辛い!
でも、はじめてのお買い物!しかも大好きな2人がいっしょなんて、嬉しい!!

俺は嬉しさのあまりその場でピョンピョン飛んで、それでも気持ちが収まらなくって、お兄様の両手を持ってぐるぐると回ってしまった。
うれしいーーー!!!!

ご機嫌でぐるぐるしすぎたらしい。

「げ…げいる……て、てんじょうが…ぐるぐるしてる……」

俺の目までぐるぐるになって。ふらふら~ばたりんこ。
床に座り込んでしまった。
ぐらんぐらんするうううう。。うえええ……。
お兄様もぐるぐるになったのか床に座り込み、頭をぐらぐらさせている。

「ごめんね、おにいさま…」
「い…いや…大丈夫だよ。サフィ。私も楽しかったから…」

ふたりでぐるんぐるんになりながら、ふふふと笑う。
あたまぐるぐるだけど、こういうのだって思い出。
後から思い出して幸せになるスパイスだよね!



そういえば、オルガ団長とバイツー先生の訓練は?
連絡しなきゃ!
と思ったらば。
できる子のお兄様は

「サフィも色々あって疲れていると思う。少し休みをとらせよう」って、王城で先生たちにお休みの連絡をしてきてくれたみんだって!
それで、今日は一日俺と遊んでくれる予定だったそうな。
スンバラシイ!さすがお兄様!信じてた!

「いや、勝手になにしてくれてんだよ!」

ってゲイルがお兄様に突っ込んでいたが、いいじゃん。結果オーライよ!

おっちゃんたちが来ちゃうといけないので、念のためティガマリたちに「おっちゃんが来たらヨロ!」しておいた。
美味しいおやつをお願いしておいたので、俺が居なくてもなんとかなると思う。
念のために

「サフィはきょうはおやすみです。ゲイルとおにいさまとおでかけ!
おみやげかってくるからね!たのしみにしててね!
なのできょうは、おやつたべてかえってください。とてもおいしいです!
またあそびましょう。ばいばい」

って書いたお手紙を「来た人に見せてね」って言って渡しておいた。



は!
お土産を買う相手がどんどん増えていく!
ゲイルでしょ。お兄様でしょ。エリアスでしょ。王様と王妃様。
ティガマリにもいるし、ライリオにも買わなきゃ!
そうなると公爵だけ無しってわけにもいかないよね。
オルガ団長と、バイツー先生もでしょ。
あと、王城でお世話になっているミカミカ!
それとみしぇとジグルドの護衛ズにもなにか買おう。
おいしいアップルパイをくれる熊さんにも。
あとは、うちの侍女さんとか「サフィ様を守り隊」にも!
ここらへんは大きなお菓子のセットとか、ハンカチを大量に買って来て後で配ろう。
それにおっちゃんたちの分も含めると……すんごい数!

「ど、ど、ど、どうしよう!
きょうだと、まだお手伝いしてないから、オレ、お金がない!」

お買い物、とかぐるぐるしてる場合じゃなかった!
先立つものが必要!

俺は慌てて保護者ゲイルに頼んだ。

「あのね、おみやげ買いたいんだけど、オレまだこどもだから、お金ないの。
あとからたくさんお手伝いするから、お小遣いさきにください!
かりたお金はきちんとはたらいて返しますので!
足りなかった分はぼうけんしゃになったらすぐに返すから!」

お兄様がぎょっとして言った。

「え?!サフィ、お小遣いとか貰ってないの?サフィ用の費用はないの?!」

慌ててそれをゲイルが否定する。

「いやいや!人聞きが悪いこというなよ!あるに決まってんだろ!」

ゲイルは困ったように眉を下げて俺に説明してくれた。

「サフィ、あのな。お前にも小遣いっていうのがあってな。毎月決まった日にサフィが使っていい金が用意されてるんだ。
好きなものや欲しいものがあったら言うようにって言われてるだろ?
俺だってサフィ用にちゃんとためてるぞ?
お手伝いはいいが、サフィはまだ子供なんだから金のことなんて心配しなくていいんだぞ?」

俺はそんな2人にしっかりと教えてあげた。

「あのね。それだとオレのおみやげにならないでしょお?
オレはおせわになってる人に、ありがとうがしたいの。
自分でおかえししたいの。
オレがお手伝いしてがんばったお金であげるのと、もらったお金で買ってあげるのとはちがうでしょ?
ゲイルだったらどっちがうれしい?」
「……サフィが頑張ったお金で買ってくれたものだな。……そんなん…宝でしかねーだろ」
「ね?そゆこと!」

俺は胸を張った。
ゲイルでも知らないことがあるんだね。ひとつお勉強になったね。

するとお兄様がポンと手を打った。

「それなら!もうサフィのお小遣い、あるよ」

ニコニコと教えてくれる。

「サフィはもう凄いお手伝いをしてくれたじゃないか。
反王家を取り込んで国をひとつに纏めてくれたのだからね。
誰にも出来なかった、素晴らしいことなんだよ。
サフィのおかげだ。
そのご褒美にって、父上からお金を預かって来たんだ」

はい、これ。
と沢山のお金が入った巾着を手に乗せてくれた。
も、もしかして、これ…!

「これ、オレが自分でがんばったお小遣い?」

ドキドキしながら聞く俺に、お兄様がにっこりと微笑んだ。

「うん。そうだよ。頑張ったね。とても助かったよ。ありがとう」

俺は飛び上がって歓声を上げた。

「やったあ!ゲイル!オレ、自分でお金をかせいだよ!
これでおみやげ買える!」

そんな俺を見てお兄様がゲイルにウインク。
良かったね、の合図かな?
その合図を受けてか、ゲイルがポンと大きな手をオレの頭に置いた。

「サフィ、良かったな!
サフィが自分で頑張って稼いだ金だ。
まだ5歳で凄いじゃないか!お父様は誇りに思う」
「うん!すごい!おっちゃんたちにもかんしゃ!」

ふんすふんすしながら巾着をあけてみたら、金貨が沢山!
おおおおお!!

「ハ、ハンカチ100まい買える?
クッキー20まいくらい買える?
もしかして、騎士さんとか魔塔の人とかの分も買えちゃう?」

ふは、とゲイルが笑う。

「おう!金貨1枚あれば十分買えるぞ!
店の菓子を買い占めるか?」

そ、そんなに?!
ゲイルが「あれ?」と首を傾げた。

「そういや、まだ金について教えてなかったな」





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